母方の祖父と、父方の曾祖母が狐か狸にばかされた。らしい。
母方の祖父が山菜を取りに行ったが、何故だか全然収穫が無く、
仕方ないから帰るか、と山を下りようとした。
だが一向に梺(ふもと)に着かない。
いつも来ている山なので迷うはずがないのに、3時間くらい歩き続けても山から出られない。
これはおかしい、と思った祖父は
『あんまり人をバカにすると鍋にして喰うぞ!!』
的な事を大声で言ったらしい。
すると、何処からかクスクスと笑い声が聞こえてきたそうだ。
それから暫く歩いてやっと山から出られたのだが、何故か隣町に着いたらしい。
で、知り合いにチャリを借りて帰ってきたそうだ。
1時間位で頂上に着き、少しゆっくりした後、下りていったんだけど、一向に『下りてる』感じがしない。
ちゃんと坂道なんだけど、町に近付いてる気が全然しなかった。
一本道だったよね、このまま下れば合ってるよね、とか話しながら、3時間かけて下りた先は全く知らない場所だった。
一番最初に見つけた民家で道を聞こうとしたら、犬にワンワン吠えられて、民家に居たお婆さんに
『あらまぁ、不思議な目にでもあったかい?』
と言われた。(中略)
『狸に化かされたんだろうねぇ。田舎でごめんねぇ。』
とお婆さんは笑ってた。(中略)
帰って鏡を見ると、しっかり日焼け止めを塗った筈なのに目の回りだけ焼けてた。
ここまでしなくてもいいじゃないかと思った。
姉が大学2年の頃、女友達5人組で尾瀬の方へハイキングに行った。(中略)
御池駐車場までバス、その後はコースに従って散策していた。
姉は二番目を歩いていたのだが、先頭がどんどん速度を上げていく。(中略)
5人は完全に獣道に入り込んでしまっていた。
「なんで、こんなところにいるの? コースじゃないよね、ここ」
先頭いわく「だって、前を歩いていた親子連れがいたから…」。
先頭以外、姉にもその後ろにもそんな親子連れは見えなかった。(中略)
今度は先頭は姉になった。(中略)
(まずい… 本当に遭難しちゃうのかな。お爺ちゃん、助けて!)
姉が3年前に死んだ祖父のことを思い出しながら歩いていると、
数十メートルほど前方に釣り人が歩いているのを発見した。
姉は直感的に(爺ちゃんだ!)と思い、後続に声をかけた。
「道、わかったよ! ちゃんと私についてきてね!」
その後は無我夢中で釣り人の後をついていき…
やがて、ハイキングコースに出た。
姉が最後の五人目までを確認し、もう一度、もと来た道を確認すると、
今まで歩いてきた道は獣道ともいえないような笹薮ばかりだった。(中略)
東京へ帰ってきた姉は、真っ先に仏壇に向かうと線香を上げて手をあわせ、
事の顛末を家族に報告した。祖母はウンウンと頷くと、
「そりゃ、狐だね、狐。山道で人を困らす狐というのがいるものなんだよ。
爺さん、狐なんかに孫が化かされて腹を立てたんだろう」
ブログ内 | ウェブ全体 |
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ |