2015/2/12:
●昭和時代には当たり前!飲み会は仕事を円滑に運ぶための「潤滑油」?
●飲み会をやれば職場のコミュニケーションが良くなるわけじゃない
●飲みニケーションは不要だった 飲み会を断っても必要とされる社員に
●飲みニケーションが必要なのは、勤務時間中のコミュニケーション不足のせい
●飲み会は仕事中の失敗を回復させるためのサービス残業
2018/10/11:
●立教大教授が指摘、「飲んでいればどうにかなる」は思考停止
2021/02/27:
●そもそも飲み会を仕事と関連付けるのは差別ではないか?と指摘 【NEW】
●昭和時代には当たり前!飲み会は仕事を円滑に運ぶための「潤滑油」?
2015/2/12:渡部幹さん(モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授)は共著『
不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか (講談社現代新書)
』の中で、飲み会の役割について肯定的に評価していたみたいですね。
少なくとも昭和時代までは、不機嫌な職場において社内運動会やアフター5の飲み会に、社員同士、上司・部下間のインフォーマルな情報交換を促進し、仕事を円滑に運ぶための「潤滑油」としての役割があったことを指摘したとのこと。そして、その部分について同意するコメントや意見を、多数いただくことができたといいます。
これを書いた記事
飲み会を断り続けて味方が増える人、減る人の違い 内容と効率で生き残るコミュニケーションのススメ|ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」 渡部幹|ダイヤモンド・オンライン( 2015年1月21日)では、上記の記述の後も「やはり飲み会は大切だということがわかった」といったコメントを多くいただいたとあり、飲み会肯定派からは強力な同調を得たようです。
●飲み会をやれば職場のコミュニケーションが良くなるわけじゃない
ただし、作者の渡部幹さん自身は、現在に置いても飲み会を推奨している…というわけではありません。「功罪両方ともある」として、「功」だけではなく、「罪」の部分にも触れていたのです。
本の中で指摘した「インフォーマルコミュニケーション促進剤」としての飲み会は、飽くまで昭和時代の話だとのこと。アルハラ、セクハラ、パワハラの温床にもなりがちな飲み会を、現在では手放しに推奨することはできないとして、むしろ強く否定的な感じでした。
「飲み会になど参加したくないし、行ったって上司と話す気にならない」という部下は、"コミュニケーション不全を引き起こす"と書いていました。しかし、同時に「飲み会じゃなければ、ぶっちゃけた話ができない」という上司も、やはり"コミュニケーション不全を引き起こす"のです。なので、飲み会をやればうまくいく…なんて単純なものではありません。「コミュニケーションの取れない飲み会」ならば意味はないとしていました。
●飲みニケーションは不要だった 飲み会を断っても必要とされる社員に
記事で多くの部分を占めていたのは、「飲み会を断り続けて味方が増える人、減る人の違い」というタイトルの通り、2人の社員の違いについてです。大雑把に言うと、飲み会だけでなく仕事の中でも接触を拒み続けて降格となった社員と、仕事中は相手のことを理解しようと努力し続けて職場からもうるさい取引相手からもなくてはならない存在となった社員という感じでした。
<ここからわかるのは、不機嫌な職場の解消のために必要なのは、仕事の場での会話の中でも効率的に相手を理解し、相手に自分を理解させる「エフェクティブコミュニケーション」だ。無理矢理に皆が集まる「飲み会」などではない>
渡部幹さんは以上のように飲み会の利益についても認めています。しかし、飲み会に参加しない社員が、参加している社員以上に必要な存在になれたところを見ると、やはり飲み会は重要ではないのではないか…と感じます。必要とされた社員は相手の良いところを見つけようとする人であり、私も飲み会の良いところを見つけてあげるべきなんでしょう。ただ、このエピソード自体は飲み会が不要であることの証明するもののような気がします。
●飲みニケーションが必要なのは、勤務時間中のコミュニケーション不足のせい
私は以前
仕事には飲み会も取引先とのお酒も宴会もいらない するなら残業手当をを書いているように、もともと飲み会が不要だと考えている人間です。ということで、もともとアンチ飲み会な人なので割引が必要でしょうけど、飲み会でコミュニケーションを取る必要があるというのは、勤務時間中のコミュニケーションが不足しているからだという風に見えました。
最初の「やはり飲み会は大切だということがわかった」といったコメントを多くもらったというところも、そもそも「不機嫌な職場」の話とされていましたよね。飲み会が必要だと言い出す職場は、おそらく仕事中のコミニュケーションに失敗している職場なのだと思われます。
きちんと勤務時間中に仕事できずに、勤務時間外に仕事のための時間を割かせようというのは、きつい言い方をしてしまうと「甘え」じゃないですかね? 勤務時間外に仕事のための時間を割かせる…というのはそれでもまだマシな言い方であり、はっきり言っちゃうと「サービス残業の強要」。ブラック企業な思想だと思います。
●飲み会は仕事中の失敗を回復させるためのサービス残業
記事では、「飲み会に部下を誘ったら、『その分残業扱いになるんですか』と返してきた」という「上司」の嘆きと、「自腹切って飲み会いって、上司に囲まれて説教食らって鬱、ってどんな罰ゲームよ?」という「部下」の書き込みを紹介していました。
私は部下の言い分の方が理解できます。
仕事には飲み会も取引先とのお酒も宴会もいらない するなら残業手当をで書いたように、「飲み会が必要だ」というのならそれはもう立派な「仕事」です。そして、それはやはり「サービス残業」の強要だということに繋がってきます。
これは飲みニュケーションを取る必要があるというのは、先程の仕事中のコミニュケーションに失敗しているためといった話でも同様。仕事中の失敗を取り返させるために、「飲み会」というサービス残業で働かせている格好です。したがって、飲み会が必要だと主張してしまう時点で、答えは明白でしょう。
●立教大教授が指摘、「飲んでいればどうにかなる」は思考停止
2018/10/11:中原淳・立教大学教授(人材開発)は、渡部 幹准教授と同じように過去と現在とでは違うといった指摘をしていました。
・飲み会が結束を高めるために一番簡単なチームビルディングの方法だったのは、一度入社したら定年まで勤めることを意味していた伝統的な日本企業の雇用形態、日本人、男性、正社員だったからこそ。
・職種や労働時間などを限定して採用する雇用形態が登場し、派遣や非正規雇用の人、共働き世帯や外国人も増えると、皆が夜、同じ時間に飲むことには無理が出てきた。
・若い世代も、社会の不確実性が上がり、一度組織に入れば給料が上がり続ける時代ではない。
(
(フォーラム)カイシャの飲み会:1 現状は:朝日新聞デジタル 2018年9月23日05時00分より)
「取りあえず飲んでいればどうにかなる」と考えるのは思考停止であり、より効果的なコミニュケーション方法を取り入れるべきといった話もあり、元の投稿に極めて近い内容でした。
●そもそも飲み会を仕事と関連付けるのは差別ではないか?と指摘
2021/02/27:このページは、「飲みニケーションは不要だった 飲み会を断っても必要とされる社員に」というタイトルでした。ただ、そもそも飲み会への参加・不参加や飲み会での振る舞いを理由に仕事の評価に差をつけるというのは、差別行為ではないか?という視点の指摘が出ています。
別ページでも紹介した記事なのですが、紹介したかったのは、
(フォーラム)カイシャの飲み会:朝日新聞デジタルという記事。「カイシャの飲み会」を取り上げたところ、読者から多くの反響が寄せられたとのこと。お酒が飲めない人の苦悩と関連しそうなコメントもあったのです。
例えば、神奈川県の67歳の女性は、飲み会に参加するかしないかで仕事や人間関係に差が出るのであれば「不公平だ」と指摘。女性が務めたどの職場でも飲み会は付きもので、お酌をする、料理を取り分ける、たばこの煙を吸わされる、男性社員が裸になる宴会芸を見せられる、帰り道に男性に追いかけられるなど、嫌なことばかり。それでも、仲間だという安心感を共有するために会社が求めていると感じていたから、飲み会に参加し続けたとのこと。しかし、それがそもそもおかしいだろうという指摘ですね。
一方、千葉県に住む52歳の大学教員は、「お酒を飲める・飲めないと、飲み会が好き・嫌いとは必ずしも一致しない」として、飲み会には肯定的。体質的にお酒が飲めないものの、飲み会は楽しいといいます。ただし、「コミュニケーション能力の高い人と、そうでない人を選別する場にもなりかねない」とは指摘。やはり飲み会と仕事を関連付けることに疑問が生じてくる指摘でした。
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