●いい会社ランキングが悪い会社だらけ?ユニクロやソフトバンクが上位
2015/4/5:日経ビジネスの選出した「善い会社」ランキングの話。
初公開、「善い会社」ランキング:日経ビジネスオンライン(吉野 次郎 2015年2月9日)によると、以下のような順位でした。
1位 ソフトバンク
2位 ファーストリテイリング
3位 キーエンス
4位 ファナック
5位 ヤフー
6位 イオンモール
7位 楽天
8位 マニー
9位 日本たばこ産業
10位 武田薬品工業
たぶんこのランキングは非常に疑問があると思います。特に1位ソフトバンク・2位ファーストリテイリングなんかそうですね。ソフトバンクは詐欺的な宣伝など問題が指摘され続けている企業。ファーストリテイリングはユニクロを運営しているところで、
ユニクロもブラック企業?サービス残業・うつ病で離職率5割の高い数字で書いたような問題が出ています。
このような疑問が出ることは日経ビジネス側も予想していたようで、<「安値攻勢で通信業界を引っかき回すソフトバンクは、道理にかなっているのか」「労働環境の厳しさから『ユニクロ』の店長が大量に離職したファーストリテイリングは、『ブラック企業』ではないか」などと、上位企業の顔ぶれに納得できない読者もいるかもしれない>と書いていました。
●善い会社は利益を出せる!ブラック企業なら長続きするはずがない
日経ビジネス側にはいろいろと言い訳的な説明があります。そもそも「いい会社」ランキングではなく、「善い会社」ランキングであるというところにこだわりがあるようです。「良い」ではなく、あえて「善い」という漢字を使ったのは、単に「業績が良い会社」にとどまらず、「道理にかなっている会社」という意味を込めたかったからだとしていました。
これだけだと意味不明。ただ、善い会社の定義としては、民間企業は「営利組織」であるので、儲けを出さなくちゃいけないということみたいですね。一方で、単に強欲で稼いでいるだけではないのだとしています。以下のような論理です。
<自己の利益のみを追い求める経営は長続きしない。下請け会社に無理なコストダウンを求め、従業員をいとも簡単に切り捨て、工場の環境負荷軽減や製品の安全性追求などにコストをかけなければ、一時的に業績は向上するかもしれない。しかし、長期的には周囲から敬遠され、結局のところ、好業績は長続きしない>
ただ、納得できる説明ではありません。ワタミはブラック企業という悪評のせいで確かに業績悪化に転じましたが、その前までは好業績が長かった時期もあるのです。今回の「善い会社」ランキングがもっと早くやられていたら、ワタミだってランキング入りしたかもしれません。
また、今後、今回ランキング入りした企業がブラック企業だとバレる…といったこともありそうです。というか、先にリンクしたように、ユニクロはブラック企業批判本の著者側が、裁判で勝っちゃっています。業績が悪くない企業は、会社としても悪くないという論理には無理がありすぎるでしょう。
●「社員の幸せ」は従業員数でわかる?新たに雇用を創出し社会貢献
取材した、法政大学大学院の坂本光司教授は、「社員の幸せ」を企業の評価軸として何よりも重視していました。この指摘はよくわかります。しかし、わからないのが日経ビジネスが、この「社員の幸せ」を社員数の増加で評価したことです。発想が謎すぎますわ…。
<取材チームでは、社員の幸福度を測る指標として、上場企業が公表している従業員数を採用することにした。従業員数が減れば、その分、雇用の機会を人々から奪ったことになる。逆に従業員数が増えれば、より多くの人々に安定した暮らしを提供したことになる。そこで、連結ベースで各社の従業員の増減数と、増減率を調べることにした>
そして、ユニクロのファーストリテイリングは、「ブラック企業」などという批判もあるが、新たに雇用を創出し、人々に安定した暮らしを広く提供したという点では、高く評価できるとしていました。
さらに呆れるのが、<柳井正会長兼社長は「当社はブラック企業ではない」と断言する。ご納得いただけるだろうか>などと書いていたことです。納得できるわけないでしょう。トップが「ブラック企業ではない」と言えば証拠になるのなら、ワタミの前会長の渡邉美樹議員だって、ブラック企業を否定していました。馬鹿らしすぎて、ため息が出ました。
●ソフトバンク・ファストリ以外の企業もみんな悪徳企業なのかと言うと…
さて、1位・2位は既に出てきたので、他の会社について。3位のキーエンスは素直に「いい会社」と言える企業です。
年収が高い企業ランキング1位キーエンス 滝崎武光会長は長者番付常連でも好意的なことを書きました。この顔ぶれに混ざっているのが、気の毒でなりません。4位のファナックは
ロボットだけじゃない!宗教的なほどファナックが黄色な理由は? でやったくらいで、評判はよくわからず。ただ、少なくとも悪評は聞きません。
続く5位ヤフー、6位イオンモール、7位楽天あたりは、見事にネットで評判の最悪なところが続けて登場していました。個人的には楽天やイオンへの批判には首を傾げるものが多いものの、皆さんの反応は似た感じで、ここらへんは嫌われ者企業が並びました。
8位のマニーってのは、初めて聞いた企業。医療機器の会社だそうです。ここだけ知名度が極端に低いですね。一方、9位の日本たばこ産業(JT)は超有名。健康を害するたばこを売っている会社の時点で良い会社なわけないだろうと思うものの、とりあえず今のところ変な話は聞きませんね。
最後の10位武田薬品工業はしっかりと悪い会社。
また降圧剤で問題 武田薬品のブロプレス宣伝で論文と異なる図使用の件で書いたように、不正をやっています。製薬業界はディオバンの臨床不正でノバルティスファーマが目立っていますが、武田薬品も順番が逆でしたら相当問題になったでしょう。ノバルティスがひどすぎで目立たないだけです。得しましたね。
といった感じで、やはり「善い会社」ランキングという名前には違和感を覚えます。かと言って、悪い会社ランキングと言うのもふさわしくありません。キーエンスなんかは、とんだ風評被害です。ちょっと適当な名前が思いつかないものの、とりあえず「善い会社」ランキングじゃなくて別の名前にするべきでしたね。そもそもランキングの思想自体がおかしいと思うんですけど…。
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