2015/4/2:
●ムーミンのアニメやアニメイラストを禁止方針に絶対無理!の声
●大黒柱だったアニメ事業を禁止したのに、予想外の大復活
●ディズニーやサンリオにないムーミンの持つ強みはアート
●実質アジア≒日本の状態だった…逆に言えば将来性がある?
2019/01/17:
●禁止されたムーミンアニメがついに解禁で新シリーズ製作と報道
●原作レイプ?原作者からクレームがありまくりだった日本版ムーミン
●母国フィンランドでは一切ムーミンアニメが放送されていないの?
2021/08/28追記:
●ムーミンが日本企業とのコラボレーションを突然中止…なぜ? 【NEW】


●ムーミンのアニメやアニメイラストを禁止方針に絶対無理!の声
2015/4/2:ムーミンはアニメを禁止していたそうです。しかも、それだけじゃなくてアニメ絵のキャラクターの使用すら禁止していた、と聞いて驚きました。以下は、ムーミンキャラクターズ社のマネジングディレクターのロレフ・クラクストロムさんのインタビューからの話です。
ムーミンキャラクターズ社のマネジングディレクターのロレフ・クラクストロムさんは、原作者のトーベ・ヤンソンさんのめいであるソフィア・ヤンソンさんの夫でもあります。ムーミンキャラクターズ社は、7人の社員からなる家族経営の会社だそうです。
――もう少し詳しく聞きたいのですが、昔のアニメのイラストを使えなくしたということですか。
「2005年に、トーベ・ヤンソンのめいであり、現在、私の妻であるソフィア・ヤンソンが会社を任された時、各国でのムーミンが使われているありさまを見て、「これはトーベにとっての名誉じゃない」と考えたのです。というのも、中には質が良くなかったり、原作のムーミンとは異なるものがたくさんあったためです(略)」
――日本では、60~70年代のムーミンは、原作と異なるものだったと聞きます。
「もちろん、われわれは、日本で人気を博したアニメの価値は認めておりますし、雑誌などに載せてもらうのはもちろん大丈夫です。ですが(そうしたイラストを)商品に用いることは、05年以降、できないようにしたのです」
(
なぜ、ムーミンは日本で一番人気なのか 本国トップが明かす10年で売上高6倍の“裏事情” ――ロレフ・クラクストロム(ムーミンキャラクターズ)インタビュー|『週刊ダイヤモンド』特別レポート|ダイヤモンド・オンライン 週刊ダイヤモンド編集部 2015年3月11日 より)
当然、この方針には「無理です!」との声が出ました。特にアジア各国の人にとっては、受け入れがたいものだったそうです。そもそもアジアでは、"80%を超えるほぼ全ての権利収入が、アニメによるものだった"ため。また、"本社でも、新たな戦略を発表した時には、いつもは寡黙なスウェーデン人が「絶対無理だ。そんな戦略ができるはずがない」と思わず叫んでしまったほど"でした。
このアニメ禁止は方向性で言うと、日本的な「カワイイ」からの脱出のようにも見えます。たとえば、ムーミンに使う文字フォントについても、「かわいくない」と不評だった…というエピソードがあったため。そのためか、日本において新方針が受け入れられる、と確信していたわけでもなさそうでした。
●大黒柱だったアニメ事業を禁止したのに、予想外の大復活
ムーミンキャラクターズ社の日本の売り上げは、1990年代、世界の50%近くに上っていましたが、2000年代に入って落ち込みました。"90年代といえば、テレビアニメが放映されたころ"です。
ただ、2000年代に入って落ち込んだというのは、新しい方針のせいではありません。「会社の戦略を大きく変えている」時期というのは、実は2008年のことでした。
そして、予想外なことに、この会社の新戦略以降、日本で大復活。昨年は、"日本の売り上げが世界の50%近くに"。「北欧各国と並ぶ最大市場」としていました。この言い方はおそらく北欧各国を全部足したものと、日本が同じくらいということでしょう。日本の人気っぷりはすごいですね。

●ディズニーやサンリオにないムーミンの持つ強みはアート
ムーミンの新戦略のキーワードは「アート」でした。
リーマンショック後の経済不況や、ディズニーやサンリオの隆盛の中で、われわれはそうしたアニメの乱発ではなく、ムーミンのアート性をコアにした戦略に転じることにしました。(中略)
世界にはいろいろなキャラクターがありますが、それがアートとして成り立つキャラは実はあまり多くありません。トーベ・ヤンソンは作家でもあり、画家でもあり、ムーミンはアート性を帯びた世界の数少ないキャラの一つです。
アートというのは、製造(マニュファクチャリング)できるものではありません。そして、これはサンリオやディズニーにはない強みだと気付いたのです。
"2008年ごろまでは日本を中心に、売り上げの微減が続いてい"たのが、"昨年までの10年間で、売上高が6倍に伸びるまでになった"という、"本当にダイナミックな変革"を成し遂げました。
アート性でなぜこれだけ売れたのか?というのは、不思議です。クラクストロムさんも予想していたわけではなかったようですけど、今は以下のように語っています。
著作権のビジネスをやっているだけでは、ニュースになることなどほとんどありません。
ですが、トーベ・ヤンソンのアートを前面に出すと、展示会や博物館のイベントで、多くのジャーナリストが来てくれます。そしてニュースを出してくれます。
何か、新しいアニメを作らなくても、ムーミンのアート性だけでいろいろな動きが出るのです。著作権ビジネスだけでは、今のように映画監督やデザイナー、作家などが興味を示してくれることはなかったでしょう。
このため、今は広告を出す必要もありません。
それもこれも、トーベ・ヤンソンが小説や絵画など多くの作品を残していたからです。全てはトーベ・ヤンソンのコア・バリューから生まれているのです。
●実質アジア≒日本の状態だった…逆に言えば将来性がある?
でも、これだけ聞いても納得行かないですけどね。それだけで驚異的な伸びを見せるものなのでしょうか?
ただ、日本と北欧に偏っているところを見ると、もともと市場が大きくなかったために、増え方が余計激しく見えるのかもしれません。アジアという言い方をしていましたが、先ほどの比率の話を聞くと、実質アジア≒日本の状態だったと思われます。
また、市場の偏りはおそらくムーミンキャラクターズ社も意識していると思われます。というのも、現在のターゲットは中国や韓国だとしていたためです。
このように未開拓なところを開拓するのはとてもたいへんででしょう。ただ、未開拓な国が多いというのは、その分伸びる余地が大いにあるとも言えそうです。
●禁止されたムーミンアニメがついに解禁で新シリーズ製作と報道
2019/01/17:古い情報で予定通りになるかわからないのですけど、アニメが解禁になるみたいですね。2019年春に1話あたり22分のアニメとなり2シーズン製作されることが決定した、と伝える記事が、2017年9月にありました。
これは海外での製作であり、名前の挙がっているスタッフもみな日本人ではありません。例えば、プロデューサーは『ひつじのショーン』でBAFTA(英国アカデミー賞)チルドレン賞を獲得したジョン・ウーリーという方。声優もムーミン(ムーミントロル)役はタロン・エガートンという方だとされていました。
(
「ムーミン」新アニメが2019年春から放送!声優にケイト・ウィンスレットら | cinemacafe.net 2017.9.12 Tue 17:45より)
あと、「日本では、60~70年代のムーミンは、原作と異なるものだった」とされていたように、主に問題視されたムーミンは昭和の古いものみたいですね。1990年4月12日 - 1991年10月3日放送の平成版の楽しいムーミン一家には、原作者のトーベ・ヤンソン自身が末弟で漫画を共同製作をしたラルス・ヤンソン(愛称ラッセ)と共にアニメ制作に関わっていたといいます。
●原作レイプ?原作者からクレームがありまくりだった日本版ムーミン
昭和版ムーミンも種類があるのですけど、古いものは確かにかなりデザインが違うと感じるものでした。カバっぽさが強いです。
むしろ当時の日本人にはこっちの方が好評だったらしいですけど、
ムーミン (アニメ) - Wikipediaでは、原作者サイドからクレームがあったことが書かれています。日本アニメがハリウッド改変でめちゃくちゃになっちゃった…みたいなイメージでしょうか。
・第7話「さよならガオガオ」のフィルムを原作者のトーベ・ヤンソンに渡して見てもらうことにした。東京ムービーのスタッフたちはヤンソンに「大変気に入りました」と、お墨付きをもらえるものと期待を寄せていたそうである。しかし、ヤンソンからは難色が示され「これは、私のムーミンではありません。」などと要望が立て続きに来た。
・大塚康生のキャラクターデザインが丸みを帯びており、日本では可愛らしいと受け取られたが、当のヤンソンにしてみればシャープさが無く、太ったスタイルの別ものと思われたようである。
・第27話「顔をなくしたニンニ」からヤンソン側のクレームを受け入れ、原作に近い状態に絵を変えてノンノンのリボンを無くしたりムーミンたちの耳をとがらせたり顔つきを変えたりして放送を試みた。しかし視聴者からは「キャラクターが怖くなった」、「つまらなくなったのはなぜ?」、「どうして絵が変わったの?」、「どうしてムードが変わったの?」という意見が出た。
・1969年版はもとより、1972年版の新『ムーミン』でデザイン変更をさらに試みても、なおヤンソン側からは「日本国内はともかく、外国での放送は認めません」と言って来たと言われている。
・トーベ側に「ラジオ以外の文明利器を出さないこと」と通達されたにもかかわらず、宮﨑駿が趣味で戦車を登場させてトーベが憤慨するというエピソードがあった。
●母国フィンランドでは一切ムーミンアニメが放送されていないの?
あと、私は日本版のムーミンは、フィンランドでは放送されていないのかと思っていました。ただ、信頼性の高い情報が見当たらないものの、どうも放送していたっぽいですね。誤った情報が多く注意が必要な
ヤフー知恵袋ではありますが、以下のような説明があったのを確認しました。
・何度も何度もフィンランド国営放送で放映されている。最近では2014年にまた再放映が始まっている。
・『楽しいムーミン一家』65話 1969~1970は、フィンランドでは一度も放映されていない。
・『新ムーミン』52話 1972年も、フィンランドでは一度も放映されたことはない。
・『楽しいムーミン一家』78話 1990~1991『楽しいムーミン一家:冒険日記』26話 1991~1992は、何度も放送されている。
この説明ですと、インタビューであったアニメ禁止の2005年以降も放送されていることに。私はインタビューを読んですべてのアニメが禁止だと最初理解したのですけど、昭和版だけ禁止って意味だったのかも。原作者自身が制作に関わっていますし、日本アニメでも平成版はOKなのかもしれませんね。
●ムーミンが日本企業とのコラボレーションを突然中止…なぜ?
2021/08/28追記:
ムーミン、DHCとのコラボ中止へ 本国の著作権管理会社がコメント「いかなる差別も容認しません」 | ハフポスト(2021年08月24日)によると、人気キャラクター「ムーミン」に関する著作権を管理するフィンランドの会社Moomin Characters Oy Ltdが、日本で展開されているムーミンと化粧品会社DHCのコラボレーションを中止することを明らかにしたそうです。
これは、過去にDHCの吉田嘉明会長が在日コリアンへの差別的な文章を公式オンラインショップに掲載していた問題があったことを指摘されたため。Moomin Charactersは取材に対して、「いかなる差別も容認しません」「同社の会長の発言が受け入れられず、ムーミンの作者であるトーベ・ヤンソンが示した価値観とはまったく相容れないものであるため」としていたそうです。
このコラボ中止で、右派が多いツイッターなどではムーミン叩きに。中には、日本のムーミンアニメ禁止こそが日本人差別というよくわからない主張もあった気がします。また、「DHCだけでなく差別的な韓国右翼も批判しろ」などの論点ずらしも多かったのですが、今回はコラボ企業で問題判明というケース。韓国右翼とコラボしていたなら、そういう主張も理解できたのですが…。
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