2015/1/13:
●ねずみ講やマルチ商法など詐欺被害者に被害者の意識はない
●マルチ商法被害者「ねずみ講って何ですか?」
●被害者意識がないので、説得が難しい詐欺被害者
●騙されるのも無理はない…マルチ商法は実際よく考えられた商法
2021/06/11:
●具体的な例 日本最大規模のねずみ講「天下一家の会事件」の場合 【NEW】
●ねずみ講やマルチ商法など詐欺被害者に被害者の意識はない
2015/1/13:何かの折に見つけた
Life is beautiful: 悪徳マルチ商法の被害者をインタビューしてみた(2006.12.17)。"先日、ひょんなことから悪徳マルチ商法の被害者(24才、男性、四大卒、現在ニート)をインタビューする機会があった"という話です。
作者の方は"その青年と話して何よりも驚いたのが、彼自身が被害者だということにまったく気付いていないこと"だとしていました。ただ、これはむしろ普通でしょう。気づいていなからこそ、マルチ商法をやり続けているのです。
悪徳商法に限らず、詐欺とか悪徳宗教とかって困ってしまうのが、固く信じ込んでいて疑ったり悪く言ったりすると、猛烈に怒ること。過去に
警察が公開,詐欺被害者の特徴 自分は騙されない,大丈夫と言う人というのも書きましたけど、騙されているって意識がまるでないんですよね。
●マルチ商法被害者「ねずみ講って何ですか?」
また、作者さんが「ねずみ講って何か知ってる?」と尋ねると、「聞いたこともない」と答えたそうです。"学校ではいったい何を教育しているのだろう"と書かれていたので、これにも驚かれたのでしょう。学校では習わないと思うものの、私も聞いたことすらないというのはさすがに予想外でした。
厳密には、ネズミ講とマルチ商法は異なり、ネズミ講であった場合はその時点で違法。そして、困ったことに、マルチ商法の場合は合法なんですよね。過去に
ネズミ講は違法だけどマルチ商法は合法?法律でも認められた立派な商法と言えるのかいう話も書いていますが、合法ではあるものの違法化しやすい、あるいは非常に悪徳であるという感じです。
<ネズミ講(ねずみこう)とは、次のいずれかの意味である。ネズミ講の「ネズミ」はねずみ算式に増幅することの例え。「講」自体に悪い意味はあまりない>
・犯罪である無限連鎖講のこと。(本来はこの意味で使う。)
(中略)
・特商法を守る限りは違法ではない連鎖販売取引や、マルチ商法・マルチまがい商法、及びそれらに類似したものの総称として用いる場合がある。(これらの業態について否定的な意味を含んでいることが多い。)が、厳密にはこの用法は誤用である。
(
ネズミ講 - Wikipedia(2014年9月18日 (木) 18:27 より)
●被害者意識がないので、説得が難しい詐欺被害者
作者は「こんな風に、無限に会員が増えないかぎりなりたたないものをねずみ講って呼ぶんだ。こんなシステムはいつか必ず破綻する。経営者たちは、たぶん会員が十分に集まったところで、お金だけ持って計画倒産させるから、その時に損をするのは、君がリクルートした末端の会員たち。そして、その時にせめられるのは君だよ」と説得したようです。
ただ、"結局のところ、彼自身がこのシステムの異常さに気が付いて目を覚ましてくれることを願うしかない"とありましたので、たぶん彼はその場で説得に応じたわけではないでしょう。
前述の通り、固く信じているのですから、そこから脱出させるのは容易ではありません。これがこういった「信者」を生む問題の怖いところです。
●騙されるのも無理はない…マルチ商法は実際よく考えられた商法
コメント欄では、「マルチ商法は実際よく考えられた商法です」で始まる以下のような話がありました。
摘発のたびに、「ポイント」とか「上位グレード」等と言葉を変えながらそのインセンティブを与えているのが実態です。(中略)
たとえ話として
「今1000円あったら何を買う?」という問いを天文学的な金額まで徐々に増やしていったらどうなるか、というのがあります。
1000円の時、1万円の時、、、大体1億円くらいまでは一般ピーピルは考え付くそうですが、1000億とかを越えると、想像の範囲を飛び越えてしまい、思考が破綻するそうです。
会員が5人、10人等と小規模な段階で説得力のある説明をするのはそのためなのでしょう。
どの社会でも「胴元」は儲かりますから、、、自分たちもそこに入りたいという人たちが被害者になり加害者になってしまうのでしょうか。。。人間の悲しい性(上昇思考、思考の範囲、楽して儲けたい)を逆手に取った絶対に許せない商法です。
Posted by: とむとむ | 2006.12.18 at 01:20
マルチ商法が「よく考えられた商法」だというのは私も賛成します。ただ、実は上のたとえ話にはピンと来ませんでした。じゃあ、何で載せたのか?と言うと、話自体がおもしろかったためです。すみません。でも、「なるほど」と思った方がいれば、それはそれで歓迎です。
●被害者から加害者に…恋人、後輩、友人たちをカモにする
この投稿にはコメント欄の他にもトラックバック欄がありました。このトラックバックのタイトルを見ているだけでも興味深いです。そんなトラックバックの中には、「マルチ商法に嵌ると、金や友達だけじゃなく自分の人生まで喪うぞ」というタイトルのものがありました。勧誘が重要な宗教も同じところがありますが、マルチ商法で痛々しいのはこれです。
さっきの説得でも「その時に損をするのは、君がリクルートした末端の会員たち」という話があったように、"青年は数ヶ月前にネットワークに参加し、すでに20人の会員を傘下にリクルート"していたそうです。そのメンバーというのが、"その青年の恋人、後輩、友人"たち、そして、"その人たちの知人"たちでした。恋人や友人などをカモ=被害者にしているんですね。これは非常に辛い話です。
先ほど"学校ではいったい何を教育しているのだろう"とあったように、学校でこういう詐欺の話、それから、投資に関する話を教えるべきだと思います。これらは絶対に将来役に立ちます。というか、教えられていないせいで詐欺被害者や損する投資をする方が増えているんじゃないかと思います。
でも、お金にまつわる話は教育の場では避けられているんですかね? 私も全然学校でやった覚えはないですわ…。
●具体的な例 日本最大規模のねずみ講「天下一家の会事件」の場合
2021/06/11:過去のネズミ講の例を載せておきましょう。
Wikipediaによると、天下一家の会事件という日本最大規模のねずみ講事件が1967年から1970年代にかけて発生。複数のネズミ講を行っていましたが、「親しき友の会」で行っていたのは裁判資料により以下のようなものだとわかっているそうです。
・会員になった人Aは、本部が指定する5代上位の会員に1,000円を送金する。本部には入会金1,028円を送金する。
・Aは、4人の新会員(子会員、1代下位の会員)を勧誘して入会させる。
・子会員は、4人の新会員(孫会員、2代下位の会員)を勧誘して入会させる。Aから見ると16人(=4²人)の孫会員がいることになる。
・孫会員以下、同様の活動を行なう。
・Aの5代下位の会員は1,024人(=45人)になる。その1,024人から各1,000円ずつで合計1,024,000円の配当を受領する。
こう見ると、Aさんは大儲けできるように思えるのですが、詐欺ですから当然そんなことはありません。、以上のようなことは、あくまで「理屈上」のことであり、現実には理屈通り会員が増える訳では無いし、仮に理屈通り増えるとすると人口は有限であるから瞬く間に世界中の人が会員となり新会員を勧誘することができなくなります。むしろ100%破綻確実なんですね。
こうしたネズミ講には有名人も参加。主催者である内村健一の従軍時代の上官であった零戦搭乗員の坂井三郎が参加して、広告塔にもなっていたそうです。このように有名人が詐欺を宣伝するのは定番パターンであり、ネズミ講に近いマルチ商法でも安倍首相などが使われました。有名人絡みはむしろ危ないと思った方が良いかもしれません。
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