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マクドナルド人気低下の意外な理由 安全性より値段が高いから?


 マクドナルド苦戦の理由には、安全性の問題という側面ももちろんあるのですが、それ以外の意外な理由もありそうです。安いというイメージとは裏腹に、コストパフォーマンスが悪い!高い!という声も多くなっていたのです。(2015/4/12)

2017/10/21:
マクドナルドの利用を再開理由の一番は「品質問題の記憶が薄れた」
マクドナルド復活の理由はよくわからない


●なぜマクドナルドから、客が離れたのか?

2015/4/12:マクドナルドの客離れの理由は、一般的には「安心・安全」の問題のせいだと言われています。

 例えば、"マックから逃げた客はどこへ行った?:日経ビジネスオンライン"(中 尚子、河野 紀子 2015年3月23日)では、"2014年7月、チキンの加工を委託している中国の工場が、使用期限切れの鶏肉を使用していたことが発覚した"「チキン問題」が、客離れを起こしていることは、言うまでもないとしていました。

 とりあえず、日本マクドナルドホールディングス(HD)の同月の既存店売上高は、前年同月に比べて17%減少と、苦戦しているのは事実。日本全国の店舗で、「ビニールの切れ端」などの異物混入が発覚した今年1月の既存店売上高は39%減と、2001年の上場以来、最大の落ち込みとなりました。

●チキン問題以前からマクドナルド離れは始まっていた

 しかし、日経ビジネスによると、"「いつ頃から利用頻度が減ったか」という設問に対して、1番多かったのが、「半年~1年前」と「1~3年前」"でした。"記事ではこれについて、チキン問題が起こる以前から消費者はマクドナルドを敬遠して"いたとしていました。

 ただ、中国メーカー製の期限切れチキンナゲット販売が判明したのは2014年7月。「半年~1年前」(22.8%)は2014年3月から9月ですので、チキン問題は多少含まれています。「1~3年前」(22.9%)の方だけ全く無関係で、「半年~1年前」については微妙です。

 なお、マクドナルドの利用頻度が減った時期は、1年以上前までの人が45.6%、ギリギリチキン問題と重なる半年前を加えると68.4%です。マクドナルド離れは最近の話じゃないよという大雑把な理解そのものは正しいと思われます。
調査会社インテージのモニター(20~60代の男女)を対象に、インターネットを使って3月4~6日に実施した。有効回答数は1165人で、回収率は13%。有効回答のうち、20代は15%、30代は20%、40代は23%、50代は20%、60代は22%。男性と女性はともに50%ずつ。

 「食の安全・安心」の問題も調査の結果から見えています。"子供の年齢別に利用状況を聞いたところ、「利用頻度が減った」と答えた人の割合は、0~2歳の子供がいる人が68%と最も高かった"ためです。

 ただ、"チキン問題などで、「食の安全・安心」が脅かされ、小さい子供を持つ親ほど敏感に反応した様子が見てとれる"という分析はまた怪しくなってきます。「チキン問題」はその前の設問で微妙になっていますので、それ以前からの継続的なイメージの方が重要だとした方が良さそうです。


●マクドナルドから逃げた客は他店に行かず、家に帰った

 さらに興味深かったのは、「マクドナルドの頻度が減った代わりに利用するようになったところ」(複数回答)という質問です。

 トップは25.1%でかろうじてコンビニエンスストアが立ちましたが、「そもそも外食の機会が減った」と答えた人の割合が23.6%で2位なのです。さらに「特になし」と答えた人の割合も12.8%に上ります。

 ある競合のハンバーガーチェーンの社長の、以下のような分析は妥当と思わせるところがあります。

「マクドナルドの客離れで恩恵を受けた面ももちろんあるが、マクドナルドの売り上げが減った分を、全て他の外食で吸収できているわけではない。長い目で見れば、外食市場の縮小につながってしまっている」

 マクドナルドの敵失でハンバーガーチェーンが恩恵を受けているというよりは、業界自体の縮小に加速度をつけたような感じです。(なお、「他のハンバーガーチェーン」も20.9%で4位でしたから、ある程度は他社に流れていると言えます)


●マックですら値段が高い?

 おもしろいなぁと思ったものは、まだあります。"「コストパフォーマンス」「接客」「ヘルシーさ」など複数の項目について、イメージが良いから悪いまで、5段階で評価してもらった"結果が以下です。
 特徴的だったのが、20代のマクドナルドに対するイメージ。20代のうち、「コストパフォーマンス」や「ヘルシーさ」「安全・安心」「ブランドイメージ」といった項目で、「悪い」もしくは「やや悪い」を選んだ比率が、全体の比率を上回った。唯一、「便利さ」についてのイメージのみ、20代の評価の方が、全体を上回っている。

 何と若者たちはマクドナルドの「コストパフォーマンス」が悪いというのです。具体的な数値は以下。でも、よく見ると、「良い、やや良い」も多いですね。

<コストパフォーマンスに対するイメージ>
悪い、やや悪い   全体24.7% 20代 37.6%
どちらともいえない 全体52.4% 20代 35.8%
良い、やや良い   全体23.0% 20代 26.6%

 「コストパフォーマンス」という場合、必ずしも高い・安いだけを意味しません。食べログなんかは料金が高いところでも、コストパフォーマンスが良い評価のことは珍しくありません。ただ、安いイメージが強いマクドナルドで、コストパフォーマンスの評価が悪いというのは、意外性があると思われます。

 また、「どういった点が改善されたらもっとマクドナルドに行くか」(複数回答)という質問でも、「値段が安くなったら」が32.2%で2位になっていたのも目につきました。これも結局コストパフォーマンスで「質の割に高い」という評価の可能性がありますが、2位に来ているというのは安さを求められている証拠です。しかも、これは20代限定ではなく、全体の調査結果です。おもしろいですね。

 こういうところを見ていると、日本ではどんどん貧しい人が増えている!と言いたくなりますが、前述の通り「マクドナルドの頻度が減った代わりに利用するようになったところ」ではそうでもなさげなコンビニエンスストアが1位でした。また、21.8%の3位に明らかに高い「回転ずし」が入っていました。リッチな人もいるものですね。

 なお、安さより質の問題と見る場合、「どういった点が改善されたらもっとマクドナルドに行くか」において61.4%で圧倒的にトップだった「食の安全が確保されたら」がポイントになってきます。価格を下げるより安全性を上げて、という話です。


●「マクドナルドは高い!」と思っている人は増えているのか?

 実は今回の件の前にも一度「マクドナルドは高い!」って話を書こうと思っていました。久しぶりにマクドナルドで食べようかな?とメニュー表を見たら、思っていたほど安くなかったためです。これなら他のお店の方がいいなぁと思いました。個人的には牛丼屋さんの満足度がずば抜けて一番高いです。

 では、他の人はどうなのでしょう? 以下の記事では、やはり「最近のマックは高い」と言っている人が多かったという話。
「最近のマクドナルドは高い」とよく聞くので、去年と今のクーポンを比較してみた【コラム】 - エキサイトニュース(1/2)  TABROID 2013年12月21日 11時40分 (2013年12月26日 11時02分 更新 コンタケ

本日、東洋経済にて、驚きの記事が公開されました。
マクドナルド 利益半減の驚愕

内容を超ざっくり要約しますと、マクドナルドの利益が3ヶ月で約半分にまで激減したということです。投資などの大きな出費が重なったこともありますが、売り上げも前期比約40億円のマイナスとのこと。

あの天下のマックが、どうしてこんなに売れなくなってしまったのでしょうか。東洋経済の記事下部にあるコメントや、Twitterでの共有ツイートを見てみたところ、いろんな意見があったのですが、
「最近のマックは高い」

という意見が多く見られました。

 ただし、記事の本題であるクーポンの比較では、「・期間限定メニューは高い・それ以外は大差なし」というあまり顕著ではない結果でした。

 作者は「高い」というイメージについて、「100円マックの改定や、グラコロ&月見バーガーが年々値上がってるといったのニュースもありました。それらのイメージが強いのかもしれません」と補足していました。まあ、実際に高いかより、高いと感じているということの方が商売では重要ですからね。

 あと、クーポンじゃないんですが、これで思い出したのが、以前書いたビッグマックのキャンペーン、本当は失敗 王者マクドナルドの曲がり角という話。ここで使った記事には、以下のような分析がありました。

「これまで安売り競争をやり過ぎたために、客はおいしくなければキャンペーンで安売りしているファストフード店を渡り歩くという消費行動になってしまいました。だから、期間限定のバーガーは4割ほどと高い原価で食材を仕入れ、付加価値をつけることで客数を増やす戦略。その代わり、ポテトやドリンクなど原価率10%程度のサイドメニューを一緒に注文してもらうことで全体の儲けを調整しているのです」(バーガー研究家でイエローズ代表取締役(飲食店コンサルティング)の白根智彦)
(マックの期間限定商法「飽きられるのも早い」とバーガー研究家│NEWSポストセブン 2012.08.16 07:00)

 ちょっと古い話ですが、安さが依然として重視されている可能性を感じさせます。


●「うるさい」「高い」「まずい」の三重苦

 ストレートに「高い」を扱った記事も見つけることができました。以下は個人サイトですが、この後、メディアの記事もあります。
マクドナルドの迷走ぶりがすごい!高い・遅い・まずいのマクドナルドはなぜ不振なのか : ブロガーかさこの「好きを仕事に」 2013年 05月 03日 かさこ

なぜこれだけ不振なのか?
それはファーストフードのチェーン店として、
求められているニーズとは、
ことごとく逆をいく戦略をしたからではないか。
不振の原因は3つあると思う。

●不振1:価格ばらばら

(中略)

チェーン店のよさって価格の統一性による安心感にあると思う。
どこにいってもいつ行っても、同じ値段だから利用しやすい。

ところがマクドナルドは、
・地域別価格の導入
・定価を頻繁に変える
・時間別価格(ランチタイム)の導入
により、価格がバラバラ。

(中略)

●不振2:遅い
またマクドナルド不振の理由の1つは、
「ファースト」が売りのはずのファーストフード店なのに、
スタッフの対応が遅くなり、最近やたらと、
行列が長くなったからではないか。

(中略)

●不振3:高い
不振の極めつけは、アホな高級路線とセットメニューの高騰化だ。
マクドナルドに誰もおいしさなんて求めていない。
にもかかわらず、露骨な単価アップを狙い、
中途半端なクオリティの高級バーガーを期間限定で乱発。
(中略)

セット価格で650円~720円もする。
時代錯誤もいいところだ。

 次がネットメディアのもの。上記のタイトルは「高い・遅い・まずい」の三重苦でしたが、以下は「うるさい」「高い」「まずい」の三重苦です。
マクドナルドに立て直しの秘策はあるか 「うるさい」「高い」「まずい」と不満の声 : J-CASTニュース 2013/12/29 16:09

 「安さ」目当てで店に足を運んでいたが、100円メニュー見直しと高級化路線への転換により敬遠するようになったとの声もある。(中略)

2013年8月、当時の原田社長兼会長と交代したサラ・カサノバ社長は12月25日、復活をかけた新商品の投入を発表した。この日放送のワールドビジネスサテライト(テレビ東京)では、「最近マクドナルドに行かなくなった」という男性にインタビュー。その理由を「手軽に食べられるのがよかったのに、高級志向になっているから」と答えた。(中略)

カサノバ社長が力を入れる期間限定販売のハンバーガーは370円と高めの価格設定で、「手軽さ」をアピールできるかは疑問だ。これまでも期間限定商品は一定程度成功を収めたが、全体の売り上げを押し上げるほどの力強さはなかったと番組では指摘していた。

 マクドナルド=高いのイメージは結構浸透している感じがします。


●マクドナルドの利用を再開理由の一番は「品質問題の記憶が薄れた」

2017/10/21:マクドナルド復活の立役者・足立光 ポケGOはイングレス好きが理由 売上回復の原因は不明…だがそれがいい?で書いているように、マクドナルドが復活気配です。

 マクドナルドは14年に品質に関するホームページを刷新。使う鶏肉をタイ産に切り替え、15年には顧客から意見を吸い上げるアプリを導入するなど、食の安心・安全対策に徹底して力を入れてきました。ただ、これが復活の理由になっているか?というと、怪しいところ。

 選択肢に左右されてしまうので、信頼性はあまり高くなさげなんですが、店の利用を再開・増やした理由についてのアンケート調査(日経MJの消費者1000人に聞いたアンケート)がありました。ここで最も多かったのは「品質問題の記憶が薄れた」(28.1%)だったのです。


●マクドナルド復活の理由はよくわからない

 一応、「食への安心・安全の不安がなくなった」が27.4%でこちらも高いのですが、決定的な理由になっていません。そもそも「食の安心・安全は徹底していると言われても見えにくい」と話していた人がいるように、かなり漠然としたものです。

 実際には、かなり曖昧なものではないかと思われます。「知人や家族が行き始めた」という周囲のムードの変化に乗った人が目立つという話もありました。

 ああ、実際の選択肢もありましたわ。ただ、パーセントは明記されていませんので、そういうものは私が適当に読み取りました。実際に価格が下がったという事実はないと思うものの、私が気にしていた価格は3位に入っています。

<店の利用を再開・増やした理由>
1位 「品質問題の記憶が薄れた」28.1%
2位 「食への安心・安全の不安がなくなった」27.4%
3位 「価格が安い、または手頃だったから」24%くらい
4位 「魅力的なメニューが増えたから」18%くらい
5位 「知人や家族が行くようになったから」13%くらい
6位 「他のファーストフードに魅力がなかったから」12%くらい
7位 「店舗改装で雰囲気が良くなり、行きやすくなったから」10%くらい
(復活マック、許したのはいつ? 鶏肉問題3年 1000人調査  :日本経済新聞 (栗本優、小田浩靖、平嶋健人)日経MJ2017年9月13日付より)

 複数回答だというのもありますけど、これ見ると理由はバラバラでかなりバラけています。ズバッとしたことは言えそうにないですね。

 実を言うと、マクドナルド復活の立役者・足立光 ポケGOはイングレス好きが理由 売上回復の原因は不明…だがそれがいい?の方でもそう書いていたのですが、マクドナルド復活の理由はよくわからない…というのが実際のようです。
 

【本文中でリンクした投稿】
  ■マクドナルド復活の立役者・足立光 ポケGOはイングレス好きが理由 売上回復の原因は不明…だがそれがいい?
  ■ビッグマックのキャンペーン、本当は失敗 王者マクドナルドの曲がり角

【関連投稿】
  ■マクドナルド、倒産はある?期限切れ鶏肉とは異なる静かなリスク
  ■マクドナルドはまずい?マックが最もおいしくないハンバーガーと評価
  ■マクドナルドで異物混入相次ぐ 不祥事対応で禁忌なのは隠蔽と謝罪不足
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