●今の若者はダメ?やりたい仕事がないままに就職活動をしている
2015/3/19:
就活で内定が多いのは、長男長女・次男次女・三男三女以降のどれ?で使った記事、
「長男長女」と「次男次女」どちらが就活に強い?|ダイヤモンド・オンライン2014年4月24日)。ここででは、他にも驚く話がありました。
作者である販促コンサルタントの竹内謙礼さんは、就活生たちは、具体的にやりたい仕事や将来像を描きながら就活をしているように思えるかもしれないが実はそうではないとしていました。「やりたい仕事」という意識よりも「就職しなくてはいけない」という義務感や責任感のほうが強いという分析です。
例えば、
就活で内定が多いのは、長男長女・次男次女・三男三女以降のどれ?の話で言えば、一人っ子を含めた長男・長女は就職しなくてはいけないという責任感の現れが強く、次男・次女にはそこまでの義務感がないといった説明でした。
●子供の頃からやりたい仕事がある人ほど就活で内定をとれない?
ただ、竹内謙礼さんは「いやいや、就活生たちは仕事に対して大きな希望と夢を持っているよ」という反論も想定。それに対する再反論が今回のテーマです。内定を3つ以上獲得した学生100人と、内定0のままで就活が終わってしまった学生100人に「やりたい仕事」をイメージし始めたのはいつですか?と質問したときの答えが、非常に予想外のものだったんですよ。
幼稚園 内定3 4人 > 内定0 1人
小学校 内定3 5人 < 内定0 7人
中学校 内定3 5人 < 内定0 8人
高校 内定3 20人 < 内定0 23人
大学 内定3 58人 > 内定0 30人
その他 内定3 8人 < 内定0 31人
このデータの内定3の人数を内定0の人数でそれぞれ割った数字で表してみたのが以下です。
<内定3の人数/内定0の人数>
幼稚園 4.00
小学校 0.71
中学校 0.63
高校 0.87
大学 1.93
その他 0.26
「幼少期の頃から、将来の仕事について具体的にイメージしていたほうが就活に強い」というのが、一般的な認識だと思われます。私は嫌でしたが、学校でも将来やりたい仕事についての授業を行うことがあります。ところが、上記はあまり早くからイメージを具現化できていた人が有利…という感じにはなっていません。
なりたい仕事が小さいうちからあるということが、就職活動で有利に働いていないように見えるというこの結果について竹内さんは、調査結果からは、将来の仕事に対して早くからイメージできたからといって、就活に有利になるという根拠は見当たらなかった、とまず書いています。
その上で、"むしろ、内定を3つ以上獲得した人で、将来像をイメージする時期で一番多いのが「大学生」"だとしていました。私もこのデータを見ると、早くから自分のやりたい仕事を固定させてしまった人の方が、就活で苦戦していると感じてしまいました。
●やりたい仕事がある方が可能性を狭めるために逆効果になるのか?
このように世間のイメージと真逆の結果になった理由は、よくわかりません。適当に予想してみると、思い描いていた職業以外への就職活動をしないなど最初から可能性を限定してしまうとか、希望分野以外の就職活動をしたとしても身が入らないなどでモチベーションが低下するとかでしょうか?
ちょくちょく言われるように、たった10年間という間も結構な仕事が失くなってしまいます。希望を持つことは悪ではありませんが、小さい頃から無理して将来の仕事を決めなくては…とさせる大人側の行動もおかしいのかもしれません。
私は程度問題だと思っていますが、むしろ自分に合った仕事などというものは作らない方が良いと言っている人すらいます。自分に合う仕事があってそれに就くのではなく、仕事が人を作っていくのだという考え方です。養老孟司さんなんかはよくそういったことを言っている人。養老さんは「自分探し」みたいな言葉も嫌う方です。
養老孟司氏 ~未来を変える選択~ - WISDOM 2013年01月28日
仕事についての考えを聞いてみたとき、圧倒的多数の学生が「好きなことを仕事にしたい」と答えました。気持ちはわかりますけど、好きなことって、はっきりしているようで実は明確になっていないものなんですよ。なにかの仕事をしようとすると大抵の場合、あらゆることをしなければならなくなるからです。たとえば医学部へいったら、患者さんを診ますよね?でも患者さんは向こうから好き勝手に来るものですから、医者は自分の好きなことができるとは限りません。「心筋梗塞の患者しか診たくない」っていってもダメなわけです。 (中略)
私も、好きなことはなんなのかということについての結論を出すまでには、かなり時間がかかりました。10年以上かかったかもしれない。で、出た結論は、「好きなことをやりたかったら、やらなきゃならないことを好きになるしかない」ということです。つまり、仕事を変えるのと自分を変えるのとでは、どっちが楽なのかという話。だったら自分を変えちゃって、「俺はこれが好きなんだ」って思い込んだほうがいいんです。
私はそこまで極端ではなく、適性というのはあると思っています。得意不得意というのは必ずありますからね。しかし、自分はこれしかできない…みたいに頑なになって可能性を潰してしまうことについては、やはりオススメしません。これは今の会社側の面接も悪いんですけどね。そういう方向性に持っていくような質問をしています。
●将来の仕事をイメージするのが遅ければ遅いほど良いわけでもない
一方、調査結果を見ると、将来の仕事をイメージするのが遅ければ遅いほど良いというわけでもないと思われます。圧倒的に内定獲得状況が悪かったその他(内定3 8人<内定0 31人)には、就職活動期間の最後まで自分のやりたい仕事のイメージを作ることができなかった人が多数含まれていると考えられます。
作者も"内定0の人たちに至っては「その他」という時期に回答が集中しており、最後までやりたい仕事が見つからなかったというのがこの調査結果からも判明した"と解釈していました。大学生になってから必死に悩んである程度やりたい仕事をイメージしていく…といったくらいで、ちょうど良さそうに見えます。
ただ、なぜ早くから「やりたい仕事」をイメージし始めた人たちの内定獲得が悪いのかを掘り下げないと、あまり的確なことは言えないでしょうね。仮にやりたい仕事がある方が可能性を狭める…といった前述の私の推測のようなものであれば、可能性を広げる努力をするといった対策ができそうですから、やりたい仕事がある人も悲観することはないと思われます。
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