【クイズ】女王アリが次の女王アリを産んだ場合、現在の巣から出て行くのは新女王でしょうか? それとも、旧女王でしょうか?
●女王アリの浮気は良くない
答えはいつものように後で。最初は他の話を書いていきます。
クイズは、
「女王アリの“浮気”が組織を壊す?」 生き残るにはコストが不可欠:日経ビジネスオンライン(河合 薫 2014年9月25日)という記事からの出題。
このタイトルになっている「女王アリの浮気」は、北大・長谷川英祐准教授も「浮気って呼んでいいのかどうかわかりませんが(笑)」と戸惑った質問でした。
長谷川准教授が浮気のようなものとして挙げたのは、"多数の雄と交尾しているアリ"の例。そういう女王アリもいるんだそうです。
しかし、以下のようにデメリットがあります。これが「女王アリの“浮気”が組織を壊す?」の由来ですね。
"女王アリがいろいろな雄と子供を産むよりも、1匹の雄で子供をたくさんつくった方が、働きアリの間の血の濃さが近くなるので、働きアリにとって母親を助けるメリットが大きくなる。なので、浮気はしないほうが、女王アリ自身のメリットになるんです"
●働きアリも集団ではなく自分のために生きている
このメリットに関連する話は、この前の部分にもありました。長谷川准教授は人間だけでなく、「アリも子孫を残すという意味では、自分のため」に生きているとしています。集団のために生きているように見えるが、そうではないという話です。
理由は「集団で生きるほうが生き残る確率が高い」ためです。これについては「コスト」という言い方で説明されています。
長谷川:集団性の生き物は、その集団のために必ず自分でコストを払っている。そのコストを個体が払わないと、集団は維持できません。いわば、税金みたいなものです。
河合:税金という考え方はおもしろいですね。働きアリは、どんなコストを払っているのですか。
長谷川:働きアリは卵を産まないので、自分で子供をつくるというメリットを捨てています。それがコストだと考えられています。
名前が矛盾するようですが、働きアリの中には働かないアリもいます。彼らは「自分で自由に働けるというコストを払って」いると、説明の流れではなっていました。
ただ、これはわかりづらいですね。働かないで済むというのは、どうしてもメリットに見えてしまいます。
●女王アリも実は楽じゃない?
働きアリと働かない働きアリのコストは、とりあえず上記で説明できました。では、最後に残った女王アリのコストは?と言うと、こういう説明です。
長谷川:女王アリは、自分で生活する能力そのものを失っています。
河合:子供を“産むだけ”しかしないってことですね。
長谷川:そうです。子供を産むことに特化しちゃっているから、自分で生活できるというメリットを失っている。それが払っているコストです。
ピンと来ない部分もありますが、"お互いにコストを払っているから、全体としてうまく回る。でも、結局はそのコストを払うことで、女王アリにとっても働きアリにとっても、結果的にペイするようなシステムになっているから維持されているんです"という説明でした。
女王アリは楽ばっかりしているように見えてしまいますから、これはおもしろい話です。一方で、働きアリは全体のため、集団のためにだけ働いて滅私奉公し、搾取されるばかりに見えるけど、そうではないというのもおもしろいです。
ただ、ここらへんの論理はブラック企業の「お前が辞めると会社に迷惑がかかる。だから辞めずに今の条件で働け…」に利用されそうで、ちょっと嫌だなと思いました。
その場合はこう考えましょう。企業のために働くと考えずに、もっと大きく考えて、社会のために働きコストとメリットのやり取りをしていると。セーフティネットなんかも社会全体のものですし、その考え方で良いと思います。
一時的に働かないアリになっても、働きアリに戻れるときを待てばいいのです。
正しいかどうかわかりませんが、以前やった
自然界は弱肉強食という思い違いと人間社会が弱者を救済する理由の人も、人間の生存戦略は「社会性」であり、高度に機能的な社会を作り、その互助作用でもって個体を保護することで生き抜いてきたといった説明をしていました。
●他のクイズ
そろそろ回答なので、動物クイズを中心に他のクイズを宣伝。
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【クイズ】女王アリが次の女王アリを産んだ場合、現在の巣から出て行くのは新女王でしょうか? それとも、旧女王でしょうか?
答え:新女王
アリやハチの"コロニーが何年か経って大きくなると生んだアリの中に、次の女王アリや雄アリが生産され"ます。新女王が生まれないと全滅しちゃいますからね。
このときアリの場合は、"次の女王アリが外へ飛んでいって、どこかで交尾をしてまた新しい巣を作ります"。ですので、新女王が「現在の巣から出て行く」というのが正解です。わりと普通な答えです。
ところが、おもしろいのはハチの方です。アリと違うんですよ。
"ミツバチの場合はもともといた女王と新しい女王の2匹になって、コロニーの半分ぐらいの働きバチを引き連れて、もともといた女王がどこかに出ていっちゃうん"だそうです。今の巣を後輩に任せて、自分は外に出てしまうんですね。非常におもしろいです。
なお、このときは半分のハチを連れての大移動のため、「たくさんハチが出た」と大騒ぎになるそうです。アリと全然違いますね。
聞き手の河合薫さんは、ハチの巣の譲渡に関して、「自分のコロニーを次期女王にすんなりと渡すなんて、引き際もちゃんとしているんですね。これこそ人間も学んだほうがよさそうですね」と言っていました。
すんなりと引退するかどうかっていう点では、確かにそうですね。引退する、する言いながら、睨みを効かせてうまく後継者を育てられないパターンは多いです。特に偉大な創業者のいる企業はそうなります。
ただ、ハチの場合は旧社長が半分のメンバーを外に持って行っちゃいますからね。そんなことをされては堪りません。かと言って、アリタイプみたいに、後継者になるような優秀な人材が外へ出て行ってしまうのも困ります。うまく社内で活かせずに、外に出た人がベンチャー企業を作って元いた会社より成功、なんて例もあります。良くないです。
人間の会社としては優秀な人材を活かしてなおかつすんなり引退という、アリでもハチでもないパターンが理想でしょうね。
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