火にまつわる鳥の話をまとめ。<ある意味火の鳥…火を使って狩りをする鳥がいる 豪州で確認>、<オーストラリアにはその名も「火食鳥」(ヒクイドリ)という鳥も!>などをまとめています。
2023/07/07:
一部見直し
●ある意味火の鳥…火を使って狩りをする鳥がいる 豪州で確認
2018/01/29:西洋の伝説の鳥フェニックスは、「火の鳥」とも言われます。ある意味「火の鳥」だなと思ったのが、火を使って狩りをする鳥が研究者によって確認されたというニュースです。火を扱えるのは人間や一部のサルなどの高い知能を備える動物に限られると考えられてきたので、衝撃的なものでした。
しかも、いかにも特別な鳥って感じではない、トビみたいな普通の鳥が火を使いこなすみたいですね。オーストラリア北部に生息する「Milvus migrans(トビ)」「Haliastur sphenurus(フエナキトビ)」「Falco berigora(チャイロハヤブサ)」の3種類の猛禽類が、獲物となる小動物をおびき出す目的で火を扱っているんだそうです。
研究者によると、鳥は火のついた枝をくわえて運び、草むらに投下して火を広げるそうです。まさに火を使いこなしている…という動きをしています。この「放火」により、その周辺に住む小さなほ乳類やトカゲ、昆虫を逃げ出させてから狩るとのこと。単独ではなく、集団で火を使うこともあるみたいです。
オックスフォード大学のアレックス・ケースリンクさんによると、鳥は山火事などが発生したときに多くの動物が逃げることを見て、その行動を学んだと考えられるとのこと。さらに、それを若い鳥が見て学んだ結果、火を使った狩りが代々受け継がれてきているのではないかと推察。そもそも集団でやるときもあるのですから、学習してきたってのは説得力があります。
(
火を使って狩りをする鳥の存在が確認される - GIGAZINE 2018年01月22日 17時00分00秒より)
この習性は人間にとっては良いことばかりではなく、大規模な火事の原因にもなっているのではないかとされていました。なお、さすがに鳥が火を作り出すことはないでしょうから、種火は自然発生的なものなどの山火事を使っていると思われます。この記事の
はてなブックマークでも、以下のような補足がありました。
codingalone 元記事によれば、山火事のような既存の火種を燃えていない場所に運んで炎を広げるとのこと。訳が不十分だよなあ。
●フェニックスとその元ネタはどれ?エジプト神話のベンヌやキンケイ
ある意味火の鳥ということを書きましたが、フェニックスの伝承そのものは、少なくともオーストラリアの鳥たちとは無関係だと思われます。
フェニックス - Wikipediaによると、フェニックスは、古代エジプトの神話に登場する、聖なる鳥ベンヌがその原型だと考えられているそうです。
当時のエジプト人は、太陽神ラーに従うベンヌはヘリオポリスのラーの神殿で燃やされている炎へ毎夜飛び込んで死に、毎朝その炎から生まれると信じていたそうです。ペンヌは、毎夕に沈み毎朝昇る太陽を象徴していたと思われます。 この話が、古代ギリシアの歴史家ヘロドトスの元に伝えられると、彼はその著作『歴史』において、エジプトの東方に位置するアラビアに住む鳥フェニックスとして紹介しました。
フェニックスの起源については、アジアに生息する錦鶏鳥だとする説もあるそうです。「錦鶏」はキンケイと読みます。キジ目キジ科に分類される鳥類の一種。主に中国南西部からチベット、ミャンマー北部にかけて分布しています。
火の鳥っぽいか?と言うと、そうでもないんですけど、とりあえずド派手。原産地では古くから知られ、装飾品や絵画の題材にされていました。しかし、西欧の学者間ではあまりにも豪奢な体色すぎて、実在が信じてもらえず、長らく想像上の鳥と思われていたという話がありました。
(
キンケイ - Wikipediaより)
●アボリジニの伝承にあった火を使う鳥とは?
最初の記事では、アボリジニの話も気になりました。オーストラリアのノーザンテリトリーには、古来から「火を運ぶ鳥」の存在が伝承されており、アボリジニーの中には伝統的な儀式の中に火を運ぶ鳥を模写したものを持つ種族もあるそうです。
火を運ぶ鳥はオーストラリアの東海岸から西海岸にかけた北側の地域に広く知られるなど、オーストラリアではその存在は広範囲で知られていたとのこと。
気になって検索してみたものの、今回のニュース以前にはほとんど情報がありません。おそらくマイナーな話だったのでしょう。そんな中でやっと見つけた
来福@参道では、南方熊楠さんの「牛王の名義とカラスの俗信」の中で、北方アラスカのツリンキート族の英雄的火をもたらすカラスや、メルボルン周辺ヤラ川のアボリジニの古伝で火を伝えたが殺されて星になったカラスが紹介されているという話がありました。
「大神バンゼル」などで検索しても他のページが出てこなくて、以下がアラスカ・アボリジニどちらの話を指しているかわらからなかったのですけど、以下のような内容だそうです。
(オーストラリアには、お腹に蜜を溜め込むアリがいて、アボリジニの子供のおやつという話があったので、アボリジニの伝承かもしれません)
(1)カール・アク・アール・ウクという女性は、芋ほり棒に火を持っていたものの、誰にも分けなかった。
(2)蟻の卵が大好きだった彼女に、カラスは蟻塚へと案内した。
(3)しかし、カラスはあらかじめ蟻塚に蛇を仕込んでおり、驚いた彼女は棒を振って追い払った。
(4)そのとき棒を振ったので火が落ち、その火をカラスが拾って去った。
(5)カラスは火を手に入れたがもったいぶって、人間に食を煮てやるが、一番良い肉を自分の分とした。
(6)大神バンゼルは人間を集めて抗議させたが、カラスは火を投げ散らかして人間を焼き殺そうとした。
(6)しかし、投げ散らかした火を人間が手に入れたので、逆に、干草の囲みに火をつけられて焼き殺されてしまった。
(7)カラスは、天に昇って星になった。
カラスは自分の力で火を手に入れた上で、人間たちに食事も作ってあげており、これカラス全然悪くないんじゃ…と思います。むしろ何の労力も割いていない者たちが、一番良いところをよこせ!ってひどすぎじゃないです?
●鳥と火・太陽の関係の深さ、神話などで登場
上記のページの方は、烏の文字が、火の偏だということを、御定康煕字典で知ったと書かれていました。れんが・れっかといって、点が4つある字は、熱・点・烈・煮など火に関係するものが多いです。前述の話は、その鳥と火が関係する話の一つ。他に、アイヌの物語で燃えさしがカラスに変身する話というのおあるそうです。
既にカラスの話が出ているように、カラスは特に火・太陽と関係が深い鳥です。漢字でもカラスは「烏」ですよね。中国ではカラスは太陽の象徴。日本でも、神武天皇の東征の際に松明を掲げ導いた「八咫烏(やたがらす)」の神話があります。これらの話も出てきた
白いカラスは吉祥!日本も世界も神話の逸話では印象良い鳥だったでは、太陽神アポロンに仕えていたカラスというのも紹介していました。
また、北米先住民トリンギット族などの伝承では、ワシが火を持ってきています。まず、寒波のときにワタリガラスが、ワシに太陽まで飛んで行ってそのかけらを持ち帰ってほしいと頼みます。ワシは承諾し、身を焦がしながらも火を持ち帰り、大地の様々な所に火を灯したといいます。
この異説によると、人々が暗闇の中で何も持たず暮らしているのを不憫に思ったワタリガラスが、神の孫となって神に頼み、太陽を開放したとのこと。こうした鳥と火・太陽が関係する伝説が、世界各地にあるというのはおもしろいです。
●オーストラリアにはその名も「火食鳥」(ヒクイドリ)という鳥も!
2020/04/11:火を使いこなす鳥の3種類には入っておらず、似た鳥でもなさそうなのですけど、ヒクイドリ、つまり、「火食鳥」という名前の鳥がいるとのこと。しかも、この鳥は別名をオオヒクイドリと言う他、オーストラリアヒクイドリともいいます。またしてもオーストラリア絡みの話でした。インドネシア、ニューギニア、オーストラリア北東部の熱帯雨林に分布する鳥だそうです。黒い羽毛、赤い肉垂、青い首に大きなとさかと、特徴的な外見を持ちます。
ただし、
Wikipediaによると、実際に火を食べるのはもちろん、火を食べる伝承や食べているように見える習性があるわけではない模様。和名の「火食鳥」は、喉の赤い肉垂が火を食べているかのように見えたことから名づけられたとの説が有力だそうです。残念ですね。
日本にもたらされたのは、江戸時代初期の寛永12年(1635年)に、平戸藩により江戸幕府に献上されたのが最初。ただし、記録には「陀鳥(だちょう)」とありました。確かにちょっと似ているんですよ。でも、スケッチは明らかにヒクイドリ。また、その後もオランダの貿易船により持ち込まれたことがわかっているそうです。
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