2019/10/20:
●アニメーターはサービス残業当たり前?アカデミー候補のアニメ会社でも
●また悪名高い裁量労働制の問題、そもそもアニメーターには不適切では?
●「サマーウォーズ」「時をかける少女」の「マッドハウス」もやばい
●アニメ業界は毎年のように無謀な『インパール作戦』をやっている!
●アニメーターはサービス残業当たり前?アカデミー候補のアニメ会社でも
2019/10/20:アニメ業界のブラックさに関しては、
アニメ業界はブラック!アニメーター年収110万円説出るが本当は300~400万円程度か?や
アニメ業界はやりがい搾取型ブラック企業 「夢がある」と誘う離職率90%の世界というのを書いています。今回の話はそのどちらかに入れようかと思ったものの、一応別で。今回は「サービス残業」というのがポイントです。
まず、
残業代未払いでアニメ会社4℃を提訴 社長はジブリ出身:朝日新聞デジタル(2019年10月18日17時56分)という記事から。
長時間労働に見合った残業代を支払わなかったのは違法だとして、アニメ制作会社「STUDIO4℃(スタジオよんどしい)」(東京)の社員の男性(25)が、未払い残業代など計約534万円の支払いを同社に求める訴訟を東京地裁に起こしました。
同社はスタジオジブリ出身のアニメプロデューサーが社長という話題性のある会社。そして、アニメ映画「海獣の子供」は、米アカデミー賞長編アニメ部門のノミネート候補となった作品であり、やはり話題性があります。「鉄コン筋クリート」「ベルセルク 黄金時代編」などもやっているとのこと。そんな会社ですらサービス残業が当たり前になっているのか?という衝撃的な話でしょう。
●また悪名高い裁量労働制の問題、そもそもアニメーターには不適切では?
ただ、この会社のケースは、厳密には「サービス残業」というよりは、裁量労働制の悪用の問題と言った方が適切かもしれません。問題が多いとさんざん指摘されていたのに、データを捏造してまで安倍政権が強行に拡大を推進した裁量労働制絡みの悪用例の一つであったようです。
会社側は18年4月~19年4月に男性に「専門業務型裁量労働制」を適用していたと主張。裁量労働制の場合、実際に働いた時間に関わらず、労使が合意した「みなし時間」を働いたことになり、それに見合った賃金しか払われません。本来、適用対象は限定されています。
この適用対象が限定されるというのは、本当は大事であったところ。男性側は、そもそも業務内容が裁量労働制の対象業務とは言えないことを指摘しています。また、最大で月100時間程度の長時間労働を余儀なくされ、適用の前提になる業務上の「裁量」が男性にあったとはいえないこと、会社側が労働条件を適切に伝えていなかったなどとも指摘。裁量労働制の適用は無効で、2年超分の未払い残業代が存在しているとしていました。
訴状などによると、同社を調査した三鷹労働基準監督署も、19年2月ごろより前の裁量労働制の適用は認めず、残業代の未払いがあるとして、今年6月に同社に是正勧告を出したとのこと。それ以降の裁量労働制は逆に言うと認められてしまったようですけど、とりあえず、会社に問題があったことは労基署も認めています。
●「サマーウォーズ」「時をかける少女」の「マッドハウス」もやばい
他のサービス残業問題はないかと検索すると、最近の記事でしかも、また有名アニメをやっている会社のニュースが簡単に出てきました。「サマーウォーズ」「時をかける少女」などで知られる日本テレビ子会社のアニメ制作会社「マッドハウス」に関する
アニメ制作会社「マッドハウス」社員は月393時間働き、帰宅途中に倒れた | 文春オンライン(2019/04/22)という記事です。
記事は、マッドハウス正社員で制作進行担当の人が、ブラック企業ユニオンに加入し、未払い残業代の請求と長時間労働の改善、スタッフによるパワハラの謝罪等を求め、団体交渉を申し入れたというタイミングのもの。国が「過労死ライン」として定めている基準は1カ月間の時間外労働80~100時間のところ、220時間ほどの残業時間をしていました。
もう話の最初の時点でおかしい逸話なのですが、夜じゃなくて朝7時ぐらいにアパートへ帰ろうとしたところ、道路上でぶっ倒れたということもあったそう。幸い警察官が救急車を呼んでくれて、病院に担ぎ込まれ『過労ですね』と言われることに。会社に連絡したところ、その日の出社だけは勘弁してもらえたそうですが、翌日から再びブラック労働に復帰しています。
ちなみにこの方の手取り給料はわずか19万円。労働内容に比べて安すぎる!と思いますが、時給に換算すると普通に最低賃金を下回るレベルだということで、楽な仕事でもあり得ない安さです。
また、こちらも裁量労働制とともに問題視される似た制度の問題でした。固定残業代といわれる制度を悪用しています。「そもそも『固定残業代』について、入社前の説明は一切ありませんでした」ともおっしゃっています。説明なしで適用は最初の会社でもそうだったみたいですね。大体やっていることは同じです。
それから、『(ミスを)今度やったらぶっとばすぞ!』『原画がまき終わるまで家に帰るんじゃない』などと言われ、パワハラも起きていたとされていました。
●アニメ業界は毎年のように無謀な『インパール作戦』をやっている!
この方は、業界全体の問題だといった話もしていますね。有名アニメをやっている会社ですら、これらの状況なので納得感があります。
「同じ社内の制作進行も、特にTVシリーズを担当していれば100~200時間以上の残業は強いられます。下請けの制作会社には、タイムカードすらないと聞きます」
「アニメ業界で働く人間は、当然ですが多かれ少なかれアニメ好きがほとんどです。ただ、濃淡はあります。私もアニメは好きですが、衣食住を犠牲にしてアニメを作るという感覚はありません」
「結局、アニメ業界は毎年のように無謀な『インパール作戦』をやっているわけです。2010年に、別のアニメ制作会社で月600時間働いた制作進行の社員が自殺して、のちに過労自殺として認定されました。(中略)アニメ業界を志していた私は、『なんで好きなものを作っている人が死ななければならないのか』と強烈に疑問を感じたことを覚えています」
「インパール作戦」というのは、第2次世界大戦中の日本軍のインド進攻作戦の名称。諸説ありますが、参加者10万人のうち、3万人が死亡し、4万人の傷病兵が出たとされるほどに壊滅的に失敗。内部でも反対論が強かった無理な作戦であり、食料や装備が足りなかったともされており、無謀すぎる計画においてよく形容される作戦です。
(
インパール作戦(インパールさくせん)とは - コトバンクより)
ブラック企業問題がそもそもそうであるように、こうした無茶な計画は日本の伝統のようなところがあるのですけど、伝統が良いものであるという根拠は何一つないので、悪しき伝統は失くしていかねばなりません。
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