Appendix

広告

Entries

子供や部下を叱る・怒る VS 褒める 効果を比べた研究論文はある?


2015/4/29:
●叱る・怒るを推奨する人が研究論文を示すのを見たことがない
●叱る・怒るに関する研究はやっぱり少なかった…
●大人は子どもをもっと叱らなくてはいけない?
●子供や部下を叱る・怒る VS 褒める 効果を比べた研究論文はある?
●「叱る」の中でも特にまずいのは「人格評価」や「突き放し」
●相手のプライドをズタズタにする…人前で叱るも最悪の叱り方
●あらゆる種類のストレスが人間を怒りっぽくする
●怒ると日本人は健康に、アメリカ人ほど不健康になる
●実際には怒りで健康どころか死に繋がる場合も…


●叱る・怒るを推奨する人が研究論文を示すのを見たことがない

2015/4/29:今回なぜ叱ると褒めるを比較した研究を探そうと思ったのか?と言うと、子供や部下を褒めることを推奨する研究はメディアでよく紹介されているのに、叱る・怒ることを推奨する研究は一度も紹介されているのを見たことがなかったためです。

 もちろん叱ること・怒ることが子どもを育てるために大事だ、ビジネスで部下を教育するために大事だという記事は、非常にたくさんあります。むしろかなり多いのです。ただ、そうした意見を言う人は、学術的な研究に基づいているわけではなく、経験則がベース。

 叱るを推奨する人で研究論文を元にした発言をしている人は読んだことがなかったため、学術的には効果がないことはわかっているのかな?と思い、確かめてみようと思いました。

 なお、「褒める」しかタイトルにしていないものの、「褒める」よりも「認める」の方が効果的という研究もよくメディアで取り上げられています。また、実は褒め方も間違えると逆効果という研究も出ており、叱るよりは良くても褒めるに注意が必要といった感じ。たとえば、結果を褒める、見当外れな褒め方をするなどは、良くないとされています。


●叱る・怒るに関する研究はやっぱり少なかった…

 叱る・怒るに関する研究を検索しましたが、やはり予想通りなかなか出てきません。

 叱る・怒るが大切だという考え方は日本に限らず伝統的に支持者が多いためにこんなことを言うと怒られそうですが、検索で出てくる数少ない「研究」というのも、研究の体をなしていないものばかりに見えます。

 なお、教育という意味ではなく、怒ることそのものの研究はいくつか見つかりました。怒られている相手ではなく、怒っている人自身の健康へプラスだとかマイナスだとかという話です。全く求めていたものと違うのですが、これはこれでおもしろいので本題が終わった後で紹介します。


●大人は子どもをもっと叱らなくてはいけない?

 叱ることに関する研究は、研究論文でお馴染みのCiNii 論文で多数ヒットしてくれました。ところが、「抄録」がついていないものが多く、内容がわかりません。

 たとえ抄録があるものでも、今回の目的に合わないものもあります。たとえば、以下は初めから叱ることが良いことだとしているものの、叱ると褒めるを比較しているわけではありませんでした。
CiNii 論文 - 子どもの叱り方について

子どもの叱り方について A report on the way of scolding children

川島 眞 KAWASHIMA Makoto 尚美学園大学芸術情報学部音楽表現学科

抄録

青少年による犯罪や問題行動の質的変化に応じて、昨今、大人が子どもの行為を大目にみがちな傾向を反省し、子どもを叱ることの必要性を再認識する声が強くなっている。そこで、今後必要になるであろう効果的な子どもの叱り方を探るために、学生を対象とした調査を行った。170 名の大学生(短大生を含む)に中学生時の親からの叱られ体験のなかで、もっとも嫌な叱られ方を自由回答させるという方法をとった。その結果、嫌な叱られ方は「くどい叱り方」、「他者と比較して叱る」、「一方的否定」、「感情的・親都合優先の叱り方」、「遠まわしな叱り方」、「命令的な叱り方」、「子ども軽視」の7つのカテゴリーに分類された。本稿ではこれらの結果をもとに効果的な叱り方の試案を提示し、それらについて学習理論とカウンセリング理論の視点から、有効性の検討を行った。

収録刊行物

尚美学園大学芸術情報学部紀要 3, 119-128, 2004-03-31

●子供や部下を叱る・怒る VS 褒める 効果を比べた研究論文はある?

 ただ、私の期待にバッチリ応えていたものもありました。褒めるとの比較ではなかったんですけど、期待と叱る行為を比較した結果がありました。そうそう、こういう研究が知りたかったんですよ、というもの。結果、叱ることの効果はないか、むしろ悪いというものでした。やはり事前の予想通り、叱るは良くないものみたいです。
CiNii 論文 - 子どもの行動実現に対する親の発達期待と叱る行為の影響

子どもの行動実現に対する親の発達期待と叱る行為の影響 The influence of parent's developmental expectation and chider behavior on child outcomes

森下 正修 MORISHITA Masanao 京都府立大学福祉社会学部
本島 優子 MOTOSHIMA Yuko 京都大学大学院教育学研究科

抄録

本研究では、親が子どもについて日常的に抱いている発達への期待と、子どもに対する叱る行為、および子どもの行動実現の三者の関係について検討した。設定された7領域の行動のすべてにおいて、当該行動についての親の発達期待が高いほど子どもの行動実現も進んでいることが明らかとなった。ただし、親の発達期待の高さは叱る行為の増加には必ずしもつながらないこと、また叱る行為の持つ行動実現への効果はほぼ認められないかもしくは負の影響を及ぼすことが示された。こうした結果から、親が子どもに対して抱いている素朴な発達期待は、ある行動ができないことを叱るという行為を媒介せずに、他の何らかの意識的・無意識的な方法を通じて、子どもの行動の獲得を促進させることがわかった。

収録刊行物

福祉社会研究 4・5, 41-51, 2005-02

●「叱る」の中でも特にまずいのは「人格評価」や「突き放し」

 以下は、叱る以外のより良い方法がある可能性を考慮していない研究。ですので、上記のものと比べると、少し欲しかった方向性と異なります。ただ、「叱る」の中でも非常に良くないものがあることを示した研究で、こちらも参考になります。

 最悪だとされていたのは、「人格評価」や「突き放し」。「人格評価」がダメというのは、育児法の中でもよく触れられていますね。研究でも確かめられているようです。
CiNii 論文 - 親の叱りことばの表現と子どもの受容過程に関する研究(1)

親の叱りことばの表現と子どもの受容過程に関する研究(1) A Study on Types of Parent Scolding Utterances and Children Acceptance Process. (1)

松田 君彦 MATSUDA Kimihiko 鹿児島大学教育学部 FACULTY OF EDUCATION, KAGOSHIMA UNIVERSITY
児嶋 晃代 KOJIMA Akiyo 鹿児島大学教育学部 FACULTY OF EDUCATION, KAGOSHIMA UNIVERSITY

抄録

子どもは,普段からの親の自分に対する態度や関わり方からいろんなことを感じ取っており,日常の"叱られる"という場面でちょっとした叱りことばの違いに敏感に反応しているといえる。本研究は,親の用いる"叱りことば"をいくつかのタイプに分類し,どのような叱り方が子どもに受容されやすいかということ,さらには,親の自分に対する日頃の関わり方を子ども自身がどのように認知しているかによって,同じ叱り方でも受け止め方に違いが見られるのではないかということを調べることが目的である。結果としては,「人格評価」や「突き放し」といった叱り方は子どもに反発感情を生じさせるが,親との信頼関係の有無が重要な媒介変数であることがわかった。

収録刊行物

鹿児島大学教育学部研究紀要. 教育科学編 54, 187-203, 2003-03-18

●相手のプライドをズタズタにする…人前で叱るも最悪の叱り方

 下書きでは最初、この項目がありませんでした。ただ、用意した話が少ないかな?と思って追加検索で見つけたもの。結局、追加検索でもおもしろかった話は一つだけで、なおかつ叱る・怒るはあまり関係ない話でした。

 人前で叱るのが最悪なら裏で叱るのは良いのか?という話になってきますが、子どもに関してもこれは言われていますね。子どもだってプライドがある、人前で叱りつけるのは厳禁だ…という話を最近読みました。
竹内宏の経済情報 | その他の連載・論文 | 静岡総研「SRI」時々刻々 | 98号 任せて、褒めること。

任せて、褒めること。 静岡総研「SRI」時々刻々 98号

大企業の課長クラスの勤務評定(80年代)では、「部下を育てたか」という項目が大きなウエイトを持った。終身雇用制のもとでは、若手の育成の成否が会社の将来を左右した。A氏のような課長は、勤務評定のこの項目で高得点を取る。その上、部下が熱心に働いた成果は、彼の成績になるから、順調にプロモーションするのである。大企業の役員には、人柄が丸いと人がいるのは、そのためだ。

兎に角、仕事を任せ、かつ褒めることが、勤労意欲を刺激する最良の方法だ。清水次郎長は子分から慕われ、彼のためには命を投げだす覚悟の子分が少なくなかった。次郎長は子分への接し方を聞かれた時、「あっしゃ、人前で子分を叱ったことはございやせん。褒める時は人前でございやす」と答えたという。(中略)
アメリカでは、最近、経営学者が最も低いコストで最大の働き甲斐を与える方法は何かを研究している。中には、ゲームの理論を使って、コストをかけずに妻を働かせる方法を厳密に計算している学者もいる。その答は任せる振りをすることと、大した成果が上がってない時でも褒めることだった。

学問研究の結果は、大企業の人柄が良い課長や清水次郎長が、部下や子分に接している方法と変わらなかった。

●あらゆる種類のストレスが人間を怒りっぽくする

 本題は以上で終わり。残念ながら求めたような研究論文はほとんどありませんでした。残りは先に書いた怒りに関する研究でおもしろかったもの。まずWikipediaから。当たり前だろうと思うでしょうけど、疲れているときは怒りっぽいという話です。ネットで怒っている人が多く見かけるというのは、リアルでうまくいっていない人が多いのかもしれませんね。
怒り - Wikipedia 最終更新 2015年1月25日 (日) 00:11

アラバマ大学の心理学者、ドルフ・ツィルマンは、詳細な実験を重ねて怒りのしくみを調べたという。(中略)

あらゆる種類のストレスは副腎皮質に働きかけて精神を緊張させ、人間を怒りっぽくするという。普段はやさしい父親でも、仕事でくたくたに疲れて帰宅したときには子供が騒いだり散らかした程度でも頭に血がのぼってしまう。

ドルフ・ツィルマンは、次のような実験を行った。
まず、実験の助手Aが被験者を悪意に満ちた言葉(憎まれ口)で挑発する。次に被験者を二つのグループに分け、片方には楽しい映画を、もう片方には不快な気分になる映画を見せる。その後被験者に、先ほど憎まれ口をきいた助手に仕返しをするチャンスを与える。助手の採用/不採用を検討する際の参考にするという名目で助手の評価を求める。

すると、仕返しの辛らつ度は、被験者が直前に見た映画の内容と明らかな関連を示し、不快な気分になる映画を見せられた被験者のほうが助手に対して怒りの度合いが強く、辛らつな評価となった。

●怒ると日本人は健康に、アメリカ人ほど不健康になる

 日本人は怒ると健康に良いという変な研究もありました。
研究者「怒る日本人ほど健康になっていることが判明! 逆に怒るアメリカ人ほど健康を崩す」 | バズプラスニュース Buzz+ Date : 2015.03.19 執筆: Yu Suzuki

この論文は、昔から日本人とアメリカ人の違いを研究してきた、ミシガン大学の北山忍教授によるもの。ウィスコンシン大学が行った国際的な健康調査を使って、アメリカ人と日本人のデータをくらべたんですね。サンプル数はそれぞれ1400人ぐらい。具体的に比較した数値は、

「参加者が怒りを表現した回数」(他人を罵倒した等)
「体内の炎症レベル」
「心肺機能の高さ」

などなど。すると、

「怒るアメリカ人ほど健康を崩している」
「怒る日本人ほど健康になっている」

という真逆の相関がみられたんだとか。もちろん、年齢や喫煙といった変数はちゃんと調整されております。

 なぜ逆になったのか? 北山忍教授はまず「西洋においては、怒りの感情は、フラストレーションや貧困、社会的地位の低さなどの指標として機能する。いずれも健康を損なう可能性を持つ要素だ」と指摘しています。

 一方、"東洋では、怒りの感情は権力や地位の高さの表現として使われるケースが多い"としていました。"「俺を誰だと思ってるんだ!」みたいな怒りのことですかねぇ"と記事では予測。

 私は日頃のストレスを部下や子どもを叱ることで、発散させているのかな?と思いました。怒られる方は一方的に被害を受けていて、迷惑極まりないですけどね。目下の人を搾取して肥えているイメージです。

 ただ、ストレス発散という意味では、日本人がネットで怒りまくっているのは、健康のためには良いことなのかもしれません。とはいえ、これは地域性が…というより結局怒り方の種類が異なるというもので、単純に日本人は怒ると健康に良い…とはできないと思われます。


●実際には怒りで健康どころか死に繋がる場合も…

 単純に日本人は怒ると健康に良い…とは言えないだろうというのは、たとえば、次のような話が洋の東西を問わず見られるものであるため。
怒りの爆発は心臓発作の引き金に、心筋梗塞は4倍に、くも膜下出血も6倍 | Medエッジ 西川伸一 THE CLUB 2014年9月24日 3:00 PM

 心臓領域の国際誌であるヨーロピアン・ハート・ジャーナル誌にドンピシャの論文を見つけた。

 ハーバード大学のベスイスラエル病院のグループの研究で「怒りの爆発は急性の心臓発作の引き金になる:体系的再調査とメタ解析(Outbursts of anger as a trigger of acute cardiovascular events: a systematic review and meta-analysis)」がタイトルだ。

 この病院で研究を行ったわけではなく、これまでの論文を集めて再調査し、新たに分析したもの(引用者注:メタ解析)だ。

 実際には1966年以来このテーマについて発表された5000を超す論文の抄録を読み、その中から科学的に研究が行われていると判断できた論文を9編選び出し、そのデータを再解析している。

 怒りの程度を評価する点数制の指標があり、「オンセット・アンガー・スコア」と呼ばれている。

 結果は予想通りだ。選んだ全ての論文で怒りを爆発させた後2時間で、「心筋梗塞」を含む「急性冠動脈症状」が約4倍になっていた。心筋梗塞は、心臓を取り巻いて血流を供給する冠動脈が詰まって心臓が動かなくなる病気だ。さらに、この冠動脈が狭くなって胸が痛くなる「狭心症」などがやはり4倍程度、そして脳の動脈がこぶ状に出っ張ったところが破れる「脳動脈瘤(どうみゃくりゅう)破裂」によるくも膜下出血が6倍、心臓の動きに異常が出る「不整脈」が2~3倍上昇するという結果だ。

 ブログ初期に憤死に関する話をいくつもやっていました。ちょうどこれと同じ憤死の医学 怒りが心臓発作(心筋梗塞)、脳溢血、狭心症などを誘うというテーマもあります。

 この憤死は西洋でも多いですが、「憤死」という適切な用語があるように、日本や中国などの東洋でもお馴染みのもの。怒るのが健康に良いと真に受けて怒りすぎることは、おすすめしません。


【本文中でリンクした投稿】
  ■憤死の医学 怒りが心臓発作(心筋梗塞)、脳溢血、狭心症などを誘う

【関連投稿】
  ■褒めるは最適ではない 子供の賢さや能力を褒めると不正増加や勉強のやる気が低下
  ■子供を否定しないで肯定すると…コロンビア大の天才田上大喜やベンチャー企業の社長になる?
  ■父娘関係 父親が厳しいと娘は自信を失う・将来への職業への影響など
  ■イヤイヤ期(第一次反抗期)の重要性 接し方を間違うと将来障害にも?
  ■毒親の過干渉という呪縛 20年前の「いいお母さん」像が今は毒母
  ■学校・教育・子どもについての投稿まとめ

Appendix

広告

ブログ内 ウェブ全体
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示









Appendix

最新投稿

広告

定番記事

宝くじ高額当選者3000人のその後……10年後の彼らの生活は?
歴代首相の身長ランキング 背の高い、低い意外な総理大臣 野田佳彦・麻生太郎・鳩山由紀夫・小泉純一郎・安倍晋三など
日本で馴染みのある韓国系企業一覧
国別ノーベル賞受賞者数ランキング 日本は8位、上位はどこの国?
橋下徹大阪市長の出自 同和地区(被差別部落)と父・叔父と暴力団
意外に有名企業があるファブレス企業・メーカー 任天堂・ダイドードリンコ・やおきんなど
飛び降り自殺は意識を失うから痛みはない…は嘘 失敗した人の話
白元・鎌田真の経歴と派手な交友関係 神田うの,松本志のぶ,妻も美魔女など
楽天Edyはコンビニの公共料金の支払い(収納代行)に使える?
楽天Edyの使えるコンビニ・使えないコンビニ
主な緑黄色野菜一覧 と 実は緑黄色野菜じゃない淡色野菜の種類
のれん代とのれん代の償却のわかりやすい説明
消滅可能性都市ランキングと一覧 1800市区町村中896自治体が危機
カルシウムの多い食材ランキングベスト20 牛乳以外に取れる食品
堀越二郎の妻は死んでないし菜穂子でもない モデルは堀辰雄の婚約者矢野綾子
創価学会、会長候補の正木正明氏左遷で谷川佳樹氏重用の理由は?
インチキで効果なし、活性水素水詐欺 誇大広告であるとして排除命令が出た商品も
高カロリー食品ランキングベスト20(100グラムあたり)
EPA、DHA(オメガ3脂肪酸)の魚油サプリ 効果なしどころか危険という説
リチウムイオン電池の寿命を長持ちさせるのは、使い切って満充電?継ぎ足し充電?

ランダムリンク
厳選200記事からランダムで









アーカイブ

説明

書いた人:千柿キロ(管理人)
サイト説明
ハンドルネームの由来

FC2カウンター

2010年3月から
それ以前が不明の理由