<ロシアのプーチン大統領は親日家!オバマより良いとネットで人気>、<親日なはずのプーチン大統領、日本の軍国主義に言及し中国に同調>などの話をやっています。
2022/04/24追記:
●「北方領土棚上げで日本にそれ以上の見返りがくる」をやった結果 【NEW】
●ロシアのプーチン大統領は親日家!オバマより良いとネットで人気
2015/5/10:以前にも書いたように、ネットでロシアのプーチン大統領に好意的な人が多いことを不可解に感じます。なぜか知りませんけど、「アメリカよりロシアの方が好き」といった感じの人もよく見受けられます。ロシアのプーチン大統領は親日家!といった話も、ネットでは簡単に見つかりますね。
こうしたネット情報は、到底信頼できるレベルの情報ではないわけですが、例えば、2014/3/13の
Yahoo!知恵袋では、「プーチン大統領は隠れ親日家ですか?」という質問が出ていて、「ベストアンサーに選ばれた回答」では、親日家で間違いないと太鼓判を押しています。
<隠れじゃなく親日と公表してるよ。
KGB時代から日本の武道を学び、柔道・剣道の有段者です。
オバマなどより、日本人・日本人の心を知っている偉大な政治家だ>
上記はなぜか同時にオバマ大統領をバッシング。前述のような「アメリカよりロシアの方が好き」な人なのか、リベラル嫌いの右派かもしれません。他にも
別のYahoo!知恵袋で似た質問があったので、「ベストアンサーに選ばれた回答」といっしょに紹介しておきます。
<プーチンさんは柔道を昔習ってて実はかなりの親日家であり、そのプーチンの影響でロシアでもスシが好きな人が増えてきてるのとロシア国民の80%が日本人を好きな国民だと答えているという事実に対してどうおもいますか??そして日本人の80%がロシアを嫌いな国とあげてる事に対しての意見もお願いします>(2010/3/2301:13:35)
<ベストアンサーに選ばれた回答>(改行は変更)
<プーチンさんは、大の日本びいきで親日家です。柔道もそうですが、二人の娘さんは、大学で日本史を専攻されたはずです。ですから、プーチン大統領の時代に、ロシア側から2島返還が提案されたのです。
ロシアでは、日本好きの人が比較的多くいます。極東以外でも、かなりの数の人が日本好きです。(極東では顕著です)
ロシアは、歴史的に日本好きが多く、日本人漂流者を教師にした日本語学校が、日本が鎖国をしている時代からありました。日露戦争後は、日本とロシアは、相当な友好国で、このころロシア文化が大量に日本に流入してきます。(トロイカとかペチカなどの歌も、ほら吹き男爵やイワンのバカといった話も、そのころ入ってきたものです。
ただし、国民が日本に好意を持っていることと、政治とは別問題です。ロシア人は、敵対すれば、徹底的に対立しますが、友好的になれば、とことん友好的になる性格があります。日本側が、北方領土問題を主張しなくなれば、それ以上の見返りをロシアはもたらしてくれる事でしょう。もっともそれは、アメリカが感嘆(引用者注:簡単の誤字か?)には許さないでしょうが>(2010/3/23 06:29:35)
●親日なはずのプーチン大統領、日本の軍国主義に言及し中国に同調
ところが、プーチン大統領が「親日」かどうかを重視する人にとって許せないであろう発言をしていました。
ロ大統領「日本軍国主義」に言及 2015年 05月09日 18時17分 提供元:共同通信という記事で、以下のような話が報じられています。
<ロシアの首都モスクワで9日、第2次大戦の対ドイツ戦勝70周年記念式典が行われた。プーチン大統領は「ナチズムと、日本の軍国主義と戦った国の代表に感謝する」と演説し中国の貢献を称賛。中国と歴史認識で同調する姿勢を強調し、ウクライナ危機に絡む対立から式典を欠席した先進7カ国(G7)の他の首脳に歩調を合わせた安倍晋三首相を強くけん制した。
(中略)式典には主賓格として中国の習近平国家主席が出席>
共同通信だけでなく、右派の産経新聞もこの発言を報じていました。この産経新聞は、
露の対独戦勝式典 中朝など20カ国参加、「新冷戦」浮き彫り 産経ニュース / 2015年5月10日 8時7分において、「ロシアは追い込まれて焦っているのだ」といった主張も同時に書いています。
<「ソ連はナチス・ドイツを打倒した戦勝大国だ」「ソ連は欧州をファシズムから解放した」。プーチン政権はこう声高に叫ぶことで、国連安全保障理事会の常任理事国に象徴される「大国路線」のよりどころを死守しようと躍起になっている。
しかし、第二次大戦から独ソ戦での犠牲や勝利だけを切り抜いてたたえる歴史観を、多くの国は受け入れることができない。独ソが39年、欧州での勢力圏分割を密約し、ドイツがポーランドに侵攻して大戦に道を開いた事実に、ロシアが目を閉ざしているからだ。
ロシアは、東西冷戦構造の端緒となったヤルタ協定(45年)を「長期の平和がもたらされた」などと評価する。だが、独ソの双方に蹂躙(じゅうりん)された東欧やバルト諸国にとっては、戦後のソ連支配は「新たな占領」にほかならなかった。
プーチン政権が「戦勝」や「欧州の解放者」といった歴史認識を強調する背景には冷戦に「敗北」し、旧東側諸国が続々と欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)へと抜け出したことへの焦りがある。
ロシアは、ソ連を否定的にとらえる東欧・バルト諸国を「歴史の書き換えを図っている」と罵倒する。昨年、親欧米政権が発足した隣国のウクライナには「ファシスト」のレッテルを貼って軍事介入した。(モスクワ 遠藤良介)>
●プーチン大統領が親日家だからと言う輩は、間違いなくバカかスパイ
上記を見ると、ヤフー知恵袋であった「プーチン大統領は親日家だから仲良くしよう!」という考えはお花畑な感じ。そもそも親日かどうか分けるという考え方が間違いな気もしますね。実際、プーチン大統領・親日家説なんて考えない方が良いという人もいます。
検索で出てきた倉山満さんのインタビューもそういったもの。これを掲載していたのは日刊スパなので、こちらも大して信頼できる情報源ではありませんが、<プーチン大統領といえば、「顔は怖いけど、柔道もやっている親日家」というイメージ>について聞かれて、以下のように答えていました。
「日本文化に詳しいから交渉しやすいかも……などという幻想は甘すぎる。ロシアはそれほど単純な国ではありません。例えば、2002年にアレクサンダー・レベジというロシアの政治家が死にました。彼はロシアの自由化を進め、チェチェン紛争の凍結にも尽力した人物。NATOや日米同盟にも融和的でした。何より、近代文明とは何かを理解し、実行しようとしました。ロシア史のなかでも、一番の真人間と言っていい存在です。
しかし、彼の末路はヘリコプター事故死です。ロシアではなぜか、プーチンの政敵が『謎の事故死』を繰り返します。このレベジについてなんら言及せず、『プーチンは親日家だから』などと平気で言っているような輩は、間違いなくバカかスパイです」
(
倉山満「プーチン幻想なんてさっさと捨てろ!」 | 日刊SPA! 2015.02.25より)
●親日・反日のレッテル貼りは無意味で子どものような考え方と指摘
私はインタビューだと、「やっぱりプーチンは恐ろしい人物だと……?」とインタビューアーが聞いたことについて回答した部分の方がおもしろいと感じました。
「そういう100かゼロかという議論もそろそろ止めにしたい。プーチンにも誰にもいろんな面がある。当たり前の話ですが、どんな物事にも良い面もあれば悪い面もあります。『誰が善玉で誰が悪玉か』という子どものような区別の仕方はもう終わりにしたほうがいい」
外国の政治家や国民というのは、親日になるか反日になるかを決めて動いているわけではありません。日本がそれを理解して外交をやらないと間違っちゃうんですよね。例えば、相手の立場として最も合理的なのは?と想像してみると、国益を中心に考えてそのときに最も良いと思われる方法を取ること…などが予想できます。
もっと言うのなら、国益うんぬんも関係なく、その政治家や人にとって最も利益のある言動を取った結果として、親日になったり、反日になったりすると言った方が良いかもしれません。とにかく大切なのは、親日・反日を中心にして彼らが発言や行動を決定しているわけではないということです。
親日・反日のレッテル貼りはこのように無意味なのに、勝手に認定してしまうものだから、「大の親日家で日本に良くしてくれるはずのプーチン大統領が、むしろ日本を猛烈に批判する発言をしている。どうして?」といったわけのわからないことになってしまいます。私もつい書いちゃうのですが、親日・反日って言葉はあまり使わない方が良いのかもしれません。
●「北方領土棚上げで日本にそれ以上の見返りがくる」をやった結果
2022/04/24追記:上記を読み直していて、ヤフー知恵袋の「ベストアンサーに選ばれた回答」で「日本側が、北方領土問題を主張しなくなれば、それ以上の見返りをロシアはもたらしてくれる事でしょう」と書かれていたのが目に止まりました。北方領土棚上げで経済協力というのは、安倍外交そのものであるためです。
こうしたロシアへの接近について、当時、安倍政権は積極的にアピール。2018-05-31に経済産業省・資源エネルギー庁が
石油から再エネまで、あまり知らないロシアと日本のエネルギー協力|スペシャルコンテンツで、ロシアに接近する安倍首相の実績などをアピールしていたんですよ。
<ロシアとのエネルギー協力は、豊富なエネルギー資源や地理的な近接性などの観点から、日本のエネルギー供給源の多角化および安定供給の確保にとって重要となっています。2018年5月24日~27日には安倍首相がロシアを訪問し、エネルギーを含むさまざまな協力関係を今後も深めていくことを確認しました>
サイトでは、安倍首相の提案がプーチン大統領に褒められた!ともアピール。<LNGについては、今後もサハリン2の拡張が計画されているほか、北極LNG(ヤマル2)やバルティックLNGが検討されるなど、さまざまな開発プロジェクトが動き始めています>としており、侵略国ロシア(1度目のウクライナ侵攻はこの4年前)と接近しまくっていたようです。
<8項目の「協力プラン」に基づいてさまざまな取り組みが進められています。「協力プラン」とは、2016年5月、ロシア連邦・ソチで安倍首相がプーチン大統領との会談をおこなった際、日本側から提示し、ロシア側から高い評価と賛意を示されたものです>
<ロシアと日本が昔から協力してきたエネルギー分野が、石油とガスです。日本は、輸入原油のうち約6%を、輸入天然ガスのうち約9%をロシアから輸入しています。それだけではなく、日本はロシアにおける石油・天然ガスの開発プロジェクト(引用者注:サハリン2など)にも参画しています>
<今後も、ロシアと緊密に連携し、エネルギー分野の官民協力を進めていきます>
2度目のウクライナ侵攻以前の時点ですでに、あるウクライナ人学者の人は安倍政権のロシア接近を批判。安倍政権関係者がロシアからの買収されたかのような行動をとっていることも指摘していました。また、この政策の結果、日本が「それ以上の見返り」を受けたわけでもないでしょう。経済制裁が求められる中、ロシアへの接近はむしろ今重荷になっている感じです。
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