右翼と左翼というか、右派と左派でも良いような気がしますが、元は右翼と左翼としていました。
●経済学者の松尾匡による右翼と左翼の違いの説明
非常におもしろいと思った右翼と左翼の違いの説明が、
世界を上下に分けて下に味方するのが左翼、世界をウチとソトに分けてウチに味方するのが右翼 - モジログ(2010.10.15)です。
ただ、モジログさんのオリジナルではなく、元は経済学者の松尾匡(ただす)さんによる「右翼と左翼」の用語解説だとのこと。
用語解説:右翼と左翼 松尾匡のページ
世界を縦に切って「ウチ」と「ソト」に分けて、その間に本質的な対抗関係を見て、「ウチ」に味方するのが右翼である。
それに対して、世界を横に切って「上」と「下」に分けて、その間に本質的な対抗関係を見て、「下」に味方するのが左翼である。
元は図になっていますが、テキスト化すると以下のような感じです。(ズレまくるような気がしますが)
上
―――――
下
(左翼)
|
|
ソト|ウチ(右翼)
|
|
●右翼と左翼は、世界を違う分け方で見ている
重要なのは、右翼と左翼がお互いに世界を違う分け方で見ているということです。同じ世界を見ているわけではないんですね。
ところが、とてもややこしいことに、"右翼も左翼も自分の切り分け方を当然の土俵のように思い込んで、相手との対抗軸を組み立てている"のです。"お互い敵である相手が、自分と同じ切り分け方を共有して、自分と逆側に立つ者と考える"わけです。
前述の図に敵の位置を書き込むと以下のようになります。
上
(仮想右翼)
―――――
下
(左翼)
|
|
ソト|ウチ(右翼)
(仮想 |
左翼) |
お互いに全然違うところを見ているのに、相手がそこにいると勘違いするので、的外れな批判をしてしまうようです。
●リバタリアニズムを説明するノーラン・チャート
さて、ここからモジログさんの話になりますが、リバタリアニズムの政治思想的ポジションを説明するのにしばしば使われるという「ノーラン・チャート(Nolan Chart)」を多少書き加えた図を出していました。
これまたズレまくると思いますけど、テキスト化してみます。
左 精神的自由 自
↑
社会主義← →経済的自由
↓
全 国家主義 右
左…リベラリズム 左翼
自…リバタリアニズム 自由主義
全…全体主義 ナチス
右…愛国保守主義 右翼
このノーラン・チャートでは左翼が左上にあるが、左方向の「社会主義」が主要成分である。右翼が右下にあるが、下方向の「国家主義」が主要成分である。左翼を「左」に、右翼を「下」にあると見なせば、これはちょうど、松尾氏による図を時計回りに90度回転したものになっているのだ。
松尾氏の図が、左翼と右翼が「世界(の人々)をどのように分けるか」が主題になっているのに対して、ノーラン・チャートでは、「経済的自由と精神的自由に対して、政府が介入してくる度合い」が主題になっている。
●左翼と右翼は1次元的な対立関係にはない
どちらの図においても、左翼と右翼は1次元的な対立関係にはなく、「上下」と「ウチソト」、「経済的自由」と「精神的自由」という2つの軸を持つ、2次元座標の上に配置されている。この2次元的な把握ができれば、左翼と右翼を1次元的に反対のものと見るよりも、政治に対するさまざまな考え方・立場の位置づけが格段にやりやすくなるし、自分の考え方はどこに位置するのかというポジションの把握もやりやすくなると思う。
モジログの著者さんは、"右翼にも左翼にも共感できないし、共感できる政党もひとつもないので、自分はノンポリ(引用者注:政治運動に関心が無い人)なんだと思っていた"そうです。
ただ、この世の中にある政治的勢力は、左翼と右翼だけではありません。ノーラン・チャートを知ったことで、"リバタリアニズム・自由主義に近い"ことがわかり、"政治というものへの興味が増して、むしろ右翼にも左翼にも(一部は)共感できるようになった"としていました。
実は私の場合もどれが一番近いか?と言うと、やはりリバタリアニズム・自由主義です。ただ、あえて言うのなら…という感じで、リバタリアニズム・自由主義そのものではないでしょう。
モジログさんでは、"リバタリアニズムというのは特定の考え方を押しつけるものではなく、「あなたの考え方を尊重します。ただし、私の考え方も尊重してください。互いに強制はしないことにしましょう」という基本的な取り決めに近いものだ"としていました。私はここまで達観できていません。過去に書いているように、正直言って右翼も左翼もどっちも嫌いです。
ただ、右翼も左翼も多様性として認めるべき・あって良いのだ…といったことも、やはり過去に書いています。
まあ、ここらへん他人の考え方も認めましょう…というのは、リバタリアニズムだけの問題でなく、右翼だろうが左翼だろうが本来身につけておくべき概念ですからね。小学生に言って聞かせるようなレベルの話ではあります。
ところが、これがなかなか難しく、むしろその考え方ができている人は天然記念物級にいないように見えます。ネット右翼・ネット左翼を中心に、ネットがしょっちゅう揉めたり荒れたりしているのは、そういうわけでしょうね。
(ネトウヨは金持ち憎しなところがあります。また、自民党はバラマキや企業への圧力を好みます。彼らには右翼の位置する右下ではなく左下的なところが見えます。私は左派以上に彼らと徹底的に合わない気がしていますが、自由主義から見ると対極に位置するためだというのも、先のノーラン・チャートからわかります)
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