吸血鬼の話をまとめ。<吸血鬼は強い…一方で日光・十字架・銀・ニンニクなど弱点だらけ>、<死体を焼いて飲ませる事件!現代でも吸血鬼退治は行われている>、<吸血鬼疑いの2人を殺害 吸血鬼信じる集団が暴徒化し大量逮捕される>などをまとめています。
2022/09/27追記:
●吸血鬼疑いの2人を殺害 吸血鬼信じる集団が暴徒化し大量逮捕される 【NEW】
●吸血鬼は強い…一方で日光・十字架・銀・ニンニクなど弱点だらけ
2010/10/30:
吸血鬼の特徴と種類の続き。当初「吸血鬼の害と弱点」というタイトルで書いていた「吸血鬼の能力と苦手なもの」の話です。主に外見以外の能力(特徴、害、攻撃方法)と弱点(苦手なもの)などがメイン。特に明記がない場合は、
Wikipediaが出典となっています。
<吸血鬼の能力・特徴>
血鬼の能力:眼を見る・名前を呼ぶ・何らかの方法により血や生気を吸うなどの手段により人を殺す。家畜を殺したり病気にする。家屋を揺さぶる、生前の妻と同衾し子供を産ませる。
(現代の一般的な吸血鬼)
・血を吸う相手の首筋に牙を当て、血を吸う。
・吸血鬼に血を吸われ死んだ人や、吸血鬼の血液が体内に入った人は、吸血鬼になる。
・同性よりも異性を好んで襲う。(
ヴァンパイア(Vampire) ニコニコ大百科によると、処女の生血を好むとのこと)
・一時的な暗示をかける魔眼をもっている。
・強力な魔法や魔術の類を操ることができる。
・血を吸われる相手には性的な快楽がある。
・人を病気にする。(後述するルーマニアの事件)
<吸血鬼の苦手なもの>
域によって異なるが、特定の月齢や曜日、キリスト教の祭日などの日に活動できない。
(現代の一般的な吸血鬼)
・太陽の光。灰になってしまう(ただし、直射日光を浴びても平気か殆ど害のない例もある。また、ただ単に身体能力が人より優れていて、目がかなり良いためという説も)。
・白木(ホワイトアッシュ)の杭を心臓に打ち込めば死亡する。
・銀の武器に傷つけられる。(他の武器だと傷つかない)
・十字架。(十字架が本当に弱点なのならば、十字の描かれた棺桶で眠ることはないはず、十字架ではなくホーリーシンボルを使う者の信仰心に恐怖しているなどの説)
・ニンニク。(ただ単に身体能力が人より優れていて、鼻がよく効くためという説も)
・川などの流れる水を越える事ができない(空を飛ぶ動物に変身していたり、橋やボート等があれば別)。
・初めて訪問した家では、その家人に招かれなければ侵入できない。
・(現代の実際の退治方法)死体の首を切り落とす、心臓に杭を打つ、死体を燃やし灰を川へ捨てる、銀の銃弾もしくは呪文を刻んだ銃弾で撃つ。また、葬儀をやり直す、死体を聖水やワインで洗う、呪文などを用いて壜や水差しに封じ込める。
・(スラヴの民話)銀を恐れるが、銀によって殺すことはできない。また首を切断して死体の足の間に置いたり、心臓に木の杭を打ち付けることで吸血鬼を殺すことができる。
・血を飲まないと消耗する(ここの3つは、
ヴァンパイア(Vampire) ニコニコ大百科より)
・(比較的知名度の低い特徴)炎に弱い
・(イメージに乖離した特徴)網戸に弱い、豆に弱い、聖画に弱い
●死体が吸血鬼になるのを防ぐ方法
吸血鬼の発生防止:死者の復活を防止するために心臓を抜き出して焼き、死者の首を切断したり、歩けないように足を折って足の位置を変える(足を胸の上に置くなど)、焼いた心臓の灰を病気になった人に飲ませるなどの行為を行う。
過去に吸血鬼の存在が強く信じられた地方では、墓に大量の黍(きび)を捲く、にんにくを置く、茨を置く、一定期間墓の周りで火を焚き続ける、などの予防措置がとられた。
2017/06/09:
吸血鬼や狼男はなぜ生まれた? 伝説誕生の経緯を検証|ナショジオ|NIKKEI STYLE(2017/4/30)では、死体が吸血鬼になるのを防ぐ方法に絡む話がありました。
・ポーランドの北西部、ドラウスコで発見された遺体は、喉あるいは腹に鎌をひっかけるように置いて埋められていた。「この仕掛けは、万が一この遺体がよみがえって墓を出ようとした時に、その首を切り落とすか、その腹を裂く意図で置かれたものだ」と科学者は分析。
・2006年、当時フィレンツェ大学の法医学・考古学者だったマッテオ・ボリーニが、16世紀に大流行したペストの犠牲者が埋葬されたベネチア近郊の集団墓地で発掘した老女の遺体は、口にレンガが詰め込まれていた。バンパイアとしてよみがえっても攻撃させないようにするためだったとみられている。
●吸血鬼や狼男の伝説が生まれた理由
ナショジオの記事は、タイトルになっているように、吸血鬼はなぜ生まれた?という話もやっています。
・疫病が大流行すると、墓掘り人は犠牲者が出るたびに何度も墓を掘り起こしていた。その際に、腐敗が進んで遺体の口や鼻から流れ出る液体を吸血鬼と結びつけたため。
・吸血鬼になると布を噛むという迷信は、埋葬時に遺体を包む白布は腐敗液を吸って重くなり、口の部分が窪んで裂けたのを、遺体が布を噛み裂いたと誤解したため。
・一般に、遺体が腐敗すると腹部にガスがたまり膨らむ。これを襲って食べた人肉で腹が膨らんだと誤解した。
・遺体の皮膚は縮むため、相対的に爪や歯が大きく長く見えた。
もう一つタイトルになっていた狼男は以下。
・人の顔や上半身に密集して毛が生える多毛症という症状が由来の可能性。1995年には、人狼症候群と名づけられた極度の多毛症を引き起こす突然変異遺伝子が確認されている。ただし、ごくまれなもので、1500年から1700年までに3万件にものぼった人狼の目撃例は、この症状だけでは説明できない。
・18世紀には狂犬病が特に流行していた。人が狂犬病にかかって正気を失い乱暴になるのではないかという憶測が広まって、狼男誕生に繋がった可能性。
・狼化妄想と呼ばれる人狼になると思い込む人がいる。ペーター・シュトゥッベという16世紀のドイツの農民は、13人もの人を惨殺し、悪魔がくれた魔法のベルトが自分を狼にしたと訴えた。
●その他の吸血鬼に関する異説
出典などはありませんが、いろいろと異説が記載されたメールをいただきましたので、紹介いたします。ありがとうございました。
"変身能力については、蝙蝠(引用者注:コウモリ)、狼の他、煙状になってドアの隙間からも入り込む、なんてのもありました。
弱点的には、野ばらや山査子(引用者注:サンザシ)など棘のついた植物もアウトとあります。
あと、土曜に生まれた子、白い羊膜に包まれて生まれた子、吸血鬼と人間のハーフには勝てないとか?
日の光、大蒜(引用者注:ニンニク)については、その感染力からもわかる通り、当時不治の病であったペストなどの感染症を擬人化したものが吸血鬼であったとする見解から、殺菌能力のあるもの、免疫力を高めるもの、つまり病気を治癒させる特徴のあるものに弱い、具合悪くなったら、大蒜食って寝ろ、みたいな、そんなところからきてるとする説もありますね"
●死体を焼いて飲ませる事件!現代でも吸血鬼退治は行われている
2017/06/09追記:Wikipediaでは、「吸血鬼退治は、ごくわずかではあるが20世紀になってからも行なわれたことが資料によって確認されている」とありました。上記で書いた「現代の実際の退治方法」ですとか、「吸血鬼の発生防止」なんかはおそらく本当に行われたものなんだと思います。
それから、2004年1月、ルーマニア南部の寒村で、病気になったのは死者が吸血鬼になったせいだと信じ、心臓を切り出して焼いて灰にし、その灰を病気になった死者の親族に飲ませたという事件も載っています。この事件は具体的な対策が無ければ、起きなかったものかもしれませんね…。
吸血鬼はこういった対策ですとか、弱点が多いというのが大きな特徴でしょう。不老不死ですとか、いろいろと変身できたりですとか、吸血鬼の能力が高すぎる分、その弱点もたくさんないと割に合わなかったのでしょうか? それとも、吸血鬼伝承が広い地域で深く浸透していたため、異説が多くなった結果なのでしょうか?
このように異説が多量にあること自体、吸血鬼伝説の人気の高さを示しているとも思います。
●吸血鬼疑いの2人を殺害 吸血鬼信じる集団が暴徒化し大量逮捕される
2022/09/27追記:21世紀の吸血鬼事件の例を追加。前回追記した2004年より新しい2017年でも事例がありました。今でも一部の人には本気で信じられているんでしょうね。2017年10月21日に
マラウイ吸血鬼騒動 自警団のリンチで2人死亡、124人逮捕 :AFPBB Newsという記事が出ていたんですよ…。大ごとになってます。
<アフリカ南東部マラウイで19日、自警団が「吸血鬼」と疑う男性2人を殺害する事件が発生し、警察は翌20日、この事件に関連して124人を逮捕したと発表した。犯行に及んだ集団は、被害男性らが呪術の儀式用に人間の血液を入手しようとしていると信じ切っていたという。
同国南部では先月から、吸血鬼がいるといううわさが広まっており、当局は夜間外出禁止令の発令を余儀なくされている。経済中心都市ブランタイヤ(Blantyre)郊外で発生した今回の事件で、同国の吸血鬼騒動による犠牲者数は計9人に増加した>
警察報道官はAFPに対し、「19日の事件では、怒った自警団員らが吸血鬼疑いの男性1人を焼き殺し、もう1人は投石を繰り返して殺した」と明かしたそうです。現場では激高して暴徒化した集団が警察と衝突した上、吸血鬼の脅威への抗議だと主張して主要道路を封鎖。124人逮捕はこちらの関係です。
国連によると、このうわさはモザンビークで生まれ、国境を越えてマラウイに入ったとみられるといいいます。教育水準が低く、今も魔術が広く信じられているマラウイでは、「吸血鬼」が出没したとする情報に振り回される事例が頻発していると記事では説明。吸血鬼絡みではない魔術的な事件なら、アフリカでは珍しくないですからね。
【本文中でリンクした投稿】
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吸血鬼の特徴と種類【関連投稿】
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吸血鬼の弱点の考察 ■
吸血鬼は血を吸うとは限らない ■
吸血鬼のハーフ(混血) ■
クルースニク 吸血鬼のハーフ(混血) ■
雑学・歴史についての投稿まとめ
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