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IBMのAIワトソンのできること、さらに増える 弱点はないのか?


2015/1/9:
●海上保安庁の世界初の船掃除ロボットなど、活躍の場を広げるロボットたち
●ロボットが発達すると人は仕事を奪われる?
●IBMの人工知能ワトソンのできること、さらに増える
●料理以外に医学やスポーツにも挑戦するワトソン
●ワトソンに人間は完敗で、弱点はないのか?
2015/3/22:
●「試験」に合格して見事銀行員の「内定」を得たワトソン
2015/4/15:
●ワトソンが考えた料理本が発売に
2018/11/25:
●ワトソンは意外にしょぼい?IBMのライバル企業「夢から覚めた」
●「うまく売り込んだだけ」「これが現実」「AIバブル崩壊の始まりかな?」


●海上保安庁の世界初の船掃除ロボットなど、活躍の場を広げるロボットたち

2015/1/9:世界初 船専用の清掃ロボット開発 NHKニュース(12月13日 4時21分)というニュースがありました。
家庭に普及し始めたロボット掃除機のように、船に付着した海藻などを水中に潜って自動で取り除く世界で初めての船専用の清掃ロボットを、海上保安庁と民間企業が共同で開発し、作業の効率化やコスト削減につながると期待されています。

この清掃ロボットは、海上保安庁と東京の環境関連企業が共同で開発しました。
1メートルほどの大きさで、2つのブラシが回転し、船に付着した海藻などを取り除きます。
ロボットには、姿勢を制御する6つの小型スクリューが取り付けられ、本体を船に押しつけることもできるため、姿勢が斜めや逆さになる船の側面や底も自在に清掃することができます。
原則として、ロボットに搭載されている水中カメラの映像を頼りに、陸上から遠隔操作しますが、人が操作しなくても、自動で作業を進める家庭のロボット掃除機のような機能もあります。

 利点は以下のようなものがあります。検索してみると、船の掃除では事故も起きていますから、安全面でも良いことかもしれません。

・船に付着した海藻などは、あらかじめ時期を決めて業者と契約し、ダイバーが潜って取り除いていたが、職員自身が空いた時間に作業できるようになる。
・上記によって、海難救助に加え、尖閣諸島での対応など活動が広がるなか、船を休ませず、効率的に作業できる。
・海藻をこまめに取り除くと燃費が2%から3%ほど向上し、コスト削減にもつながる。


●ロボットが発達すると人は仕事を奪われる?

 しかし、はてなブックマークでは、「これでまた人間の仕事が1つ減り、資本を持つ側が交渉有利となった」という冗談なのか本気なのかわからないコメントが人気を集めていました。これ系の話はうちで繰り返しやっています。

 こうした観点で言うと、IBMの人工知能ワトソンの存在も、そういった人間にとっての脅威の一つかもしれません。
 ワトソンは、2011年に米国の有名クイズ番組で人間のクイズ王に勝利したコンピューターとして知られている。この戦いでワトソンは、インターネットに接続されていない状態で、自然言語で示された問題から解答を導いてみせた。その際、この人工知能が使ったのは研究者が事前に入力しておいたデータのみ。そこには一般的な情報だけでなく、だじゃれや同音異義語、スラングの使い方なども含まれていた。

 ワトソンは単なる知識のデータベースではなく、データを処理し、仮説を立て、過去の失敗にもとづいてプロセスを修正することができる。この3つの能力が1つのマシンに備わっていることが、ワトソンならではの強みなのである。

●IBMの人工知能ワトソンのできること、さらに増える

 上記はクイズ王に勝った人工知能、今度は料理の独創レシピ:日経ビジネスオンライン(Mary Beth Albright 2014年11月13日 訳=三枝小夜子)という記事からの引用でした。

 この元記事のタイトルでわかるように、ワトソンができることはさらに増えています。
 ワトソンの味覚は文化の壁を越えている。西洋料理では、共通の成分が多い食材どうしを組み合わせることが多いが、東洋料理ではその逆だ。現在、ワトソンの料理アプリが開発されていて、そのベータ版が公開されているが、そこにはユーザーが選ぶ文化(アメリカ、中国など)の好みにもとづいてレシピを作る機能がある。素材と、作りたい料理と、料理のスタイルを選べば、ワトソンが何種類ものレシピをはじき出してくれる。

 いいな!と思ったのは、"うまく使えば、冷蔵庫の中で傷んでしまいそうな食材を有効活用して、廃棄される食品の量を減らすことだってできる"ということ。これは助かります。

 ワトソンのアプリでは"一人一人のユーザーに合わせたレシピを開発"できるそうです。味気ない糖尿病患者用といった料理にも、魅力的な料理を提示してくれるようです。また、"同じ料理を2度食べずにすむ"というのも、大きな魅力となりそうです。


●料理以外に医学やスポーツにも挑戦するワトソン

 ワトソンのできることはまだまだあります。上記の「シェフ・ワトソン」以外にもこんなものがありました。
 「ドクター・ワトソン」は、医学研究データと個々の患者の症状にもとづいて病気を診断し、将来的には治療法の提案も目指す。「コーチ・ワトソン」は、統計データの処理を補助して、プロのスポーツ監督が目標を達成するのを支援することができる。

 以前報じられたワトソンに関する以下のニュースも印象的でした。
コールセンターに人工知能 みずほ銀“世界初” NHKニュース 11月6日 4時21分

みずほ銀行が導入するのは、IBMが開発した「ワトソン」という人工知能を備えたコンピューターシステムで、来年からコールセンターに取り入れます。
この人工知能は、利用者とオペレーターとの電話でのやり取りを聞き取って、みずから回答を見つけ出すということで、例えば、パスワードを忘れたといった利用者の話を理解し、パスワードの再設定の方法を自動的に調べてくれるということです。
これまでコールセンターへの問い合わせに対しては、オペレーターが膨大な回答例の中から調べていましたが、人工知能の導入で、回答を素早く見つけ出すことができるとしています。
銀行などによりますと、コールセンターの業務で人の会話を理解する人工知能を活用するのは、世界で初めてだということです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141106/k10015977741000.html

 ただ、利用者と直接話すのだと思ったら違いました。飽くまでアシスタントみたいですね。それに例で出ていたようなパスワードなんか普通にすぐ回答が出るでしょう。ほしいのはもっと複雑な例です。上記の例だとワトソンを使いこなせていないようで、実際役に立つんだか立たないんだかわからないですね。

 おそらくコールセンターで利用者とオペレーターが話しているうちに、既に回答例を用意して待っているイメージだと思うんですが…。


●ワトソンに人間は完敗で、弱点はないのか?

 なお、日経ビジネスオンラインを見ていると、ワトソンにも弱点がありそうです。
 ワトソンの次の仕事は何だろう? 食品会社や食料品店は、特定の食品にアプリをカスタマイズして、新しい食品をもっと早く作れないかと興味を示している。香水業界とファッション業界も関心を示しているという。「小さい構成要素を組み合わせて製品を作る分野では、意外で面白い組み合わせがうまくいくことがあるのです」

 逆に言うと、「小さい構成要素を組み合わせて製品を作る分野」は苦手なのでは?と思わせるものです。やはりワトソンも完璧ではないのです。

 ところが、人間たちをがっくりさせる話もこの後すぐ後に出てきてしまいました。「ワトソンは、これまで誰も作ったことのないものを作る方法を学んでいるところです」(ソフトウェア技術者のフロリアン・ピネル)とのこと。

 ワトソンたちコンピュータはどんどん進化を遂げています。人間たちはそんな彼らに戦々恐々としていなくちゃいけません。


●「試験」に合格して見事銀行員の「内定」を得たワトソン

2015/3/22:ついに人工知能が銀行員に「内定」 IBMワトソン君  :日本経済新聞(2015/3/20付 日経産業新聞 大和田尚孝)という記事は、ワトソンが"米国生まれで母国語は英語だが猛勉強によって日本語を習得し、三井住友銀行から「内定」を得た"という話。銀行の話なら上で既にやっています。

 でも、三井住友銀行だっけ?と見直すとと、以前のニュースはみずほ銀行でした。"メガバンクでは、みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行もワトソンの導入を進めている"ということで、「内定」を出したのは三井住友銀行が先でした。こうやって「内定」という書き方をしていたのは、なかなかうまい表現でした。三井住友銀行は採用ありきではなかったようなのです。
 ワトソンは利用者が入力した文章を自然言語処理の技術で解釈し、ビッグデータ分析などの技術によって質問の答えを導き出す。三井住友銀のオペレーターが顧客から受けた質問をキーボードで入力すると、ワトソンは5つの回答候補を瞬時に出す。回答は確からしい順に、その確率を付けて表示する。オペレーターは候補と確率を参考に、顧客に応答する。

 質問から回答を導くために必要な業務は、ワトソンにあらかじめ読み込ませる。1500項目の質問応答集、表計算ソフトで800シート分の業務マニュアル、過去の質問応答履歴などだ。

 さらに正答率を高めるための工夫を盛り込む。最たる例が「役立ったボタン」。顧客への応答が正しかった場合に該当する回答のボタンを押すと、ワトソンが「この質問に対する答えとしてはこれが正解だった」と学習する。この繰り返しで正答率がさらに高まる。(中略)

 三井住友銀は2014年9月から12月末までに技術検証を済ませ、実用化の手応えをつかんだ。検証はワトソン君からすれば、いわば入社試験。まず応対スピードをストップウオッチで測定したところ「人間と五分五分だった」(システム統括部の江藤敏宏副部長)。未経験の人よりは早いが、熟練の人には負けることもあった。

 正答率はどうか。ワトソンが選んだ5つの回答の中に正答が含まれていた確率は当初70%未満だった。その後「SMBCダイレクト」と「ネットバンク」、「インターネットバンキング」は同じ意味を示すなど専門用語を数千項目ほど読み込ませ、検索時にキーワードを指定できるようにしたら正答率は80%を超えた。「7割がいいところかと思っていたが正直に言って驚いた」と岡知博システム統括部部長代理は振り返る。導入後の学習効果を考えると90%も超えられるのではとの手応えを得た。ワトソン君が銀行の内定をつかんだ瞬間だった。

 ビッグデータはその名の通りデータ量が大きい方が良いです。"熟練の人には負けることもあった"んですが、ワトソン君はまだ新人ですからね。さらに良くなるようです。


●ワトソンが考えた料理本が発売に

2015/4/15:Watsonの派生プロジェクトで、食べ物に重点を置いている「Chef Watson」が独自の料理本を発売するという記事がありました。
(IBMの人工知能「Watson」、料理本を発売へ--考案したレシピを収録 - CNET Japan  Amanda Kooser (Special to CNET News) 翻訳校正: 編集部 2015/04/13 11:16 より)

 本には、65種類のオリジナルレシピが収められています。その本のタイトルは、「Chef Watsonの経験的知識に基づく料理:IBMとThe Institute of Culinary Educationが提供する革新のレシピ」。長いですね。イマイチスマートじゃありません。
 Chef Watsonが得意にしているのは、独特の組み合わせを考え出すことだ。Watsonはコンピュータなので、「こんな味を組み合わせても上手くいくはずがない」「シーザーサラダでトルコ料理と韓国料理を組み合わせるなんてばかげている」といった条件反射的な心理的障壁がない。Watsonはデータとあらゆる可能性を扱うが、その結果、風変わりな人間のシェフでも思いつかない独創的なものが生まれることもある。

 味覚をグラフで示すという話はそういや以前、プリンに醤油でウニ、きゅうりにはちみつでメロン 食材の可能性でやりました。確認してみると、味覚センサーを使って、5大基本味「酸味、塩味、苦味、うま味、甘味」を分析して数値化するというものでした。ワトソンもこんな感覚なんですかね?


●ワトソンは意外にしょぼい?IBMのライバル企業「夢から覚めた」

2018/11/25:その後、ワトソンがすごかった例として、人工知能ワトソンが診断 医師に薬変えるよう助言し患者の命救うというのも書いています。しかし、今日は悪い話ので追記。理想と現実のギャップに苦しむ、IBMのWatsonユーザー | 日経 xTECH(クロステック)(2018/11/21 05:00 山端 宏実=日経コンピュータ)という記事があったのです。

 日本IBMと競合する国内IT大手の幹部は、IBMのAI(人工知能)システム「Watson」について、「ユーザー企業はWatson(ワトソン)の夢から覚めた」と嫌味を言っています。期待はずれであったようです。

 三菱UFJ銀行の関係者は「PoC(概念実証)を始めたばかりの頃はバラ色のような未来を思い描いていたが、期待したほどの成果は出なかった」と語っていました。「将来的には顧客からの質問にWatsonがまず回答し、答えられないものに対してだけオペレーターが対応することも可能になりそうだ」と期待したものの、そうはならなかった模様。

 有料記事なのでよくわからないのですけど、ネットで顧客の質問に答える取り組みでの正答率は5割程度。もっと上げられるはずと回答パターンを教え込んだものの、労力の割に伸びなかったようです。AIで簡単になんでもできるか?と言うと、そうではないでしょう。期待しすぎたのかもしれません。


●「うまく売り込んだだけ」「これが現実」「AIバブル崩壊の始まりかな?」

 ただ、今回追記するにあたって、先に紹介していた事例を読み直してみると、三井住友銀ではうまく使いこなしている感じだったために疑問が生じてきました。AIをうまく使いこなせるかどうかは人次第なところがあり、ひょっとしたら三菱UFJ銀行側の問題かもしれません。

 そう思って反応を検索してみると、IBMのワトソンに対してネガティブなものばかり。話題になっている記事ではなく、そうなるとコメントも信頼性が高いものが抽出されていないことが多いのですけど、目につくところは以下のように悪いものが多くなっていました。

erukiti まぁ、Watson全降りなIBMは、AI開発競争では完全に負け組よなー。まぁまだ金持ってる会社だし、挽回のチャンスはあるんじゃない?知らないけど








【本文中でリンクした投稿】
  ■プリンに醤油でウニ、きゅうりにはちみつでメロン 食材の可能性

【関連投稿】
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  ■プリンに醤油でウニ、きゅうりにはちみつでメロン 食材の可能性
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