2022/03/20追記:
●ロシアのウクライナ侵攻でもジャーナリストやカメラマンが死亡 【NEW】
●ロシアのウクライナ侵攻でもジャーナリストやカメラマンが死亡
2022/03/20追記:ロシアの二度目のウクライナ侵攻では、民間人が多数死亡しています。また、ジャーナリストも亡くなっており、例えば、
米ジャーナリスト、ウクライナで銃撃受け死亡。タイム誌「大きなショック」「安全に取材できることが不可欠」 | ハフポスト NEWS(竹下由佳 2022年03月14日というニュースが出ていました。
<ロシアが軍事侵攻を進めるウクライナで、アメリカのジャーナリストで映画制作者のブレント・ルノー氏(50)がキエフ郊外で銃撃を受けて亡くなった。(中略)BBCによると、ルノー氏は米誌「タイム」のためにウクライナで活動しており、地元警察署長の話として「ロシア兵に狙われていた」と伝えた。また、他の2人のジャーナリストも負傷し、病院に運ばれたという>
「ジャーナリストっていらなくね?」というのは右派の人の方が言いそうなものですが、アメリカの右派FOXニュースのカメラマンが亡くなったことを伝える、
米FOXニュースのカメラマンら2人死亡 キエフ郊外で銃撃を受ける [ウクライナ情勢]:朝日新聞デジタル(合田禄2022年3月16日)というニュースも出ています。
当初紹介していた話は、「シリアの従軍記者がいればジャーナリストいらなくね?」という主張だったのですが、実はこれもロシア絡み。当時のシリアにはロシアが肩入れしており、従軍記者だけだとシリア・ロシア側だけに都合の良い情報だけが流されるおそれがありました。ウクライナ侵攻でも同様にプロパガンダの問題が懸念されます。
●戦争取材でフリージャーナリストが戦地に行く意味はあるのか?
2015/2/12:批判が来るかも…と思っていて話題にしづらかった話に、
戦場ジャーナリストって本当に必要なの?(2015-01-26)というものがありました。この人自身は、「戦争ジャーナリストなんていらない」という考え方で、以下のような主張をしています。
<イスラム国の件で言えばシリアに行く(シリア人ではない)日本人含めた外国人戦場ジャーナリスト、必要ですか。シリア政府軍及び公式な従軍記者の報道は信用出来ないの?
日本人戦場ジャーナリストの記事、写真って結局兵士、市民、難民の情緒的な記事や写真で見れば迫力あるし泣けて気持ちいいよ。でもそれだけだよね>
これは
はてなブックマークで知ったもので、本文読む前にそっちのコメントを読んじゃっいましたが、本当なら自分で一度考えてみた方が良かったですね。人気コメントは以下のような返しでした。
serio "報道がベトナム戦争の趨勢に及ぼした影響ぐらい勉強してこい。あと、カンボジアでは国内で何が起こっているのか報道がなくて分からなかったせいで、クメール・ルージュに対する国際社会の行動はかなり遅れた" 2015/01/26
komamix "あと日本にかぎらずロイターもCNNもそうだけど大手のマスコミは自社の社員は保障が怖くて派遣できないのよね。本物の紛争地帯の取材になると結局フリーランスに頼るしかない" 2015/01/26
You-me "例えばシリアが未だに民間人を平気で巻き込む空爆を繰り返しているという話はシリア政府側からは決して出てこないわけでね" 2015/01/26
yamorca "そのシリア政府軍がキチ○イ全開なんだし、そもそもその理論だと各国の大本営発表しか世に出回らない世界になるしそうなると日本国政府もモラル守る圧力無くすからボクらの暮らしにも関わってくるよ" 2015/01/26
mame_3 "報道が無くて知る術が無くなったらどんな悲惨な出来事も無いことになる。戦争も虐殺も貧困も搾取も知る前には無い。だから各国政府はそこを抑えようとする。「中立的な報道」は多元的なソースによってのみ存在できる" 2015/01/26
cider_kondo "『シリア政府軍及び公式な従軍記者の報道は信用出来ないの?』に大草原不可避。政権ソース情報を垂れ流すロシアやイランを真に受けて「シリアの反政府運動は西側の陰謀だ」とか唱えるバカが死ぬほど発生してた/るな"
●北朝鮮政府公認の記者の報道だけで十分…と信頼できるかという話
反応では、他に単純に戦地での映像や写真が売れるからという意見もありました。殺害された後藤健二さんも「マスコミは前線での写真をほしがるけど、本当はもっと現地の人々の様子を伝えたい」といった話をしています。また、「大手のマスコミは」というコメントがあったように、日本に限らず大手マスコミ社員は会社から許可が下りないので活動範囲が制限されてしまうという話は、他でも目にしました。
それ以外の主なコメントに関しては、「報道に多様性をもたらすため」といった言い方もできると思います。コメントの中で名前が出たロシアは、マレーシア航空機撃墜事件についてウクライナ軍の仕業といった主張をしていたんですよね。日本人は何を馬鹿な?と思うかもしれませんけど、ロシアではこの手の主張はよくあるようです。
ただ、日本も欧米に近い報道になっていることは事実で、ロシアが全てのケースで間違っていると考えると、そこでまた間違いをおかすことになります。正直ロシアの情報は嘘ばっかりで信頼性が低いのは確かですが、全部欧米の報道が正解でロシアが間違いというのも行き過ぎです。
一方、北朝鮮にコントロールされたマスコミの情報が正しいと考える人はさすがにいないでしょう。メディアが政府の制御下に置かれるのはマズイとわかりやすいケース。マスメディアは政府批判するなという主張が以前から気になっているんですが、何度か書いているようにそういう人たちは北朝鮮や中国の政府サイドの考え方に似ていると思います。
シリア政府軍及び公式な従軍記者…だと、シリア政府に都合の良い情報ばかりになっちゃいますよね。シリア政府は比較的まずいとわかりやすいケースなので最初のような意見が出るのが不思議ですが、これを「中国政府のみ」「北朝鮮政府のみ」などで置き換えると日本人(特に右派)にはよりわかりやすいでしょう。
●ジャーナリストが深入りしなかった結果見過ごされてしまった大虐殺
最初のコメントで出てきた中では、クメール・ルージュも補足。いわゆるポル・ポト派のことで、日本人にはこう言った方がわかりやすいでしょう。
クメール・ルージュ - Wikipedia(最終更新 2015年1月10日 (土) 17:46)の「大量虐殺」の項目では以下のような話がありました。
<この政策は、強制労働および飢饉を通じて、カンボジア人の大量死に至った。クメール・ルージュ政権は、更に旧政権関係者、富裕層、各種専門家および知識人への関係を持った者および親ベトナム派の党員、ベトナム系住民を殺戮した。
クメール・ルージュによって殺戮された人々の数が、さまざまな立場で検討されている。(中略)CIAは5万から10万人がクメール・ルージュによって殺害されたと推測したが、これには飢餓による死者数を含まない。アメリカ国務省、アムネスティ・インターナショナル、イェール大学・カンボジア人大量虐殺プロジェクトの3者は、それぞれ120万人、140万人および170万人と推計している。これらの機関は内戦時代の爆撃や戦闘による死者数については数字を出していない。 フィンランド政府の調査団は、ポルポト以前の死者(戦闘・爆撃による)を60万人、ポルポト以後の死者を100万人としている>
過去に書いた
人道援助のNGO団体の商売・寄付ビジネス 四肢切断の経済的合理性では、表層的な取材しかされなかったため、ルワンダの大量の難民を一方的な被害者であるような報道をしていたという話が出てきます。実際には状況は複雑であり、難民の多くは大量虐殺を行っていた加害者側の民族だったのですが、マスコミが深入りしなかったせいで、なかなか判明しなかったのです。
●政府のニセ情報を鵜呑みにした結果、捏造・偏向報道の嵐に…
この話よりもっと今回のケースに合うのは、
マスコミの捏造・偏向報道・情報操作とマスコミを操る広告代理店かもしれませんね。ユーゴスラビア紛争においては、セルビア人を一方的に加害者として扱う報道が圧倒的に多かったものの、実際にはどちらかが加害者で、どちらかが被害者という単純な物語ではありませんでした。
しかし、世界のマスコミは、ボスニアの広報戦略にまんまとハマってしまった上に、セルビア側への取材を怠ってしまったため、マスコミは一方的にセルビアを悪に仕立て上げてしまいました。多様な取材をせず、一面的なソースに頼ったためだと考えられます。多様性というのは大事なんですね。
今回のシリアのケースもかなり複雑であり、イスラム国(IS)が悪で相手が正義という単純なものではありません。はてなブックマークのコメントではシリア政府の残虐さについて言及していましたが、そもそも大きく分けたとしても3つの勢力が争っており、なおかつ実際にはどの勢力も非道なことをしているという悲惨な状態です。
ネットでは、ここらへんをすっ飛ばして、「悪のイスラム国をやっつけろ!」という単純な図式になっているのが気にかかります。他の話題でもそうなんですけど、単純に善悪に二分して考えている人が多いですね。危険です。
●アフガニスタン支配のタリバン、外国人ではない記者狙って暴行
2021/09/28追記:見直ししたついでに2021年の話も。戦地ではないものの、今報道の透明性が失われそうな危機があるのは、タリバン政権が再び支配を獲得したアフガニスタンでしょう。さすがに「タリバン政権を信頼しろ。海外マスコミはいらない」と言う人はいないと思うのですが、最初に書いていたようにシリアのときにはいましたからね…。
<アフガニスタン首都カブールで抗議デモを取材していたアフガニスタン人ジャーナリスト2人が、イスラム主義組織タリバン(Taliban)の戦闘員から暴行を受け、数時間にわたり拘束されていたと語った。両氏は体にできたみみず腫れやあざを見せながら、その様子を証言した。
8日に警察署前で行われた抗議デモを取材していた両氏は、そこから市内の別の警察署へと連行された。デモを主催したとの嫌疑をかけられた両氏は、素手で殴られたり、棒や電気コード、むちで打たれたりしたという>
<タリバンは、より寛容な政権を約束したにもかかわらず、急拡大する反タリバン派の弾圧に乗り出している。8日夜には、法務省の認可を得ていない抗議デモは違法だと宣言した>
<タリバンはイスラム教の原理にのっとって報道の自由を守ると表明しているが、具体的な説明はない。一方、抗議デモを取材するジャーナリストらが嫌がらせを受ける事例が増えている。
ここ数日だけでジャーナリスト数十人が、暴力や拘束、抗議デモの取材妨害を受けたと報告している。抗議デモは、1990年代のタリバン政権下では考えられなかった抵抗の表れだ>
記事によると、今回アフガニスタンで被害に遭ったジャーナリストの大半は地元のアフガン人で、外国メディアの記者よりもタリバンの標的になりやすいとのこと。外国人記者も被害を受け入れるでしょうが、現地の記者よりはマシみたいですね。そういう意味でも海外のジャーナリストがわざわざ赴く意義はありそう。海外記者が取材していなければ、もっとひどいことになっている可能性も考えられます。
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