もとは、"G8で同性カップルの権利を認めていないのは、ロシアと日本だけ"(2015/3/16)というタイトルで書いていたもの。ただ、内容は結構いろいろで、"同性愛はむしろ日本の伝統であった"、"保守派が同性愛を嫌うのは世界的な傾向"、"仏教は同性愛に寛容なはずなのに新興宗教団体は不寛容"などの話もやっています。
その後、<保守派が嫌う同性愛 保守派が好む反中の台湾でアジア初の同性婚合法化に>、<右派議員が反同性婚と同時にロシアのウクライナ侵攻擁護の発言>、<やっぱり嫌い?産経新聞が右翼団体幹部を使って同性婚反対>などを追記しています。
2023/04/03追記:
●右派議員が反同性婚と同時にロシアのウクライナ侵攻擁護の発言
2023/07/25追記:
●やっぱり嫌い?産経新聞が右翼団体幹部を使って同性婚反対! 【NEW】
●右派の主張は事実と逆の捏造 同棲愛はむしろ日本の伝統であった
2015/3/16:
石原慎太郎と三島由紀夫 保守派としての評価、愛国心・天皇論でも触れた渋谷区のパートナーシップ条例絡みの話。これは渋谷区だけのものですし、同性婚を認めるものではなく、まだまだ不十分なものです。ただ、なぜか保守派・右派はこれを猛烈に嫌っています。
・
保守はなぜ同性愛に不寛容なのか?~渋谷区パートナーシップ条例をめぐる怪~(古谷経衡) - 個人 - Yahoo!ニュース 古谷経衡 | 評論家/著述家 2015年3月14日 8時14分
<私個人としては、渋谷区のパートナーシップ条例は、自治体の条例のレベルなのだから手放しで大絶賛するほどのことではないにせよ、別段、問題だとは思わない。(中略)
そんな私は、前述した「日本の伝統的な家族観が破壊されていく」という保守派による、この条例へのトリッキーな反対の姿勢が、よく理解できないでいた。「日本の伝統的な家族観が破壊されていく」という理屈は、「同性愛やLGBTは、日本の伝統的な家族観とは相容れない」と言っていることに等しい。
が、言わずもがな織田信長と森乱(森蘭丸)&前田利家や武田信玄&高坂昌信など、ややもすればBL(ボーイズラブ)のネタにされそうな、(余りにも有名な)日本の中世期における同性愛関係をなんとするのだろうか。(中略)日本の「伝統」を持ち出すのならば、現在の保守派や右派による同性愛やLGBTへの嫌悪や禁忌の情は、全くその「伝統」を踏まえない異質のものであると思う。「伝統」を殊更となえるのなら、「衆道」の伝統を踏まえないのは、嘘だろう>
●なぜ保守派は同性愛を否定するのか?
では、"ぜ現在の保守派や右派がここえまで激烈に同性愛やLGBTを嫌悪する"のでしょう?"彼らのささやかな権利獲得に、ここまで苛烈に反駁するのはなぜなのか、それが、私を含め多くの人にとっては謎だと思うのである"と、古谷経衡さんは書きます。そして、保守派が同性愛を嫌悪する理由を4つ推測。少しまとめて短くすると、4つはそれぞれ以下のような感じです。
1)保守の高齢化が原因
彼らの主要な支持層は、40代以上の中・高年であり、場合によってはボリュームゾーンは50代や60代以上。現在、60代の世代が青春時代を迎えた1960年代から1970年代の高度成長期は、まだまだ前近代的な差別と古い因習がこの国の中に残置されていた。
2)宗教右派からの照射
「日本会議」は、保守系最大の行動団体として、旧軍遺族会やその他旧軍関係団体を始め、神社本庁や仏教系宗教団体など、おもに「宗教右派」とよばれる保守的な傾向を持つ宗教団体によって形成されている。保守系の論客や文化人などの講演会などを頻繁に行うなど、保守業界のありとあらゆるところに「日本会議」は入り込んでいる。
3)戦後新宗教と同性愛
特に、「日本会議」の中枢をなすのは、神道系の「神社本庁」の他に、「霊友会」、「念法眞教」、「新生佛教教団」、「佛所護念会」、「生長の家」など、大なり小なり仏教を源流とする仏教系新宗教団体の影響が強い。
4)儒教と保守
宗教問題に詳しく、仏教関係で数多くの著作がある著述家の星飛雄馬氏は以下の4点を指摘している。
1.日本の仏教は、元来のインド仏教の理念以外に、その伝播の過程で朝鮮半島や大陸から来た儒教の影響を強く受けている
2.輪廻」の思想になじみのない日本では、儒教などに由来する祖霊崇拝の傾向が強く、家父長制度を基礎とした長男継嗣の「墓守り」の思想がある
3.現在でも地方などでは仮に家督を継ぐべき長男がゲイだとすると、「誰が先祖の墓を守るのか!」と問題視されるような話もある
4.日本の仏教系の新宗教では、儒教の家父長思想の影響を色濃く受けているがゆえに、本来の仏教の教えとは外れた、同性愛への蔑視や禁忌の発想が生まれるのではないか
●保守派が同棲愛を嫌うのは世界的な傾向
以上のような内容でしたが、この記事には作者を馬鹿にしたコメントが多かったです。ネットで感想を書かれるのは仕方ないですし、誰でも意見を表明できるというのはネットの魅力。ただ、コメント欄をセットにする形のサイトは考えものですね。つい見てしまって後悔することが多々あるのですが、偉そうにおかしなことを書いている人が多くて不快になります。
執筆者はコメントする人に対して常に真摯に相手にしなくてはならないと考えている人もいるようですけど、そもそも相手にする価値のあるレベルのコメントはめったにありません。あまり人を見下した言い方はしたくないのですが、知性の異なる人と話をしていても得られるものはあまりなく時間を浪費するばかりで、正直生産的とは言い難いです。
話が逸れてきそうですね。具体的に気になったコメントについての話に行きます。「保守派と結びつける内容ではない」「何でもかんでも右・左の話にするな」といった内容のことを言っている人がいました。そのような指摘が適切なケースもありますが、それは根拠が全然無い主張の場合です。
今回の記事に関しては、保守派との親和性が既に紹介済みの部分までで挙げられています。また、
石原慎太郎と三島由紀夫 保守派としての評価、愛国心・天皇論で私も書いたように、古谷経衡さんは以下のような海外との共通点も指摘していました。
アメリカの「宗教保守」といえば、聖書原理主義者の「福音派」を指すことが多い。彼らは、「同性結婚」、ひいてはLGBTの問題に対し、激烈な反対の姿勢を示す原理主義者で、その大多数は、保守派である共和党の支持基盤になっている。科学的な理屈、政治的なイデオロギーよりも、宗教性が優先されるという、福音派にまま垣間見える性質が、いま、確実に日本の保守、右派の中に芽生えようとしている。
(以下だけは2015/06/27の追記で、保守派が同性愛を嫌うことが多いという話の補足。
米最高裁の同性婚“合法化” 保守派は反発 NHKニュース(6月27日 10時54分)より。
"アメリカの連邦最高裁判所は26日、9人の判事のうち5人が支持して、すべての州で同性婚を認める判断を示し、全米で同性婚が事実上、合法化されることになりました。(中略)
一方、キリスト教の教えや伝統的な価値観などを重視する保守派などから反発の動きが出ています。(中略)
野党・共和党からは大統領候補のジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事や、ベイナー下院議長などが反対の声明を相次いで出しており、司法が同性婚を認める判断を示したあとも、アメリカ国内では同性婚を巡る議論が続くことが予想されます" )
●日本の思想は様々な影響を受けている
その他に、「儒教の影響というのはおかしい、神道の影響ではないか」といったコメントもありました。でも、どちらか片方というわけではなく、どちらとも影響あるというものでしょう。片方に限定する必要はありません。
日本文化そのものが中国の影響が強いのですけど、仏教も中国の影響があるのは確かです。日本のお盆も中国の影響を指摘する説があります。…と書いて今
盂蘭盆 - Wikipedia見てみたら、儒教の影響についてもバッチリ記載がありました。
・日本での盆会
<日本では、この「盂蘭盆会」(引用者注:うらぼんえ)を「盆会」「お盆」「精霊会」(しょうりょうえ)「魂祭」(たままつり)「歓喜会」などとよんで、今日も広く行なわれている。(中略)
現在でも長崎市の崇福寺などでは中国式の盂蘭盆行事である「(普度)蘭盆勝会」が行われる>
・中国での盆会
<本来的には安居の終った日に人々が衆僧に飲食などの供養をした行事が転じて、祖先の霊を供養し、さらに餓鬼に施す行法(施餓鬼)となっていき、それに、
儒教の孝の倫理の影響を受けて成立した、目連尊者の亡母の救いのための衆僧供養という伝説が付加されたのであろう>
また、古谷経衡さんは"日本のみならず、朝鮮半島や中国など、いわゆる「儒教文化圏」では、同性愛に対する社会的差別が温存されているのは、このせいかと納得した"としています。朝鮮半島や中国などセットで見る場合、「神道」説だと説得力がありません。「儒教の影響」とする方が自然な感じです。
●仏教は同性愛に寛容なはずなのに新興宗教団体は不寛容
記事では、
ニューハーフへの差別 イスラム教やキリスト教違う仏教国タイ では、日本での職業選択は?でも書いたような本来、仏教は同性愛に寛容なのに新興宗教系仏教は不寛容という指摘もしていました。
少しまとめると、以下のような内容でした。
・本来、仏教の教えは「同性愛には至極寛容」であることを根本とする。事実、敬虔な仏教国であるタイ王国は、同性愛者に寛容な気風であることは、広く知られている。「日本会議」は、仏教の「伝統」を否定しているようにも思える。
今の日本の考え方はキリスト教・西欧文化の影響も強く、同性愛忌避もその影響があるのでは?と思っています。そうなると、保守派はむしろ日本の伝統を否定して、西洋文化を肯定していることになります。
(東アジアでは韓国がキリスト教徒が非常に多く、自民党への影響力が強い韓国のキリスト教系新興宗教団体・統一教会も保守的です。ただ、中国はキリスト教の影響は少ないと思われます)
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キリスト教と同性愛と差別「おまえは地獄で永遠に焼かれるだろう」 ■
ザビエルと日本の布教 キリスト教では罪の同性愛が多くて驚愕!●G8で同性カップルの権利を認めていないのは、ロシアと日本だけ
しかし、意外だったのが別記事で出ていた以下の話です。日本は同性愛を忌避したキリスト教の多い国以上に、同性愛を嫌っているのかもしれません。
“4大名字”より多いはずなのに…ないもの同然にされてきたLGBT- WEB女性自身(2015年2月28日06時00分)
日本はLGBTへの配慮や認識が、決定的に遅れている。(中略)
オープンゲイ議員 として日本で初めて公職に選ばれ、昨年の社民党党首選にも出馬した石川大我さんに、LGBTについて教えてもらった。
「89年にデンマークで初めて同性登録パートナーシップが導入され、現在では世界の約5分の1の国や地域でなんらかの同性カップルの権利を保証する制度があります。G8のなかで同性カップルの権利を認めていないのは、ロシアと日本だけ。それくらい世界的には、LGBTの存在が社会に認められているのです」
それから、検索していると、日本でパートナーシップ制度がないのは同性愛差別がないからだという意見もありました。ただ、こういう意見をいうこと自体に、差別感が見える気もします。
ここまででも長男がゲイだと~という話がありましたし、石原慎太郎さんなど有名な人で同性愛者に差別的な発言をする人はいます。また、以下のようなツイートも考えさせられるものです。
最後に、先ほどの女性自身の「“4大名字”より多いはずなのに…ないもの同然にされてきたLGBT」というタイトルの部分について。LGBT人口については、うちでも
日本とアメリカの同性愛者の人口・割合 ホモ増加は高度な文明の証をやっていますが、今回の記事では以下のような話でした。
「一昨年発表された電通総研の調査では、日本人全体の約5.2%、約680万人がLGBTであるとの結果が出ています。これは欧米と比べても大して変わらないんですよ。ちなみに680万人というと、日本に多い名字のトップ4である「佐藤」「鈴木」「高橋」「田中」の総数、約660万人(03年明治安田生命全国同姓調査)よりも多いことになります。みなさんの周りにも1人くらいは、佐藤さんや鈴木さん、高橋さん、田中さんがいますよね?LGBTの人たちも実はそれくらい身近に、たくさん存在しているんです」(石川大我)
●アジア初の同性婚容認は台湾 同性婚認めない現行民法は「違憲」と判断
2017/05/25:深く関係する投稿がなかったので、どこに追記するか迷って、こちらの投稿に。台湾の憲法裁判所に当たる司法院大法官会議が24日、同性婚を認めていない現行民法は「違憲」に当たるとの判断を示し、2年以内の法改正か関連法制定を求めたというニュース。
台湾メディアによると、同性婚の合法化が実現すればアジアで初めてだそうです。台湾は同性愛者など性的少数者(LGBT)に対する理解が進んでおり、台北市で毎年行われるゲイパレードはアジア最大級の規模を誇るとのこと。元の投稿との絡みで言うと、保守派が大好きな台湾でアジア初というのは、何か皮肉なものを感じます。
(
同性婚を容認、アジア初=現行民法「違憲」と判断-台湾:時事ドットコム(2017/05/24-20:54)より)
また、どのような宗教団体かは書いていないものの、台湾でも宗教が邪魔をしていたというのも興味深い話。台湾の立法院(国会)は昨年末に同性婚合法化に向けて審議入りしていたものの、宗教団体などを中心に根強い反対があり、成立のめどは立っていなかったそうです。
それから、民法改正は「家庭制度を破壊する」と反発する声も多いともありました。これも日本の保守派の主張と通じるものがあり、共通性を感じました。やはり世界的に似たような傾向が見られるのだと思われます。
●台湾人も本当は同性愛者が嫌いだった?国民投票で反対派圧勝!
2019/05/19:前回の追記でも台湾内には反対があったことは書いていましたが、台湾は同性愛者への理解が進んでいる…は結構怪しい感じ。同性愛者を嫌う産経新聞が報じていたように、2018年11月、民法改正による同性婚容認に反対する住民投票が成立していました。一部で理解が進んでいるものの、国民全体としては反対なようです。
なお、アジアではタイの内閣が2018年12月、同性婚を認めるパートナーシップ法案を議会に送付しており、法案提出は2例目だとも書かれていました。
ニューハーフへの差別 イスラム教やキリスト教違う仏教国タイ では、日本での職業選択は?で書いたように、タイは理解が進んでいる国です。
(
台湾、同性婚容認の法案 アジアで2例目、根強い反対 - 産経ニュース 2019.2.21 17:43より)
ところで、「民法改正による同性婚容認に反対する住民投票が成立」というのは、飽くまで民法改正による手段だけを否定したというもの。ここらへんはかなりややこしく、本来であれば補足が必要なものでした。これを含めて、以下、
台湾で「同性婚が否決」はどこまで本当か?(ハフィントンポスト)からポイントを紹介します。
・台湾の最高裁は同性の婚姻が認められていないことを憲法違反とし、2年以内に民法改正か新法制定による是正を立法機関に命じた。
これは最高裁の決定であり、覆すことはできない。・そこで同性婚反対派は、民法の婚姻は一男一女に限るべきで、
同性婚は別法で行えという戦略に変更。これに対抗して、推進派は、同性間の婚姻も民法に規定せよという対抗案を発議。結果は、
ダブルスコアの大差で、同性婚は別法という選択に。・学校教育でLGBTを取り上げることについても反対票が上回った。
・「LGBTフレンドリー」といわれた台湾の民意が、じつは同性婚に抵抗があったということが明らかになり、衝撃を受ける事態に。
●台湾の同性婚反対で活躍したのはやはりあの宗教団体だった…
あと、最初の投稿部分に関連するもので、「リベラル路線にノー」という見方は間違いであるという話が出ていました。LGBT運動はとかく「リベラル左派」と位置づけられがちですが、台湾では、国民党も民進党もLGBTの人権運動に注目したという経緯があるんだそうです。
一方で、やはり右派の同性愛者嫌いというのは、確かにあって宗教右派が活躍したともありました。「どのような宗教団体かは書いていないものの、台湾でも宗教が邪魔をしていたというのも興味深い話」と前回書きましたが、やっぱり政治的保守派とも関係が深いキリスト教右派でしたわ。これは世界的な特徴です。
・今回注目されるのが、同性婚反対を訴える宗教右派、とくに米国でトランプ政権の強力な支持者であるキリスト教福音派が行なったキャンペーン。
・宗教右派は2013年に同性婚や性的少数者への反対を唱えて「台湾宗教団体愛護家庭大連盟」(略称:護家盟)を結成、蔡英文総統(フェイスブックで同性婚支持を表明)誕生と立法院での政権交代を実現させた2016年の選挙でも活発な反LGBTキャンペーンを展開。
・「民進党は「同性愛者に結婚の権利がある」と主張しています。民進党が立法院で過半数をとれば、台湾はゲイの島になる。ご一緒に台湾を守りましょう」として、国民の不安感を煽った。(日本でも自民党議員が似たような主張をしています)
●保守派が嫌う同性愛 保守派が好む反中の台湾でアジア初の同性婚合法化に
前述の通り、反対派も最高裁の決定までは覆せませんでした。台湾の立法院(国会)は2019年5月17日、同性婚の権利を保障する特別法案を可決。アジアの国・地域では初めてとなります。当初案にあった「同性婚姻」という表現は、保守層に配慮して審議の過程で削除されたものの、同性2人が「結婚登記」できると明記しました。
(
台湾が同性婚を合法化、アジア初 違憲判断基に内閣主導 | 共同通信より)
台湾では左派だけの運動ではないとは言うものの、やはり気になるのはこの左派・右派の問題。上記報道ですでに「保守層に配慮して」とありますし、可決された法案は与党、民主進歩党(民進党)政権の行政院(内閣)が提出したものだということも気になります。ハフィントンポストでも、民進党の蔡英文総統がフェイスブックで同性婚支持を表明したという話もありましたね。
保守派は中国を嫌い台湾を好むものの、日本食品輸入規制を今回の国民投票で提出し、親中反日の姿勢が目立っていた国民党ではなく、親日反中の民進党政権で積極的だったというのは皮肉だと思います。まあ、そもそも親日反中の民進党は左派だという見方もありますしね…。
(関連:
親日国台湾が韓国中国より厳しい日本食品輸入規制 国民は反対?)
●LGBT差別の首相秘書官、首相にだけ謝罪し、発言は誤解と正当化か?
2023/02/04追記:右派政治家の同性愛嫌いじゃないのですけど、右派政権での同性愛嫌い発言…という話があったので追記。よりによって首相秘書官による発言です。
性的少数者「見るのも嫌」 首相秘書官、撤回し謝罪:東京新聞 TOKYO Web(2023年2月4日)などの記事が出ていました。
<岸田文雄首相の秘書官である荒井勝喜氏は3日夜、LGBTなど性的少数者や同性婚の在り方などを巡り「隣に住んでいたら嫌だ。見るのも嫌だ」と記者団に述べた>
<荒井氏は「秘書官室は全員反対で、私の身の回りも反対だ」と強調。同性婚が導入された場合は「社会のありようが変わってしまう。国を捨てる人、この国にいたくないと言って反対する人は結構いる」とも語っていた>
「首相に申し訳ない。首相がそういうことを考えているわけでもないのに私個人の意見で迷惑をかけた」としており、首相に謝罪。一方で、「誤解を与えるような表現で大変申し訳ない。撤回する」としており、「発言は問題ないのに勝手に誤解された」とむしろ正当化するような言い方。同性愛者には謝罪していないように見えます。
●「同性愛者は見るのも嫌だ」の首相秘書官、「普通の感覚」を自称
荒井勝喜さんは政治家ではなく、
Wikipediaによると、経済産業省の官僚を経て、2021年10月の岸田内閣発足と同時に現職へ就任した方。よりによってこの人が広報担当だそうな。また、気になったのが、<「普通の感覚」を大事にし、知人やネット上の意見も幅広く情報収集している>と自称していたことです。
<経産省から起用されたのは、商務情報政策局長だった荒井勝喜(54)。
(平成3年入省、横浜市立南高校→早大政経)
(中略)官邸で岸田のスピーチライターを務める荒井は、「普通の感覚」を大事にしているという。家族や高校の友人、ネット上の意見に至るまで幅広く情報収集し、いわゆる「世間」の相場観を知ろうと努めている>
(官邸の心臓部 首相秘書官に迫る! どんな仕事?誰がなる? | NHK政治マガジンより)
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/73833.html
なぜ「普通の感覚」というワードが気になったのか?と言うと、右派の人が「普通の日本人」を自称することが多いため。実際には偏った右翼的思想なのですが、その考えが「普通の日本人」だと既成事実化・正当化するときに多用されます。同じような「普通の~」発言は、海外の右翼テロリストにも見られるので、興味深い傾向です。
●右派議員が反同性婚と同時にロシアのウクライナ侵攻擁護の発言
2023/04/03追記:前回書いた右派政権によるLGBT差別発言で、逆にLGBT関連法案が進行。世界の流れに逆行する発言が国内外から批判を浴びたことで追い込まれて、対策を進めなくてはいけない状況に追い込まれた形です。しかし、右派の自民党議員がこの流れに逆らおうと抵抗して、また問題発言をしていました。
しかも、セットでロシアのウクライナ侵攻を正当化するかのような発言をしていたとのことで驚き。とはいえ、何度も書いているように、なぜか日本でもアメリカでも右派系の政治家や右派思想を持つ人が、ウクライナを侵略したロシア寄りの発言をして、ウクライナを批判することが多いですからね。本当、興味深い傾向です。
自民党LGBT特命委員会事務局長・城内実議員がオフレコ問題発言 「同性婚はウクライナが正しいという人と同じで少数派」|NEWSポストセブン(2023.03.16)
<荒井勝喜・元首相秘書官の「LGBT差別オフレコ発言」による批判を受け、LGBT理解増進法案の法制化を進めている岸田政権。だが、そこに再び水を差すような事態が発生した。
2月15日に開かれた超党派の議員連盟「 LGBTに関する課題を考える議員連盟 (LGBT議連)」後、記者団のオフのぶら下がりに応じた「性的マイノリティに関する特命委員会(LGBT特命委員会)」事務局長の城内実・自民党衆院議員が次のような発言をしたというのだ。
「同性婚はウクライナの問題と同じだ。『ウクライナが正しい』というのはむしろ少数派。世界の流れだっていうのは間違っている」>
この城内実議員がよりによってLGBT特命委員会の事務局長だというのが、自民党のレベルの低さを物語っています。致命的でしょう。なお、自民党などの右派を中心に同性婚に対して抵抗がある人がまだまだ多いのは事実ですが、右派が好む台湾がそうであるように、同性婚を認めていこう…という流れが実際に存在することも指摘しておきます。
●やっぱり嫌い?産経新聞が右翼団体幹部を使って同性婚反対!
2023/07/25追記:産経新聞が
【正論】同性婚訴訟、違憲判決への疑問 国士舘大学客員教授日本大学名誉教授・百地章 - 産経ニュース(2023/3/20)という記事を書いていました。登録が必要な記事で詳細はわかりませんけど、冒頭だけでも同性婚に反対していることはわかる話です。
統一教会と自民党、特に安倍派との癒着が問題になりましたが、私は統一教会との関係は弱まっていたと誤解していたので驚きました。統一教会以上に浸透したと当時私が見ていたのは、右翼団体の日本会議。今回の産経新聞記事で出ていた百地章 国士舘大学客員教授はこの日本会議の幹部であり、今後さらに影響力を増すかもしれません。
<同性のカップル13組26人が札幌、東京、名古屋、大阪、福岡の各地裁に提訴した「同性婚訴訟」―。大阪地裁は合憲だったが、札幌地裁は同性婚を認めない民法を憲法14条(法の下の平等)違反とし(令和3年3月17日)、東京地裁も民法が「個人の尊厳」を定めた憲法24条2項に違反する状態にあるとした(4年11月30日)。しかし、両判決には憲法解釈上、様々な疑問がある。>
【本文中でリンクした投稿】
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キリスト教と同性愛と差別「おまえは地獄で永遠に焼かれるだろう」 ■
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