●珍しい紀要の論文での研究不正 宮城学院女子大の女性准教授
2022/04/19:宮城学院女子大は、学芸学部の女性准教授が2017年の同大研究紀要で発表した論文に盗用があったことを発表。宮城学院女子大は准教授を停職1カ月の懲戒処分とし、論文の取り下げを勧告しています。准教授から処分に対する不服申し立てはなく、反省の意を示しているそうです。
宮城学院女子大准教授が論文盗用 停職1カ月の懲戒処分 | 河北新報オンラインニュース / ONLINE NEWS(2022年4月18日 18:52)によると、准教授の論文について(1)先行論文と極めて類似する表現が多数ある一方、引用を示す記載がない(2)他の論文では引用が適切に記載されている―ことを確認。故意による盗用と判断したそうです。
紀要は、大学などの教育機関や各種の研究所・博物館などが定期的に発行する学術雑誌のことを言います。紀要による論文だから不正をして良いということはありませんが、以前も書いたように、日本の紀要はもともとゆるめの運用でやっていることが多いので、ここでの不正が問題視されることはかなり珍しいです。
●紀要はいい加減?チェックが甘いどころかチェックがないことも…
この紀要による論文の不正の指摘が珍しい…という話を以前書いたときも、確か同じ女性研究者の節だった気がしたのでブログ内検索してみると、やはりそうでした。以前書いたのは、
杏林大女性准教授、論文で盗用の不正 諭旨退職の懲戒処分に…という投稿。研究不正も不正全般も男性に多いのですが、紀要の不正でだけ女性が多い(サンプル2ですけど)という不思議なことになっています。
<紀要(きよう、英: bulletin, memoirs)は、大学(短期大学を含む)などの教育機関や各種の研究所・博物館などが定期的に発行する学術雑誌のことである>
<紀要の学術的水準に関しては、その審査が簡素な査読水準に留まる場合や、査読を行わない場合などさまざまであり、手続き上、
掲載される文章の学術水準はまちまちである。そのため、
紀要での研究発表を研究上の業績として認めない組織や紀要を発行しない組織もある>
<サンキュータツオは「査読が甘い雑誌」の一例として大学の紀要を挙げ、「査読が甘いということは悪いことではない。そういう雑誌にこそタガを外して思い切り言いたいこと、やりたいことを追求している人がいる」「一番気が抜けないのは、そのジャンルの流行ではない手法やテーマをあつかった論文が、査読の甘い雑誌で、ひそかに時代が変わるのを待ちながら投稿されている場合だ。彼らはパラダイムシフトが起こる時を、ただひたすらに待ち、淡々と己が道を究めているのだ」と好意的に評価している>(
Wikipediaより)
●宮城学院女子大はキリスト教系 福音主義キリスト教の精神で教育
宮城学院女子大についても補足。
Wikipediaによると、宮城県仙台市に本部を置く私立大学で、創設者を同じくする東北学院とは姉妹校だそうです。女子教育を行うミッションスクールのひとつといった説明もあり、設立の経緯などの説明については以下のようにありました。
<日本最初のプロテスタント教会である日本基督公会の設立に関わった押川方義と、1885年(明治18年)に来日したアメリカ人ドイツ改革派教会宣教師のW.E.ホーイが、「女子に対する高等教育の必要性」を痛感したことから、彼ら2人が中心となって、1886年(明治19年)に、福音主義キリスト教に基づく私塾である「宮城女学校」を宮城県仙台区に開校したことが始まりである>
<宮城学院では「福音主義キリスト教の精神に基づいて学校教育を行い、神を畏れ敬い、自由かつ謙虚に真理を探究し、隣人愛に立ってすべての人の人格を尊重し、人類の福祉と世界の平和に貢献する女性を育成すること」を建学の精神として創立以来守っている>
●東北学院大と宮城学院女子大は姉妹校 大学所在地も同じなのか?
じゃあ、東北学院もキリスト教系なんだろうなと思って、
東北学院大学 - Wikipediaを確認してみると、やはりキリスト教系でした。あと、住所は宮城県仙台市青葉区まで同じであるものの、その後は違ったので同じ敷地内にあるということはなさそうです。
(…と最初書いていたものの、投稿直前に念のため、グーグルマップも軽く見てみます。キャンパスが複数あってわかりづらいですが、グーグルマップで2箇所ルート検索してみた感じだと車で20分くらいという結果になりました)
<ミッションスクールのひとつであり、リベラルアーツを重視した私立の総合大学である。東北学院大学のルーツは1886年(明治19年)に開校された私塾「仙台神学校」(Sendai Theological Training School)に遡る。
キリスト教伝道者の育成を目的にこの学校を興したのは、横浜で受洗し、日本最初のプロテスタント教会である日本基督公会の設立に関わった押川方義と、1885年(明治18年)に来日したアメリカ人ドイツ改革派教会宣教師のW.E.ホーイである。
のちに、押川とホーイが本学を離れた後は、ホーイと同じく、フランクリン・アンド・マーシャル大学で学び、ホーイの推薦によって日本伝道の任に就いていたD.B.シュネーダーが指導的立場に立った。
1891年(明治24年)には、伝道者育成に加え、普通高等教育を施すようになり、校名を「東北学院」と改称。1949年(昭和24年)に新制大学として発足し、2022年(令和4年)現在は6学部16学科、6研究科を擁する総合大学である。
先に記した、押川、ホーイ、シュネーダーの3名は、「三校祖」と呼ばれており、特にシュネーダーは、その人格的影響力と学校経営の手腕によって、本学の礎を築いた人物であり、50年にわたり本学の発展に尽力した「東北学院中興の祖」である>
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