1つのブランドや企業ではなく、グループとして見た外食業界の売上ランキング。ゼンショー、すかいらーく、マクドナルド、コロワイドといったところが、今の日本の上位みたいですね。この4グループの中では知名度が低いコロワイドについて、ここでは主に取り上げています。
2017/08/07:
●外食産業売上ランキング ゼンショー・すかいらーく・コロワイドなど
●「すき家」のゼンショーから「はま寿司」のゼンショーへ
●4グループでは一番無名…近年拡大のコロワイドとは何者なのか?
2020/01/04:
●コロワイド、低迷やお家騒動で話題の大戸屋の筆頭株主に躍り出る
2020/08/02:
●買収は多いが赤字のコロワイド、ゼンショーとの決定的な違いとは?
2020/09/10:
●大戸屋への敵対的TOBが成立…でも、コロワイドは実質的に敗北?
●45%だったTOBの株主比率の下限、40%に引き下げて驚きの結果に…
●外食産業売上ランキング ゼンショー・すかいらーく・コロワイドなど
2017/08/07:
はま寿司が回転寿司日本一 かっぱ寿司がスシロー・くら寿司より有利な理由において、外食産業のグループについての話が出てきました。この投稿は、はま寿司はゼンショーグループ、かっぱ寿司はコロワイドグループという巨大グループに属している一方、スシロー・くら寿司は大グループには属しておらず、仕入れ面で不利というものでした。
これを書いたときに、スシロー・くら寿司が大グループに所属していないことは、軽く確認しています。ただ、その際に不思議に思ったのは、そもそも他にどのような大グループがあるのか?ということです。
そこで今回、グループについての情報を検索してみることに。文章になっているものできれいにランキングになっていなかったのですが、
外食業界で、コロワイドはマックを抜いて業界3位に浮上する公算が高まっている | ビジネスジャーナル(2017.01.03)で、ある程度の順位がわかりました。
コロワイドグループはもうすぐマクドナルドを抜くだろうとされていたものの、とりあえず現在の順位である4位とした場合、以下のようになります。
1位 ゼンショーホールディングス (17年3月期の売上高は5588億円の見込み)
2位 すかいらーく (16年12月期の売上高3600億円を予定)
3位 日本マクドナルドホールディングス
4位 コロワイド
●「すき家」のゼンショーから「はま寿司」のゼンショーへ
まず、3位のマクドナルドはそのまんまでわかりやすいですね。2位のすかいらーくも以前はそのままの名前のファミレスをやっていたのですが、今はもうありません。ただ、現在やっているのもファミレス系が中心で、「ガスト」「ジョナサン」「バーミヤン」などが有名です。
現在日本一であるゼンショーも比較的名前が知られてきたと思うのですが、ここはマクドナルドと違って幅広くやっているところ。過去に
拡大路線突き進むゼンショーグループ ビッグボーイ・華屋与兵衛などもという話も書きました。
ゼンショーと言えば「すき家」だったものの、
はま寿司が回転寿司日本一 かっぱ寿司がスシロー・くら寿司より有利な理由でやったように、売上や利益の中心は今やはま寿司に移っています。
●4グループでは一番無名…近年拡大のコロワイドとは何者なのか?
これらに比べると、コロワイドはかなり影が薄いと思われます。もともとは居酒屋が中心だったところで、「北海道」「甘太郎」などを手掛けています。しかし、私は一度も店舗を見たことがありません。
コロワイドは積極的に他の企業を買収して拡大してきましたので、その企業傘下なら有名なチェーン店も多くなっています。ゼンショーと同じスタイルであり、ゼンショー同様にかなり業態が広いです。以下のような感じですが、コロワイドの場合は、傘下に全然別の名前の企業(上場しているところも)を持っているのが特徴かもしれません。
レインズインターナショナル 「牛角」、「フレッシュネスバーガー」(16年12月1日に買収)
カッパ・クリエイト 「かっぱ寿司」
アトム 「ステーキ宮」
記事にはありませんでしたが、「しゃぶしゃぶ温野菜」もグループのうちのひとつ。ただ、
しゃぶしゃぶ温野菜でブラックバイト・脅迫疑惑 コロワイド子会社レインズインターナショナルは「牛角」「土間土間」も運営という悪い話題で、注目されたところです。
また、社長自体も、
蔵人金男コロワイド会長、社員に「生殺与奪の権は私が握っている」でブラック企業疑惑という悪い話題で、名を売りました。この調子だとまた何かしでかすのではないかと思っています。
●コロワイド、低迷やお家騒動で話題の大戸屋の筆頭株主に躍り出る
2020/01/04:コロワイドならまた何かしでかすのではないかと書いていたのですけど、その後は悪いことでは話題にはならず。一方で買収作戦は続いており、
コロワイド、大戸屋HDの筆頭株主に 創業家の持ち株取得 :日本経済新聞(2019/10/1 17:45)というニュースが出ていました。
外食大手のコロワイドは、定食店を展開する大戸屋ホールディングス(HD)に出資したと発表。発行済み株式の18.67%を大戸屋HDの創業家から同日付で取得し、大戸屋HDの筆頭株主になっています。創業家である三森三枝子さん、息子の智仁さんの所有するほぼ全株式を取得したみたいですね。
この名前でピンと来た方もいるかもしれませんけど、
大戸屋創業者の息子・三森智仁のせいで世襲は悪ではないの説得力ゼロ!で出てきたお二人。コロワイド自身ではありませんが、こちらも悪い名前の売れ方をしていた企業です。
なお、コロワイドは、大戸屋HDに向け調達網や物件開発などでの協業を提案し「両社の企業価値向上を実現する」と説明。しかし、発表時点では協議をしておらず、大戸屋HDの方は「何も決まっていない」としていました。大戸屋HD株を追加で取得するなど、今後さらなる動きがあるかもしれません。
●買収は多いが赤字のコロワイド、ゼンショーとの決定的な違いとは?
2020/08/02:知らなかったのですけど、以前買収を続けていたときと違って、コロワイドは不調みたいですね。今話題の大戸屋も不調であり、負け組が負け組を買うという形のようです。同じ買収で伸びたグループであるゼンショーとのブランドづくりのうまさの違いも指摘されていました。
そのような話があったのは、記者や編集者をやっていた長浜淳之介さんによる
見通しが甘かった大戸屋、買収どころではないコロワイド 「大戸屋紛争2.0」を読み解く ITmedia ビジネスオンライン / 2020年7月29日 6時30分という記事です。
記事タイトルになっていた「見通しが甘かった大戸屋」というのは、大戸屋は株主総会で役員を交代させる議案を否決できたものの、敵対的TOBでホワイトナイトを探すといった対抗手段を全くとっていないこと。また、創業者一族と対立して同業他社に株を売られる、という他社でもあったパターンにそもそも持ち込ませたのが間違いだとも言われていました。
一方、記事タイトルの後半部分である「買収どころではないコロワイド」というのは、コロワイドが20年3月期の連結決算で最終損失64億円を計上しており、過去最大の赤字だということ。業績的に大戸屋と似たりよったりで、ともに新型コロナウイルス以前からすでに行き詰まり状態だったといいます。
仕入れを共通化すればコストを削減できるし、セントラルキッチンで料理をつくれば店舗の人員も減らせて利益が出る…というコロワイドの大戸屋改革案は一見筋が通っているものの、それができているコロワイドグループ内でもこの作戦で大失敗しているだろう…と記事では指摘。本当そのとおりですね。
やり手に見えるコロワイドですが、買収で伸びただけで改善は下手な模様。牛角は、中途半端に「焼肉きんぐ」をまねているだけ、かっぱ寿司ではいろいろやるが結果が出ず…とさんざんに切り捨てられていました。買収した企業をうまく改善できていません。買っただけ…みたいですね。
そして、同じやり手社長が引っ張っているゼンショーとの違いを指摘。外食首位のゼンショーホールディングスの第1ブランドは「すき家」、第2ブランドは「はま寿司」であり、いずれも自社開発。ゼンショーも同じくM&Aが多いものの、同時に新しいブランドと価値を生み出す業態開発力も備えているのが違い…という指摘でした。
●大戸屋への敵対的TOBが成立…でも、コロワイドは実質的に敗北?
2020/09/10:コロワイドによる大戸屋への敵対的TOBが成立しました。これについて、「コロワイド、実質的な敗北だけど、勝利宣言ですか」といった反応もあったのですけど、根拠は不明。コロワイドが買ってもうまく行かない悪い買い物をしたという可能性はありますが、少なくとも大戸屋側が負けたのは間違いありません。
大戸屋の負けだと一番わかりやすいのは、コロワイドのTOB成立を受け、大戸屋の窪田健一社長が「株主が決めたことだ。結果を受け入れるしかない」が涙をにじませながら述べていたこと。これまた前回書いたように、大戸屋側が防衛策をとらず無能だったということもありますけどね。一応、以下のように対策しようとはしていたようなのですけど…。
<大戸屋も強硬なコロワイドの姿勢を受け、敵対的な買収を避けようと、株主総会前の6月ごろからホワイトナイトを探していたが難航した。TOBの発表後は投資ファンドに打診したものの、断られた。外食需要の蒸発で、大戸屋を買い取っても収益拡大の展望は見いだしにくい。「多額の資金を出してもらうのは厳しい」(大戸屋幹部)との焦りが広がった>(
新型コロナ:大戸屋TOB成立 需要蒸発、友好的な買い手不在に :日本経済新聞より)
●45%だったTOBの株主比率の下限、40%に引き下げて驚きの結果に…
敵対的となったTOBは当初期限だった8月25日の時点では目標に届きませんでした。ただ、コロワイドは、期限を9月8日に延長し、TOBでの取得の下限を当初の45%から40%に引き下げ、成立にこぎつけました。40%であってもかなりの大株主であり、コロワイドの意見が通りやすい状況になったと思われます。負けとは言いづらいでしょう。
ところが、終わってみると、40%どころか、既に保有する分と合わせ約47%の株を手に入れることに。過半数には届かなかったものの、過半数まであと少し。当初のTOBの45%をしっかり達成してしまいました。大戸屋が期待したファン株主も結構TOBに応じてしまった可能性もあるでしょう。これでコロワイドが実質的に負けというのは、ちょっと難しいですね。
(
大戸屋への敵対的TOB成立へ コロワイド、経営陣刷新:朝日新聞デジタルより)
ただ、さっきも書いたように、コロワイドのやり方でもうまくいくかどうか不明。大戸屋が赤字でひどいのは事実ですが、前回部分であったようにコロワイドもうまくいっていません。さらに、今回は敵対的な買収であり、客や反対表明していた社員らが反発することで大赤字や大混乱ってこともありそう…。そういう意味での「実質的な負け」というののならわかるんですけどね…。
【本文中でリンクした投稿】
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