えらく間が空いてしまいましたが、
日本で画期的なベンチャーが育たないのはモノマネしかできないからの続きです。
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<東大発ベンチャー・シャフト元CFO激白>世界一の国産ロボットはなぜグーグルに買われたのか(文藝春秋SPECIAL 2014冬 2014年12月17日 07:02)より)
前回はシャフトがアメリカのDARPAから補助金を受けていたという話が出ていました。
実はシャフトが必要な資金は、このDARPAの補助金だけでは全然足りなかったそうです。そこで、官製の投資ファンドや霞が関の中央官庁にも支援を求めていました。日本が出資するチャンスはまだあったのです。
しかし、官製ファンド(加藤崇さんは皮肉を込めて「イノベーションを謳う官製ファンド」と書いていました)は、以下のように出資を断っています。
「ロボティクスに関しては、過去、中央官庁でも色々と議論をして、レポートにもまとめられている。ヒト型に市場は無いという結論だ。うちもファンドとしてリターンを出さなければならない以上、出資は難しい」
私はこの件に関しては、官製ファンド自体に批判的なせいで複雑な反応をしてしまいます。そもそも官製ファンドそのものが矛盾をはらんでいると思うんですよね。
官製ファンドがもしリターンが明らかなベンチャーへ投資するとなると、民間のベンチャーキャピタルの仕事を奪ってしまいます。しかし、リターンが不明のリスクが高い投資をするとなると、今度は税金を無駄にする可能性が高まります。
自分のお金でリスクを取るのなら良いんですが、税金という他人のお金でリスクを取るというのは、いかがなものか?という話です。
以前、結構値段がするリアカーを実物も見ずにネットで買う人が多いという話をしましたが、自治会のようないろんな人がお金を出して「自分のお金」とは離れたところにあるお金で買われたものでした。
それから、投資のデモトレードは本番では役に立たないことが多いですよ、という話も以前しました。これも現実のリスクを感じられずにやる取引のため、投資判断をするときのプレッシャーが違うという理由です。
他のもろもろの税金もそうですけど、自分の懐が傷まないとなると、判断が全然違ってくるものです。
この問題と前回の
日本で画期的なベンチャーが育たないのはモノマネしかできないからで出てきた、多様性の確保の必要性との兼ね合いになってきます。今、パッとこうすればいいんじゃない?って言えませんけど、ある程度リスクを取る予算を決めて、そこだけは好きに…という形ですかね? アメリカのDARPAは思い切りリスクを取っています。
そのDARPAは"大統領と国防長官の直轄の組織でありアメリカ軍から直接的な干渉を受けない組織"です。私としては、政治家が口出しするとロクなことにならないので、政治家の影響力を排除してほしい気がします。
出資を決める組織に独立性を持たせて決められた額までは無駄にしても許容する…というやり方しかとりあえず思いつきませんでした。
前回の最後に続いて、また話が逸れましたね。でも、もう終わるところです。
日本のベンチャーキャピタルに断られ、官製ファンドに見捨てられ…としたことで、シャフトは「踏ん切りがついた」そうです。
(書き損ねましたが、中央官庁からも「あなたたちのようなヒト型ロボットを支援する枠組みは今のところ行政に無い」と言われたとのこと)
何の踏ん切りがついたか?と言うと、「このまま日本にいたらダメだ」という踏ん切りです。そして、方向転換して行ったアメリカでは日本とは全く違う好反応を得て、グーグルによる買収へと繋がりました。
「シャフトはなぜ日本から出たのか?」と恨みがましく言われても、こういう経緯なんですからどうしようもないですね。悲しい話です。
そして、加藤崇さんが「世界で戦える技術があるなら、早く日本を出ろ」とまで言っていたのが、またたいへん悲しかったです。
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