コストコは日本に馴染まないとされるビジネスモデルで成功したと、以下の記事では指摘されていました。私も不思議に思います。
(
コストコは、なぜ年会費4000円を取るのか | 世界の(ショーバイ)商売見聞録 | 東洋経済オンライン 坂口 孝則 :調達・購買業務コンサルタント、講演家 2015年01月30日)
馴染まないとされていたものは、次の3つです。
「会員制」「ダース販売」「大きなカートに広い通路」
これはアメリカンスタイルならピッタリでしょう。アメリカ人は週末にまとめて大量に商品買って持って帰るというイメージです。さすがアメリカ生まれの企業だなという感じです。
でも、日本人はそういう生活スタイルではないですし、最近は特に核家族化、結婚率の低下、自動車を持っていない人の増加などで、コストコスタイルのお店は合わなそうな感じになっていました。本当、これが成功するとは正直思っていませんでした。
コストコのポイントとして、記事では3つのポイントが挙げられていました。
・年間会員収入こそすべて
・「安くても高品質」を支える商品群
・現金回収が圧倒的に速い
ただ、しっくり来なかったので、うちでは以下のように書き換えます。(3つ目はほぼそのまま)
・商品販売ではなく会員の年会費で利益を稼ぐ
・商品の点数を絞り込む
・現金回収が早い
・商品販売ではなく会員の年会費で利益を稼ぐ
2014年度報告書によると、売上高が1102億ドル(約13兆円)にも関わらず、日本でいう営業利益は僅かに32億2000万ドル(約3800億円)しかありません。2.9%かな? かなりの薄利です。
一方、会員収入は24億2800万ドル(約2900億円)あります。「営業利益」が32億2000万ドル(約3800億円)でしたので、そのほとんどが会員収入だということになります。
"小売業界ではコストコが販売している商品は「原価ギリギリ」と指摘され"ていますが、実際にギリギリなようです。安いのは当たり前、商品販売による利益を諦めて、年会費で利益を稼ぐという戦略のようです。会員の年会費が命綱なんですね。
こういう会員の年会費で稼ぐビジネスモデルは、無料が当たり前となっているウェブサービスではよくあります。ニコニコ動画は今は別の収入も大きくなっているかもしれませんが、動画は基本無料で有料会員の年会費で何とか黒字化しよう…という時期がありました。
ただ、小売業じゃあまり聞きませんね。海外企業はあまり褒めたくないですけど、見事なものです。
・商品の点数を絞り込む
コストコは店舗が大きいのに、商品数は極めて少ないと言います。ここについては「安くても高品質」をポイントと元記事はしていたものの、需要なのは商品数の絞り込みの方だと思われます。
実際、元記事での文量も95%くらい「絞り込み」の話で、高品質については全然触れていませんでした。
高品質というか、絞り込みの時点でそれはすなわち最上級の売れ線商品しか残らないことになります。そして、下記のように絞り込みは、そのまま安さに繋がってきます。
メーカーやブランドとの結びつきが強化されている。バイヤーがしっかりと確認した品質の良い商品を陳列でき、一品あたりの取引額が多くなるため、安価に仕入れることができる。つまり、バイイングパワーが強くなる。サプライヤーとの結びつきも強くなり、商品開発や納期調整などに強い影響力を発揮できる。
1つ目では、「商品販売ではなく会員の年会費で利益を稼ぐ」としたものの、それに留まらずさらに仕入れ価格を下げる努力を怠っていないんですね。薄利ながらも利益を確保するためと言えますが、より安くて提供するためとも言えます。
この絞り込み路線は以前やった同じ小売のAZスーパーセンターやハンズマンとは全く逆方向です。
■
AZスーパーセンター2 豊富な品揃えと24時間営業 ■
ハンズマン2 ~ないものはないお店~ 私はどちらでも良いと思いますし、違うからこそ共存可能なのだと思います。しかし、作者の坂口孝則さんは、"商品数が増えると在庫管理が煩雑になったり、廃棄のコストもかかったりする"と指摘していました。もっともなご指摘です。
・現金回収が早い
現金回収の早さについては、そういえば、
お店がクレジットカードの手数料を負担してでも導入する理由でクレジットカードのデメリットとして出てきました。"なるべく早く代金を回収できる"と"企業経営はラク"ということで、やはり大事なのです。
コストコの現金回収が早い理由は、"広告宣伝におカネをほとんど使わない"というのが一つ。"広告宣伝は先におカネを払い、後で売り上げ"を上げるもののためです。
そして、もう一つの理由は、2つ目のポイントである「商品の点数を絞り込む」のおかげです。(ここは、元記事の2つ目のポイント"「安くても高品質」を支える商品群"のままじゃうまく繋がりませんでした)
コストコの在庫回転率は11.64。棚卸資産(在庫)と販売された商品の原価を比べて、在庫商品が年間に何回転したかを示す指標だ。つまり、コストコの場合は仕入れた商品が1カ月くらいで売れることを指す。アイテム数を減らし、集約したうえで販売するため、現金回収を迅速にすることで経営基盤を固めている。
さっきも書いたように海外企業はあまり褒めたくないですけど、うまいことやってますわ。感心します。
関連
■
AZスーパーセンター2 豊富な品揃えと24時間営業 ■
ハンズマン2 ~ないものはないお店~ ■
お店がクレジットカードの手数料を負担してでも導入する理由 ■
「商品がありません」は禁句 ダイシン百貨店は住民を100%顧客に ■
非常識な商品陳列方法,ウォルマート式の西友 ■
企業・会社・組織についての投稿まとめ
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|