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コモディティ化対策の例 レゴは機能ではなくストーリーで売って成功


 レゴの話…なのですが、それじゃ読まれないだろうなということで、「売れる商品は機能ではなくストーリーで売る」というコモディティ化対策という切り口で書きました。その後、テーマの近い"売れる商品と売れない商品の違いはただ一つ 値下げ競争から抜け出すには?"いう話を統合しています。

2015/4/16:
●世界各国で展開のレゴのテーマパークレゴランド、日本に初進出
●パクリの容易なブロックなのに、レゴはなぜおもちゃで世界一か?
●レゴは機能ではなくストーリーで売る テーマを多数用意して提示
●倒産危機に瀕していたレゴ、予想外のライバルによってピンチに…
●プロ経営者を招いて復活…と思いきや、「脱ブロック」多角化でも失敗
2015/12/10:
●どこにでもある商品が売れないのは、営業が悪いから!と言う会社
●売れる商品と売れない商品の違いはただ一つ
●差別化できない商品はそもそも売れなくて当然
●コモディティ化した商品は値下げ競争に


●世界各国で展開のレゴのテーマパークレゴランド、日本に初進出

2015/4/16:レゴの話を下書きしていましたが、イマイチ読まれる気がしませんでした。ただ、日本初屋外型レゴランド、17年に開業 名古屋で着工式:朝日新聞デジタル(2015年4月15日21時04分)というレゴのニュースがあり、投稿するなら今しかない!と思って公開してみることにしました。

<名古屋港で2017年春に開業予定のレゴランド・ジャパンの着工式が15日、建設予定地の金城埠頭(ふとう、名古屋市港区)で開かれた。ブロック玩具「レゴ」の屋外型テーマパークで、欧米などに六つあり、日本では初めて。アジアではマレーシアに次ぎ2番目になる。
 広さ9・3ヘクタールで計画され、乗り物やショー、シアターでレゴの世界を体感できる。世界のレゴランドには地元の名所を再現するエリアがあり、名古屋ではブロック約22万5千個で作る名古屋城が登場。周辺には食事や買い物ができる複合施設、ホテルもできる>

 今回テーマパークの話はメインじゃないのですけど、別記事の打倒ディズニー “レゴランド”日本上陸:ワールドビジネスサテライト:テレビ東京(4月15日)からの情報も紹介しておきます。

<「レゴランド」は、すでに世界5ヵ国で展開。2歳から12歳の子供を持つ家族を主なターゲットに、人気を集めます。日本のテーマパークといえば、東京ディズニーリゾートと大阪のUSJ。東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは「他のテーマパークの影響を受けたことはない」と余裕ですが、USJは「若い家族連れでは競合しうる」として警戒感を示します>


●パクリの容易なブロックなのに、レゴはなぜおもちゃで世界一か?

 では、もともと書いていた話。実を言うと、レゴランドとは全然関係ありません。レゴのヨアン・ヴィー・クヌッドストープCEO(最高経営責任者)へのインタビュー記事です。

 "誰でも製造できる、単なるプラスチックのブロック。しかしなぜ、レゴはここまで支持されるのか"というテーマ。何とレゴはブロックで…ではなく、玩具で世界一らしいんですよ。
レゴが「ブロック」だけで玩具世界一になれた理由:日経ビジネスオンライン 蛯谷 敏 2015年2月16日

クヌッドストープ:昨年は、映画「レゴムービー」の大きなヒットもあって、我々にとっては本当に素晴らしい1年でした。(中略)

――レゴムービーもそうですが、昨今のレゴの売り上げを牽引している主力製品は、「プレイテーマ」と呼ばれるシリーズです。単なるレゴブロックではなく、テーマごとに異なる世界観を訴求し、そこに引き込むことで、結果的にレゴのファンになってもらう。「機能ではなく、ストーリーで売る」という、昨今の定着したマーケティング手法の実践とも言えます。

クヌッドストープ:確かに、レゴの業績を牽引しているのは、「プレイテーマ」に代表される主力製品です。1980年代からレゴの基本特許は各国で切れていますから、レゴのようなブロックを今では誰でも製造できます。もちろん、レゴならではのブロックの品質に対するこだわりはありますが、ブロックの見た目は競合他社と大きく変わることはありません。

――ブロック自体は、いわゆる「コモディティー(汎用品)」となってしまっているわけですね。

クヌッドストープ:そうです。

 コモディティ化については、下記を参照。
コモディティー化(こもでぃてぃーか)とは - コトバンク

知恵蔵2015の解説

市場参入時には高付加価値を持っていた商品が、普及段階における後発品との競争のなかで、その機能の優位性や特異性を失い、一般消費財のように定着していくこと。消費者サイドから見ると、「どのメーカーを選んでも大差ない、いつでも手軽に購入できる商品」がコモディティー化された商品ということになる。

コモディティ化とは - はてなキーワード

競合する商品同士の差別化特性(機能、品質、ブランド力など)が失われ、価格や買いやすさだけを理由に選択が行われること。機能や品質面で大差のない製品が多く流通し、消費者にとって「どの会社のものを買っても同じ」状態になること。

●レゴは機能ではなくストーリーで売る テーマを多数用意して提示

 レゴはこのコモディティ化対策について、意識してやっていたようです。たまたま考えついたということではないんですね。「数あるブロックの中からレゴを選んでもらうためには、どうすればいいか」という課題について、90年代、2000年代と考え続けていました。そして、導き出された答えの1つが、「プレイテーマ」の展開というものだったのです。

 クヌッドストープCEOは、これについてピアノで例えています。ピアノは、それ単体で楽しめますし、楽譜がなくても弾くことはできます。しかし、楽譜があればまた違った楽しみ方ができるだろうとのこと。自分の知らなかった様々な世界を知り、その世界観に浸ることができて、ピアノの楽しみ方が広がるとされていました。

 レゴというのも、ブロックそれだけでも楽しめます。しかし、ここでピアノで言う「楽譜」を用意しようというのが、プレイテーマの考え方。いろいろな種類のテーマを用意することで、子供たちの楽しみ方を広げていくという説明でした。

 ただ、レゴは自分独自のオリジナルの遊び方を否定しているわけではありません。楽譜を使って練習したら、自分のオリジナルの曲が作れるようになるのと同様、レゴもプレイテーマを通じて一度作り方を覚えれば、後は自分の世界観を自由に作り上げることができると説明されています。


●倒産危機に瀕していたレゴ、予想外のライバルによってピンチに…

 ただ、クヌッドストープCEOが就任した2004年当時は、破綻の危機に瀕していたとのこと。知りませんでした。クヌッドストープCEOによると、当時、レゴを襲った大きな変化は2つ。1つは、ブロックの基本特許が切れたというわかりやすいもの。レゴよりも廉価なブロックが競合他社から相次いで発売されたことです。

 しかし、もう1つは、もっと予想しづらいもの。テレビゲームに代表されるデジタル玩具が登場したことでした。「れまで何十年もレゴは子供にとっての定番玩具だったし、よもや競合他社やテレビゲームの登場がレゴを破綻の瀬戸際にまで追い詰める可能性があるとは、ほとんどの社員が想像もしていなかったと思います」としています。

 なお、さっきの必死に考えていた90年代、2000年代にあたる90年代後半に、"みるみる売り上げとシェアを落とし"てしまたっため、目覚めたってことのようです。なんだ、最初から危機を意識していたんじゃないんですね。


●プロ経営者を招いて復活…と思いきや、「脱ブロック」多角化でも失敗

 この危機の時期である1997年に、創業家の3代目だった当時のCEOのケル・キアク・クリスチャンセンさんは、この状況を建て直すために、外部から経営のプロを招聘しています。招聘されたのは、"デンマークの高級オーディオメーカーである「バング&オルフセン」を立て直した"経営者。社長として招いたのかと思いましたが、オーレ・キアク・クリスチャンセン - Wikipediaを見ると社長はそのままだったみたいです。

 検索しても名前はわかりませんでしたが、この招聘された方が「脱ブロック」を推進。"テレビゲーム開発、テレビ番組制作、テーマパーク拡大、直営店への進出など"、多角化します。ただ、"ほとんどの新事業は期待したほどの成果を生み出せず、赤字が続きました"。

 "それまで、レゴブロックしか開発してこなかった会社が、いきなりテレビゲームやテーマパークを成功できるはずがありません"と、クヌッドストープCEOはおっしゃっています。うちだと初期の■多角化はシナジーや本業との関連性より強みを出せるかどうかが大事>あたりを思い出します。リストラもいっしょにあったのですが、多角化した事業は畳んだとのこと。

 うちでのタイトルは「ストーリーで売る」を使いました。ただ、多角化に注目した話としてもおもしろかったかもしれませんね。


●どこにでもある商品が売れないのは、営業が悪いから!と言う会社

2015/12/10:ここからは、「商品を売る」という同じテーマで、なおかつコモディティ化とも関係のある"売れる商品と売れない商品の違いはただ一つ 値下げ競争から抜け出すには?"でやった話。

 ただ、最初は悪い例から。こちらで出てきた開発チームの人の話がひどすぎて、本当かな?というものでした。ただ、まあ、いそうだなとも感じる話でもあります。開発チームだけでなく、経営者などでもあるかもしれません。
商品が売れない原因はこれ!他社を圧倒する差別化、放っておいても売れる商品とは Business Journal / 2015年10月26日 6時0分(文=永井孝尚/ウォンツアンドバリュー株式会社代表)

 筆者は企業のお客様からさまざまな相談を受けることが多い。あるケースでは、新製品担当者から、「なかなか営業部門が思ったように動いてくれない。営業にはターゲットの顧客を絞るべきだと言っているが、聞こうとしない。どうすれば売れるのか?」という相談を受けた。

 そこでどのように絞り込むべきかを聞いたところ、「地域や、チャネルで絞り込むべきだ」との答え。理由を聞いたところ、「特に理由はない。とにかく、絞り込むべきだ」と言う。

 質問を変えて、その新商品が、自社のどのような強みを生かし、どのお客様を対象にして、どのような課題を、いかに解決しているかを尋ねてみた。すると「そういうことは考えていない。他社でも同じ商品は提供できる」との答えが返ってきた。

 ここまで話して、営業部門が動かない理由がわかった。「お客様が買う理由」が不明確なのだ。そこで「最初に『お客様が買う理由』を考えるべきではないでしょうか?」と答えたところ、残念そうにこう言った。「結局、『地道にやれ』ということか」。

●売れる商品と売れない商品の違いはただ一つ

 作者の永井孝尚代表は、"ほとんどの場合、売れない理由はひとつ"であり、"「お客様が買う理由」がない"からだとしていました。

 そりゃそうですよ、という話。どこにでもある商品なんて、お客さんが好んで買う理由がありません。アホじゃないの?という話。前述の開発チームは、営業を魔法か何かと勘違いしています。

 以前、画期的な特許を取った製品開発者への報酬を高くしてはいけない理由として、「営業などの努力があって売れたのだ」と言っている人がいました。これも営業というのは、価値の無いものを騙して売る商売で、商品自体の価値には大した差がないと考えているせいでしょう。

 他社が作れない製品というのは、その開発者がいないと開発されずそもそも存在もしないのですから、1個たりとも売れません。他者にない価値を生み出す仕事は、もっと高く評価されて良いでしょう。


●差別化できない商品はそもそも売れなくて当然

 話がそれてきそうですね。元記事に戻ると、結局、商品が売れないというのは、そもそもその商品に売れる魅力がない可能性が高いという当たり前な結論になっていました。
 営業は、自社が開発したさまざまな商品を売るのが仕事だ。同じ売るなら、お客さんが欲しがる、売りやすい自社商品を売りたくなるのは、営業にとって当然のことだ。その商品が、お客様が思わず買いたくなるような強い「お客様が買う理由」があれば、放っておいても営業はその自社商品を売ろうとする。さらに営業ならではの色々な知恵を出して、より多く売ろうとする。

 この新商品を営業が売ろうとしない理由は、この営業が動きたくなるような「お客様が買う理由」がないからだ。自社の強みを徹底的に考えていないので、新商品で最も大切な、ライバルとの差別化ポイントが不明確。そのためお客様に売れる以前に、自社の営業を説得できない。だから売れない。つまり戦略不在なのだ。

●コモディティ化した商品は値下げ競争に

 そうは言っても他社で真似できない製品なんてそうそう作れないと思うでしょう。これまた事実ではあります。特に最近はそういった商品分野が増えてきていると思われます。記事では出てきていませんでしたが、前半と同じ「コモディティ化」の世界です。

 さっきのダメな会社エピソードでは、「営業に行っても、お客様から言われるのは値引きばかり。どうすればいいのか?」というのもありました。コモディティ化でも以下のような説明があります。
コモディティ化とは - はてなキーワード

消費者の商品選択の基準としての「価格」の存在が大きくなり、メーカー側は商品価格を下げざるを得ない。これによって、同様の商品同士での価格競争が起こりメーカーの薄利提供が続くことになる。

 で、この悪夢のような値下げ競争から抜け出す対策は?と言うと、ここでもやはり「商品差別化(メーカー側の付加価値の提供、ブランディングの強化など)」とされていました。

 まあ、他社と同じ製品を持ってきて、「安くしないけどうちだけを買ってくれ」というのは無謀ですからね。こういった結論にならざるを得ません。

 …と書いていたのですが、前半の話を踏まえると、ストーリーで売るというのも、差別化の一つの例だと考えられます。


【本文中でリンクした投稿】
  ■多角化はシナジーや本業との関連性より強みを出せるかどうかが大事

【その他関連投稿】
  ■マイケル・ポーターの競争戦略 マクドナルドとモスバーガーの違い
  ■ビジネスのヒントになる開成高校野球部のセオリー 空振りのススメ
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