健康食品・サプリメントの話をまとめ。<健康食品・サプリメントほぼ全部に医学的根拠なし 唯一あるのは?>、<唯一摂る意味があるとされたサプリの効果ですら怪しい理由>、<医師会も警告!健康食品やサプリメントは百害あって一利なし?>などをまとめています。
2023/08/29追記:
●医師会も警告!健康食品やサプリメントは百害あって一利なし? 【NEW】
●健康食品・サプリメントほぼ全部に医学的根拠なし 唯一あるのは?
2015/6/2:元ネタは、
健康食品2兆円市場 90%が効果なし 健康食品の疑似科学・エセ医学(1)|矢来町ぐるり(週刊新潮 2014年8月14・21日夏季特大号)というタイトル。ここの耐凸で「健康食品2兆円市場 90%が効果なし」とあったものの、本文には9割の根拠になる数字が載っていません。謎です。
ただ、「健康食品・サプリメントほぼ全部に医学的根拠なし」といった感じの発言はありました。久留米大学医学部心臓・血管内科の松岡秀洋准教授が、「健康食品のほとんどに、科学的にきちんと証明された効果はありません」とした上で、以下のような話をしていたのです。
「青魚に含まれるDHAやEPA。DHAを多く含む食品を摂った人は、摂らなかった人よりもアルツハイマー型認知症になりにくいというデータがあり、また、血液を凝固しにくくする効果によって、心筋梗塞や脳梗塞を予防するとも言われます。またEPAも、血小板の凝固作用をコントロールして、血液をサラサラにするといいます。普通の食事で十分に摂取できますが、魚が不足したらサプリメントで摂ってもいい」
「
これらは、ほとんど唯一、摂る意味があるサプリメントだと思う」
つまり、DHAやEPA以外のサプリメントや健康食品は、科学的根拠や医学的根拠がないとみなして良いという考え方です。

●唯一摂る意味があるとされたサプリの効果ですら怪しい理由
ただ、この唯一良いと言われたDHAやEPAにしても、私は怪しく思っています。というのも、以前、
EPA、DHA(オメガ3脂肪酸)の魚油サプリ 効果なしどころか危険という説という話で出てきたように、否定的な研究があるためです。
ここらへんは研究が進むにつれて明らかになるでしょう。対立する研究があるということはまだ未確定で研究途上だという証拠ですが、対立する意見が出ること自体は特に問題ではありません。むしろ科学としては健全なあり方です。どんどんと研究が増える方がよく、それによって知見がより確かになっていきます。
なお、「ほとんど唯一、摂る意味があるサプリメントだと思う」とした松岡秀洋准教授でさえ、DHAやEPAについて「最近の研究で、若いときから飲まないとあまり効果がないことがわかったのです」とおっしゃっていました。松岡秀洋准教授にしても、DHAやEPAのサプリメントの効果についてはかなり慎重に見ているようです。
●健康食品の効果はプラセボ効果とアミノ酸の効果である
浜松医科大学の高田明和名誉教授はアミノ酸がもたらす効果についても触れており、これは一応サプリや健康食品がプラスという話。ただし、同時にプラセボ効果(プラシーボ効果。プラセボ効果は、
プラシーボ効果(プラセボ効果)1 ~「病は気から」は本当だった!?~を参照)にすぎない可能性も指摘。私もプラセボ効果が大きいと思っていました。
「人間が生きていくには必須アミノ酸という、体内で生成できない9種類のアミノ酸を、まんべんなく摂る必要があり、市販されているサプリメントや健康食品の多くはアミノ酸を含んでいます。健康食品の効果があったという人もいますが、ほとんどは思い込むことで効果が得られる“プラシーボ効果”と、アミノ酸による効果だと思います。たとえば、スッポンエキスを飲んで元気になった人がいたとします。当人はスッポンの生命力や神秘に感激しますが、元気になったのは、不足していた必須アミノ酸が摂れたからなんです」(浜松医科大学の高田明和名誉教授)
ただ、アミノ酸というのは、一応普通の食品で接種可能なものですから、サプリメントや健康食品を摂取しなくちゃいけない…といったものじゃないんですよね。意地悪く言ってしまうと、単に普段偏った食事しているがために、サプリメントや健康食品に少し効果が出てくる…という話。バランスよく食べていると、必要ないものだと思われます。
例えば、
【アミノ酸の摂取】アミノ酸を多く含む食品 - アミノ酸白書では、「人間が栄養を摂取する為の手段は幾つかありますが、充足感も得られる食事での摂取が最善の方法といえます。アミノ酸の摂取も、サプリメントよりも食事で行なうべきなのです」としていました。
<アミノ酸はたんぱく質と共に細胞を構成する材料になっているため、肉・魚・野菜・穀物などの代表的な食品の全てに含まれているといえます。(中略)
アミノ酸の含有量が多い食品としては、たんぱく質が多い動物性の「肉類」「魚介類」「乳製品」が挙げられます。次いで植物性たんぱく質を多く含む「豆類」、脂質が少なく炭水化物を多く含む「穀類」が挙げられます>
●高いから効くと思ってるだけ?プラセボ効果は高いものほど出やすい
愛媛大学大学院医学系研究科薬物療法・神経内科学の野元正弘教授は、「サプリメントの場合、1カ月分で1万円くらいする高価なものが一番の売れ筋だといいます。“プラシーボ効果”は、高価なものほど出やすい」とおっしゃっていました。これは非常におもしろい指摘です。
ただ、これは補足が必要なところでしょう。記事では「高価なものほど出やすい」について、特に説明はなかったものの、これだけだと「高価なサプリメントや健康食品は、プラセボ効果が出やすいのだからやっぱり良いものであり、買った方が良いのではないか?」と誤解されるおそれがあります。
プラセボというのは要するに「ニセの薬」。そして、プラセボ効果というのはごく簡単に言うと、ニセの薬を飲んだことに寄る思い込みの効果のことをいいます。以前読んだ実験によると、「高いと説明した偽の薬」と「安いと説明した偽の薬」では、「高いと説明した偽の薬」の方が効果大。「高い」と信じこませるだけでも、効果がアップするのです。
では、これが「高価なサプリメントや健康食品は、プラセボ効果が出やすいのだからやっぱり良いものであり、買った方が良い」という結論になるかと言うと、そうではありません。そもそも「ニセの薬」のような「偽物の効果」をうたって高く売りつけているわけで詐欺的。普通に効果あるものを買った方が良いじゃん!という話でもあります。
●健康食品でむしろ健康被害が起きやすい理由
また、
サプリメント・健康食品で逆に不健康に 未知の副作用の危険性で私が書いたようなことも出ていました。
「食事は同じものをずっと食べていると必ず飽きますが、サプリメントなどの錠剤は味もなく量も少ないので、毎日たくさん飲めます。効果がないものも、何らかの健康被害をもたらすものも飲み続けることができ、蓄積による副作用の危険性があります。私が担当している生活習慣病外来では、健康食品についての相談が後を絶ちません」
大抵のものは偏った摂取をすると危険が高まります。特に健康食品・サプリメントは特定の成分を意図して高めているために、健康被害が起きやすくなっています。
健康食品・サプリメントは医薬品ではないため、用法・用量といったものはなく、むしろ記載すると違反のようです。ただし、前述の理由で飲み過ぎてよいものではありません。
食べ過ぎちゃいけないというのは普通の食品でもそうであり、本来当たり前の話なのですが、健康食品・サプリメントの場合は「健康に良いのだから多くとっても大丈夫」という幻想があるために、間違いが起きやすくなっています。
その上でさらに飲み過ぎていなくても健康被害が出る可能性を考慮して、「おかしい」と思ったらただちに摂取をやめなければならない…ということを、普段から意識しておいた方が良いでしょう。
●医師会も警告!健康食品やサプリメントは百害あって一利なし?
2023/08/29追記:日本医師会でも
「健康食品」・サプリメントについて | 国民のみなさまへでも<あなたは、「健康食品」やサプリメントを摂りすぎてはいませんか?>と呼びかけるページを作っていました。うちでは、このページの書き方とは順番を入れ替えて、先に定義について見てみます。
<「健康食品」には、法律上の定義はありません。一般的には、通常の食品よりも、「健康によい」「健康に効果がある」、「健康の保持増進に役立つ」などの表現で、販売されているものをいいます。
また、サプリメントは、ある成分が濃縮されて、錠剤やカプセルなど、通常の食品とは違う形をして作られた製品をいいます。ただし日本では、スナック菓子や飲料まで含むこともあります。>
日本医師会では、「健康食品」には医薬品の成分を含んでいるものもある…と、これより先に書いていました。こう聞くといかにも効果がありそうなのですけど、うちでもともと書いていたように健康食品に科学的根拠があるわけではありません。単純な話、超微量に含まれているだけでは、効果がないとわかりますよね。
このサイトでも<ただし、健康食品やサプリメントが、実際に、ふつうの食品よりも、「健康によい」、「健康に効果がある」、「健康の保持増進に役立つ」かどうか、科学的根拠があるかどうかは、必ずしも十分ではありません>と書いています。基本、「科学的根拠はない」ということで覚えておいて下さい。
一方で、医薬品の成分の含有や成分の濃縮により、副作用のリスク…という負の側面だけはしっかり存在。健康食品は医薬品と違い、多額の資金を投入して安全性検査を繰り返していませんし、「体に良いはずだから」と飲み過ぎるリスクや、合せ技で被害をもたらすリスクがあります。基本いいことありませんね。
<「健康食品」には、成分を濃縮していたり、医薬品の成分を含んでいるものも、多くあります。効果を期待して摂り過ぎたりすると、危険性も増します。
また、服用している医薬品との相互作用で、思わぬ健康被害が発生することもありえます。体に不調を感じたら、すぐに、かかりつけの医師にご相談を!そして、医師に、「健康食品」やサプリメントを摂っていることをきちんと伝えましょう。>
<「食品だから安心」、「天然成分だから安全」は誤解で、天然成分由来の健康食品でも、アレルギー症状や医薬品との相互作用を起こすものがあります。特に、病人、子ども、妊産婦、高齢者、アレルギー体質のある方などは、要注意です。>
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