リニア中央新幹線の推進はビジネス的には不可解なところがあり、JR東海は外国人投資家の買いが少なく、株価もあまり上がっていないという指摘がありました。
また、外国人投資家だけではなく、地元民からも不満の声が出ていました。その中でも英語名称ではJR東海ではなく、中日本というかなり営業地域と異なる名称を使っているという指摘がおもしろかったです。(2015/3/20)
2017/12/12追記:リニア新幹線で不正入札、JR東海社員が情報漏えいか?
●JR東海が外国人投資家に嫌われる理由はリニア中央新幹線
2015/3/20:
外国人投資家にJALとJR東海が嫌われるワケ|ダイヤモンド・オンライン(2014年9月26日)という記事が以前ありました。ただ、一度倒産しているJAL(日本航空)は意外性はないと思われます。
一方、意外性があるのがJR東海の方です。何しろJR東海の"14年3月期の営業利益率は29.9%で、JR東日本の15%、JR西日本の10.1%をはるかに上回る"というものでした。むしろ優良な会社に見えます。
それなのに、"外国人持ち株比率は20.9%と、JR東の35.5%、JR西の31%をはるかに下回って"います。安倍政権の株高政策は外国人投資家狙いと揶揄する人もいますが、その外国人に嫌われているためにJR東海はあまり値上がりしていないという分析でした。
この外国人投資家らがJR東海を嫌う理由というのは、リニア中央新幹線だそうです。
●リニア中央新幹線は不要で意味不明、既存の新幹線と共食いするだけ
リニアはまだまだ先の話ですので、"外国人投資家といえば、短期の利益獲得を目指すというイメージ"とは合いません。ただ、実は"意外と長期的な視点に立っていることが分かる"と記事では書いていました。
メリルリンチ日本証券の土谷康仁リサーチアナリストは、"多くの外国人投資家が、リニア中央新幹線が成功するかどうかに大きな疑問符をつけている"理由を3点で説明しています。
①なぜ既存の新幹線があるのに新たな新幹線を建設するのか
②なぜ人口が減るのに建設するのか
③なぜ巨額の事業を民間会社が独力でやり、かつ採算性に問題はないのか
総工費5.4兆円は、"27年までの13年間に割れば、1年当たり4000億円強"。"人口が減少し日本経済の成長が見込めない中では新規需要は増えず、既存の新幹線から顧客が振り替わるだけ、と危惧"しているようです。
●リニア新幹線は税金を使わない…は嘘
土谷さんによると、JR東海も以下のように"説明しているが、外国人投資家はなかなか納得し"てもらえないとのこと。
①既存の新幹線は開業からちょうど50年が経ち、耐用年数と大地震対策を考えれば新たな新幹線が必要
②旅客数は人口よりも景気と連動している
③政府の支援を受ければルートや停車駅の設置などに関して政治の介入を招きかねない
リニア新幹線ができれば乗る人が多いと思われます。しかし、それは即採算を取れるという意味ではありません。外国人投資家の疑問はもっともでしょう。
あと、「民間会社が独力」「政府の支援を受ければ」などとあり、国からお金が出ていないかのように書いていますが、実際にはJR東海は不動産取引税などの免除を求めており、実質的には国に負担を求めています。国民にとってもお得かどうか?というのはもう少し検討が必要でしょう。
●JR東海が地元民に嫌われる理由
この国民…というかユーザーに関しては、はてな匿名ダイアリーで
JR東海にお願い(2014-11-02)というのが出ていました。
こちらは特にリニア中央新幹線に特化した話じゃないんですけど、いろいろと不満があるんだなぁと思って読んでいました。
JR東日本と仲良くしてください。
東京に本社を置けなかったのがくやしいのかもしれないけど、利用者不在の争いはやめてください。
以降が「JR東日本となかよしになったら、次の施策をお願いいたします」という具体的な話。ただ、まあ、私にはよくわからん話が多かったのでほとんど割愛。今回のリニア絡みなら以下がありました。
東海道新幹線のJR東日本とJR西日本への譲渡
リニアできたら、古臭い新幹線はいらないよね!
ついでに東海道本線はJR貨物に譲ってください。
●本当は東海地方が嫌? JR東海の英語名称はJR中日本の意味
へー!と思ったのが、英語表記の話。
英語表記の訂正
どうしてJR CENTRALなのですか。何でJR TOHKAIじゃないのですか。東海に誇りをもっていただきたく。
意訳が過ぎると思うので、CENTRALを使うのなら、日本語のほうをJR中山道か、JR中部でお願いします。
公式サイトは確かに
JR東海 Central Japan Railway Companyというタイトルで、URLも以下の通りでした。
http://jr-central.co.jp/ 東海旅客鉄道 - Wikipediaでもわざわざ言及されていました。
東海旅客鉄道株式会社(とうかいりょかくてつどう、英: Central Japan Railway Company)は、1987年(昭和62年)に日本国有鉄道新幹線総局・静岡局・名古屋局から鉄道事業を引き継いだ旅客鉄道会社の一つである。通称はJR東海(ジェイアールとうかい)、英語略称はJR Centralで、JRグループ6社で唯一日本語商号・通称(東海)と英字商号・略称(Central Japan・中日本の意)で地理的な意味が異なっている。
"営業エリアは東海道新幹線、および神奈川・静岡・山梨・長野・愛知・岐阜・富山・滋賀・三重・和歌山の10県12線区にまたがる東海地方の在来線"であり、「中部」よりは「東海」が妥当だと思われます。
営業範囲の地図を見ると、文字で見るよりもさらに東海中心だということがはっきりわかります。これで「JR Central」を名乗るというのは、確かに不思議ですね。
東海地方の人にとっては地元への愛が感じられない気がして、あまり気分は良くないのかもしれません。
●リニア新幹線で不正入札、JR東海社員が情報漏えいか?
2017/12/12追記:どこに追記するか迷ったのですが、適当にここに決めました。リニア中央新幹線に関連する建設工事の入札をめぐって不正が行われた疑いがあるとして、東京地検特捜部は偽計業務妨害の疑いで関係先として大手ゼネコン「大林組」の本社などを捜索し、強制捜査に乗り出したそうです。
この報道の中で、「リニア新幹線は税金を使わない…は嘘」を補足する話がありました。国は建設を資金面で支援し、全線開業の時期を計画より最大で8年前倒しする方針だとされていました。やはり税金がたくさん使われそうですね。
(リニア関連工事の入札 不正疑いで強制捜査 NHK 12月9日 13時03分より)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171209/k10011252641000.html
この報道では当初、JR東海は困惑しているといったものが多かったです。ただ、発注元のJR東海の担当社員が、名古屋市内の非常口建設工事の入札にあたり、大手ゼネコン「大林組」に工事費に関する情報を漏らした疑いのあることが関係者の話でわかったとのこと。被害者面していたけど、身内の問題だった可能性が高まってきました。
(リニア JR東海社員が漏洩か 2017年12月12日 07時21分 読売新聞より)
https://news.nifty.com/article/domestic/society/12213-20171211-50085/
入札は、広く参加企業を募る「公募競争見積方式」で行われました。企業から施工方法などの技術提案を受けたJR東海が、見積価格などと合わせて総合評価します。しかし、大林組は、担当社員から工事費の見積もりに関する情報をもらっており、得た情報を基に見積価格を算出していたようです。
あと、記事では、「大林組は、担当社員から得た情報を基に見積価格を算出し」に続けて、「契約価格についてJR東海と協議したとみられる」と書いていました。この部分の意味がわかりづらかったのですが、1人の社員だけではなく、もっと組織的にJR東海が不正入札に関わっていたということなんでしょうか?
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