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日本の所得ジニ係数を見ると日本の所得格差は拡大傾向 原因は?


2015/3/30:
●所得格差は問題ない!と主張する人が触れない指標
●日本の所得ジニ係数を見ると日本の所得格差は拡大傾向
●日本の格差は暴動が起こりまくっておかしくないレベル
●ジニ係数は完璧ではない…問題点・短所がある
●日本の所得再分配改善が痛みを伴う理由
2018/12/14:
●所得再分配後に所得格差是正どころか悪化…が多い日本


●所得格差は問題ない!と主張する人が触れない指標

2015/3/30:ピケティさんのおかげで、最近は所得格差の話が話題になるようになりました。ピケティ論の嘘 所得格差ではなく総資産が問題、高橋洋一などの間違いで見たように、ピケティさんの場合最も重視しているのは資本の格差なのにもかかわらず、「日本では所得格差は広がっていない!」というずれた反論記事も多いです。

 そういった記事で不思議だったのは、所得格差を見るときに一般的なはずの「ジニ係数」に関する話題がなかったこと。ジニ係数はWikipediaでは以下のように説明されています。
ジニ係数 - Wikipedia 最終更新 2015年1月21日 (水) 18:18

ジニ係数(ジニけいすう、英: Gini coefficient)とは、主に社会における所得分配の不平等さを測る指標。ローレンツ曲線をもとに、1936年にイタリアの統計学者、コッラド・ジニによって考案された。所得分配の不平等さ以外にも、富の偏在性やエネルギー消費における不平等さなどに応用される。(中略)

ジニ係数がとる値の範囲は 0 から 1 で、係数の値が大きいほどその集団における格差が大きい状態であるという評価になる。特にジニ係数が 0 である状態は、ローレンツ曲線が均等分配線に一致するような状態であり、各人の所得が均一で、格差が全くない状態を表す。

●日本の所得ジニ係数を見ると日本の所得格差は拡大傾向

 Wikipediaでは、"厚生労働省の平成17年度所得再分配調査の結果から計算したジニ係数の1993 - 2005年までの推移"を載せていました。以下の3つのジニ係数があり、世帯人員数を考慮に入れた補正を行ったものです。

・「直接税、社会保障給付金、現物支給」の再分配を考慮した所得のジニ係数
・「社会保障給付金、現物支給」の再分配を考慮した所得のジニ係数
・当初所得のジニ係数

 これらのジニ係数はすべて右肩上がり、つまり、格差は拡大傾向にあるとのこと。また、第1章 家計負担の現状と教育投資の水準:文部科学省でも、"各種統計から見て,ジニ係数は年々増加。所得格差は緩やかに増大しつつある"と結論づけていました。


●日本の格差は暴動が起こりまくっておかしくないレベル

 ここでは以下4つのデータを元にジニ係数を算出していました。傾きには差があるものの、やはり右肩上がりの傾向は同じです。

1.総務省「全国消費実態調査」,厚生労働省「所得再分配調査」,「国民生活基礎調査」により作成
2.年間収入(全国消費実態調査)は,勤め先収入,営業収入,内職収入,公的年金・恩給,農林漁業収入などを含む。税金が除かれる前の所得。
3.年間所得金額(国民生活基礎調査)は,各年次の1 ~ 12月の稼働所得(雇用者所得,事業所得,農耕・畜産所得,家内労働所得),公的年金・恩給,財産所得,雇用保険,その他の社会保障給付金,仕送り,企業年金・個人年金等,その他の所得の合計額をいう。税金が除かれる前の所得。
4.当初所得(所得再分配調査)は雇用者所得,事業所得,農耕・畜産所得,財産所得,家内労働所得及び雑収入並びに私的給付(仕送り,企業年金,生命保険金等の合計額)の合計額をいう。また,再分配所得(所得再分配調査)は当初所得から税金,社会保険料を控除し,社会保障給付(現物給付を含む)を加えたものである。

 さらに、Wikipediaにあった2011年の結果は衝撃的でした。
厚生労働省が調査したところによると、2011年のジニ係数は0.5536であった。0.5~0.6は「慢性的暴動が起こりやすいレベル」と言われ、社会騒乱多発の警戒ラインとされる0.4を現状では大幅に上回っており、日本が危険水域に入っていることがデータで示されている。

●ジニ係数は完璧ではない…問題点・短所がある

 ただ、ジニ係数というのは弱点も多いようです。最初にジニ係数に触れている記事がないという話をしましたが、論者にとっては聞きたくない話なので無視していたというわけではなく、問題点を考慮して敢えて話していない可能性もあります。

<留意点>

・同じジニ係数で示される状態であっても、ローレンツ曲線の元の形が著しく違えば、実感として感じる不平等さがまったく変わってくる可能性がある。
・税金や社会福祉などによって再分配機能が充実した国の場合、初期所得(税引き前の給与)でのジニ係数と、所得再配分後のジニ係数が異なる。

 日本の場合、最大の原因とされているのは、「高齢化」のようです。高齢化によるジニ係数悪化だって憂慮すべきものなのですが、通常の感覚で言う「所得格差の拡大」とはイメージがだいぶ異なるのではないかと思われます。メディア的にも目の敵にしづらいものですしね。


●日本の所得再分配改善が痛みを伴う理由

 Wikipediaでは、"所得再分配調査の結果に寄れば、日本のジニ係数は、当初の高齢化によるとされる急激な上昇分を、社会保障の再分配によってほとんど吸収している"としていました。

 じゃあ、問題ないってこと?と言うと、そうではありません。実を言うと、日本の再分配は十分ではないようです。"日本の租税による富の再分配機能が弱まっているために、ジニ係数の上昇を早めている"とも書かれていました。

 富の再分配を強めるべき!という意見そのもには、賛成する方が多そうです。しかし、実は受け入れ難そうな話もここには含まれています。

 Wikipediaで最初に挙げていた富の再分配機能が弱まっている原因は、「中間所得層に対する税率が、経済協力開発機構(OECD)各国に比べて低すぎること」だとしていました。高所得層ではなく中所得層の税金を上げろというのです。これは反発が大きいでしょう。

 一方、「若年労働層に対する社会保障が、老人に比べると少ない」こと、「養育に対する財政支援も少ない」ことで、「子育て世帯の貧困率を高めている可能性がある」という指摘は、老人以外は受け入れやすい対策だと思われます。


●所得再分配後に所得格差是正どころか悪化…が多い日本

2018/12/14:その後、日本だけ!所得再分配後に所得格差是正どころか悪化 貧困率や平均対数偏差といった話をやっています。前述のWikipediaの書き方以上に、日本の所得再分配には問題がありそうな感じ。

 というのも、貧困率が再分配後に悪化している例、平均対数偏差で再分配後に悪化している例、夫婦世帯の貧困率が再分配後に悪化している例が見つかっているためです。

 原因の分析としては以下のようなものがあり、やはり中間層の問題も指摘されていました。

(1)労働年齢層(現役世代)への社会保障給付が小さい。また、税による再分配が小さいことも量的にはかなり寄与している。相対的貧困率との関係では、中間層と低所得者の税率の差が小さいこと、中間層の税率が低いため。
(2)労働年齢層(現役世代)への社会保障給付が少ない中、少子化対策として注目されている家族政策支出等が小さい


【本文中でリンクした投稿】
  ■日本だけ!所得再分配後に所得格差是正どころか悪化 貧困率や平均対数偏差
  ■ピケティ論の嘘 所得格差ではなく総資産が問題、高橋洋一などの間違い

【関連投稿】
  ■ビジネス・仕事・就活・経済についての投稿まとめ

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