近年は猫が人気のせいか、マスメディアで怪しい猫関係の論文が紹介されることがちょくちょくあります。今回紹介するのはそういう胡散臭いもので、猫は人を人だと理解せずに、「大きな猫」だと認識しているという説でした。
2022/06/25追記:
●「猫に仕える」…戦後間もない時期から猫は人間より上だった?
2022/07/11追記:
●猫の習性で人を従者扱いはあり得ない 本当は人を~だと思ってる? 【NEW】


●有名コピペ:犬は人を神と考えるが、猫は自分を神と考える
2017/09/01:最初に猫と犬の人に対する考え方の有名なコピペを紹介。同じように扱われても、犬と猫では考え方が違うというもので、たぶん犬好きではなく猫好きが好むコピペだと思われます。
犬:
この家の人たちは、餌をくれるし、愛してくれるし、
気持ちのいい暖かいすみかを提供してくれるし、
可愛がってくれるし、よく世話をしてくれる・・・。
この家の人たちは神に違いない!
猫:
この家の人たちは、餌をくれるし、愛してくれるし、
気持ちのいい暖かいすみかを提供してくれるし、
可愛がってくれるし、よく世話をしてくれる・・・。
自分は神に違いない!
●コピペと違う?犬は人を神と考えるが、猫は人を「大きな猫」だと認識している説
上記のコピペはネコが人を自分たちとは違うものだと認識している感じです。ところが、ブリストル大学でネコの行動を研究している動物行動学者であるジョン・ブラッドショーさんによると、ネコと人間の関係では、人間を異なる存在ととらえていることを示唆する行動はまだ見つかっていないといいます。
(
ネコは飼い主をネコと思っている? | ナショナルジオグラフィック日本版サイト 2014.01.28より)
このネコの行動のより詳しい説明の前に、イヌの場合どうかということについて。ブラッドショーさんによると、イヌと人間の関係については多くの研究がなされており、イヌは人間に対し、自分たちとは異なる存在ととらえていることが明らかになっているとのこと。イヌは人間を見ると態度を変え、イヌと人間、イヌ同士では全く遊び方が違うとしていました。
私はイヌがイヌに対するような態度を人間に対してもしている場面があると思うので、「人間相手だと全く違う」といった説明はいまいち納得できません。一方で、ネコの場合、人間に対し、社会的行動を大きく変えていないというのは、経験的にもある程度賛同できます。尻尾を立てる、脚にまとわり付く、隣に座る、体をなめるといった行動は、ネコ同士で行っていることと全く同じだと指摘されていました。
●ネコは人間が思っているよりはるかに賢い?
なお、インタビューアーが「ネコは人間を大きくてばかなネコだと思っている」という発言をいくつかの記事で目にしましたと質問していたものの、ブラッドショーさんはこれを否定。ネコがわれわれを不器用だと思っているものの、ばかだと思っていることはおそらくないとしていました。ネコは自分より劣ったネコにすり寄らないためです。
「ネコは人間を大きなネコだと思っている」については、はっきり言っていないので、ブラッドショーさん自身がどう考えているかはよくわからず。「ネコは自分より劣ったネコにすり寄らない」の言い方からすると、やはり肯定しているのでしょうか?
なお、家族の一人を特別扱いする理由について、ネコは人間が思っているよりはるかに賢い動物で、家族の誰が役に立つかを学習しているとブラッドショーさんは説明していました。でも、「人間が別の種類の動物であることすら理解できない」という説は、むしろネコの賢くなさを示している感じです。私はやっぱり腑に落ちない説明だと感じました。


●「猫に仕える」…戦後間もない時期から猫は人間より上だった?
2022/06/25追記:冒頭の有名コピペは「猫は自分を神様だと思っている」というものでしたが、「猫は自分が主人で、人間を従者だと思っている」といったこともよく言われます。
猫―クラフト・エヴィング商会を読んでいたら、戦後間もない時期の『猫に仕えるの記』(坂西志保)という、ユーモアがあるおもしろいエッセイがあったんですよ。昔からそういう感覚があったのかもしれません。
ただ、読んでみると、冒頭は「猫に仕える」ではなく「私は猫に飼われている」といった表現。「猫にこき使われている」といった話や世話を焼く話はありますので従者感はありますけどね。居住地の千葉県我孫子町から東京に出るときは猫のためにお土産(たぶん魚)を買う必要があり、当時は「統制が厳しい時代」で苦労したといいます。
うちの実家の猫も好き嫌いが多くて困っていますが、食事は魚と特殊な輸入品だけで苦労が多いとのこと。一番好きなのはベーコンの入ったチーズ。これはまだわかるものの、熟したオリーブが2番目に好きだというのには驚きました。猫って植物系はあまり好まないと思うので、かなり変わった猫ではないかと思います。
エッセイの最後のところで、この猫が生きているうちは私は死ねないと書き、その理由として、自分の後を継いで、猫に飼われる人間は今日の世界にいないから…と記述が登場。この書き方からすると、どうも「人が猫に仕える」というのは、当時一般的な感覚ではなかったのかもしれません。
●猫の習性で人を従者扱いはあり得ない 本当は人を~だと思ってる?
2022/07/11追記:前回書いた「猫は自分が主人で、人間を従者だと思っている」について補足。犬は群れを作る動物で上下関係を作る習性を持つ一方、猫は単独で生きることが基本で上下関係は作らない動物です。「猫が主人」は俗説や誤解の類であり、猫自身は人間との上下関係を作っているわけではないと思われます。
当初の研究者の話では、猫は人を「猫」だと認識している可能性があり、この説に基づいたとしてもやはり上下関係はなさげ。人間が「猫が主人」だと思ってしまうのは、人間が猫について人間の感覚で捉えてしまうからでしょう。ある意味、猫と同様に人間も相手を違う動物だと理解しきれていないところがあるのです。
一方、猫が人間に対し要求し、あたかも「猫が主人」であるかのような行動を取るのも事実。実家の猫も窓を開けるように盛んに要求します。これはどういうことか?猫が主人である証拠ではないか?と思う人もいるでしょう。猫は普通、他の猫に対してこうした要求をしません。人間を区別できている証拠にも見えるかもしれません。
ここらへんで私が説得力のある説明だと思ったのは、「猫は人間を母猫だと思っている」という説。子猫が母猫になんらかの要求をすることなら自然界でもあります。猫は母猫にするように人間に要求するうちにそれを学習し、大人になっても子猫のように親猫である人間に甘えている…という説明は納得できました。


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