二重投稿も論文関係の不正としては珍しくないものだと思うのですが、ニュースになるのは珍しいと思います。
論文二重投稿、教授ら3人を懲戒処分…富山大- 読売新聞(2015年2月19日21時50分)
問題とされたのは、2004年以降、学会誌などに「視覚」に関するテーマで掲載された論文4本。うち1本が3人の共著、2本は理工学研究部の教授と准教授の共著、1本が芸術文化学部の准教授の論文で、いずれも既に別の学会誌に掲載された論文と文章などが似通っていたという。
二重投稿があまりニュースにならないというのは、発表されてもニュースバリューがない、発表はしない、あるいは処分自体しないといった理由があるのかな?と思いました。
なぜそう思ったのか?と言うと、下記の通り、他の不正の場合と比べて処分が軽かったためです。新聞社の方の判断かもしれませんけど、名前も出ていません。
大学院理工学研究部 60歳代の男性教授 出勤停止10日
大学院理工学研究部 40歳代の男性准教授 減給10分の1(1か月)
芸術文化学部 50歳代の男性准教授 けん責
以下はほぼ同じ内容ですが、書き方が多少異なります。
富大、教授ら3人が学会誌に二重投稿|KNBニュース|北日本放送|KNB WEB 2015/02/19 14:40 現在
富山大学によりますと3人はそれぞれ2004年以降に自分が書いて学会誌に投稿した論文と文章や図が類似した論文を別の学会誌に二重投稿していたものです。(中略)
大学院理工学研究部の60代の教授は出勤停止10日間、40代の准教授は減給1か月、2人は過去にも3つの論文について二重投稿があったということです。(中略)
二重投稿された論文はあわせて4件確認され他人が書いた論文からの盗用はないとしています。
"過去にも3つの論文について二重投稿があった"という言い方されると、今回の処分は一つの論文に関する処分なのかな?とも感じます。よくわからないですね。
あと、処分の軽さについて。二重投稿はささいな不正か?と言うと、ちょっとそうとも言いづらいなと個人的には思います。
二重投稿するのは論文数を水増しして実績を増やすためであり、結局論文中で捏造・改ざんするのと同様に、自身の業績を大きく見せかけて利益を得ようとする不正という点では変わりありません。
何もないところからでっち上げていないだけ捏造よりマシとは思うものの、やはりかなり性質は悪いと思います。あまり擁護はできませんね。
ここらへん気になって検索すると、世界変動展望 著者さんの感想が。
私といっしょでそんな軽くていいの?という感じですけど、世界変動展望 著者さんはいつも厳しいので、まあ、そういう感想だろうなという。
ツイートで出ている井上明久さんってのは、ちょうど最近ニュースのあった
研究不正告発に逆風 井上明久東北大前総長論文で告発側に賠償命令の件の井上明久東北大前総長のことです。
井上明久 - Wikipedia 最終更新 2014年12月21日 (日) 12:50
井上は一部の論文に関して二重投稿やその他の不正行為の疑いを受けた。(中略)2011年6月、井上がApplied Physics Letters誌に投稿した論文が二重投稿にあたるとして同誌から取り下げられた。それを含む井上を著者・共著者とする計7報が、二重投稿だったとして2012年までに取り下げられた。これらの二重投稿について調査するため東北大学は2010年12月に有馬朗人を長とする調査委員会を設置した。同委員会は2012年1月の報告書で二重投稿の事実を認めて井上に反省を求め、井上はこれに従った。
富山大も軽いと思いましたが、東北大のクズさはピカイチですね。
井上明久前学長の不正研究疑惑、東北大が捏造・改ざん告発を無視がそういう話でした。
そもそも井上前総長は1人で何千本も論文書いたって言っていたらしいです。そんなん書けるわけねーじゃんという話なので、水増ししまくってるんじゃないの?と疑いたくなります。
これも世界変動展望 著者さんが言っていたなと思って検索。下記でした。
論文数水増しによる業績評価について - 世界変動展望 2012-06-25 23:20:00
研究者が論文の重複発表を行う最大の理由は業績を水増ししたいからだろう。重複発表の論文をすべて業績リストに記載し見かけ上の業績数を高く見せかけて過大な評価を受けようとする。それは不適切だ。
具体的な例として井上明久東北大前総長の二重投稿があげられる。井上は現在まで二重投稿を理由に8編もの論文が撤回されている。さらにJSTの第三者委員会の報告書によれば60編以上もの論文で重複があるという。これらの論文は追跡評価用資料に載っていた論文リストに記載されていたもので、全748編中60編以上が重複していたという。
(中略)さらに井上はこれまで論文を2800編以上発表したという。そんなに発表できるはずがないから、少なからずギフトオーサーシップで発表論文数を水増ししたのだろう。
ギフトオーサーシップってのは、本当はほとんど研究やってないけど名前を入れてもらって…というものです。
何だか井上前総長の話ばかりになってきましたが、富山大の話をしていたはずでした。ただ、まあ、富山大の件はこれ以上書くことないんですよね。最初は不正した人の名前も出ていなかったので、取り上げないつもりでいました。
じゃあ、なぜ取り上げたのか?と言うと、非常にくだらない理由。産経新聞の記事タイトルが笑えたためです。
富山大院ミャンマーら、論文二重投稿で出勤停止 - 産経ニュース 2015.2.19 21:44
え?と思って思わずクリック。しかし、読売新聞とほとんど変わらない内容であり、もちろん本文には「ミャンマー」の「ミ」の字も出ていません。完全なるタイプミスですね。そして、翌日になっても直せないという産経クオリティ。
まあ、誤字はどこの新聞社でもあることです。特に産経新聞は何度もやっているので天然なんでしょうが、ミステリアスなタイトルに釣られてついクリックしてしまいますわ。わざと間違えてアクセス数稼ぎしているのだとしたら大したものです。
というか、何と間違えたらミャンマーになるんですかね? 予測変換つきのIMEなのだろうと思いますけど、本来入るとすれば「教授」でしょうか?
キーボードの「M」の隣には「K」はないよな?と思いましたが、右上にありました。「KY」を打とうとして間違えて「MY」まで打った時点で予測変換で「ミャンマー」が登場、そのまま確定しちゃったというのが、一番妥当な予想でしょうか?
でも、普通は誰か気づくだろうと思いますし、翌日でもまだ直すことができないってのはどうなっているんかな?と思います。何か私らみたいな個人サイトレベルですね。
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