匂い関係の話の詰め合わせ的なもの。「甘い匂いをかぐと優しくなるし痛みに強くなる」「なぜ甘い香りの男性は好かれないのか」「自分の匂いが気になるのにわからない理由」「自分の匂いがわからないことで、スメルハラスメントの危険性」といった話をやっています。
2015/5/4:
●甘い匂いをかぐと優しくなるし痛みに強くなる…匂いの不思議
●女性ならプラスなのに…なぜ甘い香りの男性は好かれないのか
●なぜかわからない自分の匂いや自分の部屋の匂いやタバコの臭い
●実は必要なことだった!自分の匂いが気になるのにわからない理由
●自分の匂いがわからないことで、スメルハラスメントの危険性
2017/10/30:
●スメハラそのものよりスメハラを気にする方が問題
●家庭内の無臭化が進んだせいで匂いに敏感になった可能性も…
●人間の嗅覚は低性能 リンゴの匂いをかいで「バナナ」と回答
●甘い匂いをかぐと優しくなるし痛みに強くなる…匂いの不思議
2015/5/4:ショッピングモールでペンを落としたときに周りの人が拾ってくれるかどうかを実験が、過去に行われたことがあります。残念ながら、普通の環境ではほとんどの人が拾ってくれなかったとのこと。ただ、甘いお菓子屋、コーヒー屋などいい香りのする環境では拾ってもらえる割合が上がったという、おもしろいことがわかっています。
もう1つオーストラリアの心理学者がニオイと痛みに関する実験を行ったところ、甘い香りを流すと、あまり痛みを感じない、痛みに強くなるという結果も出ていました。甘い匂いというのは特別なようですね。
脳のメカニズムはわかっていないとのことですが、良いニオイを嗅ぐことで脳が良い状態になり、それを他人にも分け与えようという社会的な本能が生まれ、親切になり、多少の痛みがあっても良い状態のままでいようとするのではないでかと、東北大学大学院・坂井信之准教授は予想していました。
●女性ならプラスなのに…なぜ甘い香りの男性は好かれないのか
この話が載っていたのは、
なぜ甘い香りの男性は好かれないのか 東北大学大学院・坂井信之准教授に聞く|DOL特別レポート|ダイヤモンド・オンライン(東北大学大学院・坂井信之准教授に聞く 2015年2月27日 ダイヤモンド・オンライン編集部)という記事。
タイトルになっている「なぜ甘い香りの男性は好かれないのか」は、上記の話の後出てくるのですが、個人的にはあまりおもしろいと感じませんでした。これは「周りから親切にしてもらうには、甘い香りのする香水などをつけた方がよいのでしょうか?」という質問に関してです。
この質問に坂井信之准教授は「女性は確かに効果的かもしれません」と回答。例えば、同じ履歴書を用意して、「私は甘い物好きです」「スイーツ巡りをするのが好きです」と書いた場合、その人が面接に呼ばれる確率は上がり、親切な人だと思ってもらえる割合が高くなるとの調査結果があるといいます。
ただし、男性の場合は甘い香りを発したり、そうした発言をしても、「変な奴」で終わってしまうので注意が必要だとされていました。甘い香りは、相手を庇護する、保護するという強い立場・弱い立場を作るとのこと。男性は強く・女性は弱くという差別的なイメージがあるため、性別で違う結果になるんでしょうね。
●なぜかわからない自分の匂いや自分の部屋の匂いやタバコの臭い
匂いという話で言うと、他人の匂いや部屋の匂いなどについて強くどうこう言う人がいます。私はそういう人が好きじゃないんですが、まあ、実際問題匂いについて気にする人は多いですし、匂いに関して傷つくようなひどいことを言う人すら珍しくありません。
ただ、自分の匂いや自分の部屋の匂いというのは、わからないものですから自分も実は臭っているのかもしれません。こんなことを言ってしまうと、自分も実は臭いのでは?と気になるでしょうが、実際、経験的にも「自分の匂いがわからない」という例はあると思います。
たとえば、にんにくの臭いやタバコの臭い。中華料理を食べたり、喫煙したりしている本人たちは気づかないものの、周囲の人はキツイ匂いを感じているということがあります。
●実は必要なことだった!自分の匂いが気になるのにわからない理由
先ほどの記事で坂井信之准教授は、本人が気づきづらい理由についても説明していました。それは自分のニオイには慣れて嗅覚が「馴化(じゅんか)」するからだとのこと。「馴化」の「馴」は「なれる」という意味ですね。ズバリ自分の家のニオイに慣れているからなのです。
同じように自分からニオイがしていても、一瞬ニオイを感じた場合も慣れてわからなくなってしまいます。あまり自分のニオイには敏感ではなく、他人のニオイにだけうるさいのです。なんだか嫌な人のように見えますが、これには理由がありました。
<それはニオイの検知には「変化」がとても重要だからです。動物は、日常生活で意味のない反応を排除する性質があります。野生の環境をイメージすると、敵が攻め込むような危険な状況で自分のニオイが気になっていると、敵のニオイに気づくことができません。ですから、自分のニオイはシャットアウトして、他のニオイを検知できるように動物はできているのです>
海外から日本に帰国すると空港で醤油臭いと感じるという話を読んだことがありました。まさか?と思って今まで信じていませんでしたが、案外本当かもしれません。
●自分の匂いがわからないことで、スメルハラスメントの危険性
匂いによる不快さに関しては、最近はスメルハラスメントっていうみたいですね。記事の中でも「スメハラ」というワードが出ていました。
知恵蔵miniの解説では、以下のように説明しています。
<体臭や口臭など臭いによって周囲に不快感を与えること。通称「スメハラ」。(中略)当初は男性の体臭・口臭に対して使われることが多かったが、13年現在、女性の強い香水の臭いや高齢者の加齢臭なども対象となっている>
上記では、"ハラスメント(嫌がらせ)と称されているが、臭いを発する本人は無自覚なことが多いため嫌がらせとは言い難い"ともありました。また、デジタル大辞泉でも"「アルコールハラスメント」「セクシュアルハラスメント」などからの造語とみられるが、他の語と異なり、本人に嫌がらせの意図はない場合が多い"と書かれています。
しかし、これらを書いた人はセクハラやアルハラを大きく勘違いしていると思われ、危険だと感じました。パワハラもそうですけど、セクハラなどがたちが悪いのは、本人に嫌がらせという自覚がない場合が多いためです。だから、根深い問題になっているのですよね。
また、嫌がらせという意味では、匂いなどについて強くどうこう言う人は好きじゃないと書いたように、匂いのことなら何言ってもいいんだという風潮も危ないでしょう。以前の
クチャラーの原因は口呼吸にあり チェックリストでチェックをで出てきたクチャラー批判と似たものを感じます。
自分の匂いは自分で気づかないように、セクハラもなかなか自分では悪いということに気づかないですし、スメハラに対するひどい非難も自覚なく言ってしまいがち…。スメルハラスメントハラスメントとでも言うべきところがあり、ここらへんは難しいものだなぁと感じます。
●スメハラそのものよりスメハラを気にする方が問題
2017/10/30:2017年10月25日放送の【クローズアップ現代+】(NHK)は、"体臭気にしすぎ社会! ニオイで降格・昇進も!"という特集だったとのこと。
「ニオイで降格・昇進も!」というのは、あるメガネ店の例みたいですね。社員に体臭や口臭対策を義務付け、昇進や人事の際の評価項目に入っているとのこと。接客業ということもあり、従業員のニオイに対する客からのクレームがきっかけだったといいます。
最初の投稿で、自分も実は臭っていてもわからないという話を書きましたが、そこらへんで気にしすぎの人も多いようです。体臭の悩みや治療を行う五味クリニックの五味常明院長によると、「相談にくる人の7割はそれほど体臭が強くない人」だといいます。
五味院長は、「スメルハラスメントで周囲に迷惑をかける害」より、むしろ「自分が臭っていると悩み、人間関係を築けないでいる害」の方が深刻だとしていました。スメハラを強調する方が問題だってことですね。
("「体臭」が恋に・夫婦仲に・昇進にも影響! ニオイとどう付き合えば幸せになれる? J-CAST ニュース - 10月30日 08時00分"より)
http://ecnavi.jp/mainichi_news/article/0b8f809a7cbaf43592121c6d9d0842ff/
●家庭内の無臭化が進んだせいで匂いに敏感になった可能性も…
記事では、最初の記事と同じ東北大学の坂井信之教授が登場。体臭に敏感になる人が増えている理由について、「消臭対策が進み、家庭の中でニオイがほとんどなくなったことが原因です。そのため、外に出るとニオイが気になってしまうのです」とした上で、さらに以下のように説明していました。
「たとえば、加齢臭を嗅いだことがない人にとっては、『クサイ!』と不快に感じますが、祖父母と一緒に暮らした人にとっては、『お婆ちゃんのニオイだ。懐かしい』とポジティブに受け取ることがあります」
これは、
柔軟剤のにおいでめまい・吐き気が増加中 原因は化学物質過敏症?で出てきた説明と同じです。向こうでも、「家庭内の無臭化が進んだせいで許容範囲が狭くなった」といった説が出ていました。
●人間の嗅覚は低性能 リンゴの匂いをかいで「バナナ」と回答
また、そもそも我々の匂いを嗅ぎ分ける能力は、かなり低いようです。以下は、
騙されていた!かき氷のシロップは全部同じ味、色と匂いで錯覚してるだけを思い出す話でした。
坂井教授「筑波大学が行った実験では、ボトルに黄色いシールを貼り、中にリンゴを入れたものを嗅いでもらうと、半分以上の人がバナナと答えたそうです。黄色いシールでバナナがイメージされたのです。ニオイはあやふやなもので、そのニオイを出している物や人のイメージが結びつくため、人の場合は、ニオイを出している人との人間関係が圧縮されて出てきます。つまり、その人との人間関係が良いと、ニオイを悪く感じない可能性もあります」
この影響が強いとした場合、スメルハラスメントを訴える人は、その訴える人物が嫌いだから言っているという側面が強いということ。どっちが嫌がらせ(=ハラスメント)だかわかりません。
ただ、実際にどれくらい関係あるのか、もう少し詳しい研究がないと、わからないですけどね。私が昔いた会社で、匂い被害を訴えていた男性は、まさに大嫌いな人の匂いについて指摘していたので、経験的にはありそうな話だとは思いますが…。
【本文中でリンクした投稿】
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クチャラーの原因は口呼吸にあり チェックリストでチェックを ■
柔軟剤のにおいでめまい・吐き気が増加中 原因は化学物質過敏症? ■
騙されていた!かき氷のシロップは全部同じ味、色と匂いで錯覚してるだけ【関連投稿】
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