Appendix

広告

Entries

アニマルセラピー・ドッグセラピーのストレス削減効果は本当?


2021/11/01冒頭に追記:
●犬猫が癒やすアニマルセラピーが人気 意外の効果で環境省も注目 【NEW】




●犬猫が癒やすアニマルセラピーが人気 意外の効果で環境省も注目

2021/11/01追記:コロナ孤立、犬猫が癒やす=広がるアニマルセラピー―施設で共同生活、企業派遣も | 時事通信ニュース(2021-10-30 05:41)という記事を発見。アニマルセラピーに本当に効果があるのかはこの後のところで書いていますが、とりあえず、アニマルセラピーに人気があることはわかる話だと思い、最初に追記することにしました。

 記事によると、動物との触れ合いで癒やしを与える「アニマルセラピー」が広がっているとのこと。例えば、昭和女子大キャンパスでは、新型コロナウイルスの影響が長引く中、学生の孤独感を和らげようとセラピー犬体験会が開催したそうです。神奈川県藤沢市の「アニマルセラピーこころサポート協会」が派遣協力しました。

 1986年からセラピー犬などを派遣している公益社団法人「日本動物病院協会」によると、派遣は年1000回程度に上るといいます。年1000回の時点でアニマルセラピーが大人気だとわかる話ですよね。ところが、日本動物病院協会の担当者は「動物やボランティア不足から依頼を断らざるを得ないこともある」と明かしており、さらにその人気ぶりがわかります。

 一方、秋田市の障害者グループホーム「にゃおん秋田市さくら」などを運営する「アニスピホールディングス」の場合は、3年前から保護犬や猫を引き取り、約600施設で一緒に生活できるようにしたとのこと。こうした取り組みは殺処分の減少につながる可能性があり、環境省も注目しているそうで、アニマルセラピーの予想外の効果が出ていました。

 私がもともと記事タイトルの「コロナ孤立、犬猫が癒やす」を見た時点で書こうと思っていたのは、新型コロナウイルス問題で犬猫を飼う(買う)人が増加した一方で犬猫を捨てる人も大きく増えた…と言われていたこと。安易に覚悟なく飼ってしまった結果のようです。そういう意味では、飼わずにアニマルセラピーで…という考え方もアリかもしれません。


●根拠があるのか怪しい…犬がうつ症状を改善する6つの理由とは?

2015/5/29:もともと興味を持ったきっかけは、犬がうつ病を改善してくれる6つの理由 : カラパイア(2015年05月12日)という記事。犬がうつ症状を改善する6つの理由といったものが紹介されていました。

1. 犬は無償の愛ですべてを受け入れてくれる
2. 犬が人の行動に変化を促す
3. 犬との気晴らし
4. 犬との触れ合うだけでストレスが低下
5. 犬が責任感を植え付ける
6. 犬は血圧を下げる

 私が興味あったのは研究などの根拠があるもの。記事で紹介されていた6つの理由には根拠がなさそうなものも含まれていたので、以下、研究などの話があるものだけピックアップしていきます。


●セラピー犬のストレス・孤独感低下効果などは根拠がある

<犬が孤独感を低下させてくれる>
・孤独感が強いと評価された老人ホームの入居者で、毎週1回30分の犬の訪問サービスに関心があった37人を対象に実施された研究。
・半分の被験者には、訪問時に犬を独り占め、もう一方の被験者には、犬を老人ホームの他の住人とシェアしてもらった。
・どちらのグループも犬の訪問後は孤独感が低下すると答えた。
・ただし、その低下の程度は犬を独り占めしたグループの方が大きかった。

<犬と触れ合うとストレスが低下>
・ある研究によれば、犬を45分間マッサージすることで、ストレスホルモンであるコルチゾールの濃度が低下するほか、白血球が増加することで免疫系まで最適化されるとわかった。抱きしめることで、ストレス軽減ホルモンのオキシトシンが体内に放出され、血圧や心拍が低下する。
・バージニア大学の研究では、犬と握手をすると、脳の感情中枢の一部である視床下部においてストレス関連活動が減少することが分かっている。犬に触れると、脳の特定領域内で脅威のサインに対する反応が止んでしまう。
・犬の飼い主の血圧と心拍数は、ストレスが溜まる精神的作業をする前やその途中でもかなり低い数値を示すことがわかった。
・血圧は犬を撫でているときにも下がる。
・犬を撫でることにより、免疫系の改善や痛みの軽減にもつながる。これは、犬がただそこにいるだけでも見られる現象。

 以下は犬の研究ではなく、責任に関する一般論くさいですが一応。「犬を飼うことで責任感が芽生える」といったものです。ただ、冒頭に追記したように、犬猫を飼う人が増えた一方で、捨て猫・捨て犬も増えましたからね。責任感が芽生える人もいるのでしょうが、そうじゃない人も多いんだと思われます。(後半だけ2021/11/01追記)

・犬を飼うことには大きな責任が伴うが、うつ病の研究によれば、この責任感が心の健康にいいらしい。
・ある課題を引き受けることや、自分の能力を仕事に役立てることは、自尊心を育む結果につながる。そして、それが成功すると、自分以外にも他の生き物を大切にできるという自己の強化につながる。


●アニマルセラピーにはドッグセラピーというものもある

 この話を読んで他に研究はないだろうか?と探すと、ドッグセラピーなるものが出てきました。ドッグセラピー - Wikipedia(最終更新 2013年6月28日 (金) 15:46)では、以下のように説明されています。

<ドッグセラピー(英語:Dog Therapy)とは、動物を使った治療方法であるアニマルセラピーの一種で、高度に訓練された「セラピードッグ (Therapy dog) 」を介在させることにより、高齢者や認知症、自閉症など様々な障害を持つ人々に対し心や身体のリハビリテーションを目的としたプログラムを実施することである。広義では、一般の人々が犬と触れ合うことによって精神的情緒的安定や、身体的な運動機能回復効果が得られることを目的とした活動>

 上記が最初の記事のような活動で、犬によって人間が利益を受ける行為です。一方、逆に犬を癒やドッグセラピーもあるそうです。そちらの意味のドッグセラピーの場合、"様々な虐待、遺棄、ストレス等によって傷ついた犬に対し、人間社会との共存を目的とするリハビリテーション"と説明するようです。

 また、人が癒やされるの方の"ドッグセラピーには、「AAA」「AAT」「AAE」の3種類がある"ものの、厳密に"「ドッグセラピー」といえるのはAATだけであると言ってよい"ともありました。

 このAAT(Animal Assisted Therapy)というのは、動物介在療法と訳されるもの。"人間の医療の現場で、専門的な治療行為として行われる動物を介在させた補助療法"。"実際に実施する際には、治療対象者が「犬好き」であることを前提"とされています。やっぱり犬嫌いの人には逆効果ですよね。


●ドッグセラピーの効果は本当に証明されているのか?

 Wikipediaでは期待したような研究の細かい話はありませんでした。
ドッグセラピーを一定期間続けることによって、「記憶力の改善」など認知症の改善や「反応する」「笑う」「発語」「車椅子からの自足歩行」「自力によるトイレ利用」など反応や行動に変化がみられた。ドッグセラピーが単に犬と触れ合うというだけでなく、患者自ら犬に触れ、犬に話しかけ、犬と共に歩く(歩きたいと思う)ことにより心理的な改善効果となり、積極性や前向きな姿勢を生み出していることが立証されている。

ドッグセラピーの効果を高めるためには、患者や患者が生活する施設などの環境を考慮し、施設関係者、医療従事者、セラピードッグハンドラーなどと連携して患者にあったプログラムを立案することが必要不可欠である。

 Wikipediaでは、「NPO法人 日本レスキュー協会」を出典元としていました。既にリンク切れしているものの、過去の情報を探して読んでみると、ここでいくつかのレポートが過去に掲載されていたみたいです。たとえば、以下のようなものがありました。
『ドッグセラピーの効果』
大阪大学人間科学部 (ボランティア人間科学講座)助教授 渥美公秀氏

■調査の概要
老人保健施設アルカディアに入所中の老人生痴呆症の患者さん10人を対象とし、「犬と接するグループ」「接しないグループ」の2グループに分け、9ヶ月間、週1回、1時間のペースでリハビリを実施。

■調査での注目点
・記憶力に改善がみられるか
・歩行速度、おむつなどの身のまわりのことに変化が見られるか

■結果
<記憶力の改善>については長谷川式知能テストなどでセラピー毎に改善度を測りながら調査をし、3ヶ月後の研究結果では「犬に接しないグループ」に比べ、「犬と接するグループ」のほうが痴呆症の改善度が高いという明らかな結果がでました。
<身の回りの変化>についてもおむつがはずれた患者さんの数が「犬と接するグループ」の4人に対して「接しないグループ」は2人という差がでました。
さらに別のグループでも調査をくり返した結果、同様の効果がみられました。セラピードッグの成果の確実さを認識できたといえるでしょう。

■総括
ドッグセラピーはただ触れ合うだけでなく犬と一緒に遊んだり、犬の世話をしたりすることで、心理的な効果となってリハビリに対する積極性や、自立する前向きな姿勢を生みだしていくのです。
もう一点、注目する事は、今まで何の反応もなく表情の変化もなかった患者の表情が豊かになってきているという現象です。犬と接することにより、笑ったり、反応を返すようになる姿を見て、驚かされてもいます。そのことで、周りの人たちの意識も変わってくるのでしょう。こんなものだと思っていたことが、もしかしたら…というような期待感となり、患者さんに対する取り組み方にも積極性が出てくるのです。
また、これまで会話がなかった患者同士の間でも、犬を通して会話するようになったりもしています。セラピードッグを媒介にして人間関係に深みが出てくることが、もうひとつの大きな効果と言えます。セラピードッグの育成を促進することは、老人性痴呆症の改善につながっていくのだと思います。

リンク切れ http://www.japan-rescue.com/forum/003.html

●ドッグセラピーのストレスなどの変化に関する研究も

 同じ「NPO法人 日本レスキュー協会」にあった別の研究。
『介護老人保健施設における ドッグセラピー前後の各種指標についての考察』
介護老人保健施設アロンティアクラブ理事長 医学博士 矢木 崇善氏

(中略)

<対象>
介護老人保健施設の入所者の中で、犬好きでドッグセラピーに興味のある方

7名で性別は全員女性、年齢は76歳から95歳までで平均年齢は86歳でした。

基礎疾患 老人性痴呆4名、脳血管後遺症2名、パーキンソン症候群1名である。

歩行の程度:車椅子、歩行器、杖 等

<方法>
グループドッグセラピー(犬1頭)

週一回 30分

期間:6月8日から8月31日まで7回から11回まで

 検査項目は"非感作で抗腫瘍活性や抗体産生系に対する調節作用を持つナチュラルキラー(NK)細胞活性、ストレス反応に影響を受ける内分泌指標と言われている、カテコールアミン、コルチゾール、ACTH"などだそうです。

 結果に対する考察は以下。項目によって効果が異なっていますね。
<考察>

・NK細胞活性について

対象者での有意な変化は認められなかったが、犬の関わりによって個別に聞き取りをすると、犬との関わりが深い人ほどNK細胞活性が上昇し、NK細胞が、非特異的に腫瘍細胞やウイルス感染細胞を殺し、また免疫機能にも関わっていることから、何らかの免疫能に影響を与えていることを示唆している。

・カテコールアミンについて

有意な傾向は認められなかった

・コルチゾール、ACTHについて

犬との関わりの深い対象者においてコルチゾールが上昇しており、興味の対象である犬のセラピーによってストレスというよりはむしろ興奮状態で上昇したことが考えられます。

・CD4、CD8、CD4/CD8について

AIDS、B型肝炎、伝染性単核症などの感染症で低下し、免疫機能の一つの指標として使われているCD4/CD8において対象者で上昇していたが、有意差は認められなかった。

・NMスケール、N-ADLで上昇していたが施設内の他の療法との影響度を考慮していかなければ有意差はでないと思われました。

 Wikipediaの説明を見ていると、誰にでも効果があるとか、誰がやっても効果があるとかではなく、プログラムの中に組み入れて効果を見ながら試していく手段の一つといった印象ですね。

 途中であったように犬好きを前提としていますし、誰でもわかりやすく効果ありまくり!というものではなさそうです。


●ドッグセラピーで幸福ホルモンが増加する人は何割程度なのか?

2019/04/29:ドッグセラピー関連の研究の話を見つけたので追加。ペット関連用品も作っているユニ・チャームが、東京農業大学農学部バイオセラピー学科動物介在療法学研究室 太田光明教授と共同で、アニマルセラピーを通じた高齢者とセラピー犬の触れ合いが双方にもたらす変化を研究したそうです。

 高齢者施設入居者37名、セラピー犬35頭が実験に参加。高齢者の多くの方で、幸せな状態を示すホルモンであるオキシトシン分泌量が、アニマルセラピー実施後に増加。またセラピー犬も同様に、アニマルセラピー実施後にオキシトシン分泌量が増加したことから、人と触れ合うことにより喜びを感じていることが示されました。

 サンプル数としてはまだまだ少ないのですけど、唾液中のホルモン分泌量を測定して得たオキシトシン分泌量についての具体的な数字には結構驚き。なんと高齢者の83.8%、またセラピー犬の77.1%において、アニマルセラピー実施前と比較し、実施後にオキシトシン分泌量の増加が見られたとのこと。
(産学連携で、人と犬の触れ合いによる効果を研究 人と犬の双方の幸せホルモン増加を実証 2019年4月12~14日 第15回IAHAIO(人と動物との関係に関する国際会議)で発表|ユニ・チャーム株式会社のプレスリリースより)

 実験参加者からはそもそも犬嫌いの人などを除いているのではないかと思うのですけど、8割以上というのは十二分に高い数字でしょう。思ったより多くの人に効果があるんですね。驚きました。


【関連投稿】
  ■近隣トラブル ペットの犬が配達人を咬み1300万円の損害賠償
  ■犬のしつけ 迷惑な無駄吠えをやめさせるには?吠える理由は何?
  ■盲導犬・アイメイトの誤解 何があっても吠えない訓練はしていない
  ■飼い犬が人や他の犬を噛みつくトラブル続発 重過失容疑で逮捕も
  ■飼い犬がよその人や犬にかみついて危害を加えた!飼い主の責任は?
  ■動物・植物・生物についての投稿まとめ

Appendix

広告

ブログ内 ウェブ全体
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示









Appendix

最新投稿

広告

定番記事

世界一スポーツ選手の平均年収が高いのはサッカーでも野球でもない
チャッカマンは商標・商品名 じゃあ正式名称・一般名称は何?
ジャムおじさんの本名は?若い頃の名前は?バタコさんとの関係は?
ワタミの宅食はブラックじゃなくて超ホワイト?週5月収10万円
朝日あげの播磨屋、右翼疑惑を否定 むしろ右翼に睨まれている?
レーシック難民は嘘くさいしデマ?アメリカの調査では驚きの結果に
赤ピーマンと赤黄色オレンジのパプリカの緑黄色野菜・淡色野菜の分類
アマゾンロッカーってそんなにすごい?日本のコンビニ受け取りは?
就職率100%国際教養大(AIU)の悪い評判 企業は「使いにくい」
ミント・ハッカでゴキブリ対策のはずがシバンムシ大発生 名前の由来はかっこいい「死番虫」
移動スーパーの何がすごいのかわからない 「とくし丸」は全国で約100台
ビジネスの棲み分け・差別化の具体例 異業種対策には棲み分けがおすすめ
主な緑黄色野菜一覧 と 実は緑黄色野菜じゃない淡色野菜の種類
タコイカはタコ?イカ?イカの足の数10本・タコの足8本は本当か?
トンネルのシールドマシンは使い捨て…自らの墓穴を掘っている?
ユリゲラーのポケモンユンゲラー裁判、任天堂が勝てた意外な理由
好待遇・高待遇・厚待遇…正しいのはどれ?間違っているのはどれ?
コメダ珈琲は外資系(韓国系)ファンドが買収したって本当? MBKパートナーズとは?
大塚家具がやばい 転職社員を通報、「匠大塚はすぐ倒産」とネガキャン
不人気予想を覆したアメリカのドラえもん、人気の意外な理由は?

ランダムリンク
厳選200記事からランダムで









アーカイブ

説明

書いた人:千柿キロ(管理人)
サイト説明
ハンドルネームの由来

FC2カウンター

2010年3月から
それ以前が不明の理由