辛い経験をすると他人にも優しくできるって言うけど、本当なのかな?と思っていました。で、実際、そうじゃない方というのもいるようです。例えば、サイコパスと言われる方々がそうです。
このサイコパスについては、"サイコパスは飢餓に苦しむ人にも無感情"といった話を追加しています。ただ、その前に、ラットでは「辛い経験をすると他人(他ネズミ)にも優しくできる」といった、ネズミの研究の話をやっていました。
2015/6/5:
●助けなきゃ!隣の部屋で嫌な思いをしているネズミを救うネズミたち
●人間だけでなくネズミにも共感力がある、日本の研究者が実験で証明
●被害者が加害者に!辛い経験をしても優しくできない人が実際いる
●エサと仲間の救出どっちを優先する?ネズミに選択させてみると…
●サイコパスは共感が欠如している 男性は女性より低い傾向も
2017/04/06:
●だから何?サイコパスは飢餓に苦しむ人を見てもなんとも思わない
●助けなきゃ!隣の部屋で嫌な思いをしているネズミを救うネズミたち
2015/6/5:関学大文学部の佐藤暢哉(のぶや)教授(神経科学)らが、共感能力に関する実験を行っています。2部屋(各20センチ四方)をドア付きの壁で仕切り、一方には実験動物であるネズミのラットが嫌がるように水を張りました。さらに、ドアは水がない側からしか開かないようにします。この状態で以下のような実験を行いました。
<一緒に2週間飼育したラットをそれぞれの部屋に入れ、仲間を助けるためドアを開けるまでの時間を計った。開けない場合は5分で打ち切った。1回目は、実験した10組すべてが開けなかったが、1日が経過した2回目は平均時間約4分20秒だった。回を重ねるごとに学習が進み、12回目では平均約50秒に短縮された。水を張らずに同じ実験をすると、ラットはドアを開けなかった。
一方、水に入れられた経験のあるラットを助ける側にすると、1回目の実験は平均約4分10秒、2回目は平均約1分40秒に短縮され、4回目の平均は50秒を切る早さだった。同じつらい経験をしていると、仲間を助ける動機が強まることを示しているという>
(
ラットに共感能力:「助けなきゃ」水責めに仲間が反応 毎日新聞 2015年05月12日 12時06分(最終更新 05月12日 14時57分)より)
●人間だけでなくネズミにも共感力がある、日本の研究者が実験で証明
"ラットに共感する能力があることを示す成果で、人間が進化の過程でどのように共感能力を得ていったかを解明するのに役立つ研究"だとしていました。つまり、人間は普通、共感能力があるという話ですね。
"仲間を助ける援助行動は霊長類で研究が盛んだが、ラットについての報告は珍しい"ということで、霊長類での研究ならあったようです。
また、仲間を助ける例ではなく単に「共感」の有無というものですが、
共感 - Wikipedia(最終更新 2015年3月19日 (木) 10:58)を見ると、以下のような話がありました。
<動物においても類似の例はあり、たとえばコンラート・ローレンツはガンが湖に群れで舞い降り、また新たな餌場に移動する際に、鳴き声を互いに聞くことで気分を共有するのだと論じている>
●被害者が加害者に!辛い経験をしても優しくできない人が実際いる
あとで例を挙げるとさっき書いた、辛い経験をしても優しくできない人の話をここでします。私は実際に働いてみると、働く人の辛さがわかって優しくできるものだと思っていました。ところが、
店員を困らせるモンスタークレーマーの客に、意外な職業の人もで書いた土下座事件の加害者の中には、飲食店で働いている人がいたんですよ。
また、自分が土下座をして謝った人が「相手も辛い思いをしないように」ではなく、成功体験としてしまって、相手にも同じ行為をさせたという人もいました。
いじめられっ子がいじめっ子の立場になるようなものですかね? 全然共感力が働いていない事例のように思えます。
●エサと仲間の救出どっちを優先する?ネズミに選択させてみると…
上記のような共感力の低い人たちは論外なんですけど、実験では「そうじゃなくても何か人間よりすごくない?」という話もあったんですよね。
別の実験では、仲間のラットのいるプール側のドアと、エサのある部屋に通じるドアのどちらを先に濡れていない部屋のラットが開けるのか選ばせると、餌よりもプール側のドアを開けることを選択しました。
これは、ラットにとって他個体を助けることが、エサを食べることよりも価値が高いことを示しているんだそうです。
(
ラットは溺れる仲間を救助するのか? - 関西学院大が共感能力を実験 | マイナビニュース[2015/05/12]より)
●サイコパスは共感が欠如している 男性は女性より低い傾向も
最初の記事によると、佐藤教授は「人間とラットは同じ哺乳類なので、脳の基本構造は似ている。共感性に乏しいとされる病気の研究に役立つのではないか」と話していました。「共感性に乏しいとされる病気」というのは、うちでもやっているサイコパスも含まれているかもしれません。
(関連:
脳画像見た科学者「こいつはサイコパス」、実は自分の脳だった)
先ほど少し引用した共感のWikipediaの説明の中でも、サイコパスが出ています。
<共感(きょうかん、英語:empathy)は、他者と喜怒哀楽の感情を共有することを指す。もしくはその感情のこと。たとえば知り合いがつらい表情をしているとき、相手が「つらい思いをしているのだ」ということがわかるだけでなく、自分もつらい感情を持つのがこれである。通常は、人間に本能的に備わっているものである。しかし、例えば反社会性人格障害やサイコパスの人物では、 ”共感の欠如”が、見られる>
ただ、佐藤教授が想定していたのは、以下の「共感の欠如」の項目で出ている病名のところが主かもしれません。
<ヒトの自然な発達段階において阻害されると、共感することを欠如するようになる場合がある。 (中略)
病的な見地からは、反社会性パーソナリティ障害や自己愛性パーソナリティ障害、自閉症やアスペルガー症候群の代表的な特徴とされる。精神医学ではまだ厳密に定義されていないが、先天的に極端に共感性が低いサイコパスと呼ばれる人達もいる>
省略部には「一般に男性は女性より共感性が低い傾向がある」という話もありました。実はサイコパスも圧倒的に男性に多いことがわかっています。
こういうのは男女で揉めてしまいそうな情報であり、検索していると「男には共感力がないと思え」みたいな見出しも目に入りました。ちゃんと読んでみると思いやりのある親身な内容なのかもしれませんが、多くの場合やはり思いやりのない発言になってしまうのでご注意ください。
●だから何?サイコパスは飢餓に苦しむ人を見てもなんとも思わない
2017/04/06:
身近な「サイコパス」から身を守るための知識 ニューズウィーク日本版 / 2017年2月27日 20時11分という記事があったので読んでみたものの、タイトルは良くなかったですね。"現実的に「どうすべきか」についての明確な答えが見出せない"とのことでした。
それ以外で、"身近な「サイコパス」から身を守るための知識"にあたりそうなものを探すと、サイコパスが人の弱みにつけこみ、コントロールする技術を身につけているといった話はありました。
最初は親切にして恩を売って信頼関係ができた頃に、いきなりキレるそうです。それに戸惑って謝罪すると、また優しくなるのですが、またしばらくすると難癖つけて…とアメとムチを繰り返していくことによって、上下関係を完成させていくという説明でした。いわゆるマインドコントロールみたいな感じですね。
上記の話は別に紹介したいと思わなかったものの、別のサイコパス関連のエピソードが気になりました。"サイコパスに対し、飢餓に苦しむ人などの悲惨な画像を見せても、感情と関連する部分の脳は活性化しない"というものです。これはやはり共感力の問題なんだろうなと思ったので、こちらの投稿に追加しました。
【本文中でリンクした投稿】
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脳画像見た科学者「こいつはサイコパス」、実は自分の脳だった ■
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