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名誉毀損の慰謝料の相場 一般人を安く、政治家・芸能人を高く設定


 名誉毀損の話をまとめ。<創価学会批判を封じ込めろ!恫喝訴訟(スラップ)で、言論の自由を侵害>、<法務大臣や公明党議員らが名誉毀損を次々問題視、裁判所に圧力>、<政治家・芸能人を優遇・一般人を冷遇する名誉毀損の慰謝料の金額も決定>などをまとめています。

2023/06/19:
一部見直し


●創価学会批判を封じ込めろ!恫喝訴訟(スラップ)で、言論の自由を侵害

2015/4/15:もともとは「創価学会」のキーワードで検索していて見つけた記事。最初はまた大げさに書いているのかな?と思って読んでいたのですが、政治家・芸能人・一般人への名誉毀損の慰謝料の金額のところでたまげました。ただ、その前に「圧力」に関する話からしていきます。

 記事の元ネタになっているのは、最高裁判所の元裁判官で明治大学法科大学院教授の瀬木比呂志さんの『ニッポンの裁判』 (講談社現代新書)みたいです。


 2001年、当時与党であった自民党は、森喜朗首相の多数の失言を受けて世論やマスコミから激しく批判されていました。連立与党の公明党も同じような状況。実質的に公明党と不可分で、最大支持母体である創価学会が週刊誌などから強く批判されていました。

 こうした批判は本来当然のことだったのですけど、自民党と公明党は予想外の行動に出たといいます。<自公は衆参法務委員会などで裁判所に圧力をかけ、裁判所がそれを受けて最高裁を中心に名誉棄損の主張を簡単に認めるように裁判の基準を変え、賠償額も高額化させ、謝罪広告などを積極的に認めるようになった>とされていました。

 当然この圧力は問題です。さらに一般人にとってより直接的に困るというのが、名誉棄損の基準が歪み、それを悪用した恫喝訴訟が民事でも刑事でも蔓延してしまった…ということ。日本を悪くしてしまったというわけですね。
(自公与党、批判封殺のため最高裁への圧力発覚 政界に激震、国会で追及へ発展か- Business Journal(2015年2月8日06時00分)

 たとえ主張が正当であったとしても、裁判やるぞと言われると主張する側は萎縮します。最近、日本では恫喝訴訟(スラップ)が相次いでいる気がして憂慮していました。そのような事態になった背景に政治家の圧力があったという記事だったのです。


●法務大臣や公明党議員らが名誉毀損を次々問題視、裁判所に圧力

 具体的な圧力の話もありました。森政権や創価学会が世論から批判を強く浴びていた01年3月、法務大臣の高村正彦さん(自民党)が参院法務委員会で、「マスコミの名誉毀損で泣き寝入りしている人たちがたくさんいる」と発言しました。(2023/06/19追記:高村正彦議員は統一教会の弁護士だったことが後に判明。自民党は統一教会報道を抑えたいという狙いもあったかもしれません)

 公明党も当然これに同調します。沢たまきさん(公明党)は「名誉侵害の損害賠償額を引き上げるべきだと声を大にして申し上げたい」と、参院予算委員会で損害賠償額の引き上げについて強く要求したそうです。同じく公明党の魚住裕一郎さんも同年5月の参院法務委員会で「損害賠償額が低すぎる」「懲罰的な損害賠償も考えられていけばいい」と強く要求しました。衆院法務委員会でも、公明党幹事長の冬柴鐵三さんが大々的にこの問題を取り上げて「賠償額引き上げ」を裁判所に迫ったといいます。

 圧力を受けた最高裁民事局長は「名誉毀損の損害賠償額が低いという意見は承知しており、司法研修所で適切な算定も検討します」と回答。自民党と公明党の圧力によって最高裁が名誉棄損の基準を変えることに成功しました。

 なお、この問題について記事では「政界に激震」などと書いていましたが、これは確実に大げさ。このおかしな変更について問題視していた議員として名前が上がっているのは野党だったり、国会議員ですらない地方議員だったり…。与党の大物議員なんかは問題視するはずがないですし、「政界に激震」とはならずスルーされたと言った方が良さそうでした。


●恫喝訴訟優遇の恩恵を受ける団体には、あの幸福の科学がある

 別記事の文春が裁判所命令で幸福の科学に巨大お詫び! メディア敗訴の判決乱発の裏に政治圧力- リテラ(2015年2月7日21時00分)(伊勢崎馨)では、幸福の科学の勝利の話という例を出していました。

<発端は「週刊文春」(2012年7月19日号)が報じた「幸福の科学 大川隆法"性の儀式"一番弟子が懺悔告発!」という記事だ。大川総裁の女性信者(Y)への性的関係を、教団元幹部が実名で告発したものだが、幸福の科学側は「教団の名誉が毀損された」と文春を相手取り訴訟を起こしていた。
 記事は大川総裁の一番弟子による実名証言での告発であり、性的関係を受けたYが大川総裁に宛てた手紙も「文春」編集部は入手していた。また大川総裁は信者数公称1100万人(宗教年鑑 2014年版)という巨大宗教法人のトップに君臨する人物だ。真実性、公共性、物証ともに十分訴訟にたえうる記事だと思われた。
 実際に東京地裁で下された一審判決は幸福の科学側の請求はすべて棄却され、文春側の勝訴となった。しかし幸福の科学はこれを不服として控訴。そして二審では判決が逆転し文春が敗訴、そして最高裁は今年1月23日、文春の上告を認めず判決は確定した。その結果、冒頭に記した巨大お詫び広告が掲載されるにいたったのだ>

 これによると、先ほど出た瀬木比呂志さんは「週刊文春」の記事でも、政治家の政治家の圧力について触れていたみたいですね。瀬木比呂志さんは「〇一年を境に(名誉毀損裁判をめぐる)状況は一変。賠償額が一気に高騰した。そこには知られざる『政治からの圧力』があった」と明言していたそうです。

 これにさらに解説がついています。それによると、自民党と公明党は、名誉毀損の厳格適用と損害賠償金額高額化を画策し、国会で公明党が再三にわたって「損害賠償金額が安すぎる」と質問する一方、自民党はさまざまなルートを使って法務省、最高裁判所に圧力をかけ続けた、とされています。


●政治家・芸能人を優遇・一般人を冷遇する名誉毀損の慰謝料の金額も決定

 "裁判所は自公の動きに呼応するように、東京地裁民事部判事による損害賠償額見直しのための勉強会を発足させ"ます。そして、"01年には最高裁民事局が、東京、名古屋、大阪高裁の判事で構成される「損害賠償実務研究会」を設置"。"これらの機関で名誉毀損の賠償額を500万円程度に引き上げることを組織的に決定し"ました。

 しかし、私が最も驚愕したのがこの後の話。タイトルにした私が最も書きたかった話はここからでした。

<しかも、この時、同時に決められた算定システムも非常に不可解なものだった。慰謝料の金額は被害者の職業別に点数化され、金額に差がつけられたのだが、その点数はタレントが10点、国会議員・弁護士などが8点、その他が5点>

 これは本来逆じゃないかと思うんですよ。政治家のような公人の方が報道する必要性が高いものの、一般人について報道するときには厳しくその必要性を問わねばいけないためです。例えば、報道倫理 - Wikipedia(最終更新 2014年8月10日 (日) 10:45)の「名誉毀損とプライバシー」には、以下のような説明があります。

<私人は、プライバシーの権利を持つが、公共の利害に関わる事実であれば、報道が許される。政治家などの「公人」に認められるプライバシーは私人より少ない>

 記事ではその後以下のように続いており、やはり「公人」について触れています。

<従来、名誉毀損は公人には成立しないとされており、その公人には国会議員も含まれるという考え方が有力だった。ところが、この算定システムはそれをくつがえしたばかりか、国会議員に反論の場を持たない一般人よりも高い賠償金を支払うことを求めているのだ。瀬木氏も「政治家に媚を売ったと見られても仕方ありません」と指摘しているが、これは明らかに政治家のスキャンダル報道を抑えるために作られたシステムだった。
 しかも、政治家だけを優遇する印象を避けるために、裁判所はタレントにも高い賠償額を支払う仕組みをつくった。そして、反論権を持たない"言論弱者"である一般人の損害賠償を一番低く見積もるという名誉毀損の本来の趣旨と逆行する方針。そこには言論、表現の自由を守るという意識はまったくない。あるのは、自分たちの利権を守ろうという官僚的な発想のみだ>

 ほぼ同じ内容で、より詳細に書いていたのは、与党・自公、最高裁へ圧力で言論弾圧 名誉棄損基準緩和と賠償高額化、原告を点数化も- Business Journal(2015年1月29日06時00分)という記事。前述のところでなかった話としては、01年の最高裁判所に所属する司法研修所の研究会では「謝罪広告についても積極的に認めよ」とも主張されていた、というものがありました。


●ベストセラーで売れている瀬木比呂志氏、大手マスコミは報じず

 黙殺されているかどうかは別として、瀬木比呂志氏の著書はあまり注目されていないようです。ここまでの記事はすべてサイゾー系でした。『ニッポンの裁判』絡みで検索して他に出てくるのは、サイゾー系以外だと他には現代系くらいですね。

 例えば、日刊ゲンダイ|元最高裁の瀬木比呂志氏が暴露「裁判所はいまや権力の番人だ」や(元エリート裁判官が衝撃の告発! 政治家の圧力に屈して名誉毀損訴訟の認定基準を変更した最高裁判所は「最低裁判所」だ! 現代ビジネス  2015年02月17日(火) 瀬木比呂志)がそういった現代系の記事です。

 しかし、瀬木比呂志さんの本が売れていないわけではなく、『ニッポンの裁判』は、 ベストセラー1位- カテゴリ 司法・裁判(一般)関連書籍 でした。

法的判断は裁判官の全人格の反映である!重みがあり、恐ろしくもある
投稿者 コナン.O. トップ1000レビュアー 投稿日 2015/1/31
<◆最高裁判所事務総局は、下級審の裁判内容をコントロールしている。原告泣かせと言われた名誉棄損損害賠償請求は、政治家の圧力によりメディア等の被告の敗訴率が高まった。原発の運転差止め訴訟については、同事務総局は極めて露骨な却下、棄却誘導工作を行っていた。
◆日本の裁判官の多くは「裁判を行っている官僚」であり、行政訴訟の勝訴率の低さ、憲法訴訟の扱いを見ると、裁判所は国民支配のための道具・装置であるとさえ言える。
◆民事裁判の有力な解決方法である和解について、日本では、欧米諸国と異なる交互面接型で行われるため、裁判官により和解を強要されるケースが少なくなく、国際標準から大きく外れている>


●ベストセラーなのにマスコミに黙殺されてるのはトンデモだから?

 ただ、売れていてもトンデモ学者という可能性はあります。この場合、メディアで出ていないのは、信頼性に問題があるためと説明できます。上記の本以外だと一応ロイターの再送-特集:原発訴訟(下)-福島事故後のリスク判断、司法現場に重い課題 | Reuters(2015年 02月 19日 14:34 JST)では登場しているのは確認できました。

 瀬木比呂志さんの主張は壮大過ぎて、確かに危うさも感じます。陰謀論的なトンデモだという可能性は確かにあるでしょう。ただ、資料や実際の判例の指摘、政治家らの具体的な発言が示されていますので、そこらへんはさすがに事実じゃないかと。そうなると、全くの荒唐無稽とは言い難いところです。

 私としては何より「タレントが10点、国会議員・弁護士などが8点、その他が5点」という名誉毀損の慰謝料の目安が信じられません。他の話が全部ウソであっても、これだけは絶対おかしいと訴えたいです。


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