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EUがGoogleに警告、独禁法違反訴訟へ 裁判はむしろ望むところ?


 以前、日本のヤフーがグーグルの検索エンジン採用を決めたときに、独占禁止法違反だと騒ぎになりました。このケースは正直批判が的外れだと感じました。自民党が批判者に乗っかって議員連盟設立などしたものの、ご存知の通り特に成果はありませんでした。ただ、今回のEUのケースはもっと微妙そうです。

●EUがGoogleに警告、独禁法違反訴訟へ
EU、グーグルに警告へ 「ネット検索で競争法違反」 | どうしんウェブ/電子版(経済) 04/15 10:07、04/15 10:25 更新

 【ブリュッセル共同】英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)などは14日、米グーグルが提供するインターネット検索が公正な競争を妨げ、欧州連合(EU)の競争法に違反しているとして、EU欧州委員会が同社に対し正式に警告する方針を決めたと報じた。(中略)

【Infostand海外ITトピックス】「EU vs Google」戦いの火ぶた 欧州独禁法訴訟へ - クラウド Watch 2015/4/20 09:45

 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会(EC)は、Googleに対する競争法(独禁法)違反訴訟の手続きに入った。同社が自社サービスを検索結果の上位に表示して、独占的立場を乱用しているとの疑いだ。ECは併せて、Androidについての調査も開始したと発表している。

●「Google ショッピング」が問題

 二つ目の記事によると、具体的に問題になっているのは「Google ショッピング」みたいです。
  ECは4月15日で、検索分野での独占的立場の乱用が見られるとする異議告知書(Statement of Objection)をGoogleに送付したと発表した。

(中略)Googleがメイン事業の検索において、自社の比較サービス「Google Shopping」(旧Google Product Search)が優先的に表示されるようにしているという。Googleは計画的にGoogle Shoppingサービスを有利に取り扱っており、他の比較サービスには適用している違反罰則を適用していない、とも指摘。結果として、Google Shoppingは順調に成長している一方で、消費者とイノベーションに悪い影響が出ているとしている。

 異議告知書は競争法訴訟の最初のステップだ。Googleは今後10週間以内に回答しなければならない。違反が認められた場合、売り上げの最大10%の罰金が科される。Googleの2014年の売上高に基づくと、62億ユーロ(64億ドル)になる可能性もある。

 一方、グーグルは対決姿勢を取っています。
 Googleは、独、仏、英それぞれの国でのショッピングサイトの訪問者数の推移を示すグラフを掲載し、Bing、Yahoo、Quoraなど多数の検索エンジン、SiriやCortanaなど検索アシスタントなどさまざまな方法があり、Amazon、eBayなど用途に特化した専門サービスがたくさんあると主張。「われわれは異議告知を尊重するが、強く反対する。今後数週間でわれわれの主張を示したい」と断固として戦う姿勢を示した。

●アメリカでは和解合意

 "Googleの検索サービスにおける独占的地位の乱用は、米国でも調査対象となった"そうです。しかし、"米公正取引委員会(FTC)は2013年、Googleが自主的に調整することで和解合意し、独禁法に関連した調査を終了"しています。アメリカでは和解で済んでいるのです。

 ただ、"米国と欧州では状況が異なる"としていました。

・欧州におけるGoogleの検索シェアは90%以上で、米国よりも高い。
・欧州と米国での独禁法の考え方の違いがある。米国とは異なり、欧州の法では競合、それに消費者の保護も含まれている。

 これについて、eWeekは「(検索結果への攻撃は)古い攻撃で、欧州以外ではすでに却下されている」として、"欧州が米国のハイテク企業を目の敵にしている例"としていました。政治的な思惑があるということですね。

 しかし、このグールへの「古い攻撃」に加担している企業は、マイクロソフト、Yelp、トリップアドバイザーなどが含まれています。「EUに苦情を申し立てた企業の4分の1が米国企業だ」とのこと。単純にEU VS アメリカというわけでもなさそうです。
(別記事によれば、旅行サイトのエクスペディアもこの輪に加わっているとされていました)


●標的はグーグルだけではない、アマゾン、アップル、フェイスブックなども捜査対象に

 また、EUから訴えられる企業はグーグルだけではないかもしれません。
グーグルへの独禁法捜査は、米インターネット・プラットフォームに対するEU全面戦争の幕開けか  | ITトレンド・セレクト | 現代ビジネス [講談社] 2015年04月23日(木) 小林 雅一

 グーグルに対する今回の動きは、実はアマゾンやアップル、さらにはフェイスブックなど、米国のいわゆる「インターネット・プラットフォーム」全体を相手にした、欧州委員会による全面戦争の第一歩と見られている。(中略)

●"EU Considers Major Investigation Into Role of Internet Platforms" THE WALL STREET JOURNAL, April 3, 2015

記事によれば、グーグルのみならずアマゾンをはじめとする米プラットフォーム企業が軒並み、欧州委員会の捜査対象リストに含まれており、すでに捜査が開始されているという。

今回のグーグルに続いて、すぐにでも槍玉に上がりそうなのがアマゾンだ。同社はEU域内の越境貿易(cross-border trade)を制限することによって、(グーグルと同じく)競争法に抵触している疑いがあるという。(中略)

アップルもまたEUの捜査対象リストに含まれている。EUの規制当局は、アップルが今、サービス開始に向けて準備を進めている、アイフォーン向けの音楽ストリーミング・サービスに目を光らせている。このサービスを実現する上で、アップルがレコード会社と交わした契約の中に不公正な取引条項がないかどうか等を調査し始めた段階だ。(中略)

一方、フェイスブックはユーザーのプライバシー保護の観点からEUの捜査対象になっている。

●EUのアメリカ企業いじめは無駄なあがき

 こちらでもアメリカ企業潰しという見方が紹介されていましたが、アメリカメディアは他に「EUの規制当局がいくら頑張ったところで、米国企業の力を弱めることはできない」とも書いていたようです。

 現在、グーグルいじめに加わっているマイクロソフトは、以前EUの独禁法違反の餌食になった企業です。マイクロソフトはその後没落した(だからこそ今は攻撃側に回っている)ものの、アメリカメディアはそれはグーグルなどが成長したせいであり、EUのせいではないとしていました。

 一方、欧州の政策担当者や学者らは、"米国やEUの政府がマイクロソフトに圧力をかけたからこそ、グーグルやアマゾンなど次世代の企業が台頭する余地ができた"と見ています。真っ向対立しています。

 私としてはどちらの言い分に説得力を感じるか?と言うと、アメリカメディアですね。マイクロソフトは画期的なサービスを作るのは得意ではなく、有望なサービスを買収してダメにするのが得意と揶揄されたほどです。勝手に落ちぶれたイメージがあります。


●EUはグーグルに対して、5つの分野で攻める

 グーグルの話に戻ると、ウォール・ストリート・ジャーナルが独占禁止法以外でも、EUがグーグルを攻めるとしていました。

 1:独占禁止 検索バイアス、アンドロイドの管理方法
 2:税制 租税回避
 3:忘れられる権利 自分についての古い情報や不適切な情報を削除する仕組みを既に導入
 4:著作権 グーグルニュースでの抜粋の表示
 5:情報保護 個人情報の取り扱いを変更する(おそらく厳しくする)
EUがグーグルを標的にする5分野 - WSJ By AMIR MIZROCH 2015 年 4 月 15 日 13:14 JST

 4:著作権の「グーグルニュースでの抜粋の表示」は既に一部地域で取りやめたことがあります。新聞社の苦情のせいです。しかし、あのグーグルが原発開発に投資?再生可能エネルギーは見限ったのかで紹介しているように、新聞社のこの行為は自分で自分の首を絞めるものとなりました。


●グーグルにとって裁判はむしろ望むところ?

 ウォール・ストリート・ジャーナルの別記事によれば、グーグルはアンドロイドの件についても反論しているそうです。
EUのグーグル警告って何? 早わかりQ&A - WSJ

アンドロイドOSの独禁調査については、アンドロイド端末に標準搭載されているグーグルのアプリケーションは「iOS」搭載端末に標準搭載されるアップルのアプリよりはるかに少ないと指摘した。

 これは説得力ありますね。ただ、アップルも後から訴えられるというだけかもしれません。

 それから、この記事で一番おもしろかったのは、以下の部分でした。
Q:これはグーグルにとって悪いニュース?

A:和解の余地は常にあるが、グーグルが実は訴訟を望んでいるとの見方もある。訴訟が何年も続く間、グーグルは市場での支配的地位を強化できるだろう。グーグルが勝訴する可能性もある。米連邦裁判所は先にアンドロイドOSをめぐる同様の訴えを退けた。

 最初に書いたように、日本がつけたチンケないちゃもんとは異なり、今回の方は微妙だと思います。ただ、グーグルにとっては裁判がそれほど痛いものではないのでは?という見方があることは、非常におもしろいと思いました。


 関連
  ■あのグーグルが原発開発に投資?再生可能エネルギーは見限ったのか
  ■アップルVSグーグル、勝負あり!ネスト買収で競争は終了、その先へ
  ■日本にグーグルが生まれない理由 ITエンジニアが評価されないから
  ■グーグルとアマゾンが通販で対決 小売店と競合せず協調する戦略
  ■ネット・コンピュータ・ハイテクについての投稿まとめ

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