Appendix

広告

Entries

日本企業に不正の伝統 神戸製鋼データ改ざん・東洋ゴム・KYB・三菱マテリアル・東レ・旭硝子など


 当初は、"免震ゴムといえば東洋ゴム!世界に誇る日本の耐震技術のはずが偽装"というタイトルで、東洋ゴムの免震ゴム偽装事件について書いていたもの。あまり読まれなかったので、企業不正事件のまとめにでもしようかと思い、他の企業のデータ改ざんなどの不正事件を入れました。(2017/10/09)

(長くなったので、新しいものは、企業不正、クボタが改ざん 日本郵船系の日本貨物航空は虚偽記載、運航停止が長期化でまとめています)

2022/06/14追記:
●計測器を細工するなど…名門・川崎重工業系で38年間も検査不正 【NEW】
2017/10/14追記:
神戸製鋼、福島第二原発向けの配管でも改ざん
2017/10/20追記:
高度経済成長期から不正を続けていた神戸製鋼
EU当局、航空機メーカーに神鋼製品の使用停止を推奨
2017/11/24追記:
三菱マテリアル系もデータ改ざん 判明から出荷停止まで半年以上かかった謎
2017/12/03追記:
不正問題で苦言を呈していた経団連会長の東レ系でも不正、一転だんまり
2018/01/11追記:
●ガラス最大手旭硝子系が検査せずに品質保証書 顧客に虚偽説明
2018/05/25追記:
日本ガイシが顧客と約束した検査せず…その数なんと1億個!
2018/06/08:
宇部興産にも品質不良製品を捏造改ざんする「伝統」
2018/06/09:
三菱マテリアル、軽視して隠蔽した不正でJIS認証取り消しに
2015/3/31(最初の投稿):
日本の耐震技術が世界をリードしている
ゴム・タイヤメーカーが支える耐震技術?
世界でも有数の地震国、日本だからこそ育った東洋ゴムの免震積層ゴム
2018/10/17:
地震大国の日本でまた免震装置の不正!KYBがデータ改ざん


●計測器を細工するなど…名門・川崎重工業系で38年間も検査不正

2022/06/14追記:「組織ぐるみ」と報じているところもあった川崎重工業子会社・川重冷熱工業(大阪市)で起きた38年間の長期にわたる検査不正。子会社で検査不正発覚の川重 グループ内調査に続いた「隠蔽」、現場に罪の意識なく|神戸新聞NEXT(2022/6/7)では、新幹線亀裂問題と絡ませて書いていました。

<2017年に起きた同社製新幹線台車の亀裂問題を受け、グループ全体を対象にした調査ではあぶり出せていなかった。「調査が不十分だったと反省している。コンプライアンスの再点検をしたい」。7日、オンラインで記者会見した同社の渡辺達也専務執行役員は繰り返した>
<川重は、2017年の新幹線台車亀裂問題を受け、グループ全社を対象に品質管理などの調査を続ける。それでも、今回の不正は拾い切れていなかった。渡辺氏は「隠蔽されていたのか」との問いに「その通り」と答え、「不適切行為を止められず、結果的には十分な活動になっていなかった」と言葉を絞り出した>

 不正があった「吸収式冷凍機」は、ビルなどの空調システムに使う川重冷熱の主力製品。不正内容は以下のようなもので、計測器を細工するということもやっているのには驚きます。なおかつここまでやっても罪の意識がない…というのは、ちょっと倫理観がやばすぎるような気がします。

<出荷前の検査で実際に計測していないデータを顧客に伝えるなどの不正は、少なくとも1984年から続いていた。会見では、顧客が検査に立ち会う前に、同社の担当者が計測器の目盛りをずらす細工も施していたと説明。また、カタログや仕様書でJISが定める性能を満たさないのに、準拠しているように偽る記載もあったとした。
手法は現場で代々受け継がれていたといい、渡辺氏は「始まったきっかけは不明」としながら、「罪の意識がない状態で行われた」「いい顔をしたかったのかもしれない」とその背景を推測した>

 組織ぐるみ…の関係では、川重冷熱の篠原進社長が1993年ごろから不正を把握しながら放置していたという話も。前任者や先輩から引き継いでいた事実を説明していたそうです。後任の川重出身の森宏之社長は「不正を認識していた人間は上層部も含めて何人かいた」とも説明していました。


●日本企業の不正事件 日産自動車の完成検査の不正、三菱自動車やスズキの燃費不正

2017/10/09:最近は、日産自動車の完成検査の不正があり、その前には、三菱自動車やスズキの燃費不正がありました。

関連:日産、完成検査で不正 スズキ燃費不正も三菱自動車同様に問題な理由

 今回の「神戸製鋼所」が不正を行ったアルミ製品や銅製品も、自動車や航空機などに幅広く使われるものだそうで、自動車絡みといえるかもしれません。

 ただ、私が記事のタイトルを見てパッと思い出したのは、自動車よりもこの東洋ゴムの免震ゴム不正だったので、こっちに追加しています。


●神戸製鋼がデータ改ざんの嵐 強度・大きさ・形状・検査回数などで嘘の記載

 NHKによると、神戸製鋼では、ことし8月末までの1年間に出荷したアルミ製品や銅製品の一部で、事前に顧客と取り交わした強度などの基準を満たしていないにもかかわらず、検査証明書のデータを書き換えて出荷したり、必要な回数の検査を行わずに出荷していたとのこと。思った以上に悪質でびっくりです。

 データの改ざんは、アルミや銅製品の製造を行う国内すべての工場である3工場と、子会社の神奈川県の「コベルコマテリアル銅管」の工場の合わせて4か所で確認。一部でやっていたというものではなく、全体でやっていたってことですね。

 ただ、比率としては、神戸製鋼のアルミや銅製品の年間生産量のおよそ4%。こう聞くと少なく感じてしまいますが、基準を満たしてたので、改ざんする必要がなかったなどの理由もあるでしょう。そもそも不正がある時点でヤバイですし、前述の通り、悪質な不正であり、擁護のしようがありません。

 また、基準に比べて強度が足りない場合以外にも不正をやっていました。大きさや形状が契約と異なる場合でも、適切に検査を行って問題がなかったとして出荷。さらに、契約では複数回検査を行わなければならないにもかかわらず、1回しか検査を行わずに、書類上は複数回行ったと書き換えていた例も明らかになっています。安全軽視で、品質が悪く、仕様を守らない上に嘘つきということで、本当ひどいことをしていました。

 ちなみに、子会社として名前が出ていた、コベルコマテリアル銅管は、神戸製鋼55%、三菱マテリアル45%の出資比率で、三菱グループも多少関係しています。問題の製品は、トヨタの他、三菱自動車系の三菱航空機のMRJも採用。MRJは別の理由で、日本のものづくりの低下を示す案件となっており、なんか象徴的な存在になってしまいました。
(関連:延期しすぎの三菱重工のMRJ、違約金地獄に?納入も初飛行も延期連発)

神戸製鋼 アルミ製品などの一部でデータ改ざん 10月8日 18時23分 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171008/k10011172011000.html


●ばい煙データ改ざんなど、神戸製鋼は不正だらけ

2017/10/10:当初の神戸製鋼に関する話は上記だけのつもりでしたが、神戸新聞NEXT|経済|神鋼の不祥事やまず ばい煙値改ざん、違法献金…(017/10/8 22:40 高見雄樹)という記事も発見。以前より不正が多いことで知られた企業みたいですね。

・1999年 総会屋への利益供与が発覚。金銭提供などの商法違反で、元役員らが有罪判決。
・2006年 神戸、加古川両製鉄所で環境基準を超える窒素酸化物などを含むばい煙を排出しながら、測定データを改ざんしていた不正が発覚。担当者が自動記録装置の記録ペンを手で浮かせて印字できないようにするなど悪質な手口も明らかに。
・2009年 加古川製鉄所、高砂製作所、長府製造所で、地方議員の後援会に政治資金規正法が禁じている寄付をしていたことが明らかに。
・2016年 グループの神鋼鋼線工業の子会社で、日本工業規格(JIS)を満たしているように試験値を改ざんしていた問題が発覚。

 あと、不正とは特に関係ないのですが、安倍首相がサラリーマンをやっていた会社としても有名らしく、検索の際に出てきました。私は全然知りませんでしたわ。


●神戸製鋼、福島第二原発向けの配管でも改ざん

2017/10/14:いろんな話を書きたいので一つ一つは短く…と思っていたのですが、神戸製鋼がひどすぎなのでもう少し。まだ増えるんじゃないかと思いますが、改ざんが判明した製品が増えて既にわけがわからなくなっています。

 アルミ製品以外で次々と不正が判明し新たに9製品が判明。これでアルミと銅、鉄粉、液晶画面材料、鉄鋼事業の特殊鋼などが対象になりました。当初は約200社としていた問題製品の納入先は延べ約500社に増加。また、うち4製品の不正は、過去に取締役会で把握しながら公表していなかったと隠蔽していたものでした。
(不正の神戸製鋼、500社に納入 新たに9製品で発覚 - 共同通信 47NEWS 2017/10/13 21:03より)

 笑い事じゃないのですが、乾いた笑いが出たのが、福島第二原発の配管でも改ざんをしていたこと。東京電力の福島第二原子力発電所に納入された交換用の配管でも寸法の記録が改ざんされていたことがわかったそうです。テロみたいなものでしょ、これ? ただ、幸い配管は未使用で、原発の安全性には問題はないとのことでした。

 あと、日立製作所経由でイギリスで製造している高速鉄道の車両に使用、アメリカのGM=ゼネラル・モーターズでも使用するなど、海外にも迷惑をかけています。日本のものづくりのネガティブな宣伝みたいになってしまいました。
(神戸製鋼 福島第二原発の配管でも改ざん 10月13日 16時40分 NHKより
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171013/k10011177061000.html)

2017/10/17:また、国内工場で数十年前から不正が続いてきたという情報も新たに入ってきています。これは日本企業が最近ひどくなったということではなく、元からひどかったって話ですね。マジでめちゃくちゃです。


●高度経済成長期から不正を続けていた神戸製鋼

2017/10/20:なるべく追加したくないのですが、不正ネタが豊富すぎる神戸製鋼問題でまた追加。まず、前回の追記で書いた数十年前の話ですが、より具体的な数字がありました。

 1970年代にアルミ工場に勤務していた元社員によると、40年以上前から不正があったとのこと。取引先が要求した基準から外れたるアルミ板を「顧客の了解を得ないまま出荷していた」と説明。その際、「検査合格証を改ざんしていたようだ」と話しています。同様に関西に住むベテラン社員は「鉄鋼製品では30年以上前から」と証言していました。
(「40年以上前から」元社員ら証言 毎日新聞2017年10月17日 21時18分(最終更新 10月17日 23時26分) 安藤大介、黒川優より)

 バブル崩壊は1991年頃からとされています。40年前なら1977年、30年前でも1987年ですから、日本が高度経済成長を続けていた輝かしい時期にも不正を行っていたということ。日本企業の不祥事の続発について、「最近劣化したのではなく隠されていたことがでてきたけ」とする見方がありますが、それを裏付けるもの。当時から腐ったことをやって稼いでいた日本企業が結構ありそうです。


●EU当局、航空機メーカーに神鋼製品の使用停止を推奨

 あと、海外で日本企業の信頼を失っているという関係では、EU航空機関、神戸製鋼製部材に注意喚起  :日本経済新聞(2017/10/18 11:50)という記事の話を追加。

 欧州連合(EU)の航空機の保守方法の承認や部品の認証などを担う専門機関である欧州航空安全機関(EASA)は17日、欧州エリアで運航する航空会社や整備関連企業に注意を喚起する安全情報を出しました。「整備部品のサプライチェーンを見直す」「代替製品を提供できるサプライヤーがある場合、神戸製鋼製品の利用を安全性が確認できるまで停止する」といった内容が含まれます。

 航空機の運航を規制するような強い内容ではないものの、当面の対応として神戸製鋼製以外の部品採用を促しており、神戸製鋼にとっては打撃となりそうだと記事では、解説していました。ただ、日本全体の信頼喪失にも繋がると思われます。

 ついでにいうと、日本の技術を誇ってた日立製作所の英高速鉄道、初日からトラブルを連発で書いたように、日立の高速鉄道車両でも神戸製鋼製品が使われており、日立のトラブルとダブルパンチで、信頼性を失っている感じ。ボロクソです。


●三菱マテリアル系もデータ改ざん 判明から出荷停止まで半年以上かかった謎

2017/11/24追記:コベルコマテリアル銅管は、神戸製鋼55%、三菱マテリアル45%の出資比率だという話を書いていたら、三菱マテリアルの子会社の方でも同様の不正などが判明しました。法令違反や安全性への疑いは確認されていないとしているものの、もちろんダメですね。以下のような内容だそうです。

・三菱電線工業・三菱伸銅 顧客が求めた品質基準を満たさない検査データを改ざん。
・三菱アルミニウム 不適合品を出荷。
・三菱電線 不正なシール材を出荷。
・三菱伸銅 銅製品のデータを改ざんし出荷。
(三菱マテ系不正 子会社の不正のポイント 毎日新聞2017年11月23日 21時46分(最終更新 11月23日 21時46分)より)

 三菱電線工業の不正では3月には経営陣が把握していたものの、動きは鈍かったようです。社内対策チームが事実関係の確認をはじめたのが5月という遅さ。この時点で致命的ですから、これだけで叩かれて良いほどの対応の悪さです。

 そして、問題製品の出荷をとめたのはなんと10月23日。半年以上不適合品をそのまま出荷し続けていたようです。というか、本来はまず出荷停止して、品質が確認できたものだけを出荷です。順番が違いますわ。

 さらに親会社への報告も10月25日と、出荷停止と同じ頃です。この時期にやっと対応したというのは、神戸製鋼問題のせいでヤバイと思ったせいでは?と邪推してしまいます。神戸製鋼が製品データの改ざんを最初に発表したのは10月8日で、その後盛んに報じられました。そこから慌てて…という説明に合ってしまう遅さです。
(三菱マテに不正報告、7カ月後 神鋼問題で追い込まれ:朝日新聞デジタル 上地兼太郎、高橋克典 2017年11月23日19時38分より)

 仮に神戸製鋼問題がなかったら、今でもまだ不適合品をデータ改ざんしたものを出荷し続けていたかもしれませんね。

2017/12/03追記:ああ、そういえば、三菱も安倍首相に縁があるところでした。
(関連:安倍首相の出身大学である成蹊大学、三菱と関係 就職も有利に?三菱は売国・反日企業…のはずが安倍首相の兄・安倍寛信も三菱グループ)


●不正問題で苦言を呈していた経団連会長の東レ系でも不正、一転だんまり

2017/12/03追記:もうタイトル変更も面倒になってきたので全体のタイトルにはまだ入れていないんですが、今度は経団連・榊原定征会長の出身企業である東レ系で不正が発覚しました。ホテルなどで食品偽造が続出したように、まだ増えるかもしれませんね。

 データを改ざんしていたのは、東レ子会社の東レハイブリッドコード(THC)。契約内容と多少異なっていても顧客の了承を得られれば「トクサイ(特別採用)」という手法で出荷できるのですが、顧客に黙ってデータを改ざん。2008年以降の品質保証室長が、2代にわたり改ざんを行っていました。

 なお、榊原会長は、これまで偉そうなことを言っていたものの、10月28日の時点では、東レの不正については触れなかったとのこと。

神鋼のデータ改ざん問題「メイド・イン・ジャパンへの信認を毀損(きそん)しかねない」と
三菱マテリアルのデータ改ざん「日本の製造業に対する信頼に影響を及ぼしかねない深刻な事態だ」
(東レ、品質責任者自ら改ざん 判明から1年超公表せず:朝日新聞デジタル 山口博敬、友田雄大 上地兼太郎、高橋克典 編集委員・堀篭俊材 2017年11月29日04時58分より)

 このことを含めて、ひどいなぁ日本…という感じになっています。


●ガラス最大手旭硝子系が検査せずに品質保証書 顧客に虚偽説明

2018/01/11追記:今回は、ガラス最大手の旭硝子の全額出資子会社のAGCテクノグラスの話。同社では、2005年から独自の規定に基づき、実験に影響するDNAの分解酵素が、実験や臨床検査に使われる「遠沈管」という製品に含まれていないかを定期検査で確認していました。

 ところが、2015年2月に必要な試薬を入手できなくなったのを境に、検査未実施のまま出荷。しかも、検査未実施にも関わらず、計約八十の大学などに品質保証書を不正に発行しています。顧客には分解酵素は混入していないと説明したとも書かれていました。この出荷先は約千六百に上る可能性があります。

 旭硝子幹部は共同通信の取材に、保管していたサンプルを検査し、法令違反や安全上の問題はないことを確認したと説明しているそうです。ただ、安全上の問題はなくても、品質の問題はあるでしょう。やらなくて良い独自検査なので、品質の問題もないとの説明も可能でしょうが、それでもまだ疑問は残ります。

 前述の通り、検査で確認していないにも関わらず、分解酵素は混入していないと説明して売っていたわけであり、詐欺に見えます。これが法令違反ではないという説明は、腑に落ちないものがありますね…。
(東京新聞:実験器具 旭硝子子会社も不正 検査せず保証書、納品:経済(TOKYO Web) 2018年1月11日 より)


●日本ガイシが顧客と約束した検査せず…その数なんと1億個!

2018/05/25:またちょっと間が空いて、今度は日本ガイシの送電線の絶縁や避雷装置の部品についての不適切検査が判明。今度のはすごいですよ。なんと約1億個もあるとのこと。見事に大台に乗りました。

 日本ガイシの不正というのも、他社と似た感じ。電力会社や重電メーカー、鉄道会社など国内外約500社に納入していた製品について、顧客との契約通りの検査を実施しないまま売っていたようです。例によって「品質に問題はない」としているものの、嘘ついて売っていたわけですからね。

 で、この個数なのですけど、1990年代からで契約件数は約100万件、製品の個数で言うと約1億個になるという説明でした。
(日本ガイシ、不適切検査1億個 送電線絶縁や避雷装置部品 - 共同通信 2018/5/23 19:30より)

 ブックマーク数の多くないページですけど、同様の内容を伝えた記事についてのはてなブックマークでは、以下のようなコメントがありました。悪いことであるのは間違いありませんね。

vkgofboston 検査費用を騙してとってたことに相当するんじゃ。品質というより信用の問題。
daruyanagi 品質に問題があるかどうかは顧客が決めることなんじゃないかなぁ……ウソついてたらその分再検査じゃん(納品のときに検査すべきってのもあるけど)
xevra 日本スゲー!🇯🇵
rokkakuika お前もか。絶縁体は電気工事関係者にとっては命にかかわる話。品質に問題ないと額面通りに受け取って信用できるわけないだろう。


●宇部興産にも品質不良製品を捏造改ざんする「伝統」

2018/06/08:あまりにも不正が多すぎて長くなってしまったのでそろそろ別のところに書きたいのですけど、同じ種類の不正なのでやはりここに追加。今度は宇部興産です。

 宇部興産は2018年6月7日、ポリエチレン製品などの品質検査を巡る不正の調査報告書を公表。これまで公表済みの2製品に加え、新たに22製品でも不正が発覚し、出荷先も従来の51社から113社に拡大しました。

 例えば、工業用生石灰を作る子会社では、検査で出荷の基準に満たない場合に数値を改ざん。生産が始まった1970年代半ば以降に始まった可能性があるといいます。ポリエチレン製品では90年代後半、検査していないのに品質データを捏造(ねつぞう)する不正を開始。現場ではこの作業を「作文」と呼び、担当者が代々引き継いだ「伝統」となっていました。

 山本謙社長は不正の原因に品質保証業務の軽視や納期を優先する姿勢などを挙げ、「問題を表面化させない、閉鎖的な『事なかれ主義』の社内風土もあった」と説明。ただ、積極的な捏造があるので、「事なかれ主義」だとちょっと軽い説明のような気もしますね。
(不正22製品 新たに発覚、データ捏造「作文」 毎日新聞2018年6月7日 21時05分(最終更新 6月7日 21時05分) 竹地広憲より)


●三菱マテリアル、軽視して隠蔽した不正でJIS認証取り消しに

2018/06/09:宇部興産だけで1回再投稿する予定でしたが、昨年書いた三菱マテリアルの追加情報が出ていました。ただ、最新のニュースの前に3月の三菱マテ系、品質不正70年代から 「感度欠けていた」:朝日新聞デジタル(上地兼太郎、野口陽 村井七緒子 2018年3月28日23時54分)というものから。

 不正は古いもので少なくとも1970年代から始まっており、不正品の出荷先は少なくとも延べ825社に。顧客と約束した品質に合うよう、工場幹部らによるデータ改ざんや、最終検査をしないままの出荷がグループ内で常態化していたことがわかっています。

 この時点では子会社だけの不正であり、三菱マテリアル本体では不正がないという説明でした。が、今回のニュースは本体でも不正がありました、というもの。しかも、最終報告書の公表時点で本社の不正の疑いを把握しおり、隠蔽を行っていたと見られて仕方がない状況となっていました。
(本社不正これまで非公表 三菱マテ「偶発・軽微なミス」:朝日新聞デジタル 上地兼太郎、箱谷真司 2018年6月9日08時52分より)

 こちらの新しい記事によると、3月当時竹内章社長は「グループ全体が不正体質ではない」と断言していたそうです。神戸製鋼の会長兼社長が引責辞任することを引き合いに処分の軽さを疑問視する質問が相次いだものの、「二度と起こさないようにするのが私と経営陣の責務」と辞任を否定していました。

 ところが、前述の通り、この時点で不正疑惑があったのに隠していたというわけ。当時不正を非公表とした理由については「偶発的で軽微なミスだった」(広報)ためとしており、あまり問題だとは思っていないようです。

 ただ、別記事によると、これは日本工業規格(JIS)に適合しないコンクリート原料を誤ってJIS製品として出荷していたという不正。JIS認証機関の日本品質保証機構が、品質管理体制の重大な不備に当たると認め、問題の直島製錬所のJIS認証を取り消すほどの不正でした。むしろヤバイ不正だったと思われます。直島製錬所は三菱マテリアルの中でも大きな工場みたいですので、業績にも影響があるかもしれません。
(三菱マテリアル:不適合製品 香川の製錬所出荷、JIS取り消し - 毎日新聞 2018年6月9日より)


●日本の耐震技術が世界をリードしている

2015/3/31:最近書いた東洋ゴムの免震ゴム偽装事件の投稿はあんまり読まれていないので、関心は低いのかな?と思います。ただ、他を調べた際に出てきたものを軽く。余談めいた話が多かったんですが、今回はちゃんと東洋ゴムがメインです。

 このような事件が起きる前には、世界に誇る日本の耐震技術…みたいな話をしていたんじゃないか?と検索。すると、案の定(PDF)日本の耐震技術 壊れない建物から揺れない建物へ(佐藤さとる 未来創発 Vol.23 2006. 8)というもので、「日本の耐震技術が世界をリードしている事実は揺るぎはしない」などと書いていました。

 ただ、このPDFにしても「奇しくも今年は耐震強度偽装事件が世間を騒がせたが」と書いていました。東洋ゴムの免震ゴム偽装事件は、第二の姉歯事件にはならないでやった姉歯事件のときに書かれたものみたいですね。

 PDFでは、以下、日本の技術を誇っています。そもそもこんなに地震が多い国は他にありませんので、世界一はたぶん嘘じゃないんでしょうが、偽装が続いて大丈夫なのか?というのは気はします。
 1891年に濃尾地震が起こると、その調査をもとに本格的な耐震化の研究が始まる。以後日本は世界の地震研究と耐震研究をリードし続ける。(中略)
 日本の耐震技術は間違いなくトップレベルにある。それは研究者・技術者の層の厚さからもわかる。4年ごとに世界各地で開催される世界地震工学会に寄せられる論文の3分の1は、日本からのものだ。
 すでに日本の耐震技術は、崩壊を防止することから、いかに機能性を確保するかに移っている。大きな地震が起こっても病院の手術を止めない。IT工場のラインを止めない。そういった視点だ。

●ゴム・タイヤメーカーが支える耐震技術?

 PDFでは、よりによって東洋ゴムのようなゴム・タイヤメーカーについても言及していました。
こうした先進技術には、日本のものづくり技術が大きく貢献している。例えば制震技術に使われるオイルダンパーは、電車やクルマ、船などで早くから使われているし、免震装置はゴム・タイヤメーカーなどが技術開発を行っている。さまざまな耐震技術は、いわば日本のものづくり技術の集大成でもある。

 実はこのことは東洋ゴムも積極的にアピールしていました。免震力といえば東洋ゴム、なんだそうです。
「減災」を担う東洋ゴムの免震力。もしもに備える地震対策

 免震力=東洋ゴム。

  タイヤづくりのノウハウを活かした免震技術。

東洋ゴムの「高減衰積層ゴム」は世界的にも大変高い水準の品質を誇っています。優れた免震力は、優れたゴムの開発から生まれるのです。

 しかも、他社には真似できん、と言わんばかりのことも書いていました。
 明石工場だからできた、免震積層ゴム。

  品質の高さは、繰り返される性能テストから。

兵庫県の明石工場には、国内でも最高水準を誇る大型試験機があります。研究・開発から製造にいたるまで一貫体制を整え、常に質の高い製品を生み出しています。

●世界でも有数の地震国、日本だからこそ育った東洋ゴムの免震積層ゴム

 上記を引用したページには、今回の件での謝罪文が載っています。ただ、前述のような仰々しい宣伝文がそのままですので、今見ると呆れてしまうことになっています。他にも今見ると白々しいと感じることを書いていました。
世界でも有数の地震国、日本。その厳しい環境だからこそ育つ技術、それが東洋ゴムの免震積層ゴムです。「地震国、日本」を「免震国、日本」に。私たちは、タイヤづくりで培ったプロの技術で地震対策に取り組んでいます。

(中略)

「免震構造」は、地震災害から建物の中のヒトを守り、モノを守ります。
「免震構造」の導入は、「被害を回避するための投資」といえます

 最後に「投資」という話が出ましたが、今回の件、費用はどうなるんでしょうね? 東洋ゴムの偽装免震ゴムを使っている人たちは、本当たいへんな目に遭っています。


●地震大国の日本でまた免震装置の不正!KYBがデータ改ざん

2018/10/17:長くなったので、新しいものは、企業不正、クボタが改ざん 日本郵船系の日本貨物航空は虚偽記載、運航停止が長期化でまとめています。ただ、内容的にこちらが適当ということで、KYBの免震・制振装置改ざんの話だけは引き続き追加。当初の投稿タイトル"免震ゴムといえば東洋ゴム!世界に誇る日本の耐震技術のはずが偽装"を思い出す事件のためです。

 KYB不正、自治体に混乱 庁舎などに問題の装置使用  :日本経済新聞(2018/10/16 22:42)によると、油圧機器メーカーのKYBが免震・制振装置に関する性能検査記録データの改ざんを発表。日経新聞の別記事によると、子会社のカヤバシステムマシナリーでも製造・販売していました。合計の出荷先はのべ986カ所。最も使われていたのは住居で全国250カ所以上だといいます。

 その日経新聞の別記事、 免震装置への不信再び KYB不正、住居が最多 2018/10/16 19:33は、やはり東洋ゴムの問題を指摘。日本は世界有数の地震多発国であるが、相次ぐ国内企業の改ざんに免震装置への不信が再び広がっている、としていました。日本が誇る東京スカイツリーにも使用していたということで、日本のイメージを損なう不正かもしれません。


【本文中でリンクした投稿】
  ■企業不正、クボタが改ざん 日本郵船系の日本貨物航空は虚偽記載、運航停止が長期化
  ■日産、完成検査で不正 スズキ燃費不正も三菱自動車同様に問題な理由
  ■日本の技術を誇ってた日立製作所の英高速鉄道、初日からトラブルを連発
  ■延期しすぎの三菱重工のMRJ、違約金地獄に?納入も初飛行も延期連発
  ■安倍首相の出身大学である成蹊大学、三菱と関係 就職も有利に?
  ■三菱は売国・反日企業…のはずが安倍首相の兄・安倍寛信も三菱グループ

【関連投稿】
  ■東洋ゴムの免震ゴム偽装事件は、第二の姉歯事件にはならない
  ■東洋ゴムの免震装置改ざん事件は競争入札の弊害 入札制度廃止を
  ■大塚製薬の不安 アバニア買収ののれん代とエビリファイ特許切れ
  ■インドネシアで庶民の味方になった日本企業ユニ・チャーム アジアシェア首位
  ■超ホワイト企業未来工業 長時間労働・残業なし、報連相は禁止
  ■企業・会社・組織についての投稿まとめ

Appendix

広告

ブログ内 ウェブ全体
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示









Appendix

最新投稿

広告

定番記事

世界一スポーツ選手の平均年収が高いのはサッカーでも野球でもない
チャッカマンは商標・商品名 じゃあ正式名称・一般名称は何?
ジャムおじさんの本名は?若い頃の名前は?バタコさんとの関係は?
ワタミの宅食はブラックじゃなくて超ホワイト?週5月収10万円
朝日あげの播磨屋、右翼疑惑を否定 むしろ右翼に睨まれている?
レーシック難民は嘘くさいしデマ?アメリカの調査では驚きの結果に
赤ピーマンと赤黄色オレンジのパプリカの緑黄色野菜・淡色野菜の分類
アマゾンロッカーってそんなにすごい?日本のコンビニ受け取りは?
就職率100%国際教養大(AIU)の悪い評判 企業は「使いにくい」
ミント・ハッカでゴキブリ対策のはずがシバンムシ大発生 名前の由来はかっこいい「死番虫」
移動スーパーの何がすごいのかわからない 「とくし丸」は全国で約100台
ビジネスの棲み分け・差別化の具体例 異業種対策には棲み分けがおすすめ
主な緑黄色野菜一覧 と 実は緑黄色野菜じゃない淡色野菜の種類
タコイカはタコ?イカ?イカの足の数10本・タコの足8本は本当か?
トンネルのシールドマシンは使い捨て…自らの墓穴を掘っている?
ユリゲラーのポケモンユンゲラー裁判、任天堂が勝てた意外な理由
好待遇・高待遇・厚待遇…正しいのはどれ?間違っているのはどれ?
コメダ珈琲は外資系(韓国系)ファンドが買収したって本当? MBKパートナーズとは?
大塚家具がやばい 転職社員を通報、「匠大塚はすぐ倒産」とネガキャン
不人気予想を覆したアメリカのドラえもん、人気の意外な理由は?

ランダムリンク
厳選200記事からランダムで









アーカイブ

説明

書いた人:千柿キロ(管理人)
サイト説明
ハンドルネームの由来

FC2カウンター

2010年3月から
それ以前が不明の理由