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企業にとって採用応募者が多いことが悪で、少ない方が良い理由


パーキンソンの法則 (至誠堂選書)


●最先端の経営手法は良くない むしろ古い経営手法が良い理由

2015/4/2:なぜわが社は「何億円もの失敗よりタクシー代にうるさい」のか?:日経ビジネスオンライン(清水 勝彦 2015年3月4日)という記事で取り上げられていた、『パーキンソンの法則』という書籍。この書籍がが出たのは、1957年という大昔です。

 そのため、<「そんな古い本、役に立つの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません>と作者は書いています。しかし、紹介している清水勝彦さんに言わせると、むしろ古いからこそ良いのだそうです。

<「法則」は何年たっても「法則」です。1000年たったら「重力」が変わるわけではないですし、たとえば「九九」がいつ発明(?)されたのか知りませんが、現在も、そして将来も、すべての計算の基本になることは間違いないでしょう。
 アメリカでも、慶應ビジネススクールでも、MBAの授業ではよく企業の事例などを短くまとめた(といっても、長いものは40ページを超えたりしますが)「ケース」を使って討議を行います。その時に必ず出るのが「このケースは古いのでは」「もっと新しいケースを使ってほしい」といった質問・要望です。経営書でもよく「最先端の経営手法」なんていう帯がついていたりしますが、「新しい=よい」というのは、多くの場合幻想です。もう少し正確に言えば、「新しい知識=枝葉」の場合がほとんどで、本当に経営に役立つのは「世代を超えて生きてきた法則=幹(あるいは根)」なのです>

 これは単に古いから良いのではなく、生き残っている法則だからこそ良い、とも言えると思います。古い時代の経営手法であっても、正しくないものあるいは時代に合わなくなったものは、消えてしまっているはずです。迷信が生き残っている可能性もありますが、少なくとも最近流行り…というものよりは確率が高まるでしょう。

 もちろん「最先端の経営手法」の中にもホンモノが混じっているはずです。ただ、生き残って古典的になれば、信頼できる法則だとわかるのですが、現時点では将来どう評価されているかはまだわかりませんからね。単純に古い・新しいよりはデータ的な根拠があるものが良いのですが、作者の言わんとすることはわかります。


●1億円の投資案件よりも1万円の話のほうが長い議論になる理由

 この記事の中で出てきた「凡俗の法則」(「the Law of Triviality」直訳すれば「些末の法則」)。「議題の1案件の審議に要する時間は、その案件にかかわる金額に反比例する 」というよくわからない言い方をしています。わかりづらいですが、「何億、何十億の投資案件よりも、何万円の話のほうが会議で長く議論になる」という意味です。

 このように言い換えてもらえるとわかりやすいものの、逆に果たして本当か?と疑わしい気分になってくるでしょう。そんなはずない!と思うかもしれません。このわかりづらい「法則」について、パーキンソン博士は以下のような例を出していたそうです。

(1)「一千万ポンドの原子炉の見積もり」案件    2分半
(2)「350ポンドの事務員の自転車置き場建設」案件 45分
(3)「21ポンドのミーティングのお茶菓代」案件   1時間15分(さらなる資料収集のために、次回に持ち越しになる)

 そんな馬鹿な?と思いますが、説明を聞くとそれなりに納得できます。「原子炉の見積もり」は、ほとんどの参加者は原子炉のことがわからず、「1千万ポンド」というのはピンと来ません。しかし、「自転車置き場」や「お茶菓代」はみな実感がわきます。

 しかも、原子炉の案件でなんとなく発言しなかったような参加者が「会議が終わるまでに、自分が寝ていたわけではなかったことを示さなければならない」ということで、積極的に参加するという説明です。

 記事タイトルになっている"なぜわが社は「何億円もの失敗よりタクシー代にうるさい」のか?"は本文に登場せず、なぜこんなタイトルにしたのかは首を傾げます。しかし、本文でも「当社は小銭にはうるさいのに、大銭(おおぜに)には寛容だ」という話は、企業で実際によく聞くとしていました。実感の湧かない金額には、危機感を持てないようです。


●金額がピンとこない問題…稲盛和夫の「アメーバ経営」が良い理由

 さて、実感の湧かない金額には、危機感を持てないとすれば、どうすればいいのか?という話です。おもしろい指摘だと思ったのが、細かく分けて小集団(アメーバ)に組織してその中での採算性を見る稲盛和夫さんの「アメーバ経営」についてのものです。

<どうすればよいか? それは、まさにこの法則が示すようにビジョンにしても戦略にしても、あるいは危機感にしても「凡俗にも実感できるようにする」ことだと思います。(中略)京セラ創業者、稲盛和夫氏の「アメーバ経営」の極意もそのあたりにあるのだと思います>

 国の赤字にピンと来ないのも、こういった理由かもしれません。日本の赤字の状況について家計に例えるやり方は、批判を浴びることが多く、特に財政赤字許容派から非難を浴びますが、身近に感じられるという意味では良い方法だと言えそうです。


●企業にとって採用応募者が多いことが悪で、少ない方が良い理由

 話が変わりますが、もっとおもしろいと思ったのが採用の考え方に関する話。すべてちゃんとした資格を持ち、立派な推薦状のついた300人の応募者の中から、1人を選び出す…というのは、難しいです。では、どうすればいいのか?と言うと、そもそもたくさんの応募者を集めるような最初の広告のやり方が間違っていたと考えます。

 パーキンソン博士に言わせれば、<完璧な広告を出した場合には、たった1人の応募者しかない。…したがって、2人以上の応募者が現れた場合には、提示金額が高すぎたのだ>というわけ。これは極論ですが、"「当社は天国」みたいな会社紹介"で、"たくさん応募を集め"ることは実際には正しくないというのは頷けます。

 応募者が多さは採用コストに響くでしょう。実際、会社は「採用にはすごくコストがかかる!」と強調しています。それでしたら、必要最低限の応募者がベストなはずです。応募者が多くて困っている企業というのは、"「当社が欲しい人材像」を示し切れていない"だけなのかもしれません。


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