新しいアメリカ・カリフォルニア規制だとプリウスはもはやそれほど環境に良い車ではありません。2015年時点では悪い車とまでは行っていないものの、将来的にはそういった区分となるとなるようです。
これについては、日本叩き…的な見方が出ていたものの、カリフォルニアは昔から環境規制の最先端を行くところで、今になって急に変わったわけではありません。また、むしろトヨタはこの規制で恩恵を受けまくっていた企業でした。
2015/3/16:
●トヨタ叩き?アメリカ・カリフォルニア規制だとプリウスは悪い車
●カリフォルニアは昔から環境規制の最先端で、トヨタも恩恵を受けていた
●プリウスが売れなくなったのは、別の日本メーカーのせいだった?
●トヨタやホンダが売れていたからこそ規制を変更したのでは?
2017/12/29:
●トヨタが基準を満たせずに、テスラから温暖化ガスの排出枠を爆買い
2020/02/13:
●カリフォルニアの制度は実質的にプリウスだけを売る制度だった?
●トヨタ叩き?アメリカ・カリフォルニア規制だとプリウスは悪い車
2015/3/16:
プリウス、エコじゃない? 米規制、HVより次世代優遇:朝日新聞デジタル(ロサンゼルス=大内奏 2015年3月15日08時41分)という記事を見て、「カリフォルニアがプリウス外しの規制をしている」「またアメリカのトヨタ叩きだ」といった反応が出ていました。
ロサンゼルス市中心部と郊外にある空港を結ぶ高速道路。(中略)エコカーがすいすいと走り抜ける車線がある。2人以上が乗った車だけが走れる「カープールレーン」。カリフォルニア州が認めたエコカーなら1人で乗っても通行できるため、事実上のエコカー優先車線になっている。
だが、エコカーの代名詞ともいえるトヨタ自動車のHV、プリウスは、この車線でほとんど見かけない。2011年にHVがエコカーから除外され、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)などに絞られたからだ。
「HVは、もはや最新の環境技術が使われた車ではない」。規制を担当する州大気資源局のアルバート・アラヤ副局長はそう話す。自動車メーカーに州内で売る新車の14%をエコカーにするよう義務づけているが、17年からはここからもHVを外す。「目的は、技術革新を後押しすることだ。義務がなかったら、自動車メーカーは技術開発をしようと思わないだろう」
●カリフォルニアは昔から環境規制の最先端で、トヨタも恩恵を受けていた
ただ、これがトヨタ叩きだというのは誤解だと思われます。そもそもカリフォルニア州がこれまでもずっと世界で最も厳しい規制をしてきた…ってところから知らないのかな?と感じるコメントが多かったですね。日本を不利にするために、今になって急に作った方針ではありません。
また、カリフォルニア州のこういった政策は以前はむしろプリウスの販売に恩恵を与えており、日本叩きということはありませんでした。前に書いた
トヨタのプリウスを潰すのは、イーロン・マスクのテスラか?では、カリフォルニア州ではプリウスがよく売れたという話がありました。
さらに、
トヨタ「プリウス」が米加州で最も売れる車から転落した理由(Angelo Young 2014年5月19日 17時05分)でも、<米国カリフォルニア州で最も売れるクルマは、2012年以来ずっと、トヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」だった>とされています。
●プリウスが売れなくなったのは、別の日本メーカーのせいだった?
上記の記事によると、代わりに売れたのも、ホンダのハイブリッド版「アコード」で日本車です。プリウス没落の理由は、ホンダにハイブリッド車市場により多くの選択肢があること、デザインに目新しさがないことなどみたいです。
トヨタのプリウスを潰すのは、イーロン・マスクのテスラか?でも書いた気がしますが、トヨタはデザイン軽視なのかもしれません。
もう一つ、プリウスが売れていたという話で、
アメリカでハイブリッド車が日本のようには売れない理由|エコカー大戦争!|ダイヤモンド・オンライン(桃田健史 [ジャーナリスト]【第143回】 2013年3月4日) という記事も紹介。
北米のハイブリッド市場はここ数年、全需に対して約3%を維持。その約半数を「プリウス」が占めてきた。直近の2012年では、「プリウス」のシェアは44%、次いで「プリウスv(日本のプリウスα)」が11%、「カムリハイブリッド」が10%となり、トヨタ全体として強さが目立つ。残りのシェア35%を、日米欧韓の各メーカーのハイブリッド車40モデルが分け合っている状況だ。
ただし、記事時点では"「プリウス プラグイン(日本でのプリウスPHV)」の販売については、アメリカでは低調"だったみたいですね。2012年通年の販売台数は、「プリウス」の14万7507台に対して、その1割弱の1万2750台に止まっており、これはトヨタの想定を下回っていたそうです。
●トヨタやホンダが売れていたからこそ規制を変更したのでは?
トヨタやホンダが売れていたからこそ規制を変更したのだと、なおも食い下がる方もいるかもしれません。
しかし、先ほどの朝日新聞では、プラグインハイブリッド車(PHV)は引き続きエコカーだという話がありました。上記で苦戦していると書かれていたトヨタの「プリウス プラグイン(日本でのプリウスPHV)」は、これからむしろ恩恵を被るはずです。
ただ、朝日新聞もタイトルの「プリウス、エコじゃない? 米規制、HVより次世代優遇」が悪いかもしれませんね。喧嘩腰とは違うかな?適切な言い回しが思いつきませんけど、タイトルでだいぶ読者が冷静さを失った感じがあります。
それから、
はてなブックマークでは、以下のような指摘も。
yo2012 "カリフォルニア州でプリウスに乗っていますが、カープールレーンから排除されたのは単純にプリウスが売れすぎて、州政府がインセンティブを与える必要がなくなったからです。別に全く肩身は狭くないです" 2015/03/15
今回紹介したニュースを見直してみると、HVがエコカーから除外された2011年の翌年に、プリウスが販売トップになっていることがわかります。2009年以前にもトップだった可能性もありますが、とりあえず販売促進策がなくてもHVがよく売れていることがわかります。
促進策なしで売れるのですから、エコカー促進という当初の目的からすれば、HVを除外するのは当然でしょう。そして、より厳しく、という規制の強化も当然の流れだと予想できます。
●トヨタが基準を満たせずに、テスラから温暖化ガスの排出枠を爆買い
2017/12/29追記:カリフォルニア州は自動車メーカーに、販売台数の一定割合を電気自動車(EV)など排ガスゼロ車(ZEV)とするよう義務付ける規制を導入しています。基準未達のメーカーは罰金を払うか、基準をクリアしているメーカーから「ZEV排出枠(クレジット)」を購入しなければなりません。
で、トヨタ自動車が2017年8月末までに米国で温暖化ガスの排出枠(クレジット)を、よりによって米テスラモーターズから大量に購入したことが判明しました。
電気自動車に未来はない トヨタMIRAI開発者がテスラなどの急速充電EV批判で書いているように、トヨタが叩いている憎きライバル企業からの購入です。
排出枠は他社も購入しているのですが、トヨタの購入量が最も多く、3万5200クレジット。2位のゼネラル・モーターズは図を見ると1万5000程度ですから倍以上ですね。売却側はテスラが一人勝ちで、5万クレジット以上となっていました。
日本企業では、ホンダやSUBARU(スバル)もクレジットを購入してきたとのこと。ただし、図を見ると、ホンダは今は売れる側になっているようです。また、EV「リーフ」の販売が伸びている日産自動車も、クレジットを購入していないとのこと。
前述の通り、トヨタも環境技術がクソなわけではなく、基準を満たす車を持っています。プラグインハイブリッド車(PHV)の「プリウスPHV(米国名:プリウス プライム)」と燃料電池車「MIRAI(ミライ)」です。ただ、どうも全然売れていないため、誤算が生じているようですした
また、2018年モデルのクルマからは規制が強化され、ハイブリッド車を排ガスゼロ車に換算できなくため、さらに状況が悪化するとのことでした。
(
トヨタがテスラから規制対応で排出枠を爆買い:日経ビジネスオンライン 大西 孝弘 2017年10月25日より)
●カリフォルニアの制度は実質的にプリウスだけを売る制度だった!
2020/02/13:むしろトヨタはカリフォルニアの制度の恩恵を受けていたという話をもう少し補足。
ウィキペディアによると、カリフォルニア州で州の厳しい規制をパスした当時唯一のガソリンエンジンの実用車がプリウスでした。これによって売れまくった時期があったようです。元ネタは2008年の記事ですので、そこらへんの話ですかね。
<環境問題に関心の高い富裕層が中心となって次々にプリウスを購入したことから、ハリウッド・スターなどのセレブリティも、環境問題に関心があることをアピールするためにこぞってプリウスを自家用車に選ぶ、という時期があった。アカデミー賞授賞式に、リムジンでなくプリウスで乗り付けるスターが増え、中でもレオナルド・ディカプリオは、数台購入したといわれる。その後の、原油価格の高騰から人気が冷めず、最長で半年待ちとなるほど予約が殺到した>
これは単に売れまくっていったというだけでなく、ガソリンエンジンの実用車ではプリウスしか選択肢がなかったということから、カリフォルニアの制度は実質的にプリウスだけを売るための制度だったとも言えそう。日本叩きどころか、超日本びいきでした。
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