2015/4/17:
●結婚すると恋愛感情がなくなるのも「ウェスターマーク効果」かも…
●ウェスターマーク効果?会話時間が短い方が夫婦円満に繋がる可能性は?
●夫婦円満の秘訣 長時間いっしょにいて会話をするのは大事なのか?
●一緒に夕食をとる回数と幸せ度の関係性を見ると…
2021/09/13追記:
●ウェスターマーク効果の証明?親が望む擬似家族内で結婚率が低い 【NEW】
●そもそもウェスターマーク効果って本当にあるの?比較調査すると… 【NEW】
●結婚すると恋愛感情がなくなるのも「ウェスターマーク効果」かも…
2015/4/17:
Wikipedia(最終更新 2014年10月23日 (木) 15:47)によると、ウェスターマーク効果とは、幼少期から同一の生活環境で育った相手に対しては、長じてから性的興味を持つ事は少なくなる、とする仮説的な心理現象です。
このウェスターマーク効果は、
現実には妹萌えが成立しづらい理由と従姉妹萌えならあり得る理由で出てきました。実を言うと、そちらで紹介された話はきちんと確かめられているわけではないので注意が必要なものなんですが、ある程度確からしいところが見られます。ウェスターマーク効果は血縁のある家族・親族を想定。さらに信頼性の下がりそうな話ですけど、これを血縁関係のないものにまで拡大しているものもWikipediaには載っていました。
<親しい者への態度との比較>
・高畑由起夫は『インセストをめぐる迷宮』(1993)において、動物行動学のコンラート・ローレンツを引き合いに出し、親しいものに対して攻撃的な態度を取れないため、それと近い関係にある性衝動も沸かないのだと主張した。一方で吉本隆明は『書物の解体学』において「女房と畳は新しいほうがよい」のと同じ程度の話だと主張した。
・原田武は2001年の自著で、瀬戸内晴美が『家族物語』(1988年)で、夫婦でも長年連れ添っていると肉親のように感じてしまい近親相姦みたいだという話を取り上げていることを引いて、セックスレスの夫婦はお互いをキョウダイのように思っている場合もあるのではないかと指摘した。
●ウェスターマーク効果?会話時間が短い方が夫婦円満に繋がる可能性は?
上記で紹介した「夫婦でも長年連れ添っていると肉親のように感じてしまう」といった話は、こんなこと書いたら失礼ですけど、思いつき程度ではないかと思います。ただ、私も前々から夫婦というのはあまりにもいっしょにいる時間が長いために、新鮮味を失ってしまうのではないか?という、ウェスターマーク効果っぽい「思いつき」について考えていたんですよね。
具体的には、何から何まで夫婦でいっしょ…というのではなく、ある程度メリハリをつけて適度に自分の時間を持つ方が夫婦仲はうまくいくのではないか?と考えていました。普通に単身赴任中に不倫みたいなことになる例が多く見られるように、もちろん完全に別離になってしまうと行きすぎだと思います。ですので、メリハリですね。
ただ、検索してみると、むしろ夫婦いっしょの時間が短すぎる!という警告というかアドバイスが出てきました。真実は逆なのかもしれません。個人サイトが多いので使いづらくていろいろと探していて、やっと見つけたメディア系のサイトはこちら。ここも結局信頼性の低いWooRisですが、他になかったので仕方ありません。
検索で出てきたのは、
夫婦の時間が休日3時間以下だと「離婚」を考えがちと判明 - WooRis(ウーリス)WooRis(ウーリス)(2013/06/17 19:00 by 姫野ケイ)という記事。うん、でも、これ、夫婦で過ごす時間が平日3時間ならともかく、休日でも3時間というのは少なすぎでしょう。あまりに短くて極端ですね。一応中身も読んでみますけど…。
<明治安田生活福祉研究所(引用者注:「男性の幸せに関する意識調査」というタイトル)によりますと、男性と女性で幸せ度を10点満点で評価するアンケートを実施したところ、夫婦が休日に5時間以上一緒に過ごす夫婦では、夫の幸せ度が全体の平均点である6.77点を上回る結果となりました。また、10時間以上一緒に過ごしている夫の幸せ度は7.29点という高得点です。
つまり、一緒にいる時間が長い夫婦ほど幸せを感じているということが言えます>
あら、単純に長ければ長いほどいいという結果に。私の予想とは異なりました。単なる思いつきですから、仕方ないのですが、逆になっています。そして、"休日に妻と一緒に過ごす時間が3時間未満である夫は幸せを感じにくい傾向に"あり、"夫の3人に1人は離婚を考えたことがある"ということになっていました。
●夫婦円満の秘訣 長時間いっしょにいて会話をするのは大事なのか?
ただし、上記の話は因果関係が逆で、仲が悪いから休日はいっしょにいないという可能性もありそうです。じゃあ、別のを…ということで、同様に会話時間に着目した調査も発見しました。
夫婦の会話が30分は離婚の危機?! 会話を深めるコツ(ノーツマルシェ 投稿者小倉 環(キャリアカウンセラー)11月 26, 2014)では、以下のようにかかれています。
<2006年発表のMDRT日本会による夫婦の意識調査では、夫婦の会話の時間の増減が、離婚可能性に比例することを示唆しています。たとえば、「夫婦ふたりの1日の会話の合計時間の長さの平均はどれくらいか?」という設問に対し、男女合わせて平均66.3分1日に会話をしているという結果が出ています。
それに対し、「離婚をする可能性なし」ときっぱり言い切る人の平均会話時間は男性81.34分、女性86.64分。一方「離婚する可能性あり」と答えた男性は36.71分、女性22.17分という結果が出ています>
ということで、こちらも長ければ長いほどいいという単純な結果に。しかし、こちらも結局因果関係が逆の可能性は否定できません。なかなかスッキリいきませんね。
当初想定していた方向性の調査もないかと、飽き・新鮮さ・マンネリなどのキーワードで検索してみました。しかし、出てくるのは求めているものと異なるか、筆者の考えのみ・個別の事例といった信頼性で劣るものばかり。調査らしい調査は結局見つかりませんでした。
これらの結果からすると、新鮮味うんぬんよりもとにかく接触する時間を長くした方が良いというものになります。最初の夫婦とウェスターマーク効果の話についても、妥当ではなさそうです。
ただ、何度も書くように、夫婦仲が悪いから休日はいっしょにいない・会話が少ないとなり、夫婦円満だから休日はいっしょにいる・会話が多いという可能性があります。これだと結局、「当たり前だろう」という話で何の参考にもなりません。結局、あまり役に立つ調査はありませんでしたね…。
●一緒に夕食をとる回数と幸せ度の関係性を見ると…
最初は以上で終わっていたのですが、もう少し調べた方が良いだろうと投稿直前に調査の元ネタも探してみました。まず、明治安田生活福祉研究所の
(PDF)「男性の幸せに関する意識調査」結果概要 - 20_01.pdfという調査。ただ、平日のいっしょにいる時間などはなし。家族経営のお店をやっているなど、強制的にいっしょにいる夫婦は仲が良いとわかれば説得力があったんですが、データなしです。
これが参考になるデータかどうかは難しいところですが、"毎日一緒に夕食をとる夫の幸せ度(6.98点)が最も高いものの、2日以上であればさほど差は見られません"という調査ならありました。週に2日の場合は6.76点。これが1日だと6.11点と急激に下がり、0日だと5.29点。
解釈が難しいですけど、「毎日一緒に夕食をとる」という過ごす時間の長さにも関わらず、幸せにほとんど影響していないというのは、いっしょにいる時間が長いほど仲良し説に不利に働く気がします。また、妻に満足している理由として挙げられていた"理由別に幸せ度をみると、最も高かったのは「一緒にいて楽しい」(7.64点)"でした。やはり因果関係が逆のように見えます。
もう一つ、2006年発表のMDRT日本会による夫婦の意識調査も見つかりました。しかし、元データの記載がなく、調査元が解釈した結果を羅列しただけですので、全く参考になりません。結局、追加で見てみたものの収穫なしでした。すみません。
(
(PDF)【報道資料】2006年11月13日MDRT日本会いい夫婦の日「11月22日」を前に40代~50代の『夫婦の意識調査』より)
●ウェスターマーク効果の証明?親が望む擬似家族内で結婚率が低い
2021/09/13追記:ウェスターマーク効果についての説明をもう少し追加。Wikipediaによると、「ウェスターマーク効果」というのは、フィンランドの哲学者・社会学者であるエドワード・ウェスターマークが、1891年の自著『人類婚姻史』で提唱したものだそうです。「ウェスターマーク」というのは、人名由来だったんですね。
ウェスターマークさんは、幼少期から慣れ親しんだ相手に対して性的興奮が起こりにくい理由は、近親者同士の性的嫌悪にこそあり、この発展形が族外婚の規律であると主張したといいます。どうも近親相姦禁止正当化の主張が目的だったようです。ただ、そもそも近親者同士の性的嫌悪があるなら禁止する必要はないため、かなり無理がある説だと批判されたようでした。
なので、人類学者からは無視されたみたいですね。とはいえ、近親者同士の性的嫌悪が「100%ある」ではなく、「ある程度ある」ならあり得る話。1950年代にメルフォード・スパイロらのイスラエルでの擬似家族での傾向に関する言及をきっかけとして再び検討が始まったそうです。
<メルフォード・スパイロが1950年代に、イスラエルではキブツ(集産主義的共同体。18歳頃までの少年少女は生物学的家族から引き離され、擬似家族のようにともに育てられる)で一緒に生活していた仲間とは結婚を避ける傾向が見られた、と述べたことで復活した。ジョセフ・シェファーは1970、80年代に2769組のキブツ出身者の結婚を再調査した。それによれば親はキブツ内での結婚を望む傾向があったにもかかわらず、同じキブツの出身者同士の結婚はそのうちわずか13組に過ぎなかった。そのうち9組は6歳までにともに育てられておらず、残りは6歳までのうち2年以上離れて育てられていた>
<アーサー・ウォルフは1990年代に台湾のシンプアという結婚形式を調査した。台湾では結婚の古い形式に花嫁が夫の家族と暮らす、花婿が妻の家族と暮らすという二つの形態の他に、3歳以前の幼い男女が将来の結婚のためにともに育てられる第三の形態が存在した。シンプアでは他の形式よりも子供の出生率は低く、離婚率は高かった。またボリス・シリュルニクは『インセスト的感情』において、フランスにおいて第二次世界大戦後にカトリック系施設に収容された1301人の子供のうち、3組しかお互い同士の結婚に踏み切らなかったという事実を引用した>
●そもそもウェスターマーク効果って本当にあるの?比較調査すると…
ただ、上記は証明としては全然。条件を揃えて比較するなど、証明に十分な研究にはなっていません。Wikipediaに多数ある他のウェスターマーク効果を主張する研究も質の低そうなものばかりです。そういう意味では、Wikipediaの中であった中でも以下の研究は、比較があって興味深いと思ったものでした。ところが、こちらの調査結果では、「社会によってまちまち」という結果になり、あまり法則性はなかった感じです。
<ベルーゲは、もし近親性交が生物学的に危険ならば、そのような社会ではより強い大人同士の近親性交へのタブー視が存在すると予測し、6つの文化で幼い頃の親交とインセストタブーの負の相関を発見し、さらに四つの文化で同様の発見を行った。しかし子供の頃の親密さと近親相姦のタブー視の強さが正の相関にある社会も多い>
また、以下のような別の研究も、一部は予想通りになったものの、一部では予想通りにならなかった…というもの。ということで、ウェスターマーク効果は証明できる十分な研究はありません。むしろ比較的信頼性の高そうな研究では「傾向なし」というもので、ウェスターマーク効果はないか、あっても弱い感じ。とりあえず、まだ証明されていないというのは確かですね。
<エンバーは、もしウェスターマーク効果が存在するのなら、いとこ同士が幼少期にともに暮らすような族内婚コミュニティでは(いとこ婚への嫌悪から、禁止されるようになり)強くいとこ婚が禁止されており、族外婚コミュニティではより弱いいとこ婚タブーを持っているはずだと予測した。717の文化を調べたところ、族内婚コミュニティと中間的な社会では予測通りだったが、族外婚社会では予測通りではなかった>
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