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ソニー凋落の原因はハワード・ストリンガー社長ではなく出井伸之社長


 "ソニーのバイオ売却の評価分かれる パソコン事業撤退は正解か?"は、エレキのソニーは間違い 家電もスマホもリストラし撤退・売却すべきにまとめています。こちらでは、別のソニーの話で再利用。ハワード・ストリンガーさんの話です。

 ソニーを駄目にしたのは、ハワード・ストリンガーさんだと言う人がいるものの、私はこれに賛同できません。ストリンガーさんに責任がないとは言わないものの、社長になる以前からソニーの問題は始まっており、彼だけの責任にはできないという考えのためです。

 今回読んだ話はこれよりもっとストリンガーさんを高く評価したもの。前任の出井伸之社長が間違った方向に作り上げてしまったソニーを壊そうと頑張ったものの、抵抗勢力に屈したという感じでした。



●ソニー凋落の原因はハワード・ストリンガー社長ではなく出井伸之社長

 出井伸之さんは1994年、カンパニー制を導入し、19の事業本部を独立した8つのカンパニーに再編するとともに、ゲーム、音楽、映画、保険事業を子会社化しました。このように分断されたものは、「サイロ」(農産物などを入れる容器)「タコツボ」などと比喩的に呼ばれています。

 フィナンシャル・タイムズのジリアン・テットさんの『サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠』という書籍によると、このようなサイロを出井さんが作ったのは、スイスの食品大手ネスレの社外取締役としての経験によると言います。このやり方は、90年代の最先端の経営学や組織論によるものであり、出井さんがおかしかったとも言いづらいところがあります。

 実際、こうした「改革」は当時、事業の効率化を進めるものとして投資家から歓迎されていました。業績も当初は悪いものではなかったと言います。
(ソニーはいかにして凋落したのか?日本企業の「タコツボ化」の考察[橘玲の日々刻々]ザイオンライン 2016年4月22日より)


●バラバラになってしまったソニーの愚行

 ところが、こうして会社を細かく分けてしまったことで、ある弊害が起きていたそうです。

 ソニーは、「メモリースティック・ウォークマン」「VAIOミュージック・クリップ」「ネットワーク・ウォークマン」という3つのデジタルウォークマンを次々と発表しました。このように、"たくさんの新製品が発表されたのは、ソニーの多様なクリエイティビティの表れとむしろ好意的に受けとめられ"ており、これが問題だとは思われていませんでした。

 しかし、この3つの機器は互換性を持たない上に、機能的にも似たようなところがありました。会社がバラバラになっていたがために、他の部門と互換性のない似たようなものを作ってしまっていたのです。

 そして、ご存知の通り、ソニーのウォークマンは、アップルのアイポッドに完膚なきまでに敗北します。"数年もしないうちにソニーはデジタル音楽市場から完全にドロップアウト"することになりました。
(【読書感想】サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠 ☆☆☆☆ - 琥珀色の戯言  2016-04-26 より)


●抵抗勢力に屈したハワード・ストリンガー社長

 では、後任のストリンガーさんは何をしようとしたのか?と言うと、「2つか3つの製品だけで強靭な財務力を持つアップルのような会社」を目指していました。そして、これは前任の出井社長が作ったサイロをぶち壊すことに他なりませんでした。

 ところが、これに対してソニー社員らが抵抗します。しかも、その抵抗は表立ったものではなく、ひっそりとしたものでした。

 「私が何か言えば、みな『わかりました』と答えるが、実際には何も起きない」と、ストリンガーさんは言っていました。"指示を出しても、あとになってそれがまったく無視されていたことが発覚するという状況が幾度もくり返された"そうです。

 おもしろいと思ったのは、ストリンガー社長が読書用の電子端末が起爆剤になると考えていたことです。「アマゾンが独自の電子書籍端末を発売する2年以上前に、私も同じアイデアを持っていた」とのこと。

 ところが、これも同じように無視されてしまいました。「社員にやってくれと指示したが、遅れに遅れてなにも起こらなかった。それをアマゾンにやられてしまったんだ」とおしゃっています。


●実際には会社を分割してうまくいくこともある

 …といった話なのですが、そもそも会社を細かくすることが本当に悪なのか?という疑問は感じました。この論理で言うと、稲盛和夫・京セラ名誉会長の考案したアメーバ経営なんかは、絶対にうまく行かないはずです。

 Wikipediaでは、アメーバ経営について、以下のように説明していました。

"企業の人員を6~7人の小集団(アメーバ)に組織する。アメーバごとに「時間当たり採算=(売り上げ-経費)÷労働時間」を算出し、時間当たり採算の最大化を図る。時間当たり採算の目標値を月次、年次で策定。労働時間短縮や売り上げ増加策を実行に移して目標達成を目指す"

 で、こちらを見ると、利点と欠点を両方書いていて、ソニーの場合はこの欠点がモロに出たという感じですね。

利点

・メンバーの数が少なく、成果が数字にすぐに表れるので、当事者意識を引き出しやすい
・計数管理能力を備えたリーダーを育成しやすい
・アメーバの採算評価指標が統一されているため、アメーバ間の競争を引き出しやすい

欠点

・アメーバが自らの採算にこだわりすぎると、会社全体よりアメーバだけの利益を追求してしまう
・国家レベルで云うと、「国益」よりも「省益」という「セクショナリズム」に陥りやすい
・「時間当たり採算」の計算には意外と手間がかかる。特に経費を公正に計算しなければ、適正な採算評価ができない


 出井さんが手本にしたというネスレもむしろうまくいっている企業であり、絶対に失敗するというわけでもないのでしょう。


●カンパニー制が悪ならトヨタも凋落の危険性

 最初の下書きではここまででしたが、トヨタもカンパニー制へ移行していたと知りました。数年間、大幅な組織改革を続けての結果であり、以下のような流れだそうです。

2011年 先進国と新興国への対応を抜本的に分ける「第1トヨタ」「第2トヨタ」などを含む「地域主体経営」への転換
2013年 「ビジネスユニット制」の導入
2016年 「カンパニー制」

 そして、この話を書いていたトヨタ、組織改革で「自滅行為」進行か…強さの源泉・生産技術基盤が破壊の兆候 Business Journal / 2017年5月27日 6時0分(文=井上隆一郎/桜美林大学教授)では、ソニーの名前も出していたのです。

 もちろんこれは悪い意味。"同時に想起したのが、カンパニー制に移行したのと同時期に経営不振に陥った1990年代末の出井伸之CEO(最高経営責任者)率いたソニーである"としており、トヨタにも凋落の危険性を感じているようでした。


【本文中でリンクした投稿】
  ■エレキのソニーは間違い 家電もスマホもリストラし撤退・売却すべき

【その他関連投稿】
  ■経営者の悩み:孤独な社長 ソニー出井伸之「経験者以外わからない」
  ■かつてのソニー製品はひと目でわかった ブランドと統一感の重要性
  ■大きな失敗をしていない社員に大きな仕事はさせなかったソニー
  ■PSVR、ホリエモンは流行る派・ひろゆきは流行らない派 理由は?
  ■企業・会社・組織についての投稿まとめ

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