2015/4/7:
●明らかにヤバイ!赤ん坊を殺したフリードリヒ2世の人体実験
●赤ちゃんが死ぬ理由は?成長ホルモン・オキシトシン・インシュリン説など
●オキシトシンは愛情と関係、インシュリンは重要ホルモン
●オキシトシンは知的障害のある自閉症患者に有効?
●オキシトシンは子宮収縮薬や陣痛促進剤に利用されるホルモン
●明らかにヤバイ!赤ん坊を殺したフリードリヒ2世の人体実験
2015/4/7:人体実験の意味は結構思っていたより広いようで、
ミルグラム実験とスタンフォード監獄実験 ネットリンチと正義の暴走で書いたミルグラム実験とスタンフォード監獄実験も人体実験と呼ぶようです。
これらの実験よりもずっとわかりやすくヤバイ人体実験、我々が人体実験と聞いて思い浮かべるような人体実験もあります。さすがに古い話ですが、1220年 - 1250年に在位していた神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世(フェデリーコ2世)の行った実験です。
(2019/02/12追記:ただ、最近でも、
九大生体解剖事件といったわかりやすくやばいものはあります)
もっと詳しい話があるかな?と探したものの、Wikipedia以外でもあっさりめでした。Wikipediaの記述は以下の通り。(
フリードリヒ2世 (神聖ローマ皇帝) - Wikipedia(最終更新 2014年10月19日 (日) 05:01)より)
・教育を受けていない子供が最初に話す言語を知るため、乳母と看護師に授乳している赤子に向かって何も話さないように命じた実験がある。しかし、育ての親から愛情を与えられなかった赤子たちは全て死に、フリードリヒの苦労は無駄になった。
見るからにヤバイ実験ではあったんですが、上記のように結果が予想以上にひどいことになりました。以下の実験もひどすぎです。
・食事をしたばかりの人間や狩りをしに行った人間を解剖させ、消化の機能について調べた記録も残る。
●フリードリヒ2世の人体実験は本当なのか?
ただ、私はこの実験の話は本当かな?とちょっと疑っていました。本当に何も話さなかった赤ちゃんは死んでしまうのでしょうか。
…と言っても、これは何も赤ちゃんとのコミュニケーションは大事ではないと否定したいわけではないですよ。この実験は赤ちゃんとのスキンシップが大事であるという教訓を含むものです。そういう望ましい情報は無条件に信じてしまう、あるいは、嘘でもいいからと受け入れてしまうことがあります。疑似科学と呼ばれるものではよくある話です。
しかし、望ましい・望ましくないと、物事の正確性は別の話です。そういう思想信条を持ち込むべきではないのです。
(追記:後に書いた疑似科学に関する
江戸しぐさという捏造歴史教育が道徳で 明治政府が虐殺の主張もでも、「望ましい情報は無条件に信じてしまう」ことが指摘されていました)
Wikipediaで少し参考になりそうな話としては、"フリードリヒは人体実験を多く行っており、フリードリヒを敵視する僧侶サリンベーネが著した年代記には、彼が行った実験が記録されている"というのがあります。フリードリヒ2世を嫌う人の残した情報であり、割り引いて見る必要がありそうでした。
●赤ちゃんが死ぬ理由は?成長ホルモン・オキシトシン・インシュリン説など
信頼性が揺らいできてしまいましたが、本当に赤ちゃんたちが死んでしまっていた場合にはどのような理由が考えられるでしょう? 検索したところ、スキンシップがなかったことによって成長ホルモンが分泌されなかったせいだと断言しているところがありました。
そこではホルモンの名前は言及されていなかったのですが、他では「オキシトシン」や「インシュリン」(インスリン)の名前が上がっていました。私は最初このうちの「オキシトシン」だと思い込んでほとんど全部書き終えるところまで書いたんですが、これは成長ホルモンだという記載はありませんでした。違いましたね。
で、「インシュリン」の方を見たんですけど、これも
Wikipedia(最終更新 2014年12月29日 (月) 12:03)には成長の「せ」の字もありませんでした。何かやっぱり怪しい感じがあります。
なお、科学的な説明とは異なるのですが、この人体実験をフレデリック大王のものとしているサイトがあります。ただ、プロイセン王のフリードリヒ2世(フレデリック大王)と神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世(フェデリーコ2世)というのがいて、別人であるようです。ここでも信頼性が落ちていますね。
●オキシトシンは愛情と関係、インシュリンは重要ホルモン
「オキシトシン」の方は、愛情との関係でしたら確認できますので、結局こっちの話も書きますね。
オキシトシン - Wikipediaでは、以下のような記述がありました。
<人への投与実験>
・オキシトシンは良好な対人関係が築かれているときに分泌され、闘争欲や遁走欲、恐怖心を減少させる。オキシトシンをヒトに投与する実験が行われたが、鼻からの吸引によるこの実験では金銭取引において相手への信頼が増すことが判明。盲目的に信頼したといえ、損害を蒙ってもオキシトシンが再投与されれば再び相手を信頼し、不利な取引契約を締結してしまう。
これは投与し過ぎるとむしろヤバイという話です。ただ、「オキシトシンは良好な対人関係が築かれているときに分泌され、闘争欲や遁走欲、恐怖心を減少させる」と、こちらは確定的な言い方がされていました。ポジティブな効果です。
ただし、これは赤ちゃんが死んだ理由には直接繋がりません。オキシトシンは成長させるものではありませんし、分泌されないことが命に関わるかどうかは明記なしなのです。
一方、インシュリンは「血糖値の恒常性維持に重要なホルモン」でしたので、重要性は明らか。ただ、今度は愛情との関係は不明になり、赤ちゃんとの関係に触れた話は見つかりませんでした。赤ちゃんの話はオキシトシンでも出てきていません。
●オキシトシンは知的障害のある自閉症患者に有効?
とりあえず、オキシトシンのポジティブな効果をもう少し紹介しておきましょう。
・2010年4月24日 金沢大学「子どものこころ発達研究センター」が知的障害のある自閉症患者にオキシトシンを投与したところ自閉症患者の症状が改善したと発表。主治医の棟居俊夫特任准教授は「知的障害のある患者で効果が確認された例は初めて」とコメントした。またアスペルガー症候群でも効果が確認されたとの報告もある。これを知った同センターに通院する20代の男性が2008年にオキシトシンの点鼻薬を輸入・服用(数か月間)しところ、主治医の目を見て話す、対話中に笑顔を見せる、IQテストが受けられるようになるなどの症状の改善が見られ、その後10か月間の投与でも改善の持続が確認された。男性は3歳で自閉症の診断を受け、以前は他者と目を合わせることができず、オウム返しの反応しかできなかった。
しかし、"実験段階であり、日本をはじめ世界のすべての国でオキシトシンを自閉症治療に使用することは薬事法で認められていない"とあります。
STAP細胞実験でも痛い目にあっているわけですが、こういうのはまだ慎重に見ておかなくちゃいけません。確定事項みたいに書いちゃうのは、控えるべきです。
●オキシトシンは子宮収縮薬や陣痛促進剤に利用されるホルモン
また、オキシトシンの主な作用については、以下のような説明がありました。
<作用>
・オキシトシンには末梢組織で働くホルモンとしての作用、中枢神経での神経伝達物質としての作用がある。
・末梢組織では主に平滑筋の収縮に関与し、分娩時の子宮収縮させる。また乳腺の筋線維を収縮させて乳汁分泌を促すなどの働きを持つ。このため臨床では子宮収縮薬や陣痛促進剤をはじめとして、さまざまな医学的場面で使用されてきており、その歴史は長い。
・また、視床下部の室傍核 (PVN) や視索上核 (SON) にあるニューロンから分泌され、下垂体後葉をはじめ様々な脳の部位に作用し機能を調節している。
オキシトシンは最初女性だけにあるものと思われていましたが、"男性にも普遍的に存在することが判明してい"ます。ただ、前述の通り、赤ん坊にとっての重要性などの記載は見つかりませんでした。Wikipediaがすべて…ではないんですが、他は出典すらないですからね。信頼できそうなしっかりとした話は見つからなかったのです。
ただ、これらは赤ちゃんへのスキンシップが成長と無関係と断言するものでもないですよ。否定するにせよ、肯定するにせよ、慎重に見ていくべきです。
2019/02/12:再びWikipediaを見てみたものの、赤ちゃん・幼児・子どもなどにとって重要で、無いと死んでしまうといった話は、オキシトシン、インシュリンともにありませんでした。
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