災害被災者に必要なのはカウンセラーの心のケアよりレジリエンスで言っていたレジリエンスについて。
向こうでは震災報道についてメディア批判があったと書きましたが、具体的にはNHKが批判されていました。でも、「レジリエンス」で検索して上位に出てきたのもNHKでした。
“折れない心”の育て方 - NHK クローズアップ現代 2014年4月17日(木)放送
ここではレジリエンスについて、逆境から立ち直る力、逆境力といった簡単な説明をしていました。ただ、以下はもう少し丁寧に説明した部分です。
レジリエンスという概念が注目され始めたのは1970年代。
きっかけの1つとなったのが、第2次世界大戦でホロコーストを経験した孤児たちの研究でした。
孤児たちのその後を調査すると、過去のトラウマや不安にさいなまれ生きる気力を持てない人たちがいる一方で、トラウマを乗り越え仕事に前向きに取り組み、幸せな家庭を築く人たちもいたのです。
同じ経験をしながら、その後の人生が大きく違うのはなぜか?
研究から、逆境を乗り越えた人たちには共通の傾向がある事が分かってきました。
心理学者 イローナ・ボニウェル博士
「レジリエンスには、思考の柔軟性が必要な事が分かってきました。
つまり、厳しい状況でもネガティブな面だけではなくポジティブな面を見いだす事ができる人が、逆境を乗り越える事ができるのです。」
では、心の折れやすい人と折れにくい人はどこが違うのでしょう? 埼玉学園大学・小玉正博教授はけん玉を用いた実験で、意外な指摘をしていました。
20分ほどで諦めてしまう、心が折れやすい人たち。
共通した特徴が見いだされました。(中略)
その1つが、感情の起伏が激しい事です。(中略)
一見、笑顔を浮かべ前向きなようですが…。
男性
「せ~の!」
埼玉学園大学 小玉正博教授
「にこっと笑うでしょ。
反応が強すぎる、一個一個(の結果)に対して。
長持ちしない、いちいちリアクションするから。
自分の感情出し過ぎる。
一喜一憂するのはエネルギー消耗しますよ。」
小玉教授の予想どおり、この男性も20分で諦めてしまいました。
私はこのリアクション大きいタイプにバッチリ当てはまりますので、何か納得行かないんですが、諦めやすいタイプなんだそうな。
(引用者注:こういったすぐに諦めてしまった人に聞き取りをしてみると、)
課題に対して最初から無理と決めつけていたり、自分の力を過小評価する傾向があったのです。
レジリエンスには、状況に一喜一憂しない感情をコントロールする力や、自分の力を過小評価しない自尊感情が大きく関係する事が分かってきたのです。
一方、1時間以上にわたって挑戦を諦めなかった人たちからも、一定の傾向が明らかになりました。
課題の失敗を繰り返す中でも、少しずつ成長していると感じている人や、いつかできるだろうという気持ちを持つ人が多くいたのです。
自分が成長前進していると感じる事ができる、自己効力感という要素。
成長を実感できる能力という説明は私でもよくわかります。私は高い目標を持つことよりも、プロセスを楽しめる人になることをオススメしています。
(関連
努力は必ず報われるということわざの残酷さ 努力は人を裏切る)
一方で、"失敗の中でもいつかできると考える楽観性も、レジリエンスには重要な要素である事が分かってきました"とのこと。
埼玉学園大学 小玉正博教授
「一般的に“心が強い”とイメージするのは、“鋼のような”、“跳ね返す”、“硬い”、“頑丈な”というイメージを持つが、レジリエンスというのは、楽観性のように自分のいる状況に対して前向きに、不安とかそういうものに打ち負けないでしなやかにこなしていく。
そういう心の持ちようがレジリエンスだということが、研究の中でだんだんと明らかにされてますね。」
私自身当てはまるのは、真ん中の「自己効力感」だけです。「一喜一憂しない」や「楽観性」は不合格だと思われます。でも、結構自分ではしつこいタイプだと思っているんですけどね…。
ただ考えてみると、諦めやすいという話は本題ではなく「逆境から立ち直る力」の話でしたね。こちらとなると、強く否定することはありません。
ときどき書いているようにキツイコメントに耐え切れずに、コメント欄もメールフォームも廃止してしまいました。傷つきやすいとはまた違うかもしれませんが、傷つきやすいタイプだとは思うので逆境力も弱いかもしれません。
NHKではこの後、"ブドウ糖が少なくなると集中力が落ち、感情の起伏が激しくなる"と言って大手製薬会社の話を出していました。ここの部分は胡散臭いです。
ただ、普通にしっかり食事していればプラスという常識的な話であればわかります。うろ覚えなんですけど、過去にも憂鬱さと食事の研究か何かがあったと思います。同じ部分では同時に運動も良いと書かれていましたが、適度な運動がやる気を出すのに良いこともよく言われています。
食事も運動もしっかりした健康的な生活が精神的にも良いという話自体は、普通すぎて何てことないくらいです。でも、おろそかにされがちなところでもあるでしょうね。
最後の方では、自分の過去の逆境を振り返るプロセスが良いという話が出てきました。一番辛かったときに比べれば今はまだマシという一見後ろ向きな前向きさです。
家族の支えによって父親の死から立ち直る事ができた伊藤さん。(中略)
やはりつらかった時に、つらかった事だけではなくて例えばご家族の手助けだとか、そこでご自分が工夫された事だとか、そういうプラスの部分を見てらっしゃるんですね。
そうする事で「あ、自分にとって大切なものはこういう事なんだ」と理解されたと思うんですね。
そうするとつらい体験が必ずしもマイナスだけではなくなる。
そういう事だと思うんです。
でも、これ、
災害被災者に必要なのはカウンセラーの心のケアよりレジリエンスで出てきたモリス教授の「『忘れてはいけない』と言う。でもね……人は悲惨なできごとを忘れないと明日へ向かって生きていけないんです」との兼ね合いがあって、どうなんだろう?と思いました。
(
「人は簡単に『忘れてはいけない』という。でもね......」外国人歴史家が体験した3.11(投稿日: 2015年03月12日 07時23分 JST 伊藤大地)でのモリス教授の言葉)
震災の場合のように一番辛いのが今という例もありますし、うまく行かないケースも多いだろうと感じました。…と書いたら、その後NHKでもちゃんと言及されていました。
●体験した逆境が大きいと、それを見つめるのもつらいのでは?
そうですね、やはりここは非常に注意しないといけないんですけども、逆境を思い出せるそしてそれを力にできる方と、やっぱり逆境を思い出す事でもう一度心が傷つく方っていらっしゃると思うんですね。
その場合には、せっかく抑えてらっしゃる記憶を表に出すというのはあまりいい事ではないと思うんです。
ですから、忘れる力っていうのも私たちの心の力ですので、そういうものも大切にしながらやっていく必要があると思うんですね。
一喜一憂しないなどの他では、最後にこういうアドバイスも。
もう1つは、1人で頑張る力というのは限られてますので、ほかの人と一緒にそういう事ができる、そういう環境を作るというのも大事だと思うんですね。
(いろんな人間関係を広げるという事?)
そうですね。
さっき愚痴を言うっていう話がありましたけど、愚痴を言ったりいろんな気持ちを共有したりという事も役に立ってくると思うんですね。
この部分では、"場合によってはウェブサイトだとかそういうものなんかも使って"ともありました。ただ、そういう傷ついている人を容赦なく叩けてしまうというのが、ウェブの特性でもありますからね。結局これも良い関係を構築しているかどうかでしょうか?
そういえば、先ほど名前を出したモリス教授も「自分の友達や仲間と繋がることでもレジリエンスが高まります」と言っていました。人間関係というのは大事なようです。
とはいえ、これがまた得意不得意の差が大きいところであり、難しい注文を…と思わなくもないです。…まあ、楽観性を高めるにはそういう悲観的なこと言っちゃいけないんでしょうね。
う~ん、前向きに捉えるとすれば、「専門家は必要ない。誰でも誰かを救うことができる」といった感じでしょうか?
モリス教授は「カウンセラーがいなくても、自分たちで立ち直れる」ともおっしゃっていましたし、特別な人がいらないというのは強みになりそうです。
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