武蔵や大和といった戦艦などの発見・引き上げに関する話をまとめ。<バチが当たった?タイタニック号を見に行く観光用潜水艇が息絶つ>、<自民党有志が戦艦大和の引き揚げ検討 税金の無駄遣いや墓暴きと批判>、<墓荒らし批判も 戦艦大和の引き揚げ検討や大洋丸発見の探査>などをまとめています。
冒頭に追記
2023/06/21追記:
●バチが当たった?タイタニック号を見に行く観光用潜水艇が息絶つ 【NEW】
●バチが当たった?タイタニック号を見に行く観光用潜水艇が息絶つ
2023/06/21追記:<タイタニック号を見に行く観光用潜水艇 消息絶つ 米などが捜索>(NHK 2023年6月20日)というニュース。これに「人の不幸を楽しみに行くから」(バチが当たったというニュアンス)というコメントがついていて、うちで書いていたこの投稿のことを思い出しました。
<1912年、イギリスの豪華客船、タイタニック号は、アメリカに向けて航海中に大西洋で氷山に衝突して沈没し、およそ1500人が犠牲になりました。水深およそ4000メートルの海底に眠っています。
このタイタニック号を潜水艇に乗って見に行く観光ツアーをアメリカの会社が行っていて、操縦士を含む5人が乗った潜水艇がカナダ東部を出発しましたが、今月18日午前、潜水艇が海中に潜ったあと連絡が取れなくなったということです。>
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230620/k10014104321000.html
潜水艇を運営していたのは、アメリカの会社オーシャンゲート・エクスペディションズ。イギリスのテレビ局、スカイニュースなどは、乗っていた人の中に、このオーシャンゲート・エクスペディションズのCEOとフランス人の潜水艇の操縦士がいたとみられると報じていたそうです。
<ツアーを行っている会社のホームページによりますと、ツアーの参加費用は1人当たり25万ドル、日本円にしておよそ3500万円で、潜水艇には緊急用の酸素が積み込まれるなど、96時間生命を維持できる装置が備わっているということです。(中略)ツアーは7泊8日の日程で行われていたということです。
ツアーにはこれまでに300人近くが参加しているということで、ホームページにはすでに来年のツアーの予定も掲載されています。
ツアーに使用する観光用の潜水艇「タイタン」は全長は6.7メートル、重さは1万キログラム余りで、最大で水深4000メートルまで潜ることが可能だとしています>
●未発見だった戦艦武蔵を発見、フィリピンのシブヤン海で
2015/3/17:沈没後見つかっていなかった戦艦武蔵が発見されたというニュースが話題になりました。
専門家 沈没船は戦艦「武蔵」と断定 NHKニュース 3月13日 17時12分
アメリカの資産家のポール・アレン氏が率いる探査チームは、日本時間の13日フィリピンのシブヤン海の海底で発見された戦艦「武蔵」とされる船を無人の探査機で撮影してインターネット上で生中継しました。(中略)
口径が46センチの当時、世界最大の主砲が設置されていたとみられる船体にある大きな空洞も映し出され、日米の複数の専門家は、発見された船はその特徴的な構造などから「武蔵」だと決定づけられたとしています。
「武蔵」は、旧日本海軍が建造した当時、世界最大級の戦艦で、太平洋戦争末期の昭和19年10月にフィリピンのレイテ湾に向かう途中にアメリカ軍によって撃沈され、長く行方が分からないままとなっていました。
アレン氏は、アメリカのIT企業マイクロソフトの共同創業者で8年前から「武蔵」を探していたということで、今後は、日本とフィリピンの両政府と協力して調査を進めたいという意向を示しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150313/k10010014321000.html
フィリピン沿岸警備隊当局者によると、見つかった場所は、"中部コブラドール島の北東約48キロのシブヤン海"。"武蔵の戦闘詳報に記録されている場所からは南に約15キロ離れて"おり、これが今まで見つかっていなかった理由かもしれません。
また、位置が違っていた理由は、"水深千メートルの海底に達するまでに、潮の流れに乗って海中を漂流したとみられる"とのことでした。
(以上、
武蔵、記録より南方で発見と当局 2015年 03月10日 17時35分 提供元:共同通信より)
●帝国海軍技術大尉「創作に近い」…デタラメだった日本軍の記録
なお、レイテ沖海戦における日本軍の「軍艦武蔵戦闘詳報」はかなりいい加減だったそうです。より正確であろうアメリカ軍の記録があるため、今回の沈没位置の問題とは直接的には関係ないと思われますが、もし日本軍の記録を参考にしていれば、めちゃくちゃでしょうね。
<帝国海軍技術大尉だった内藤初穂は『世界の艦船 No.512』「大東亜戦争における旧海軍の『戦闘詳報』」において、武蔵の戦闘記録を栗田艦隊各艦戦闘詳報やアメリカ軍の記録と照合した結果、疑わしい点が多々あると指摘している。
沈没位置は駆逐艦「清霜」が記録した「東経122度41.5分、北緯12度48分」とずれており、主砲発射時期も生存者や他艦の記録と異なり、さらに栗田艦隊各艦の空襲記録(計5)とは開始時間と回数のそれぞれが違う。(中略)内藤は、「武蔵」の記録は「創作戦闘詳報」に近いと評し、「今のうちにしかるべき証言者を得て、しかるべき注記を原史料に貼付しておかなければならない」としている>
(
武蔵 (戦艦) - Wikipedia 最終更新 2015年3月16日 (月) 00:53より)
「武蔵」の戦闘詳報があいまいとなった最大の理由は、第一艦橋への直撃弾で航海部と信号部が全滅し、彼らがつけていた戦闘記録や航跡図、信号記録が消失したためとされていました。また、第一艦橋全滅後に信号部の先任となった細谷四郎さんは、武蔵の高級将校が早々に内地に戻ったために、戦闘詳報に下士官兵の証言を取り入れなかったためと言っていたそうです。
●戦艦武蔵は先に見つけてた!ポール・アレン氏に日本人団体が異議
今回の発見については、日本人ではなく外国人によるもの…しかも、沈没した戦闘の相手であるアメリカ人によるものということで、当初から非難する人がいらっしゃいました。さらに「戦艦武蔵は先に見つけてた!」と、第一発見者はポール・アレンさんではないと異議を唱える日本人団体まで現れたようです。
・
戦艦武蔵「9年前に見つけていた」団体現れ第一発見者論争へ- NEWSポストセブン(2015年3月17日11時00分)※週刊ポスト2015年3月27日号
<アレン氏のチームより先に武蔵を“発見”していたと主張する別の団体も現われた。今年1月、日本の発掘調査会社などを中心に極秘裏に立ち上げられたという「戦艦武蔵発見プロジェクト実行委員会」メンバーがこう話す。
「10数年前、米シアトルにある音波探知機などの開発会社のアメリカ人オーナーが、フィリピン・レイテ島出身の妻と探索に乗り出し、9年前、シブヤン海の海底に『200メートルを超える鉄製の船影』があることを確認した(略)」>
●日本人スタッフの手で戦艦『武蔵』を“発見”すべきだった
上記の言い方からすると、第一発見者は別のアメリカ人という主張なのだと思いました。ただ、そもそもこの実行委員の人自身、当時の"深海の映像撮影や現場探索"はスポンサーを探したものの、"金額面で折り合わずに今まで公表が見送られてきた"と言っていました。別のアメリカ人が発見したと言えない感じがします。
さらに、「4月に在京キー局と連携し水中撮影する予定でいた矢先に、突然アレン氏の発表があった」とした上で、「実行委員会は戦後70周年の戦没者慰霊の象徴とする目的で、日本人スタッフの手で戦艦『武蔵』を“発見”すべきだと考えて長い間、準備してきた」とも言っていました。
これだとやはり別のアメリカ人も発見できていなかったという認識です。また、記事では、"船影の沈没地点は、アレン氏が武蔵を発見したという場所と水深が少し違うだけでほぼ同じだというが、実際に潜ってみなければわからないのが本当のところ"という否定的な書き方もしていました。
しかし、引用された発言に限って見てみると、実行委員は「誰々が発見した」とは言っていないようです。ひょっとしたら、もともと日本人団体も「第一発見者が別」という主張はしておらず、週刊ポストが勘違いしているのかもしれません。
(検索したものの、「戦艦武蔵発見プロジェクト実行委員会」の話はこの記事以外に見つかりませんでした)
●自民党有志が戦艦大和の引き揚げ検討 税金の無駄遣いや墓暴きと批判
2015/7/28:戦艦武蔵に関しては、墓荒らしという批判が出ていたのですが、
戦艦大和の引き揚げ模索=自民有志、実現には壁も 時事通信 / 2015年7月26日 14時28分という記事も来ました。
<鹿児島県沖の東シナ海に沈没している旧日本海軍の戦艦「大和」の船体の一部引き揚げや乗組員の遺骨収集を国の事業として実施できないか、自民党有志議員が検討している。戦後70年の節目に、不戦の誓いを新たにするのにふさわしいとの理由からだ。(中略)
有志は党内に調査研究会を設置し、今月16日には大和ミュージアム(広島県・呉市海事歴史科学館)の館長や政府関係者からのヒアリングに着手した>
ただし、"政府は引き揚げや遺骨収集には慎重"です。"遺族の中でも引き揚げを望む声がある一方で、「そっとしておいてほしい」という意見"もあるとのこと。
政府に関して言うと、戦没者の遺骨収集を所管する厚生労働省は「航行中の死亡者は水葬に付すことが広く行われてきていました。@『海がお墓』との認識に基づき、収容は原則的には行えない」と説明。文化庁は沈没地点が領海外のため、文化財保護法を適用した調査などはできないとの立場です。
この件へのネットの批判としては、こういったものではなく、「税金の無駄遣い」がパッと見では目立っていました。私もこちらの観点の批判に共感を覚えます。ただ、戦艦武蔵のときには「墓暴き」「墓荒し」的な批判がもっと多かった覚えがあるので、それ系の批判の少なさにあれ?とは思いました。
●英霊たちの尊厳への冒涜だ!批判していた人たちはどこへ?
今回の件でも探してみると、「墓暴き」批判はあるにはありましたがやはり以前ほど目立ちません。「墓暴き」系の批判をする人は自民党好きの人が多い印象があります。今回「墓暴き」批判が少ないのは、自民党議員が検討しているからかもしれません。
とりあえず、この前の戦艦武蔵の「墓暴き」批判の例としては、産経新聞社の夕刊フジによる
戦艦「武蔵」引き揚げに艦長の遺族が反対 「海は墓場、英霊たちの冒涜に」 (1/2ページ) - 政治・社会 - ZAKZAK 2015.06.10という報道を載せておきます。今回こういった批判は鳴りを潜めていますね。
フィリピン沖の海底に沈む、旧日本軍の戦艦「武蔵」を引き揚げようという計画がある。武蔵を発見した、米マイクロソフトの共同創業者で、世界的大富豪のポール・アレン氏が表明しているものだが、複雑な思いを感じている遺族は少なくない。艦と運命をともにした最後の艦長、猪口敏平(いのぐち・としひら)海軍中将の遺族が、夕刊フジに思いを語った。
「海軍軍人の遺族にとって海は墓場であり、武蔵はいわば墓なんです。それを引き揚げることは、静かに眠る英霊たちの尊厳を冒涜(ぼうとく)することになる。到底容認できません」
猪口艦長の四男、勇さん(75)はこう語る。(中略)
海軍軍人は当時、海に生き、海に死すのが宿命とされた。勇さんとしては、遺骨収集を望む気持ちもあるが、海軍軍人の墓場である海で、父と兄には安らかに眠ってほしいという思いが強い。
「遺族としては、アレン氏の個人的な興味のために、肉親の御霊がないがしろにされるのはたまらないのです」と、勇さんは語っている。 (ジャーナリスト・岡村青)
●墓荒らし批判も 戦艦大和の引き揚げ検討や大洋丸発見の探査
2018/08/25:戦艦武蔵での批判でいうと、これもダメじゃない?と思ったのが、
太平洋戦争で沈んだ悲劇の客船「大洋丸」を追え!東シナ海から海底探査を生中継 - 2018/08/23(木) 08:30開始 - ニコニコ生放送でした。
ただ、「本調査は御遺族の方の要請を受けて実施しております」としているのでOKという感じでしょうか。左記の戦艦武蔵や戦艦大和も一部の御遺族の同意が得られれば問題なしとなりそうです。
なお、悲劇の…というのは、戦中、占領した東南アジアの資源開発等のため、商社マン・技術者などを乗せて出発したものの、出発間もない1942年5月8日、アメリカの潜水艦によって魚雷攻撃を受け東シナ海で沈没、800人以上が犠牲となったということです。
戦時とは言え、民間船を襲うのはひどいと思ったのですけど、
大洋丸 - Wikipediaによると、「太平洋戦争開戦後は日本陸軍の輸送船となった」とあり、大洋丸について言えば、そもそも民間船という扱いではなかったのかもしれません。
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