2015/5/24:
●朝日新聞の「中国で密猟パンダ肉売買」はデマ?
●「密猟パンダ肉売買」はデマ説も怪しい?生息地の理解
●こんな怪しいネタに釣られるのは朝日新聞くらい?
●原始時代の人間はマジでパンダを食べてた!研究で判明
●現代中国でもパンダの肉は本当に食用にされている?
●「何でも食べる中国」「中国は野蛮な国」と日本では批判的
2019/02/18:
●人も襲う肉食のパンダの檻に少女落下 パンダが続々集結し動物園騒然

●朝日新聞の「中国で密猟パンダ肉売買」はデマ?
2015/5/24:2015年5月14日付けの朝日新聞に掲載された『野生パンダ殺し肉売買 密猟容疑で住民逮捕 中国雲南省』という記事について、DMMニュースが"【中国】「パンダ肉流通」トンデモ報道のウラ事情"(2015年5月23日 15時50分)という記事を書いていました。
http://news.infoseek.co.jp/article/dmmnews_969518/
この記事のネタ元は中国の新聞記事。2014年12月、雲南省の地元住民がメスのパンダを猟銃で殺し、肉35キロと手足を4800元(約8万6000円)で売り払ったとされています。中国では「国家的動物」ともいえるパンダの密猟は重罪とされ、最高で10年以上の刑が課されるとのこと。
一方、週刊文春は、さすが4つ足のものなら机以外は何でも食べる、といわれる国だけある──という論調で、これを掲載。「びっくり中国ネタ」はここ数年の暇ネタのトレンドで、中国=野蛮な国、と言いたい意図が山々の論調ですが、「そろそろ真偽不明の怪しい記事を垂れ流すのはやめてほしい」と在日中国人向け新聞の中国人記者は言っていました。以下のように怪しい記事だったという主張です。
「昨年12月のネタをなぜ、今頃になって中国で報じられたのか。野生動物の密猟に業を煮やした中国当局が、意図的に書かせた記事に決まっていますよ。それもパンダといえば、インパクトも絶大ですから、密猟抑止効果があると考えたんでしょう。中国各紙の記事をいくつか読んでみましたが、はっきり言って真偽不明、怪しさ満点の記事でした。だいたい雲南省はパンダの生息地ではないですから。もしこの記事が事実だとしたら、それこそ学術的意味のある事件ですよ」
●「密猟パンダ肉売買」はデマ説も怪しい?生息地の理解
気になったのは、「だいたい雲南省はパンダの生息地ではないですから。もしこの記事が事実だとしたら、それこそ学術的意味のある事件ですよ」という部分。本当かな?と、生息地について検索してみると…。
パンダの保護活動|WWFジャパン
ジャイアントパンダの森
ジャイアントパンダの生息している森は、標高約1,300mから4,000m、チベット高原の東端に接する中国北部から南部にかけての山岳地帯に広がっています。(中略)
また、四川省から雲南省にかけて広がる山岳林も、ジャイアントパンダの重要な生息地です。ここには、臥龍自然保護区や王朗自然保護区を始め、ジャイアントパンダの生息と保護に重要な役割を果たしている、大規模な保護区が設立されており、保護活動の中心地域となっています。
雲南省についても記述がありました。常識外れではないんじゃないように思えます。一方で、検索していくつか見ていると、雲南省を生息地としている記述はほとんどないというのは事実のようです。以下なんかも「昔はいたけど今はいない」といった書き方に見えます。
パンダに関する基礎知識:パンダ館
生息地
中国四川省、甘粛省、陜西省の海抜2,000~3,000mの高地で、湿潤な竹林に生息しています。北京や陜西省、湖南省、浙江省、広東省、広西壮族自治区、貴州省、雲南省、さらにはベトナムやミャンマー北部などの洪積世(1万~100万年前の氷河時代)の地層からは、パンダの化石が出土しており、かつてはパンダが広範囲に生息していたことがわかっています。
●こんな怪しいネタに釣られるのは朝日新聞くらい?
ということで、雲南省にパンダはいるかどうかの真偽は不明なのですが、検索していると今度は記事の別の部分の怪しさが気になってきました。
記事では最初に朝日新聞の記事について述べており、"大きなニュースがないときでも、新聞は紙面を埋めなくてはならない。そうしたときに掲載される、どうでもいいようなネタを業界用語で「暇ネタ」と呼ぶが、このパンダ記事などまさにその典型だろう"としていました。
こういう書き方をしていると、朝日新聞だけが特別に報じたのかと思ってしまいますが、他紙含めて一斉に報道していたというのが事実だったようです。
パンダの肉売買で10人拘束 中国雲南省、銃で殺す - 47NEWS(よんななニュース) 2015/05/14 06:53 【共同通信】
中国:パンダの肉売買、10人を拘束…雲南省、銃で撃つ 毎日新聞 2015年05月14日 12時04分(最終更新 05月14日 12時57分)中国雲南省、パンダの肉売買で10人拘束 最高で懲役10年の刑も 産経ニュース / 2015年5月14日 17時27分 ただ、これらはネットニュースですので、新聞で紙面を埋めていたかどうかははっきりしません。また、朝日新聞だけを言ったのではなく、ニュースがないので他紙も含めてみんな「暇ネタ」を報じたとも一応受け取れそうです。
●原始時代の人間はマジでパンダを食べてた!研究で判明
何だか微妙な話が多いですが、もう一つ本当にパンダは食用にされているのかどうかという部分について。検索してみると、
中国闇市の「パンダ肉」どんな味?(東スポ)という記事が出てきました。
中国南西部・四川省の重慶市にある「重慶三峡古人類研究所」のウェイ・グアンビャオ所長によると、発掘したジャイアントパンダの化石を調べた結果、人間が使う道具によって殴られたり、切られたりして死んだ痕跡が見つかりました。
1万~100万年前とみられ、当時の人間は必要のない動物殺生はしなかったことから、パンダが食用に供されていたとの判断に至ったとのこと。ジャイアントパンダが、食用動物とされていた時期があったのです。
●現代中国でもパンダの肉は本当に食用にされている?
東スポでは、「原始時代とはいえ、人間がパンダを食べていたというのはショッキングな話」とした上で、最初の週刊文春のような流れに。
「ごくごく一部のカネ持ちの間で伝えられている超高級食材といえば、パンダの刺し身です。パンダは闇のマーケットで1キロ1000万円で取引されるそう。究極の格差社会で超カネ持ちの奇食家から需要があるとのことです」と語るある中国人ジャーナリストを登場させていました。
「パンダはクマの仲間で雑食とはいえ、笹や竹を基本とした草食が基本。そのため、その肉は脂肪が少なく、すがすがしい香りがするという。自然界で敵はいないため、ほとんど動かず、ゴロゴロしており、少ないとはいえ脂肪が肉にサシとして入り柔らかい。マンボウやマグロの赤身のような感じらしい」(同)
結局、東スポという怪しいところなわけですが、このサイト以外でもパンダは食用になっているという記述は多く見つかりました。最初の記者はそれこそが「偏見だ」というわけですので、やはり議論は平行線であり、結局白黒ハッキリつけられませんでした。
●「何でも食べる中国」「中国は野蛮な国」と日本では批判的
ただ、「中国=野蛮な国」という嘲りの対象にするのは確かにおかしいと思います。2ちゃんねるまとめでも、「何でも食べる中国」としているものがありましたが、これは日本に対する鯨肉批判といっしょです。同じ穴のムジナですね。この批判がOKなら、日本も欧米に「鯨肉を食べる野蛮人」という批判を受け入れなくてはいけなくなります。
また、「パンダはクマの仲間」とあるように、別に食べられて不思議な動物ではないでしょう。クマなら日本人だって食べており、伝統的な日本の料理という言い方をしているところもあります。
なお、パンダが食べられる方ではなくパンダが食べる方の「肉」の話としては、過去に
実は怖いパンダ、肉食で人も襲う?笹は消化できず非効率なのになぜ食べる?というのもやっています。
これは意外性がある話として紹介したものですが、パンダを食べるなんて野蛮…と思ってしまうのも、そういう今までに形成されてきたパンダのイメージが原因というのもありそうです。
●人も襲う肉食のパンダの檻に少女落下 パンダが続々集結し動物園騒然
2019/02/18:
実は怖いパンダ、肉食で人も襲う?笹は消化できず非効率なのになぜ食べる?では、食べるためだったかは不明ですが、パンダが人を襲おうとしたという話を紹介しています。それこそクマはガンガン人間を襲って食べますしね。パンダも襲うかもしれません。
…といった前提知識があると怖いのが、"檻に少女が落下!パンダが続々集まり…中国"(日テレNEWS24 2019年2月11日)というニュース。
http://www.news24.jp/articles/2019/02/11/10416744.html
中国・四川省の動物園で、赤い服を着た少女が檻の中に落下。救出するため警備員の男性が引き上げようと、檻の中に棒を差し出すのですが、パンダが1頭やってきてしまいました。ゆっくりと少女に近づき、騒然とする中、今度は他のパンダも続々と集まってきます。めちゃくちゃ怖いですね。
ただ、幸いパンダたちはこれ以上近づくことはなく見ているだけ。記事では、「じっと見守った」とあったものの、野次馬っぽく興味津々な感じ。とはいえ、私には襲えるかどうか観察していた雰囲気には見えませんでした。少女の方も無事救出されたそうです。
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