●倒産が減った?倒産件数の推移、実は2008年以来一貫して減少傾向
2014/12/30:
14年の上場企業倒産ゼロに(2014年 12月29日 18時30分 提供元:共同通信)というニュースがありました。倒産件数が減っている!という明るい感じのニュースになっています。
<国内に上場する企業の倒産が2014年はゼロになる見通しとなったことが、帝国データバンクの調べで29日分かった。ゼロになれば1990年以来、24年ぶり。アベノミクスによる株高で、保有株式の価格が上昇して資金繰りが改善したことや、銀行の貸し出し姿勢が好転したことが寄与した。
中小企業を含む全体の倒産件数も、14年1~11月でみると前年の同じ期間に比べ約1割減の約8500件と減少傾向となった>
ただ、そもそも倒産件数はもっと以前からずっと減少傾向だったという指摘も出ているんですよね。私は全くその可能性を考えていなかったため、そうだったのか!と驚きました。
安倍首相「倒産件数は24年間で最低」の背景(abz2010 2014年12月10日 01:48)は倒産件数以外の話もありますが、以下のようにまとめられていました。
1. 安倍政権誕生前の2012年度の倒産件数もその時点では過去22年間で最低レベルだった。又、そもそも母数となる企業数自体が基本的に右肩下がりとなっている。
2. 民主党政権時代の2009-2012年の3年間も倒産件数は平均して年8%近く減少している。
3. 2012~2013年度の倒産件数減少の内訳をみると、件数でも前年比でももっとも大きく減少したのが建設業で、これはアベノミクス第二の矢である公共事業の大盤振る舞い(2013 年度の一般会計の公共事業費決算額は 8.0 兆円で2012年度5.8 兆円と比べて4割近く増加)が主たる要因と思われる。
●最近になって急に倒産件数が減った!と完全に騙されていた…
もう一つ同じくらいの時期に似たような記事があり、同じ作者さんかと思ったら別の方でした。
倒産減少は本当か?(wasting time? 2014年12月12日 05:00)では、以下のように書かれています。
<アベノミクスで倒産減少だー。求人倍率も上がっているぞー。と叫んでいる人は多い。政権与党も大いにそのことをアピールしているようだ。本当にそうなのだろうか?
残念ながら、倒産件数が減り始めたのは2009年の下期からだ。この時はまだ民主党政権。2008年のリーマンショックからアメリカ経済と世界経済が回復してきている>
政治の話に絡ませると途端に頭がバカになる人が多いのであまり政治的なことは書きたくありませんが、なおもアピールするとすれば減り方で主張するしかないでしょう。しかし、自民党政権もマスコミもそういう言い方をしていませんでした。こういう狡猾さは自民党にあって民主党にはないうまいところ。私なんかはまるで自民党政権になってから、倒産件数が減りだしたように錯覚していました。
右肩下がり感がわかりづらいんですが、年ごとの倒産件数のデータは
倒産件数・負債額推移(全国企業倒産状況) : 東京商工リサーチにありました。また政治絡みになっちゃいますが、なぜか総理大臣の情報もいっしょに載っていましたので、そちらもどうぞ。
<倒産件数の推移>
西暦(邦暦) 件数 総理大臣
2007(H19)年 14,091 福田 康夫
2008(H20)年 15,646 麻生 太郎
2009(H21)年 15,480 鳩山 由紀夫
2010(H22)年 13,321 菅 直人
2011(H23)年 12,734 野田 佳彦
2012(H24)年 12,124 安倍 晋三
2013(H25)年 10,855 安倍 晋三
●好景気と思いきや実質賃金は減少、さらに家計貯蓄率は初のマイナス
政治の話についてですが、お互いに都合のいいデータをアピールし、相手にとって悪いデータを攻撃しているのをよく見かけます。今、都合の悪いデータとしては、「企業はいいかもしれないけど家庭はキツいのよ」ということで、実質賃金の減少でしょうね。そして、それ以外にこういうのもあったんだ!と思ったのが、家計貯蓄率のニュースです。
<内閣府が25日に発表した2013年度の国民経済計算確報で、所得のうちどれだけ貯金に回したかを示す家計貯蓄率がマイナス1.3%となった。国民全体で見ると、高齢者を中心に貯蓄を取り崩して所得を上回る消費をしたことになる。増税前の駆け込み消費も響いた。貯蓄率がマイナスになるのはほぼ同じ条件で統計を比べられる1955年度以降初めてだ。(中略)
家計がためたお金は企業で余ったお金とともに政府が抱える巨額の借金を支える役割をこれまで果たしてきた。ゴールドマン・サックス証券の西川昌宏金融商品開発部部長は「国債の買い手が縮小すれば、潜在的に長期金利の上昇リスクになる」と指摘している>
これを伝えた
家計貯蓄率、初のマイナス 貯金崩し所得上回る消費 :日本経済新聞(2014/12/25 23:25)では、強調されていなかったものの、消費が多くなっているんだからいいことだ!って反論もあるかもしれません。検索してみると、実際、家計貯蓄率の減少を前向きに捉えている人もいました。所得以上にお金を使っているわけで、本当にイイことなんだろうか?とは思いますけどね…。
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