以前書いた堀越二郎さんのシリーズは今もよく読まれていますが、軍オタの人の反発を食らったので正直あんまり紹介したくないです。
その堀越二郎さんの投稿が昨日ものすごいアクセス増えていて、炎上したのかと思ってヒヤッとしました。でも、リンク由来ではなく検索由来。どうも昨日映画『風立ちぬ』が放映されたせいみたいですね。良かった、良かった。
ところで、この映画放映の件が判明する前に、検索で最近更新された堀越二郎さんに関する記事を調べたため、3つほど読みました。その中の一つは、映画『風立ちぬ』の監督である宮崎駿さんを共産党員だとか左翼だとかと一生懸命叩くものでした。
堀越二郎の妻は死んでないし菜穂子でもない モデルは堀辰雄の婚約者矢野綾子で書いたように、堀越二郎さんのお嫁さんは亡くなっていません。そもそも宮崎駿監督の『風立ちぬ』の堀越二郎さんのモデルは実際の堀越二郎さんより、堀辰雄さんに近いと思われます。
で、その叩いていたサイトさんでは、現実の人生と違うことを映画にして良いのか?としていました。しかし、それは無論構わないことです。そんなことを言い出したら創作物なんて作れませんし、そもそも事実とか真実とかいうもの自体が曖昧で確実なものではありません。(だからこそ歴史問題でもめ続けています)
ただ、
やしきたかじん長女、百田尚樹の『殉愛』を虚偽の内容だと提訴の件みたく、百田尚樹さんのようにノンフィクションと言いながら捏造してはいけませんよ。でも、フィクションなら嘘を書いていいですし、嘘を書いてこそのフィクションです。
同じ「嘘を書いていい」という話で、実はこの百田尚樹さんと宮崎駿監督の件について、以前私は百田さんを擁護して宮崎監督を批判しています。
宮崎駿監督、自身の妄想を棚に上げて零戦映画を「嘘八百」と批判というものです。
また、保守派の人が発狂しそうな内容のいわゆる反日的な映画『利休にたずねよ』についても、作るというだけであれば、認められるべきだとしています。私は保守派も左派も好きじゃありませんが、誹謗中傷そのものでもない限り、表現の自由の関係で作るのは勝手だと認めています。
(関連:
茶道の起源は朝鮮 韓国押し反日映画『利休にたずねよ』大コケ)
前述のようにとりあえず保守派の人は宮崎監督を嫌いなようですが、同じく検索して見つけた記事の中に映画『風立ちぬ』は実はすごく保守派的な内容なのではないか?と感じるおもしろい話がありました。
その話の元ネタになっていたのは、昨年夏に書かれた以下の記事です。
『風立ちぬ』主人公・堀越二郎は恋人としてNG? 女性掲示板で男性の夢を調査 | マイナビニュース [2013/08/15]
サイバーエージェントは、スマートフォン向け女性限定の完全匿名掲示板「GIRL'S TALK」にて、現在大ヒット中のスタジオジブリ最新作、宮崎駿監督のアニメーション映画『風立ちぬ』の主人公・堀越二郎を恋人としてみた場合の是非についての投稿が多く見られたことから「自分を多少犠牲にしてでも男性には夢を追って欲しいか?」というアンケート調査を実施し、その結果を発表した。
今回GIRL'S TALK内で、映画『風立ちぬ』の主人公・堀越二郎のように「自分のことを多少犠牲にしてでも、男性には夢を追いかけて欲しいと思う」かどうかについてアンケートを実施したところ、53.4%、過半数の女性が「いいえ」と回答。掲示板には「自分の余命少しと分かっていても、仕事を優先にされたら絶えられない」「奥さんがかわいそう」という現代女性ならではの意見が寄せられた
その一方で「夢を追いかけてほしい」、前述の問いで「はい」と答えたユーザーは46.8%。「男性には、一生をかけてやり遂げたいと思える仕事をしてほしい」「大きな夢を追う男性の一番近くで一緒に夢を見たい」という健気な声も見受けられたが、自分を多少犠牲にしてでも男性には夢を追って欲しいという女性は半分以下という結果となった。(グラフは小数点四捨五入)
記事は過半数であることを強調していましたが、微妙でしょう。「恋人を犠牲にして夢を追う男がかっこいい」と感じる女性も少なく無いです。言ってみれば、今日でも支持されている少年漫画の王道主人公ですよね。支持が高いのも頷けます。
この肯定派・否定派の数よりおもしろかったのが、映画『風立ちぬ』の主人公・堀越二郎さんの行動に関する評価です。男性中心的で左翼っぽくなく、その点では保守派的な嗜好の方が合っている気がします。
そもそも
宮﨑駿監督と『風立ちぬ』批判の百田尚樹 当初は絶賛していたで書いたように、宮崎駿監督が余計なことを言わなければ、保守派バリバリの百田尚樹さんにとっても素晴らしい映画でした。予備知識がなければ、保守派の思想にも合う映画なのだと思います。
(このときの投稿自体は、評価を変えちゃう百田さんって格好悪すぎ・信念なさすぎという話なんですが)
ただ、まあ、宮崎監督については、保守派的というよりは前時代的と言った方が素直でしょうね。堀越二郎さんが病人の横で吸うことに関しても「考えられない」と批判がありました。(とはいえ、これは敢えて狙った表現だろうという見方も多いです)
なお、事実を変更するべきではない派からは、喫煙に関して「当時普通に喫煙してた人間を非喫煙者に改造するってのも変な話になる」という喫煙表現への擁護意見も出ていたようです。
しかし、"主人公である堀越二郎氏は若いころから結核を病んだために病弱であり、ご子息によれば酒もタバコもやらなかった(「堀越二郎と零戦」、学研、2013年)"ということで、事実を曲げていたのは喫煙表現の方でした。
(
アニメ『風立ちぬ』の喫煙シーン論争から学ぶ 北品川禁煙通信 第20号(水村恒雄)より)
ただ、前述のように私は改変しても構わないという考え方です。創作物には、事実でないものを事実だと思い込ませてしまう危険性があり、良くない影響力もあります。
しかし、前述したように事実の通り描くにしてもその「事実」がまず定まったものではありませんし、創作物の価値は事実に近いかで決まるものでもありません。
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文化・芸術・宗教・海外との比較についての投稿まとめ
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