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火山の噴火は予知可能? 富士山・箱根山・御嶽山・口永良部島など


 全国各地の火山で、「火口周辺警報」や「噴火警報」といった活火山の活動状況に関する注意情報が気象庁から出ています。こういうのを聞くと、火山の噴火は予知可能なように思えてくるでしょうが、これは誤解があり、実際にはもっと複雑。予測が外れるというだけでなく、そもそも予測できないタイプの噴火があるのです。


●「火口周辺警報」や「噴火警報」が出ていない火山も注意が必要

2021/01/15:火山に関する注意情報というのは、実はかなり頻繁に出ています。例えば、2021年1月12日に気象庁が発表した全国の活火山の活動状況や警戒すべき点では、全国の9火山に「火口周辺警報」が、1つの海底火山に「噴火警報(周辺海域)」が出ていました。

▽群馬県にある草津白根山の「白根山」
▽長野県と群馬県の県境にある「浅間山」
▽鹿児島と宮崎の県境にある霧島連山の「新燃岳」
▽鹿児島県の「桜島」「口永良部島」「薩摩硫黄島」「諏訪之瀬島」
▽小笠原諸島の「西之島」と「硫黄島」

 このうち、居住地の近くまで影響が出るおそれがあり「入山規制」を示す噴火警戒レベル3は「桜島」、「口永良部島」、「諏訪之瀬島」に発表されています。また、小笠原諸島の近海にある海底火山の「福徳岡ノ場」では、周辺の海域に影響を及ぼす噴火が発生するおそれがあるとして「噴火警報(周辺海域)」が発表されていました。

 さらに、全国の活火山の中には噴火警報が発表されておらず、噴火警戒レベルが1の火山がありますが、過去に噴火を繰り返してきた活火山であることに変わりはないと、<全国の火山概況 全国9火山に「火口周辺警報」 気象庁 | 気象 | NHKニュース>では、強調されていました。もともと書いていた話は、ここらへんの関係です。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210112/k10012810951000.html


●口永良部島の爆発的な噴火「今回の噴火の兆候は見られなかった」

2015/5/29」読んでいて「あっ!」となったのが、口永良部島(くちえらぶじま)に関する「今回の噴火の兆候、見られなかった」…気象庁 読売新聞 / 2015年5月29日 15時12分という記事でした。以下のような内容です。

<噴火から約1時間半後の29日午前11時半過ぎ、東京都千代田区の気象庁で行われた緊急記者会見。北川貞之・火山課長は、詰めかけた50人以上の報道陣を前に、緊迫した表情で説明した。(中略)
 口永良部島では今月23日、震度3を観測する火山性地震が発生。これを受け、気象庁は同日に住民説明会を実施し、警戒を呼び掛けていたという。ただ、その後の観測データなどには目立った変化はなかったといい、北川課長も「今回の噴火の兆候は見られなかった」と話した>

 口永良部島の噴火警戒レベルは現在、最も高いレベル5に引き上げられています。いくつからレベル5になったのか書いていないところが多かったのですが、鹿児島・口永良部島で爆発的噴火 警戒レベル5 NHKニュース(5月29日 18時09分)によるとレベル3からの上昇。一気に引き上げられていますので、やはり予知できていなかったものと思われます。

<気象庁は午前10時7分に口永良部島に噴火警報を発表し、噴火警戒レベルをレベル3の「入山規制」から最も高いレベル5の「避難」に引き上げ、今後も爆発力が強い噴火や規模の大きな噴火が発生する可能性があるとして、厳重な警戒を呼びかけています。気象庁が噴火警報を発表したのは、平成19年12月に警報を導入してから今回が初めてです>


●御嶽山の大噴火は予知できなかった…海外の研究者も予知を否定

 口永良部島の場合は前年も噴火があって、入山規制を敷いていました。そのため、火砕流が発生したものの、人的被害は免れました。噴火対策はある程度有効だったわけです。しかし、前述の「今回の噴火の兆候は見られなかった」などからすると、完璧な噴火予知など不可能なのだろうと想像できます。

 そこで気になって以前のケースを調べてみました。まず、戦後最大の死者を出した御嶽山の噴火です。御嶽山の場合観測機器に確か不備があったと報道されていた記憶がありますが、そうじゃなくてもやはり難しかったでしょう。“予知はほぼ不可能だった” 御嶽山噴火を海外専門家が考察 NewSphere / 2014年9月29日 18時18分では、以下のような話がありました。

<テレグラフ紙は、御嶽山では地震活動の増加が記録されていたが、大噴火の兆候はなく、実際の噴火の規模も大型ではなかったとする、専門家の話を報じている。
 イギリスのオープン大学で、惑星地球科学を教えるデビッド・ロスリー教授は、御嶽山は1979年以来噴火しておらず、頻繁に噴火したという履歴もないことを指摘。今回の噴火は、特に大きくはなかったが、登山者たちが火口近くにいたことで、熱い灰が致死的脅威となったと説明する(テレグラフ紙)>

 英ハル大学の地学講師、レベッカ・ウィリアムズさんによると、新鮮なマグマを伴う噴火は、地下のマグマの動きを示す、火山性微動と地面の変化を測る装置を用いて予知することが可能。ただし、水蒸気爆発は地下マグマの動きから起きるとは限らず、同様の装置で噴火を事前警告することは出来ないとも述べています。

 ハル大学のレベッカ・ウィリアムズ講師は、活火山が人気の観光スポットであることはよくあり、その危険を良く理解せず訪れる人が多いことを指摘しつつも、今回死者が出たことは「予期できず、予防できなかった悲劇だ」と述べていました。完全に予防することはできないということです。


●御嶽山は『水蒸気爆発』なので予知は無理 気象庁火山課も説明

 マスメディアはこういうときにすぐ大げさに書いて脅すので、腹立たしいところ。ただ、噴火の予知に関しては、ここまで見てきただけでも難しいことが容易に想像できます。富士山も不安視する記事が出ているだろうと検索すると、案の定ありました。やはり御嶽山のときのものです。

 というか、この検索でヒットした御嶽山大爆発…果たして富士山は大丈夫なのか? 気象庁火山課に聞いてみた!! 日刊大衆 / 2014年10月22日 17時0分という記事では、スタートからびっくりの話が出ていました。

 <同じ噴火警報レベル1でありながら、御嶽山が爆発したのはなぜなのでしょうか。今回はそんな疑問を、火山観測の最前線で働く、気象庁火山課の菅野さんに聞いてみました>と書かれていたのです。御嶽山は噴火警報レベル1だったんですか。こりゃ、ダメですわ。これ一つ聞くだけで、予知は不可能だと感じるエピソードです。

 気象庁の運用する噴火警戒レベルが1だったにも関わらず、大きな被害が出てしまったことについて、気象庁火山課の菅野さんは、噴火警戒レベルをどのようにして出しているのかといった説明から始めて、以下のように火山噴火予知の難しさを語っています。

<さて、まず噴火警戒レベルですが、これは、火山性地震や微動、GPSや傾斜計による地殻変動観測、噴気の様子などの観測結果に基づき、火山活動の状態を総合的に判断して運用しています。現在は地下からマグマが上がってきて噴火するまでをかなりの精度でモニタリングできており、実際に桜島などでは、地下にマグマが溜まりつつある様子や、噴火後に火山からマグマが抜けた様子などを観測できています。
一方、今回の御嶽山で発生した噴火は、マグマが地上に噴出するマグマ噴火ではなく、『水蒸気爆発』でした。これはマグマの熱で地下水が加熱され、火にかけたやかんの蒸気のように、山体という蓋を持ち上げ蒸気が噴出する現象です。すでに浅いところに存在している地下水により引き起こされるため、マグマが移動してくるマグマ噴火に比べると、前兆現象が乏しいという特徴があります。
爆発直前、10分前には火山性の微動が、7分前には山体のわずかな膨張も観測されていますが、非常に残念ながら、水蒸気爆発が起こる前に警報を発表することは困難でした>


●火山の噴火予知はやはり不可能か?

 やはり火山の噴火の予測は、全般に無理そうだという話もしています。
―― 一般的な火山は30~50万年ほど活動すると言われていますが、富士山が活動を始めたのは1万7000年ほど前と聞き及んでおります。この、「火山年齢が若い」ということは、老齢の火山に対し、活動が活発であると考えていいでしょうか?

【気象庁火山課・菅野さん】
活火山である以上、その活動期間を通して、いつでも噴火する可能性があります。ですので、必ずしも、火山が噴火し始めて山体ができあがった時期が一番活発で、その後徐々に活動が弱まるというわけではありません。日本に活火山は現在110ありますが、富士山を含めどれもがいつ噴火してもおかしくありません。

●富士山は登山可能だけど…

 富士山に関する部分。
富士山では、1707年の宝永噴火以来、300年以上にわたり噴火は発生していません。また、今年の6月に開催された火山噴火予知連絡会では、『2011年3月15日に富士山直下で発生したM6.4の地震以降、地震活動が低下しつつも継続しているが、その他の観測データに異常を示すものはなく、噴火の兆候は認められない』と評価されているところです。そこで、現在の富士山は噴火警戒レベル1、平常に登山ができるレベルです。

 じゃあ、大丈夫なのか?と言うと、これまでの話でわかるように、保証はできません。
一方、富士山が活火山である以上、いつか再び噴火が発生することは避けられません。そして、富士山の噴火には様々な様態があり、次の噴火がどのような規模・様式の噴火となるかについて現時点では分かりません。
しかし、富士山の火山観測体制は充実しており、前兆が捉えられる噴火に関しては、過去の噴火に関する知見も最大限に活用しながら、気象庁では警報を発表してレベルの引き上げを行います。
対して水蒸気爆発ですが、富士山で過去に起こった事例は承知していないのですが、今回の御嶽山に限らず、前兆現象が明瞭に出ない可能性があることから、注意が必要だと思います。

●箱根山・大涌谷の場合は?

 口永良部島の前は箱根山の大涌谷のニュースが多く報道されていました。観光に影響するので「箱根山という名前を使うな!」という声もあるんですが、産経新聞は以下のように書いていました。前兆がないという「水蒸気爆発」にも言及されています。
箱根町・大涌谷、避難指示「区域外=安全」は間違い 産経ニュース / 2015年5月26日 7時58分

 町は想定火口域の大涌谷に通じるハイキングコースなどは区域外でも規制しており、現在は半径300メートル外も実質的に立ち入りができない状況にある。避難指示区域は噴火した場合に危険な範囲を示したものではなく、区域外なら安全というわけではない。区域の外にも噴石が飛ぶ可能性は十分ある。

 近代的な観測が始まってから噴火していない箱根山はデータが乏しく、将来の噴火規模は分かっていない。火山噴火予知連絡会の藤井敏嗣(としつぐ)会長は「一般に火山噴火で噴石などの影響がどの程度の範囲に及ぶかを科学的に予測することは難しい」と話す。

 箱根山では地殻変動や噴気の活発化を伴う群発地震が平成13年にも発生し、約4カ月間続いた。今回は地震の発生ペースが速いため、より短期間で終息する可能性もあるが、水蒸気爆発が起きる恐れもある。

 神奈川県温泉地学研究所の竹中潤研究課長は「噴火するかどうかの判断は現状では困難。観測データを引き続き注視したい」と話している。

●専門家は噴火の予知が難しいが、九州電力は予知できる?

 以上だったのですけど、口永良部島の話を検索していたら、「九州電力は予知できるらしいけどな」という皮肉を見かけました。原発のことだろうなということで検索かけると、時事ドットコム:【図解・社会】川内原発周辺の火山とカルデラ(2014年7月)という記事が出てきました。
 原子力規制委員会が審査書案をまとめた九州電力川内原発(鹿児島県)が立地する南九州には、過去に巨大噴火を起こした火山が複数ある。規制委や九電は噴火の兆候を監視すれば対応できるとの立場だが、火山学者からは「予知は困難」と疑問の声が上がっている。(中略)

 規制委はカルデラでマグマの量が増えれば地表付近に変化があるとの前提に立ち、九電に観測場所を増やすよう求めた。
 だが、日本大の高橋正樹教授は「噴火の時期や規模の予測は不可能」と苦言を呈する。
 日本では、巨大噴火は1万年に1回程度の割合で発生している。高橋教授は、前回の巨大噴火は約7300年前で、近い将来再び噴火する可能性も否定できないと話す。(中略)

 規制委の審査では、火山の専門家が九電の対策に直接意見を述べる機会がなかった。首都大学東京の町田洋名誉教授は巨大噴火の発生頻度が低いことを認めつつ、「自然は人の思うようには動かない」と強調。鹿児島大の井村隆介准教授も「近くのカルデラで、既にマグマが多量にたまっている可能性も否定できない」と懸念している。

 ここらへんは政治的な話でナイーブなので軽く流しておきますが、人間が噴火を正確に予知できると考えるのは思い上がりが甚だしいですし、実際、科学的根拠がありません。甘く見ない方が良いですよ。


【関連投稿】
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