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Wikipediaの信頼性 学術論文でも参考文献として引用される時代に


 Wikipediaは信頼できない…みたいなことを言う人がときどきいますが、いろいろな意味で疑問があります。

●0か100かで考えることがまずおかしい

 「絶対に信頼できるもの」と「絶対に信頼できないもの」という考え方をするのがまずおかしいんですよね。百科事典だろうがメディアだろうが個人だろうが、間違っていることもあれば正しいこともあります。そもそも100%信頼できるものはこの世に存在しません。

 すべての情報が正しいというものはないわけですが、逆にすべての情報が誤っているものというのもあり得ません。それはすべての情報の正しさを正確に知っていないとできないことですからね。

 もちろん誤りが比較的多いとか、誤りが比較的少ないとかといった言い方はできます。それなら良いんですけど、「Wikipediaはデタラメ」「~新聞は嘘しか書かない」みたいな言っている人を見ると、残念な人だと思います。


●Wikipediaの信頼性より参考文献の信頼性

 Wikipediaが普通の記事や投稿と異なるのは、その事柄を書くにあたって参考にした文献を書くように求められていることです。実際にはその例に従っていない場合も多いために注意が必要なものの、参考文献がある場合はその参考文献の信頼性を見ることと同義になります。

 参考文献も私のブログみたいなそこらへんのページでは良いわけではなく、研究だとか書籍だとかメディアだとか、一定のルールがあります。

 これらのものも当然間違っていることはあるわけですが、Wikipediaが信頼できないと言ってしまうと、研究だとか書籍だとかメディアだとかも信頼できないということになり、信頼できるものはこの世になくなってしまうでしょう。

 まあ、すべてのものは間違っている可能性があるということからするとそういう考え方でも良いわけですが、「~は信頼できない」と言い出す人は0か100かで考える人が多いので、たぶんそうじゃないんですよね。


●Wikipediaは正解を掲載する場ではない

 私もまだたまに忘れてしまうことがありますが、Wikipediaは正解を掲載する場ではありません。説が複数ある場合、あるいは有力な説以外にも異論等がある場合には、「なるべく全部載せましょう」というのがコンセプトです。

 その説を誰がどれくらいの支持をしているか?といった話も載せるものの、唯一絶対な正答を決めようとしているわけではありません。ここらへんの誤解も「Wikipediaは信頼できない」と言う人は持っているのかもしれません。


●世界で最も"信頼できる"百科事典の誤りを指摘したWikipedia

 Wikipediaの信頼性問題というと、昔こんな話がありました。この中で出てくる『エンサイクロペディア・ブリタニカ』というのは『ブリタニカ百科事典』のことで、世界で最も評価の高い百科事典です。
Wikipediaがブリタニカ百科辞典の誤りを訂正 | スラド ストーリー by mhatta 2007年07月25日 6時00分

記事の質や運営体制など最近では何かと批判も多いWikipediaだが、長年に渡り最も信頼のおける大百科辞典として君臨し、近年ではその正確性をめぐってWikipedia支持派とつばぜりあいを演じた『エンサイクロペディア・ブリタニカ』の中から、Wikipedianたちが見付けた大量の間違いを集めた記事が話題になっている。ブリタニカの間違いはクリントン元大統領の正式な名前から安全剃刀の発明者、さらには数学におけるNP問題の定義に至る様々な分野にまで及ぶが、もちろんWikipediaでは修正済みで、いくつかに関してはWikipedianからの通報を受けてブリタニカ側でも修正されたと言う。これが「集合知」の力というものなのだろうか。

●Wikipediaはブリタニカ百科事典なみに正確?

 以下の話は知らなかったんですが、こっちの方が前の話。ここらへんが「つばぜりあい」の発端なんですかね?
「Wikipediaはブリタニカ並みに正確」記事に反論 - ITmedia ニュース 2006年03月24日 15時31分 更新

 「Wikipediaの精度はブリタニカ百科事典にも引けを取らない」とするNature誌の記事は間違っていると、Encyclopedia Britannicaが異議を唱えた。

 この記事は「Internet encyclopaedias go head to head(ネット百科事典が互角の勝負)」というタイトルで、昨年12月にオンライン版Nature誌に掲載された。同誌はWikipediaとBritannicaの科学分野のさまざまな項目を並べて比較し、両者の精度にはあまり差がないという結論を下した。

 Britannicaは今週発行した反論書の中で、「精度の基準から記事の見出しと内容の食い違いに至るまで、Nature誌の調査のほとんどが間違っており、誤解を招く」と主張している。(中略)

 省略版のデータで検証したところ、Nature誌の調査が妥当でないことが分かったとBritannicaは述べている。同誌の調査で不正確とされたブリタニカ百科事典の項目はいずれも不正確ではなく、調査項目の中には同事典に存在すらしていないものもあったと主張している。

 例えば、Nature誌が調査した項目のうち「Dolly the Sheep(クローン羊のドリー)」「Steven Wolfram(スティーブン・ウォルフラム)」はブリタニカ百科事典ではなく、「Britannica Book of the Year」から抜き出したものだったという。Yearbookでは執筆者が百科事典よりも自由に個人的な意見を表現することが認められており、Nature誌のレビュアーはウォルフラムの項目の2つの文章で、こうした意見に反対して「不正確」と評価したとBritannicaは説明している。

●Wikipediaの最も優れた点

 Wikipediaは正直間違いや不備が多いです。常に発展途上の百科事典だと言えます。

 ただ、発展途上だというのは、より正確な形に直していけるってことです。ここらへんのフットワークの軽さが、私はWikipediaの最も優れた点だと思います。不正確な記載を見つけたのなら、あなたが直せば良いのです。

 ところが、Wikipediaの編集ってのは面倒なんですね。従来の百科事典よりは腰は軽いものの、決して修正は簡単ではなく、私も面倒で参加したことがありません。Wikipediaは他の人たちを納得させながら修正していかなくてはならず、正解を知っている(と思っている)1人が勝手に直して終わり…とはならない場合があります。

 Wikipediaで見つけた間違いで大騒ぎする人は、自分は他人より優れていると自負している人が多く、このシステムとは相容れません。

 変化し続けていくことは、より正確になれるという意味で有望ですし、情報のスピード感も従来の百科事典と比べると早いのですけど、このシステムが理想通り機能するというのも正直難しいと思われます。


●査読付き学術論文でもWikipediaを引用

 ここまででも既に十分長いのですが、もともとWikipediaの話を書こうと思ったのは以下の記事を読んで…でした。
Wikipediaを参考文献にして良いかどうか問題 | 雪見 投稿日: 2014年12月01日 13時24分 JST 更新: 2015年01月30日 19時12分 JST

以前、ある大学教授先生のレクチャーを聴く機会がありました。

聴くこと全てが新鮮で大変勉強になったのですが、そのレクチャーの中で、教授先生が少し脱線して「最近の学生はレポートの参考文献にWikipediaなんかを引いてきて大変嘆かわしい。ちゃんと論文か本を引いてくれないと」と話される一幕があったんです。

その時は私も一緒に笑い飛ばしていたのですが、何となく違和感を覚えました。

 

「そういえば何で論文や書籍は良くてWikipediaはダメなんだろう?」

って。

(中略)

学生のレポートで、チャチャっと検索してお茶を濁せるWikipediaの参照というのは、色々文献を引くというプロセスの勉強としてよろしくない、というのは確かに一理あるのでしょうけれど、最近では正式な査読付き学術論文においてもWikipedia引用をするものが増えているのだとか。

 これにはたまげました。前述の通り、Wikipedia自体が参考文献の引用でできあがったものですので、私はWikipediaを参考にしたとしてもその引用元の方を論文の参考文献に挙げれば良いと思っていました。

 査読付き学術論文において、Wikipediaそのものを引用するとは…。

 う~ん、どうなんでしょうね? 論文でブリタニカ百科事典を参考文献に…というのは一般的にあるんでしょうか? それがアリならWikipediaもアリな気もしなくはないですが、元の参考文献を確かめた上で、そちらの引用とした方が良い気がします。


●Wikipediaを引用に使ってはいけない理由

 記事ではWikipediaを引用に使ってはいけない理由を挙げていました。

(1)匿名の不特定多数が編集するので信頼がおけない
(2)情報が正確でないことがある
(3)公開される前に編集者や査読者などの他人のチェックを受けていない
(4)いつでも編集できるので筆者が見た時と読者が見た時に内容が異なる可能性がある
(5)直接調べたデータや情報ではなく、誰かがやったものを勝手にまとめた間接的な情報である。


●Wikipediaを引用に使ってはいけない理由への反論

 ただ、作者は「議論のためあえて」ですけど、反論も載せています。

(1)匿名の不特定多数が編集するので信頼がおけない
(2)情報が正確でないことがある
(3)公開される前に編集者や査読者などの他人のチェックを受けていない

・実名であってもお金儲けや承認欲求のために有ること無いことを書く方は少なくない。
・論文や書籍であっても正確でないものは山のようにある。

 "これらの点をもってWikipediaを責めると、かえって「実名だから、査読論文だから、大丈夫」という危険な思考を誘発しかねない気がします"とありましたが、これは私が最初に書いたような視点ですね。


(4)いつでも編集できるので筆者が見た時と読者が見た時に内容が異なる可能性がある

 これは「修正履歴を保守し、参照時にはいつの履歴かを明示するなどの対策が必要と思います」としていて、あまり反論していません。

 ただ、実際にはWikipediaには更新日付の記載があり、履歴も残されています。普通の書籍でも書き換えられている可能性があるため「版」を明記すべきであり、Wikipediaも日付を載せれば済む話と思います。


(5)直接調べたデータや情報ではなく、誰かがやったものを勝手にまとめた間接的な情報である。

・学術界でも総説という色んな研究・知見をまとめた論文がある。

 でも、総説の引用はやはり「推奨されてない」とのこと。やっぱりそうですよね。

 ということで、素直にWikipediaの元になった参考文献に当たる方が良いと思われます。


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