カリフォルニア州立大学ノースリッジ校がおもしろい研究をしていました。ビジネススーツを着ている企業とカジュアルな服装をしている企業を比較する…といったものです。服装の違いによって、コミュニュケーション量などの違いが出てくるというのです。
ただ、どちらかが全面的に優れているという単純な結論ではありませんでした。カジュアルな服装とビジネススーツ…企業はどっちを採用すべき?というのは、企業によりけり。どちらにもメリットがあり、デメリットもあるようでした。
また、この「服装を変えるだけで人間の振る舞いに影響を与える」と似た不思議なことは、たびたび指摘されているんですよ。似たような話もいっしょに紹介していて、例えば、労働者の呼び方を変えるだけでモチベーションを向上する…といった話をやっています。
2016/10/18:
●とっても簡単な「上がらない労働者のモチベーションを上げる方法」
2015/5/26:
●カリフォルニア州立大学ノースリッジ校の面白研究、着る服の比較
●カジュアルな服装の企業はビジネススーツの企業より優れている?
●服装だけで変わるなんて馬鹿らしい…ネットでは記事の著者に非難
●違う結論の記事も発見…スーツを着た人の方が、むしろ仕事がデキる?
●詳細を見ず真実に向き合わないことがむしろメリットになることも…
●職業や役割がその人の行動に影響するという研究ならいくらでもある
2020/04/24:
●「売り場」という言葉を「買い場」に変えて本当の「顧客第一」に!
●とっても簡単な「上がらない労働者のモチベーションを上げる方法」
2016/10/18:おもしろい「上がらない労働者のモチベーションを上げる方法」がありました。しかも簡単で安上がり。以下のような事例です。
問題:工場でミスが多い(アメリカの事例)
うまくいかなかった解決策:生産性コンサルタントの起用。
うまくいった解決策:働いている人の呼び方を「Worker(労働者)」から「Craftsman(職人)」へ変えた。
→ 働いている人が誇りを持って仕事ができるようになり、ミスが減った。
(
問題を違った角度から捉えてみるとシンプルな解決策が浮かんでくる : 2chコピペ保存道場より)
上記の話はもともと別なところで紹介していたものですけど、このページの投稿のことを思い出したのでセットにしました。
●カリフォルニア州立大学ノースリッジ校の面白研究、着る服の比較
2015/5/26:形から入るだとか、格好だけだとかそういうのは個人的には好きじゃありません。しかし、まず見た目から変えるのが良いという研究があるそうです。カリフォルニア州立大学ノースリッジ校の研究によると、スーツを着ている人の特性は以下の3つでした。
(1)権力を誇示したがるが、他の従業員とのコミュニュケーション量が少ない
(2)物事の詳細よりも概念的な考え方をしがち
(3)具体的なデータや事実ではなく主観に頼った決断をしがち
上記は、
大企業病を治したいなら、まず服装を変えよう :日本経済新聞 2015/5/19付 ブランドン・ヒル(米ビートラックスCEO)[日経産業新聞2015年5月19日付]に載っていた話でした。このタイトルで想像できるように、カジュアルな服装の方が良いって流れの話だったんですね。
●カジュアルな服装の企業はビジネススーツの企業より優れている?
ブランドン・ヒルCEOによると、米国の一部の大企業でも、スタッフにカジュアルなファッションスタイルを推奨する動きも出て来ているとのこと。グーグルやアップル、フェイスブックなどシリコンバレーの多くの企業が次々にイノベーションを生み出しているのにならい、まずは見た目からスタートアップ的カルチャーを根付かせることで、イノベーションを喚起しようというのが狙いだそうです。
アメリカ人は馬鹿だと思うかもしれませんが、ブランドン・ヒルCEOは「実はこのスタートアップ的ファッションスタイルとその効果については、米国に先駆けて日本でもかなり以前から一部の人々によって実践されていた」としています。
例として出しているのは、ホンダの創業者、本田宗一郎さん。自らほかのスタッフと同じ純白のつなぎを着て、現場で一緒に汗を流してしいました。社長もほかのスタッフと同じ服装にすることで、同じチームの一員としての意識を根付かせ、無駄な緊張感を排除するのが目的だったといいます。
現代の日本の職場でも服装のカジュアル化が少しずつ進んでいるが、イノベーションを生み出したい企業は、思い切ってスタートアップ型ファッションスタイルを取り入れてみるのも良いかもしれない…と書いています。
●服装だけで変わるなんて馬鹿らしい…ネットでは記事の著者に非難
上記の記事は日経新聞のランキングで上位だったので目についたのですが、ネットの反応はそれほど多くありませんでした。
その数少ない反応を見ると、特に根拠なく「馬鹿らしい」と上の記事を批判するものでした。記事の著者のブランドン・ヒルCEOが研究結果を出しているのに対し、批判側は何の裏付けもありません。
ちょうどスーツを着ている人の特性であった「具体的なデータや事実ではなく主観に頼った決断をしがち」という感じの反応でした。
●違う結論の記事も発見…スーツを着た人の方が、むしろ仕事がデキる?
とはいえ、このカリフォルニア州立大学ノースリッジ校の研究が胡散臭いというのは私も同意します。こういった研究は一つ出てそれで決まりではないわけですので、研究手法に問題がないかを他の専門家に見てもらったり、同様の研究を他の人たちがしてみたりして、少しずつ確かめていくものです。
カジュアルな服装の人とビジネススーツの人をどう比べたのか?というのは気になるんですけど、実験の条件なども一切書かれていません。頭ごなしに否定する根拠はないものの、信頼できるような感じでもないですね。
で、気になって検索すると、何か「ビジネススーツの人の方がむしろ良いんだぞ」という感じの、全く逆のタイトルのページを発見しました。同じカリフォルニア州立大学ノースリッジ校ですので、元ネタは同じものっぽいです。これはどうしたことでしょう?
スーツを着た方が、仕事はデキる!目からウロコな「身だしなみの心理学」 | TABI LABO Chikaya
科学やビジネスなど、幅広い分野のニュースや論文を紹介している「SAGE Journal」で、カリフォルニア州立大学ノースリッジ校の心理学部、Abraham Rutchick教授は「スーツを着ることで、自信を持ったり、物事を見る視点が変わる」との研究結果を発表。
普段着よりもフォーマルな服装をしていることで、広く総合的に判断する視点を持つことができるのだとか。具体的には、抽象的に物事を捉えるための認知プロセスが強化されるといいます。
私はビジネススーツの人の方ができるはず…と疑っているのではなくて、そもそも適切に比較できるような条件になっているのか?という根本部分が気にかかるのですが、全く逆になってしまいました!
うーん、著者らが互いに研究論文の中から、自分の都合の良いところを取り出して見ているだけなのかも。ビジネススーツにもカジュアルにも一長一短あるという方が、無難な結論です。
●詳細を見ず真実に向き合わないことがむしろメリットになることも…
このページでは、Michael Slepian博士の以下のようなコメントを引用していました。
「仕事で批判を受けたときも、脳が抽象的に事実を受け止めるようになります。そのため、カジュアルな服装をしている時よりも、批判に対して落ち込まずに冷静な判断を行うことができます」
スーツの人は詳細を見ず真実に向き合わないのですが、批判されたときにはそのような悪いところが有利に働くのかもしれません。逆転の発想みたいでおもしろいですね。短所を長所として活かすという理想通りな感じです。
●職業や役割がその人の行動に影響するという研究ならいくらでもある
胡散臭い研究だなと思っていたものの、「なるほど」と感じてきたのが以下のようなエピソードです。
"調査では、白衣を着用した人々が、医者のように注意深く行動するようになる傾向も見られた"
仕事の向き不向きなんてものはない…とまで行くと過激ですが、職業や役割がその人の個性を作ったり、行動に影響を与えたりするという研究なら昔からたくさんあります。たとえば、過去にやった
ミルグラム実験とスタンフォード監獄実験もそういう話です。
こういう風に類似した研究が複数あると、ある研究がおかしいか・おかしくないかといった判断をするときの目安になります。服装が人々の行動にある程度影響を与えるというのは、それほど不自然なことではないかもしれないと思ってきました。
●「売り場」という言葉を「買い場」に変えて本当の「顧客第一」に!
2020/04/24:さらに類似した話を追加。
ドン・キホーテの圧縮陳列が嫌い!致命的なデメリットも見過ごせないを見直していて、これと似たような例だなと気づきました。
かつてあったスーパーの長崎屋ではドン・キホーテに買収されたことにより、「売り場」という言葉を「買い場」という言葉に置き換えたそうです。これによって何が変わるのかというと、建前でなく本当に「顧客の立場に立って考える」ことへの手助けとなったとされていました。
言葉というのは恐ろしいもので、何気なく使っているものでも、その使っている言葉によって、その人自身の思考に大きく影響してくる…とのこと。普段から「買い場」という言葉を使うことで、本当の顧客第一が実現しやすくなる…という話になっていました。
【本文中でリンクした投稿】
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ミルグラム実験とスタンフォード監獄実験 ネットリンチと正義の暴走 ■
ドン・キホーテの圧縮陳列が嫌い!致命的なデメリットも見過ごせない【関連投稿】
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