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傷つく子供たち…2分の1成人式への批判と問題点 生い立ち授業にも同様の危険性


 小学校の生い立ち授業や2分の1成人式によって、親への感謝を強制したり、家庭の事情を明らかにさせたりすることで、傷ついている子どもたちがいるという話。子供を追い詰めるのに最適なイベントとなっています。では、なぜこのような一部の子どもたちにトラウマを植え付けるイベントをやっているのか?というと、「親や教師の自己満足」のためではないかと言われていました。この説を裏付けるような話がありましたので、追記しています。

2017/07/28追記:
●必死に演出…2分の1成人式は、親を感動させて泣かせるためのイベント
●なぜ母親がいないことをみんなの前で発表しなければいけないのか?
●子どものためではなく親のため…2分の1成人式への批判と問題点
2021/06/28追記:
●親の言うことは絶対?罵倒されながらも親の介護を続ける息子 【NEW】
●一見バラバラに見えるが実は似てる…子どもを傷つける親の5パターン 【NEW】


●里子は書けない!小学校の生い立ち授業が子供たちを傷つける…

2015/5/11:今は妙なものがあるんだなと思ったのが、小2生活科「生い立ち授業」に戸惑い 里親「子ども負担大きく」 | 静岡新聞(2015/5/ 8 07:58)という記事でした。

 小学3年の女児を養育する静岡県中部の里親が「本当につらい作業だった」と言っていたのは、女児が2年生だったときに取り組んだ生活科の授業。担任から「名前をつけた理由」「1歳の時に初めてできたこと」などの質問が書かれたプリントを宿題で配られ、絵本の形にまとめるため、思い出の写真などを準備するようにも言われたそうです。

 しかし、"女児が里親の元にやってきたのは小1の時"でした。写真はあるにはあったものの、当然プリントで指示されたようなことはできません。そこで担任に相談すると、「ありきたりなことでいいから書いて」という想像を絶する配慮のない答え。ふざけています。ここまでは里親の苦しみという話でしたが、女児も"しばらくは表情が暗く、怒りやすい状態が続いた"とされていました。当然、子どもにも悪い影響が出るおそれがあるのです。


●国が推進していた!生い立ち授業は学習指導要領に基づいている

 上記の話は小学校の教師のアホさも目立ちますが、そもそも学習指導要領に問題がありそうです。記事には、"学習指導要領に基づき、生活科で児童が自らの生い立ちを振り返る小学2年生の授業"という記述がありました。

 教員向けの指導書によると、この授業は「これまでの自分の歩みを振り返ることで自身の成長を実感し、今後につなげていく」とか何とか。どうも国が諸悪の根源のようです。学習指導要領に従わないなら従わないでまた「先生が勝手なことをしている」と非難が来るわけですが、"里親家庭や児童養護施設で暮らす児童に配慮する学校もある"そうです。

 たとえば、学区内に児童養護施設がある小学校では、生い立ちに固執せず、ここ1年間にできるようになったことを振り返りの中心にすることで、クソな学習指導要領を守ることと子どもたちへの配慮を両立させていました。ただ、そもそも学習指導要領に問題があるので、こちらを変えるべきだと思いますけどね。


●そもそも生活科とは何か?社会だけでなく理科も廃止して設置

 というか、そもそも生活科って何でしょう? そんなんあったっけ?と検索。生活 (教科) - Wikipedia(最終更新 2015年2月2日 (月) 01:57)によると、<生活(せいかつ)とは、1989年に改定、1992年度から施行された学習指導要領より小学校第1学年及び第2学年に設置された教科である>とのこと。1992年からのものだそうです。

 社会科の低学年版だと想像しましたが、驚いたことに"社会と理科を廃して設置された"とのこと。え、理科もいっしょになくなったんだ…と驚き。<<社会と理科を廃して設置されたため、この両者を統合して授業を行うものであると考えられがちであるが、実際は別の教科である。内容のほとんどが体験的な活動を重視しており、特に体系化された内容は含まれない>という解説でした。

 なぜ?と不思議なのですが、<小学校1・2年では、まだ自己中心性が強く、自分の周囲で起きた現象を、自然現象か、社会現象かを識別する能力に乏しいとするのも、生活科創設の目的>という説明があり、それが関係しているのでしょう。ちょっと信じられないような話で、研究的な裏付けを知りたいと思いました。


●「生い立ち授業」だけではない!「2分の1成人式」などにも問題点

 生活科設置の是非は良いとして、生い立ち授業的な問題について。小学4年時、各学校がキャリア教育の一環などとして任意で行う行事「2分の1成人式」というものもあり、これが生い立ち授業同様に問題があるそうです。こちらの方がネットでは情報が多いのですけど、話題のなり方は悪いもの。やはりネットでも非難を浴びているんですね。

 「2分の1成人式」の名前の通り、この式では「10歳証書」の贈呈があります。それから、合唱の発表もあります。ここらへんは特に問題になっていません。ところが、これら以外にも、"児童が生い立ちを巻物にして発表したり、親に宛てた感謝の手紙を読んだりする例"があり、ここらへんでどうしても生い立ち授業のような問題点が出てきます。

 考え直してほしい「2分の1成人式」――家族の多様化、被虐待児のケアに逆行する学校行事が大流行(内田良) - 個人 - Yahoo!ニュース(内田良 | 名古屋大学大学院教育発達科学研究科・准教授 2015年1月19日 6時0分)では、「10歳の節目を祝福すること自体は、斬新なアイディアで興味深い」としていました。

 ただ、やはり問題なのは、そのイベントの「中身」。各学校が項目すべてを実施しているわけではないのですが、2分の1成人式の代表的な「中身」には、以下のようなもので、最後の2点「親に感謝の手紙をわたす。親からも手紙をもらう」「自分の生い立ちを振り返る(写真、名前の由来)」が問題なのです。

○将来の夢を語る(就きたい職業)
○合唱をする
○「2分の1成人証書」をもらう
○親に感謝の手紙をわたす。親からも手紙をもらう。
○自分の生い立ちを振り返る(写真、名前の由来)


●保護者の「9割が満足」!子供ではなく親や教師のための儀式

 内田良准教授は「親への感謝を強制される」という点を特に問題視していました。

<ある児童虐待の被害者は「学校で,『子どものために尽くすのが母親だ』とか,すごく家族愛みたいなものが強調されていた。『それが普通で当たり前で,ノーマルだ』って言われて,だから,うちみたいな家庭のことは,隠さないといけないんだと思った」と語っていた。家庭内における児童虐待の問題がこれほどクローズアップされているにもかかわらず、まるでそのような事態などありえないかのように、「感謝の手紙」が強制される。虐待を受けている児童への配慮がなされていない>

 ネットで反応を見ると、「親や教師の自己満足イベント」といった声が多かったです。上記の内田良准教授によると、保護者の「9割が満足」というイベントであり、とりあえず、親の満足度が極めて高いというのだけは確実なようでした。


●問題は里子以外も…多様な家庭があることを理解できない大人たち

 虐待の問題が出てきたように、問題は最初の例で出ていたような里親だけではないと思うんですよね。その最初の記事でも、以下のような指摘がありました。

「極めて個別的な配慮が必要。やり方によっては子どもを大きく傷つける可能性がある。里親家庭に限らず、虐待、貧困、シングルなど多様な家庭があることを前提に行う必要があり、教師に力量がなければ成り立たない活動だ」(静岡大教育学部の石原剛志教授(46)=児童福祉=)

 多様な家庭があることがわかるとマズいので隠してしまおう!というところを強調してしまうと、それはそれで何か違うと思います。いろんな生き方があることはむしろ学んでおいてもらいたいです。ただ、これは飽くまで理想論であり、現実にそれが可能かどうかと言うと、全く違う話になってきます。

 ネットを見てわかるように大人だってマイノリティ叩きに夢中なのですから、小学生にこういった多様性を理解してもらうのは相当難しいとわかるでしょう。そもそも教師自身が多様な家庭があることを全く理解できていないから、今こうやって問題になっているんですからね。

 「教師に力量がなければ成り立たない活動」とあるように、小学生が傷つくだけで終わる可能性が高そうです。


●必死に演出…2分の1成人式は、親を感動させて泣かせるためのイベント

2017/07/28:「親や教師の自己満足イベント」といった声が多かったと書きましたが、それがよくわかる「2分の1成人式」誰のため? 感動押しつけに違和感も:朝日新聞デジタル(田中聡子 2017年6月26日05時07分)という記事がありました。

 現在高校生となった女性は虐待を受けていて、親は「恐怖の対象」でしかなかったと言います。そのため、「2分の1成人式」に感謝の手紙を書く授業では、本当に何を書いて良いかわからず困りました。

 式の本番で、親の前で手紙を読んだときにも、泣いている親や子どもたちが心底不思議でした。そして、同時にそうできない自分は他人と違うのだと初めて感じ、この瞬間のことは今でも思い出すというトラウマになっています。

 この頃は冷静に見ることはできなかったでしょうが、小学校と中学校の卒業式でも「親への感謝」を書かされたときには、先生たちは、感動させようと必死に演出していたことを指摘しています。親のための満足イベントなのです。

 同様に、感謝される親の側からも、感動イベントの演出があると指摘している人がいます。「うすうすやりにくい家庭があると気づいているのに、感動を優先させている気がしました」としていました。


●なぜ母親がいないことをみんなの前で発表しなければいけないのか?

 四街道市の75歳の女性は、「学校だより」で2分の1成人式を知り、抗議してこのイベントをやめさせています。彼女の娘は病気で亡くなっており、孫は母親がいない状態でした。そこで、手紙で「なぜあえて、みんなの前で感謝を読み上げるのか。なぜわざわざ、母親がいないことを発表しなければいけないのか」と訴えました。

 担任は「私も本当は反対」としていました。しかし、「熱心な先生もいて、教師同士ではおかしいと言いにくい」とのこと。学校だよりでは、校長が式を称賛しており、ひょっとしたら校長が熱心だったのかもしれません。こちらは「教師の自己満足イベント」の例です。

 結局、この学校の2分の1成人式は、女性の「前向きで、すべての子どもが同じ立場でできる内容に」と要望で、将来のことを発表する会になったそうです。「保護者から言ってもらえたので、対応できました」と言われたそうですが、こうしないと変えられないというのも問題ですね。


●子どものためではなく親のため…2分の1成人式への批判と問題点

 はてなブックマークの人気コメントでは、やはり親の自己満足といった反応が多くなっていました。

“「一部の声のデカい保護者にウケのいいイベント企画」だな。大人の自己満足の道具にされる子供は気の毒だ。母の日、父の日、敬老の日の機会もあるし、感謝の行事なんてやりたい子供だけ各自で勝手にやればいい。”(shields-pikes 2017/06/26)
“この記事を読むと、小学校が親への接待をする仕組みに見える。子どもを道具にして、一部の子どもを犠牲にしてまで、やることなのだろうか?”(komo-z 2017/06/26)

 また、愛国教育や思想の問題に関する反応も。ちなみに愛国教育なんか不要!日本が好きな子供97%でやっているように、子どもたちは国が洗脳教育しなくても日本を好きなのです。でも、好きじゃなかったとしても、それは仕方がないことですよ。国が強制するようなことではありません。

“組体操とかと同じで、この行事を楽しみにしている保護者もいたりするのが学校の応対をややこしくさせている。感謝すること、愛することは自発的じゃないと無意味、その点で愛国教育と同様の問題をはらむ。”(hi_kmd 2017/06/26)
“自分の遺伝的親である父と母と「一緒」に「貧困」「虐待」もなく「平穏無事」に暮らしているのが「家族」という妄想の押しつけが子どもを追い詰める”(Innovator00 2017/06/26)

 思想的な気持ち悪さを感じるというのは賛同しますけど、それ以上に問題なのは、まず第一に子どもたちのためにならないということ。この1点だけの理由で、2分の1成人式は廃止されて当然でしょう。


●親の言うことは絶対?罵倒されながらも親の介護を続ける息子

2021/06/28追記:別のところでも紹介した「毒親」でも介護するべき? しんどい親子関係を今すぐ終わらせる方法とは | mi-mollet(ミモレ) | 明日の私へ、小さな一歩!という記事。毒親に関する話なのですが、すべての子が親に感謝すべき…という思想が間違っている例としてわかりやいため、こちらでも紹介します。藤木美奈子・元龍谷大学准教授(博士は大阪市立大で取得)の書籍『親の支配 脱出マニュアル 心を傷つける家族から自由になるための本 (こころライブラリー)』を転載したもののようです。

 タイトルの<「毒親」でも介護するべき?>の答えはノー。そもそも「子は親孝行するもの」や「子は親の面倒をみるもの」というのは、プログラミングされたものだと指摘。呪縛みたいなものですね。私は逆の「親が子供の面倒を一生見なくてはいけない」は根拠がなくおかしいだろうと思っていたのに、今回の問いには答えを迷ってしまいました。私も呪縛に囚われていたようです。

 こうしたプログラミングの例では、「家族がいちばん。血のつながりほど大切なものはない」「誰からも好かれる人になりなさい」「世のため人のために生きることが最善の生き方」「人に迷惑をかけるな。人を頼るべからず」などといったものも。いずれももっともらしく聞こえるものの、親子関係で苦しんでいる人は疑ってよく考えてみるべきだとしていました。

 ただ、なかなかこのプログラミングから脱することは難しいようです。ある男性は、罵倒され、脅され、振りまわされてきながらも、親の介護を苦しみながら頑張る「いい子」でした。「施設に託すのもひとつ」などと藤木美奈子さんはアドバイスしますが、「私が見ないと」と譲りません。親から離れられない「共依存」の関係に陥っていました。


●一見バラバラに見えるが実は似てる…子どもを傷つける親の5パターン

 不幸なことに毒親に育てられた子は、人間関係がうまくいかず、転退職をくり返したり、結婚生活や子育ても悩み多きものとなることが多いとのこと。なかにはうつ病やパニック障害などの精神疾患を患ったり、酒、薬物、ギャンブル、過食や自傷行為などに救いを求める人もいるそうです。

 これは、「親に自分の気持ちを大切にされなかったため」「価値を認めてもらえなかったため」という説明。自分に価値を感じられなくなると問題が起きやすい…というのは、よく指摘されることです。以下の「子どもを傷つける親」のパターンは、一見多種多様に見えるが、「子どもの気持ちを大切にしない」という共通点があるとされていました。

・感情的で、すぐに暴言・暴力をふるう (「出来損ない」なども暴言)
・なんでも自分の思い通りにしようとする (勉強や就職や結婚などで介入。挫折した親だけでなく、成功した親でも見られる)
・自分の価値観を子供に強要する
・子供を他者と比較する (兄弟などと比較。扱いに差をつけるのも良くない)
・夫婦仲が悪く、そこに子供を巻き込む (愚痴を聞かせるのも良くない)

親の支配 脱出マニュアル 心を傷つける家族から自由になるための本 (こころライブラリー)




【本文中でリンクした投稿】
  ■愛国教育なんか不要!日本が好きな子供97% 日教組にも洗脳されていなかった

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