冒頭に追記
2022/07/10追記:
●「殺人の加害者家族の多くが『サザエさん』みたいな家なんですよ」 【NEW】
●サザエさん家族が悪いわけではなく、問題は多様性への理解の欠如 【NEW】
●「殺人の加害者家族の多くが『サザエさん』みたいな家なんですよ」
2022/07/10追記:これはこれで極端そうで注意が必要だと思うのですが、<「加害者家族の多くが『サザエさん』みたいな家なんですよ」“普通の家庭”から無差別殺傷犯が生まれる“日本社会特有の理由”>(22/6/16(木) 6:12配信)という記事があったので、とりあえず保存していました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d9d316e50750ade8eafb0e9a743b9f2f6045ebcc
<近年、「死刑になりたい」という動機で引き起こされた事件が連鎖反応的に発生している(中略)
ここでは、各界の研究者や事件にかかわる人々へのインタビューによって、「死刑になるため」に凶悪犯罪を実行する犯人たちの“真の姿”に迫ったインベカヲリ★氏の著書 『「死刑になりたくて、他人を殺しました」 無差別殺傷犯の論理』 から一部を抜粋。加害者家族をサポートするNPO法人、World open Heartの理事長・阿部恭子氏が明かした加害者家族の実情を紹介する>
『
「死刑になりたくて、他人を殺しました」 無差別殺傷犯の論理』


事件の容疑者が逮捕されると、本人は世間からシャットアウト。一方、その家族は報道陣に囲まれ、親は辞職に追い込まれたり、子は退学させられ、引っ越しを余儀なくされたりなど、生活が一変してしまうことが多々あります。世間の非難を一身に浴びるのは、実は犯人ではなくその家族なのです。
阿部恭子さんは、そんな加害者家族をサポートするNPO法人、World open Heartの理事長。これまで2000件以上のサポートをしてきました。重大事件の方が家族の負担が大きいため、殺人事件が最も多く取り扱う事例。そうした殺人事件は「結構田舎で起きているイメージが強い」としています。
日本で加害者への家族への差別が大きいのは、殺人事件が少ないという逆説的な理由。同じような理由で犯罪に慣れている暴力団の家族なんかも、阿部恭子さんのところには助けを呼びに来ません。普通の家庭だからこそ、加害者家族となったときに、全く耐えられない…という構図だといいます。
「アメリカはもう逮捕自体をパッとしちゃうので、別に逮捕されたことで、そんなに周りが引かない。でも日本で『逮捕されました』って言うと、驚くじゃないですか。『無罪推定』の概念はまったく働かない。そしてやはり犯罪が少ないだけに、加害者の周囲の人への差別が強いんですよね。犯罪者に対するアレルギーも強いし、それを生んだ家族に対する連帯責任の意識もものすごく強いの。たぶん、世界的に見て、もっとも加害者家族が生きづらい国ではないかと思っています」
<これがスラム街であったり、ギャング集団が横行する治安の悪い国では、犯罪件数が多い分、加害者家族も多くなり、困ることも少ないのだという。周りが同じ境遇であれば、スティグマにならないからだ。同じ理由で、暴力団の家族からの相談はかなり稀だという。その境遇に慣れているということは大きいだろう>
●サザエさん家族が悪いわけではなく、問題は多様性への理解の欠如
この「普通の家庭」の話。何が普通かは難しいと阿部恭子さんは言いますが、「加害者のお母さんを見ていると、確かにこのかかわり方はあまり良くないよねっていうのはあるけど、でもすごくひどいお母さんかっていうとそうでもない。もっとひどいお母さんがいないわけじゃないと、思う」としていました。
ただし、普通でありすぎること、より正確に言うと、普通であるように子供に求めすぎることが問題である可能性は指摘しています。周囲に合わせるのが大事で個性を認めず潰そうとする…といった方向性ですね。同調圧力が強い日本では、確かに問題になりやすいところかな…と思います。
「多くの加害者家族の方は、非常に常識的な人なんですよ。私より全然、真面目だなと思ったりして。逆に言うと、ちょっと常識にこだわりすぎる。世の中にある、ある種の多数派についていくタイプというか。たぶん、普通の生き方をしていれば不幸にはならないっていう思い込みがあると思うんですよ。みんながやっているところについていったら、悪いことはないだろうという。でも私は逆に、そこに落とし穴があるような気がしています」
これを読んでいて、保守的な人がサザエさん家族を好む一方、サザエさんについて「理想の家族形態などない」「理想の刷り込みだ」といった反発が出ていたことを思い出しました。記事でもこの流れで「だからね、大体が本当に『サザエさん』みたいな、ああいう家なんですよ」といった話が出てています。
この部分で書籍では、<『サザエさん』の家こそ、誰もが思い描く「普通の家庭」の象徴だ>と書いていました。ただ、この「普通の家庭」という概念を作ってしまうこと自体が悪いんでしょうね。書籍では、<では、なぜ『サザエさん』のような家から、犯罪者が生まれるのか>として以下のように続いていました。
<「今急激に、フェミニズムが少し前に出てきているけれども、本当にまだ地方では、25歳くらいで結婚、ギリで30歳みたいなところがあるからね。たぶん田舎のほうだと、出会いもないし仕事もないから、結婚しないではいられないんじゃないかな。いくら世の中の風潮が変わっても、そうしたライフスタイルが変わらないことには、変えられないんじゃないかと思うんですよね」
結果的に、極めて一般的な家庭をつくるしかなくなってしまう。「常識にこだわりすぎる」という話と、つながってくる話だ。
「やっぱりいろんな人に出会わないと多様性って実感できないと思うんですよ。まず田舎では、女性が働いているモデルがないですよね。だから働いている女性を見て、勝手に不幸だと思っていたり、大変だと思っていたり、悪いイメージばかり持っている。認知が偏りますよね。(中略)」
「だから私は、加害者家族が転居しなきゃいけなくなったときは、絶対に田舎は勧めない。できるだけ大きな都市に行ったほうが良いって言います。犯罪者の社会復帰も、まずは仕事が大事じゃないですか。やっぱり都市部のほうが社会資源も多いし。コミュニティが密すぎるところだと、私は危険を感じますね。言い切るのもどうかと思うけど、田舎に住むことに、あんまり良いことはないかなって思っちゃうかな」
多様性を認めない…というのは、そのまんま保守的な思想の大きな特徴と同じ。認めないどころか激しく憎んで叩き、それが支持されるという悪循環です。とりあえず、以上のように、サザエさん家族が悪いというよりは、勝手な理想像を押し付けて多様性を認めず抑圧することが殺人を生む…といった主張でした。
●サザエさん一家は日本人の理想の家族像ではない 7,8割が否定的
2015/1/6:ウートピ世論という女性向けサービスにおいて、「あなたにとってサザエさんのような家庭は理想的?」というアンケートがありました。執筆時点ではまだ締め切っていなかったのでまた変わるでしょうが、2015年1月5日15時時点では以下のような結果です。7~8割が「そうでもない」と回答しているのです。
Q.あなたにとってサザエさんのような家庭は理想的?
理想的! 25%(312件)
そうでもない 75%(940件)
あなたにとってサザエさんのような家庭は理想的? | ウートピ世論 これはなかなか意外です。ただ、コメントを見てみると、「いろんな家族像を認めてよ」というごく当たり前の意見が多かったです。理想的な家族像なるものを提示すること自体への拒否感が強いのでしょう。
「形ではなく構成員が心地よいかどうかが大切」
「理想の家族形態などない(複数世帯同居でも,独身でも,核家族でも,ひとり親世帯でも良い.良し悪しなどない).」
「理想の刷り込みだ」
●逆に「理想的な家族」だと考えていても視聴者が不快になる理由
また、同様に多かったのが、「サザエさんの家族は現実と離れすぎていて辛い」という意見。「共働き、子持ち、祖父母援助なしの私から見ると、サザエさんが『主婦は忙しいのよ』の発言に腹わたが煮えくりかえる」「今の時代の女性や子供とかけ離れている」といったものです。
以前、
幸福度と自殺率の関係 幸せな国や都道府県ではむしろ自殺が多い?という投稿で、地域による自殺について調べたときに、幸せな人が多い地域の方が自殺者が多いという衝撃的な報告がありました。幸せな家族像を見てしまうと、現実が惨めに感じるのかもしれません。
それから、かつての理想とされていた頑固親父についても否定的。「頑固親父に皆が気を使っていて嫌だ」「波平が気分でカツオを怒るイメージしかない。勘違いで怒鳴って謝りもしないこともあったと思うし、波平のような父はいらない」などといったコメントがありました。理想どころか不快…といった感じですね。
ちょっと異なりますが、同様に「古き良き」イメージの変化を感じるものとして、「あんなに沢山の人が身の回りにいると疲れる」というものがありました。こういう相互監視的なものが強いのは日本社会の特徴ですが、次第に嫌だと感じる人が増えているのかもしれません。
●理想派「サザエさん一家を否定する人は、かわいそうな人たち」
一方、理想的と回答された人を見ると、以下のようなものがあり、印象的でした。
「サザエさん一家を否定する人は、淋しい家庭で育ったかわいそうな人だろう。時代が変わったとか、ガタガタ言う人も同じ。シングルマザーなんて、そもそもろくでなしと結婚出産した結果であり、自業自得。男を見る目がないだけ。そんな人達を助ける必要なんて全くなし。税金の無駄」
サザエさん家族を理想だと感じる人の方が性格が悪そうに感じるコメントで、わざと嫌な人を演じているのかな?と疑ってしまいます。理想的だと感じた人自体、数が少ないのですが、もちろんまともな回答もありました。
「核家族不便すぎ。田舎も両方遠い、子供も従兄弟の存在も分からない。三世代で助け合う家族が羨ましい」
ただ、「ザザエさんちは仲良しだから良いけど私だったらジジババ、甥姪と暮らすのはしんどい。夫婦、子供だけが良い」というのがあったように、理想と現実は異なるんですよね。先ほど、自殺の話を出しましたが、
核家族化で自殺が増えて、大家族で自殺者が少ない…本当か?という話をうちでは過去にやっています。
ここでは、核家族ではないサザエさんなどのような拡大家族の家庭の方が自殺者が多いのでは?と思わせるデータがあったんですよ。これも非常にショックを受ける傾向です。ただ、監視の目によるストレスや家族の多さゆえのトラブルを心配した方たちの感覚が正しいのではないかと思わせるものでもあります。
●政治家はサザエさん家族が大好き!コンテストでも最高賞を受賞
それから、「あれに当てはまれれば政府からの恩恵が受けられる」というコメントもありました。これ、実はサザエさん家族は「理想的!」に投票した方なんですよ。国の政策が偏っているから、サザエさんの家庭の方が良いという後ろ向きな「理想的!」への投票理由です。
自民党などの保守派支持の人は、特にサザエさん的な家族像を好むという印象が私にはありました。最近産経新聞の主張について紹介した
日本に必要な少子化対策は男性の雇用と収入の安定で、女性は不要?でも、そういった思想が現れていました。
また、内容は全然見ることができないものの、
「ウーマノミクス」女性の感性を政策に! | 女性局の活動 | 自由民主党 女性局(2011年01月25日)では、「もう一度サザエさん・ちびまるこちゃん」という論文(?)が、女性政策コンテストで「自由民主党総裁賞」を受賞していました。この論文も理想の家族像的なものではないかと思われますが、「自由民主党総裁賞」は3つあった賞の中で最高のものみたいですので、自民党の考え方に特によく合っていたのでしょう。
日本の政治家の理想や政策は、国民の現実からは遠く離れたところを向いているように思えます。
『
「死刑になりたくて、他人を殺しました」 無差別殺傷犯の論理』


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幸福度と自殺率の関係 幸せな国や都道府県ではむしろ自殺が多い? ■
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