2019/07/14:
●子供にお小遣いのやりくりを学ばせると将来お金持ちになれない?
●お金は労働の対価…働かずしてもらう金で何を学べるのか
●1ヶ月後も気持ちが変わらなければ考える…ただし買うとは言っていない
●ユダヤの裕福な家庭の子どもたちもお小遣いはもらっていなかった!
●子供に学ばせる…の前にまず親が身につけるべき考え方
●子供にお小遣いのやりくりを学ばせると将来お金持ちになれない?
2019/07/14:
お金持ちほど高い…ではなく安い?子どもの小遣いの平均値・相場で、「高所得層ほど、お金に対する哲学を持っていて、安易にお小遣いをあげない」という説が出てきて、よく言われる「お金持ちになるにはこうしなさい」系の人気のあるアドバイスだと書きました。
ということで、そういう話も一つ書いておこうと思い検索。労せずして3つほど出てきました。やっぱり人気ですね。まず、
「子どもに毎月お小遣い」はNG!富裕層の“お金教育”とは | ビジネスジャーナル(2019.02.08)という記事から。これは、『
あなたと子どものお金が増える大金持ちの知恵袋30 (単行本)
』が元ネタだそうです。
お小遣いは、子供がお金について実体験で学べる良い機会。そこで、「毎月のお小遣いのなかでやりくりしなさい」としてお小遣いを渡す…というのは、たいへん良さそうな子供の育て方に見えます。
しかし、上記書籍の作者である元メガバンク支店長で「お金の町医者」として全国の講演会で講師として活躍中だという菅井敏之さんによると、これはむしろダメなんだそうな。これらの言葉を頻繁に子どもにかけてしまっていると、将来、お金に困る大人になる可能性があるので要注意だとされていました。
菅井さんによると、今後お金に困らない人は「経営者目線」を持っていることが重要。「定額お小遣い制」は、経営者目線とはまったく逆の雇われる側の目線だからダメだという説明。経営者から「この予算でやりなさい」と言われるサラリーマンになってしまってるってことでしょうね、たぶん。
じゃあ、小遣いなしで、子供がほしいものがあるときは都度交渉するってことかな?と思ったら、そういった代替案的な説明はいっさいなし。お定額小遣いはNGという話だけでした。困っちゃいますね。
●お金は労働の対価…働かずしてもらう金で何を学べるのか
では…ということで、別記事を。
子供にお小遣いをあげるのがNGな理由 | MONEY TIMES(2019.5.9)という記事も検索ではヒットしていました。元ネタがいっしょだとどうしようかと不安に思ったのですが、幸い別だったので安心。こちらは酒井レオさんの
全米No.1バンカーが教える 世界最新メソッドでお金に強い子どもに育てる方法
の紹介記事でした。
こちらによると、日本で売れている子育て本を手に取ると、かなりの確率で「小学生になったらお小遣いをあげる?あげない?」というテーマを目にするとのことで、そもそも人気のテーマなんですね。
で、酒井レオさんが小遣いをあげるべきではないという理由は、お金は労働の対価であり、何の労働も提供していないのにもらえるのはおかしいから、とのこと。やりくりで覚えるという話についても、以下のように否定していました。
<お小遣いを管理することで、お金との付き合い方が身につくというのがお小遣いをあげる派の言い分ですが、お金の本質を知らないまま付き合い方だけ学んでも、将来、お金を生み出す子どもにはなれません>
なので、家庭内アルバイトによってその対価によってもらうというやり方が良いとのこと。胡散臭い説明はともかく、こういうやり方自体はアリですよね。悪くないと思います。アルバイト制はさっきの人に、「サラリーマン思考だ」と叩かれそうな気がしますが…。
●1ヶ月後も気持ちが変わらなければ考える…ただし買うとは言っていない
こちらでもう一つおもしろいと思ったのは、ほしいものをねだると、酒井さんの家庭では「1ヶ月経っても欲しい気持ちが変わらなければ、そのときに考えましょう」と言われるという話。ほしい気持ちは持続しないこと、本当に必要なのか考えることは大事なこと…といった話がありました。
我慢できる子ほど将来成功しやすいことが研究でわかっているので結構いいなと思うのですけど、経済学では現在の1万円と1ヶ月後の1万円では価値が異なることが知られています。当然、現在の1万円の方が価値が高く、もらえる時間が遅くなるほど価値が下がっていきます。例えば、ゲームなんかでも1ヶ月プレイできない時間が出てくるわけで、1ヶ月後も同じ価値ということではありません。ちょっとそこらへんは気になりますね。
あと、上記には続きがあり、1ヶ月経っても欲しい気持ちが継続しているときは、そこから交渉が始まるという話もありました。これは最初の記事のときに私が感想で書いた「都度交渉」のスタイル。プレゼンテーション能力は万事において大事であり、意図は理解できます。
●ユダヤの裕福な家庭の子どもたちもお小遣いはもらっていなかった!
…といった話なんですけど、こういった話はデータ的な根拠が無いんですよね。本来なら子供の頃の小遣いのもらい方と将来の年収とを比較した研究論文などが必要です。
また、これも結局お金持ちの子が将来お金持ちになるとは限らないためかなり弱いものの、「お金持ちの家庭ではこうしている」というデータがあればまだマシだったでしょう。この手の話ではよく「ユダヤではこうしている」というネタがあり、酒井さんもそのスタイルでした。
<同級生にたくさんいたユダヤの裕福な家庭の子どもたちも、お小遣いはもらっていませんでした。経済的にゆとりのある家庭ほどお小遣いをあげていない、というのが昔から変わらない僕の印象です>
ただ、これは「僕の印象です」とあるように、データ的な根拠はなし。人間はバイアスが大きく、経験論はあてになりません。ユダヤ人じゃない人でもお金持ちがたくさんいるけど彼らはどうなの?といった疑問も出てきます。前述のようにきちんとしたデータで見たいところです。
●子供に学ばせる…の前にまず親が身につけるべき考え方
日本人に関して言うと、
お金持ちほど高い…ではなく安い?子どもの小遣いの平均値・相場では、使えそうなデータがありました。高年収の世帯でお小遣いが少ないところが一部で見られており、実を言うと、最初に書いた「高所得層ほど、お金に対する哲学を持っていて、安易にお小遣いをあげない」という説はこれに絡んで出てきたものです。
ところが、これはインチキなところがあり、そもそも「高所得層ほどお小遣いが少ない」と言えるほど、一貫した傾向は見られませんでした。もしあれば追記しますが、残念なことに今のところデータ的な根拠は何もないと言って良いでしょう。
お小遣いのあげ方で子供に何か学ばせようという気持ちはわかりますし、今回は一見それっぽい話がたくさん出てきました。ただその前に親世代には、データや研究論文などの根拠で考える癖をつけてほしいと思います。
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