前半は"辞める社員に圧力かけた藤田晋サイバーエージェント社長が炎上"という話なのですが、これに絡んで後半が、"会社を辞める社員を説得しない方が良い理由 退職希望者は追うな!"という話になっています。また、<会社を辞めたい社員への説得は逆効果?ますます辞めたくなる理由>というのも追記しました。
●若い社員が辞めると聞いた藤田晋サイバーエージェント社長の行動
2015/1/12:
辞めたい社員は引き留めなくてよい (吉越浩一郎の経営悩み相談室)(2014/11/23 7:00 日本経済新聞)という記事がありました。これは単体で読める記事なのですけど、少し前に同じ日経新聞で問題となった記事があったので、これに絡むものかもしれません。
その記事というのは、藤田晋サイバーエージェント社長の
私が退職希望者に「激怒」した理由(2014/10/1 7:00)というもの。この藤田社長の記事は大炎上したんですよ。なので、1つ目の記事は、藤田晋社長へのさりげない批判かな?と勘繰ってしまいます。大炎上した記事の方の冒頭部は以下のような感じでした。
<先日、とある若い社員が、突然サイバーエージェントを辞めたいと言って有給消化に入ったという話を聞き、私は「激怒」しました。「社長が怒っている」という噂が社内に拡散するよう、意図的に怒りました。
社員数が3000人を超えた今、社員が辞めることなど日常茶飯事であり、もちろん通常はいちいち怒ったりしません。仲間が減ることは残念だと思いつつ、黙って手続きを進め、気持ち良く送り出すことにしています。ではなぜ…>
●辞める社員に圧力かけた藤田晋サイバーエージェント社長が炎上
私は結局読まなったんですが、
はてなブックマークのコメントを見ていくと、何となくなぜ怒ったかがわかりますし、なぜ炎上してしまったかもわかります。
<全文要約:でかい仕事任せてたのに競合の引き抜きに応じて辞めるとか言い出しやがったから激怒して圧力かけたったw>(nao0990)
<部下管理の道具として怒りを自覚的に使う人はこんな風にネタばらししない。後から「激怒してみせた」と言う奴は自分の感情発作を恥じてて誰かに言い訳したいだけ。あと、この記事自体が退職者への報復。小さいな>(muchonov)
その他に「その若い社員は以前、会社に億単位の損失を与える失敗をしたことがありますが、我々は再度のチャンスを与えていたのです」というのがあって、特殊ケースのようではあります。ただ、コメントは批判的なものが多かったです。私も藤田社長のこの判断には良い印象は受けませんね。サイバーエージェントは特に悪い印象はなかったんですが、これで印象が悪くなりました。
(2021/01/31:読み直していたら、グーグルIMEの予測変換ミスで、「サイバーエージェント」が「サイバー・エンド・ドラゴン」となっているところがあって、なんじゃこりゃ?と思いました。検索してみると、遊戯王のカードだそうな。全く気づきませんでした)
●部下の失敗はそもそも上司の責任 なぜそうなるのかと言うと…?
私は社員の失敗を許容するのが良い会社だと思っています。ですので、サイバーエージェントは良い会社でもないなぁと思います。ただ、悪い会社とまでは言い切れなかったんですが、はてなブックマークだと「konekonekoneko 億単位の損失を個人責任にする時点で企業としておかしい。横領でもしない限り。2014/10/01」と言い切っている方もいました。
で、もう一回今考えてみましたが、そうですね、やはり藤田社長は少し変です。通常大きな仕事は上長の許可があってするものです。忘れていましたが、以前私は失敗は個人のもの、成功は上司のものという考え方を批判していました。その考え方で言うと、仕事を任せた側にも責任があり、個人の責任にするのは、完全に間違っています。個人の力量を見極められなかった会社の責任です。
また、状況を確認せずにやらせていたのであれば、それこそ会社側の管理の問題です。そして、さっき書いた失敗を許容する会社というのは、失敗込みで許可するというものです。失敗を許してやった、だから会社に尽くせ…というものとは、本質的に異なります。
2017年04月25日に読み直していると、森友学園問題や南スーダン自衛隊日報問題のことを思い出しました。官僚が勝手におかしなことをしたのであっても政治家の責任であり、本来、再発防止するルールを政治家が作らなくちゃいけないんですよね…。なぜか誰も責任を取らず、再発防止をせず、調査すら消極的です。
●会社を辞める社員を説得しない方が良い理由 退職希望者は追うな!
本題である吉越浩一郎さんの記事の話に行く前にだいぶ長くなりました。藤田晋社長と比べると、"トリンプ・インターナショナル・ジャパンにて、92年から2006年まで社長を務め、この間、19年連続増収増益を達成した"という吉越浩一郎"さんは、さすがにいいこと書いていますわ。
<将来を有望視している人材であれば、何とか退職を思いとどまらせたいと思うでしょう。でも、退職させまいと画策するだけ時間の無駄です。むしろ早々に見切りをつけたほうが得策といえるでしょう。
私の経験を振り返っても、こうしたケースで強引に翻意させたところでいいことは1つもなかったと記憶しています。報酬の条件を変えたり、昇進させたりしてまでとどまってもらう必要はありません。会社はあくまで公平でなくてはならない。どんなに優秀であっても特定の社員に例外的な便宜を図ると、後で間違いなく社内にひずみが生じます>
たとえ引き留め工作が成功して"、その部下が「辞めるかもしれない」ということをちらつかせるようになったり、こちらが遠慮してしまったりと、わだかまりが残るというのも良い指摘だと思いました。一度辞めると言った社員は出世コースを外れるなど色眼鏡で見られるために、私も退職希望者には翻意しない方が良いとは言うつもりでした。でも、会社側も遠慮してしまうという視点はなかったです。
●辞める社員をゼロにするのはそもそも不可能
この記事はリーダー全般に向けて書かれたものですので、結果的に藤田社長の出来の悪さを指摘する形になっていました。また、解決策も藤田社長にとっては強烈な嫌味になっています。ズバリ「有能な人材が退職しようと簡単には思わない組織」にすればいい…とのこと。こりゃ、きっつい指摘ですわ。
さらに人間性の違いを見せつけているのは、"はた目から見てどんなにいい会社になっても、辞める人をゼロにすることはできません"という文章以降の部分です。「私が思うに、ある程度の人の入れ替わりは、むしろ健全な組織につきものなのではないか」とした上で、以下のように書いていました。
<若い人を見ても「独立するつもりで仕事をしている」という心構えの社員ほど勉強するし、会社に貢献してくれるのではないでしょうか。そういう社員が、結果として、別の道を進むことになっても、それは仕方がないことです。
人材が流動していくことは社会が新陳代謝し、さらなる発展につながっていくはずです。むしろ現状に満足して誰も動こうとしないのは、組織として決して望ましい状態ではないでしょう。
そんなふうに考えて、最後はさっぱり諦めて、その日から新たな人材発掘、育成に尽力する――。そんな切り替えの早さも、リーダーに必要な能力の1つだと私は思います>
わかりましたか、藤田社長?
●会社を辞めたい社員への説得は逆効果?ますます辞めたくなる理由
2017/04/25:
辞めたい社員に言ってはいけない「慰留NGワード」 | ダイヤモンド・オンライン(2017.3.20 丸山貴宏:株式会社クライス・アンド・カンパニー代表取締役)という記事を見つけました。まだ読んでいないのに既に書き始めているのですが、社員が辞める話ということで、ここへの追記が良さそうだと思っての追記です。
記事で言う「慰留NGワード」というのは、「なんで辞めるんだ?」 「話を聞きたい。今度、飲みに行こう」といったもの。ただ、特定のNGワードがあるというわけではなく、事情を聞き出し、引き留めようとすることそのものが問題みたいですね。編集が勝手にそういうタイトルにしただけで、本文ではNGワードとは書いていませんでした。
いわゆる見切り発車的に書き始めましたが、説得自体が問題になるというのは、最初のときの吉越浩一郎さんと同じ見方。ただ、理由は違っていて、辞める理由をいろんな人に説明するうちに、考えが整理されてしまい、たとえ迷っていても意志が強固になってしまうという話でした。うーん、これは個人的見解すぎるような…。
また、大半の人は会社に退職の意思を告げても迷いが残っているものなので、「どうしたの?」といった聞き方をするとよい、としていたものの、これも本当なのかな?という話。私は「絶対辞める」と決めてから辞めた方なので、経験的には全然理解できません。データ的な根拠がほしいですね…。
なお、「辞めます!」と伝えたのに最終的に辞めず、会社に残るといろいろな不利益が生じやすいという話は完全に最初のときと一致。会社側から説得されて残ったとしても、何かあるたびに「彼は一度、辞めると言った人間」というバイアスが働いてしまいます。
<引き留める立場からお話したこととは相反します>と記事で書いていたように、これ引き止めアドバイスとしてはおかしいですね。引き止めに成功して問題が残るのなら、「引き止めるべきではない」とアドバイスする方が、整合性が取れていると思います。
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